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1999年04月24日 起
2003年06月09日 改訂






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肺癌遺伝子治療のご案内

* 2000年に承認された肺がん遺伝子治療臨床研究は2003年5月に終了しました。 *

以下は2001年1月現在の記載です。

はじめに

 このたび日本において肺癌の患者さんに遺伝子治療を実施することができるようになり、慈恵医大においても治療実施中です(2003年5月に終了しました)。この治療方法は海外ではすでに行われており、今のところ特に重大な副作用は認められておりません。しかしまだあくまでも研究段階の治療法であります。また肺癌の患者さんのすべてにこの治療が行えるわけではありません。

 そこでこのご案内を通して具体的な治療法やどのような患者さんが治療の適応となるのか、実際に治療をどのようにするかということの概略を説明させていただきます。

肺癌の遺伝子治療の概要について

 肺癌には主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌の4種類があります。治療方法は小細胞癌とそれ以外の肺癌では大きく異なるため、小細胞癌以外の肺癌を非小細胞肺癌と総称します。非小細胞肺癌は、早期のものでは手術が最善の治療法ですが、不幸にも癌が進行してしまった場合には手術で病巣を切除することは困難です。また抗癌剤(化学療法)などの治療も効きにくい種類の癌です。この癌に対して新しい治療法として遺伝子治療が試みられるようになりました。
 ここで癌と遺伝子との関係について簡単に説明します。癌の発生や進行にはさまざまな遺伝子が関わっています。これらの遺伝子はその働きから大きく癌遺伝子と癌抑制遺伝子の2種類に分けられます。これらの遺伝子に異常が起こると癌が発生したり増殖したりします。癌を自動車に例えると、癌遺伝子は自動車のアクセル、癌抑制遺伝子は自動車のブレーキに相当します。すなわち癌遺伝子の異常はアクセルが踏み込まれ自動車が加速した状態、癌抑制遺伝子の異常はブレーキが壊れて自動車が止まらなくなった状態と考えられます。このようにして自動車が暴走するように癌細胞は増殖していきます。
 癌抑制遺伝子の一つにp53という遺伝子があります。非小細胞肺癌の患者さんにおいては約半数の方が、癌組織中のp53に異常が認められます。ごく最近日本で行えるようになった非小細胞肺癌の患者さんに対する遺伝子治療は、癌組織中に正常のp53遺伝子を投与するものです。これにより癌の増殖が抑制されたりあるいは縮小し、症状が改善されることが期待されます。

治療の対象となる人

 この治療の対象となる方は、非小細胞肺癌と診断された方のうち、癌をすべて取りきるのが難しいため手術を断念せざるを得ず、さらに抗癌剤(化学療法)や放射線照射の効果も十分でなかった患者さん、あるいは手術を受けられたのちに再発した患者さんなどです。これらの患者さんで、p53遺伝子に異常のある方のみが治療の対象となります。
 従いまして遺伝子治療を希望された場合には、治療に先立ってまず、癌組織のp53遺伝子に異常があるかどうかを調べさせていただきます。この検査の結果、癌細胞中のp53遺伝子に異常を認めた患者さんが治療の対象となり、逆に異常を認めなかった場合には治療の対象とはなりません。この点についてはあらかじめご了承ください。

治療の目的

 この治療は、遺伝子治療単独あるいは抗癌剤を併用した場合の「人での安全性、治療効果および薬物の体内分布を調べる」ことを目的とした臨床研究で、厚生省、文部省に治療実施のための許可申請を行っています。
 「安全性」とは、投与した薬剤による有害作用が多いか少ないか、などです。
 「体内分布」とは、投与させた薬剤が適切な部位に到達するか、不必要に体内に蓄積しないかどうかなどです。
 「治療効果」とは、薬剤を投与することにより、癌が縮小したり増殖が止まったりすることです。ただし遺伝子治療の薬剤は癌に直接注入されるため、全身に転移した癌や目に見えない小さな転移には効果が期待できません。

治療方法

 遺伝子治療は薬(正常なp53遺伝子)を癌組織に直接注入します。投与方法としては大きく2通りがあります。一つは気管支鏡という内視鏡を使う方法で気管支が閉塞している場合に主に行います。もう一つの方法はCTというレントゲンで癌の位置を確認しながら体表から針を刺して癌組織に直接薬剤を注入する方法です。どちらの方法で行うかは癌の発生した部位などにより決めさせていただきます。また病状によっては全身麻酔で胸腔鏡という内視鏡を使って行うこともあります。
 また遺伝子治療に抗癌剤を併用させていただくこともあります。抗癌剤を併用するかどうかは臨床研究の進行状況により決めさせていただきます。

治療効果

 治療効果が得られますと、癌が小さくなります。たとえば癌により気管支が閉塞し、呼吸困難を生じることがありますが、治療により癌が小さくなると呼吸が楽になります。また癌の進行による痛みが和らぐこともあります。このように治療により病状が改善することが考えられます。

予測される副作用について

 海外ではすでに非小細胞肺癌の患者さんにこの治療が行われていますが、一番多い副作用は発熱でした。しかし多くの場合は軽度の発熱でした。そのほか注射部位の痛みが報告されています。
 また併用した抗癌剤の副作用としては、はきけなどが報告されています。


遺伝子治療とは(概略)わが国における遺伝子治療の現状
 

 




東京慈恵会医科大学

肺癌遺伝子治療担当医一覧 (2001年1月現在)

 

DNA医学研究所

遺伝子治療研究部門

衞藤  義勝教授
(総括責任者)

吉村  邦彦講師

大橋 十也講師
呼吸器・感染症内科

佐藤  哲夫助教授

児島 章講師

古田島 太講師

望月 太一助手

多田 弘子助手

村松 弘康助手

諸川 納早助手

山口 浩史助手

木村 哲助手
外科

山崎  洋次教授

吉田 和彦助教授

秋葉  直志講師

武山  浩講師

佐藤  修二講師

三澤  健之講師

放射線部

福田  国彦教授

関根  広講師

福田  安講師

貞岡 俊一講師
病院病理部

河上 牧夫教授

鈴木 正章助教授