| 無伴奏に寄せて | ホームへ戻る |
30年程前の仙台の町に『無伴奏』というバロック音楽喫茶がありました。 そこは小さなビル地下の狭い店でしたが、店の奥に大きなスピーカーが鎮座して、いつもバロックの名曲LPがかかっていました。珈琲のかおりとタバコの煙、静かに音楽に耳を傾けるお客。 その時にかかっているLPのジャケットがカウンターに置かれ、客が解説を読むことができます。 確か黒板にリクエストを書くと、マスターが数多くのLPから曲を探してくれてかけてくれたと記憶しています。 学生時代を仙台で過ごした私はこの『無伴奏』でバッハに親しみ、取り分けヴァイオリンやチェロの無伴奏組曲がお気に入りでした。当時私は下駄を愛用していて、『無伴奏』の厚くて重い木の扉を開けると、下駄の音を立てないように細心の注意をしながら中に入ったのを思い出します。 同じ時代のこの『無伴奏』を舞台に仙台出身の小説家小池真理子さんが小説を書いています。その題名も『無伴奏』。小説の内容はともかく、この店の雰囲気はよく伝わってきます。 ヨハン・セバスチャン・バッハ(J.S.Bach)は1685年生まれ、1750年没。 小さな時から教会の聖歌隊で歌い、教会のオルガンを弾いていました。 一生の大部分を教会オルガニスト、作曲、指導、に携わっていますが、30代半ばの6年間(1717〜1723年)のケーテン候に仕えた時期は、宗教とは関係の無い器楽曲を数多く作曲しました。 この時期には妻マリア・バルバラの死、アンナマグダレーナとの再婚もあり、身辺の変化も著しかったようです。このケーテン時代に、無伴奏チェロ組曲は生まれました。無伴奏ヴァイオリンパルティータとソナタ、ブランデンブルグ協奏曲などが時期を同じくしています。 当時独奏楽器ではなかったチェロのために、6つの組曲を作曲していますが、曲の組み合わせ、調性をみてもその構成は実に整然としています。 ( 調性がそれぞれ重複しない点。5曲目(ジーグの前の曲)の選択が下記のように整然としている ) |
無伴奏チェロ組曲
| 第1番 | ト長調 | プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、 |
| メヌエットI、メヌエットII(メヌエットIに戻る)、ジーグ | ||
| 第2番 | ニ短調 | プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、 |
| メヌエットI、メヌエットII(メヌエットIに戻る)、ジーグ | ||
| 第3番 | ハ長調 | プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、 |
| ブーレーI、ブーレーII(ブーレーIに戻る)、ジーグ | ||
| 第4番 | 変ホ長調 | プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、 |
| ブーレーI、ブーレーII(ブーレーIに戻らない!?)、ジーグ | ||
| 第5番 | ハ短調 | プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、 |
| ガボットI、ガボットII(ガボットIに戻る)、ジーグ | ||
| 第6番 | 二長調 | プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、 |
| ガボットI、ガボットII(ガボットIに戻る)、ジーグ | ||