お姫さまと…


「姫様、オファールの森にとても良い景色の映る湖があるのです。
嫁いでしまうともうこの国の景色はしばらく見る事が出来ないでしょうから、
それまでに一目ご覧になってはいかがですか?」

あわただしくお輿入れの準備がされる中、一人の魔導士がそんな事を言ってきた。

「オファールの森と言えば馬車で半日もあれば十分に行って戻れる距離ですね。
あなたが言うのならそれはすばらしい景色でしょうね。そうね、見てみたいわ。
明日にでも行く事にしましょう。案内してくださる?」
「よろこんで」

私自身連日の花嫁修業と称される勉強でうんざりしてしまい、
息抜きをしたいと思っていた所であったから、
彼のその珍しい提案に欠片も疑問を抱かなかった。

早速、お忍びでそこへ出掛けたのだがその途中、
何者かに襲撃を受け私はその何者かに連れ去られた。

◇ ・ ◇ ・ ◇


気が付くとどこかの塔の石に囲まれた部屋でベッドに寝かされていた。
足首には先には鉄球の重りの付いた鉄の戒めが取り付けられており、
鎖は牢の入口までいけるかどうかの長さしかない。

誰がこんな事を?

オファールに行くのは宮廷内でも極わずかの者。
しかも私の信用した者達しか知らなかったはず。
どうして都合良く、私を捕らえる事が出来たのだろう。

そんな事を考えていると扉の向こうに誰かが現れた。
「姫様お目覚めになられましたか?」
それは私の知っている者の声だった。

まさか…。

私は耳を疑う。私が知っているこの声の主はこんな事をするような人ではないからだ。
しかし、その者が扉から姿を現すとそれは間違いではなかった事がわかった。

「…あなたは」
私が物心ついた頃から仕えていた宮廷付きの魔導士。
私にオファール行きを勧めたその彼がそこにいたのだ。

彼は普段と変わらない様子で近づいてくる。
「姫様。こんな事をした無礼をお許し下さい」
「触らないで!」
彼は私に跪き、手を取って唇を近づけようとする。私はそれを払い除けて彼を睨んだ。

「どうしてこんな事をしたの?
すでに将来を約束されている身でありながら、父の、王の信頼を裏切るような事を」
彼はただ黙って微笑みながら私を見ている。

宮仕えをしたのは彼がまだ12の頃。若くして宮廷に勤めることが出来たほどの実力者で、
王の信頼も厚くずっと王家のために忠誠を尽くしてくれると思っていた。
そんな彼が私を、王女を拐かすなどという大それた事をするだなんて。

少しやせ気味の彼はいつも困ったような顔をしていて、からかうと真っ赤になって黙り込む。
そんな彼を兄のように、慕い信用していたのに。

「誰に頼まれたというのですか?」
「いいえ違いますよ。これは私の意志でやったものです」

自らの意志?

「こうでもしないとあなたは数週間後にはメルフィスに嫁いでいってしまわれる」
「婚礼はもう、1年も前から決まっていた事でしょう? どうして今更?」
「私はずっと姫をお慕い申しておりました。しかし、身分が違います。
姫を妻になどという大それた事は考えたこともありませんでした。
ただ、ずっとあなたの側にいられたらそれでいいと」
「………」

「そして、姫も私の事を気に入って頂いていると思っておりました」
「ええ、私も、あなたの事を兄のように思っていました」

だから余計にあなたの裏切りが許せない。何でこんな所に私を?

「姫に付いて行く人間の中に私は含まれておりませんでした。
ですから陛下に願い出ました『私も姫と一緒にメルフィスに連れて行って欲しい』と。
しかし、その願いは叶いませんでした。優秀な人材を手放す訳にはいかない。
ただそれだけの事で」
「陛下はあなたの事をとても必要としていたからよ。とても名誉な事でしょう?」
「そんな名誉など私には必要ありません。姫の側にいられなくなるくらいなら死んだ方がましです」

「何を馬鹿な事を言っているの?」
「馬鹿な事?姫様はわからないのですよ。人を愛すると言うことが。
好きな人と離れなければいけないという苦しみが」
「だからここに閉じこめたというの?」
「そうです。そうすればあなたは嫁ぐこともない。私から離れてどこかに行ってしまうこともない」

普段と変わらず、口調はひどく穏やかで、とてもこんな大それた事をした人とは思えなかった。

「父がきっとすぐに探し出してくれるわ。宮廷にはまだまだあなたより上級の魔導士はいるもの。
その人達に魔法で探させるはずよ」
「…そうでしょうね」
「そうでしょうねって、わかっていてこんな事をしたの?」

