群馬県社会福祉士会 宿泊研修会
個人情報保護法施行1年、今、福祉従事者に求められるもの
日時 平成18年2月18日(土) 、2月19日(日)
場所 桐生グランドホテル
内容 2月18日
講演会「個人情報保護法施行1年、今、福祉従事者に求められるもの」
講師:藤井光二氏(元 桐生公証人役場公証人)
研修会「音楽療法の実際」
講師:猪之良高明氏(ドレミ社会福祉士音楽療法士事務所 所長)
2月19日
研修(分科会)
A分科会
テーマ:障害者自立支援法の施設(障害者)の方向性は
司 会:桐生みやま園ねもと寮 施設長 高野優子
発 表:発表 第二陽光園 施設長 田沼利夫
B分科会
テーマ:「介護保険制度改革について−新しい介護予防制度のあり方−」
司 会:特別養護老人ホームハーモニー広沢 主任生活相談員 河村俊一
発 表:桐生市中央在宅介護支援センター 相談員 田村ゆかり
C分科会
テーマ:「成年後見制度は独立型社会福祉士業務の柱となるか」
司 会:サンライズさかいの 生活相談員 茂木和子
発 表:ドレミ社会福祉士音楽療法士事務所 所長 猪之良高明
主催 群馬県社会福祉士会
講演会「個人情報保護法施行1年、今、福祉従事者に求められるもの」
〜裁判で訴えられないために〜 藤井光二氏
藤井光二氏
平成17年4月1日、個人情報保護法(以下、保護法)が全面施行され間もなく1年を迎えようとしている。全国各地の関係機関、自治体でガイドラインや個人情報保護条例が制定されている。一方で過剰反応事例が多発している事も事実である。具体的な事例は以下の通りである。
・被災者救済のための個人情報を提供した区役所課長が、訓告処分を受けた
・警察の口頭照会に病院側から文書要求、初動捜査現場は危機感を抱く
・学校掲示板で学生を呼び出すには、厳格には本人の同意が必要
などの過剰反応事例が発生している。保護法がきちんと理解されない状況で動いてしまっている。
保護法はなぜ必要だったのだろうか。法制定の背景にはIT社会の急速な進展がある。それはコンピュータやネットワークの利用により個人情報が簡単に検索されてしまうことにある。インターネットで個人名を入力すればすぐに検索されてしまう。こうしたITから情報をいかに守るかが法制定の背景にあると考えられる。
保護法のねらいは、個人情報の取扱いルールを定め、個人情報取扱い事業者の遵守義務を定め、個人へのよりよりサービス提供とプライバシー保護を両立させたことなどにある。
さて、社会福祉士にとっても関係する、医療介護関係事業者が守るべき基準について考えてみよう。厚生労働省が制定したガイドラインは多岐に渡るが、社会福祉士にとっては以下のガイドラインが参考にあげられるであろう。
・医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン
・福祉関係事業者における個人情報の適正な取扱いのためのガイドライン
医療分野は個人情報の適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野の一つであると指摘されている。同様に介護分野においても個人情報を詳細に知りうる立場にあることが指摘されている。いずれの分野も個人情報の適正な取扱いを求めている。なお、医療・介護関係事業者のうち5000件以上の個人データを保持しており、それを事業に利用している事業者が、個人情報取扱い事業者とみなされる。
医療・介護関係事業者が守るべきものを考えてみよう。これには個人情報の取得方法に関することと、取り扱い方に関することの2つに分けられる。取得方法に関しては、適正な方法によること、利用目的を特定すること、利用や提供には本人の同意を得る事があげられる。取り扱い方に関しては、本人がいつも知りうる状態にする、正確性を保つ、本人からの訂正、追加、削除、利用停止、消去の求めに応じる、苦情処理を適切におこなうことがあげられる。
特に大切なこととして、守秘義務を遵守し漏洩を絶対にしないことがあげられる。社会福祉士には守秘義務があることはご存知のことだが、士業には必ず守秘義務があるほか、公証人や弁護士などは守秘義務に違反すれば刑法で罰せられる。保護法の精神からも再度これらのことをチェックするべきであろう。
法の基本的な規定条項を見てみよう。
個人情報とは、氏名や成年月日などから特定の個人を識別する事ができるものとされており、あらゆる情報が個人情報に該当しそうである。また思想、宗教、人種、本籍地などはセンシティブ情報とされ不当な差別に結びつく恐れがあることから、情報収集、利用、提供が原則禁止される。本法には明記されていないが条例やガイドラインでは原則禁止されている。
個人情報の取得方法については、適正であること、患者・利用者の理解を得ること、個人情報保護に積極的に取り組んでいることを明らかにすることがあげられる。
同意を得ないで情報を目的外に使用することや、第三者に提供するなど、利用目的の範囲を超えて個人情報を取り扱うことは禁止されている。ただし、法令に基づく場合や、意識不明、重度の認知症高齢者などの場合で緊急に診療が必要な場合は例外とされる。同意において大切なこととして、いったん同意を得たとしてもある程度時間が経過している場合などは改めて同意をとる事が望ましい。
個人情報は最新の内容に保つ事が大切である。また本人からの開示の求めは「開示請求権」にあたるので、遅滞なく開示をおこなうことが必要である。一方、個人データの第三者提供の制限についても注意しなくてはならない。特に気をつけなくてはならないのが、民間保険会社、職場、学校、マーケティング関連の会社などからの照会である。社長が入院していることを病院側が社員に伝えてしまったことによってトラブルにつながったケースがある。
法施行1年を迎える中、多くの過剰反応事例がありそれに対する関係機関の見解もまちまちである。保護法は新しい法律であり、まだ判例がなく具体的な事例がないので、解釈もばらばらにある。自分が正しいと思っていても解釈の仕方によっては、裁判で訴えられてしまうこともあるので、様々な人に意見を聴くなどして慎重に対応する必要がある。
最後に保護法に対するポイントをまとめると以下のようになるであろう。
・個人情報の遺漏はしない。また遺漏につながるような掲示方法をしない。
・個人情報の利用には同意を得るとともに、利用目的をしっかりと伝える。
・第三者への情報提供は慎重にするとともに、文書で同意をもらっておく。
・うっかりミスに注意する。関係者と親しくなったときにこうした事が起きがちである。
人間社会においては、信頼関係が大切である。信頼関係があるからこそ、裁判に訴えられなくても済む事があるのではないだろうか。
2日間で55名が参加しました
研修会「音楽療法の実際」
猪之良高明氏
続いて本会会員である猪之良高明氏による音楽療法の基礎講座がおこなわれた。音楽療法とは何かにはじまり、音楽療法の現場、音楽療法の実際についてロールプレイを交えながらおこなわれた。
懇親会
懇親会は6時から、古谷会員の司会により楽しく進行した。会員の自己紹介を兼ねながら、大いに飲み、食べ、そして語り合った。それは夜の更けるまで続いた。
分科会
二日目の研修は、分科会がおこなわれた。障害者自立支援法、介護保険制度改革、成年後見制度&独立型社会福祉士と、それぞれ社会福祉士にとって関心の高いテーマで話し合いがおこなわれた。
最後に、この宿泊研修会を企画実施し、裏方として至り付くせりの対応をしていただきました東毛地区の会員に深く感謝の意を表します。