「ええ…わかっているつもりですよ。多分、瞬く間に見つけてしまうでしょうね。
探索系のそれに長けている方がいらっしゃったはずですから。
ですが私も易々と姫様を取り返させる訳には参りません。
ここはオファールの森の一番奥深い場所にある私の塔です。
小さな頃からここには何度も通っておりました。いわば私の庭のようなものです。
姫を取り返しに来る者達への対策は万全です。怪物を各所に配置しておきました。
騎士である、剣聖アルバートでもこの部屋にたどり着くには5日はかかるでしょう」

「私を取り返すならアルバートは必ず出てくるはずよ。
たかが5日一緒にいるためにこんな事をするなんて愚かな事。
いいわ、今ならまだ私は父には何も言いません。
あなたをメルフィスに一緒に連れて行くことも父に頼んでみましょう。
だからこの戒めを外して私をお城に戻しなさい」

「残念ですが。すでに一日がたっておりますのでね。捜索は開始されているはずです。
姫様が王に進言したとしても事が露見した後では無意味です」
「でも…」
「大丈夫、5日もあれば充分です。姫様がお城に戻りたくなくなるようにしてしまえばいいのです。
最近、ちょっと面白い事を発見しましてね。姫様にそれを施してみようと思っているのですよ」
「…戻りたくなくなる…ってどういうことなの?」
「内緒です…」

 彼は微笑みながら部屋から去っていった。

◇ ・ ◇ ・ ◇


城に戻りたくなくなる…とはどういう事だろう。

石だらけの無骨な部屋に一人にされて私はひどく不安になった。

彼は、私の事を好いている。純潔を散らされてしまう事は間違いないだろう。
けれど、それでお城に戻りたくなくなるとは考えられない。一体、何をされると言うのだろう。

「失礼いたします…」
一人の侍女がお辞儀をして中に入ってきた。城での侍女の制服に身を包み、
手にお盆を持って。その上にはワイングラスが置かれており、中には赤い液体が注がれている。

「マリア、あなた無事だったの?」
オファールの森に同行した侍女で私のお気に入りだったマリア。その彼女が目の前にいる。
「はい。他に同行した者も皆、この塔にいます。ご安心下さい」
彼女はそう言ってにっこりと私に微笑みかけた。

そう、殺生はされてないのね。良かった。

彼が乱暴な事をするなんて考えたくなかった。他の皆も無事だと言うことを知り、安堵した。

「ご主人様から姫様にこれを飲まれるようにとの事です」
「…ご主人様?」
「そろそろ姫様の喉が渇いている頃だからお持ちするようにと言われました。
近くの村で作られたワインです。どうそお召し上がり下さい」
彼女はそう言って私の前に飲み物の入ったお盆を差し出した。

血のように赤い…。

私はグラスを手に取るのに躊躇する。

「甘くて美味しいですよ。一度口を付けられてはいかがですか?」
「美味しい…の?」
「はい。私も毒味で先ほど一口頂きました。ですから安心してお飲み下さい」

彼女に勧められ、私は私はその血のように赤い液体の入ったグラスを手に取ると、おそるおそる口に付けた。
「本当…美味しい」
そのワインは甘く、口当たりも良く、すんなりと喉の奥に入っていった。

こんな美味しいものは飲んだ事がない。

私はゆっくりとそれを飲み干した。
「…とても美味しかったわ」
「それは何より。ご主人様がお喜びになりますわ。
必要になりましたら、私をお呼び下さい。また持って参ります。では…」
「マリア…」
私は部屋を出ていこうとする彼女を呼び止めた。

「はい…なんでしょう?」
「あなたはどうして彼の事をそのように…ご主人様と呼ぶの?あなたの主は私だったでしょう?」

彼女は笑って、けれど何も答えずに部屋から出ていった。

◇ ・ ◇ ・ ◇


それから1日が過ぎた。

部屋を尋ねてくるのは彼とマリアだけだった。
しかも彼は日に何度か私の様子を見に来るだけで、マリアが食事とあのワインを持ってくるだけ。
彼の私への態度はずっと変わらず紳士のままだった。
当日に力ずくで奪われると思ってかまえていた私がなにもされず拍子抜けしたぐらいだ。

彼は一体何を考えて私をここに閉じこめているのか。まるでわからない。


「…熱い」
汗が噴き出てくる。

こんな窓も無い所で閉じこめられているのだから仕方が無いのかもしれないけど
ここに閉じこめられてから熱くてたまらない。これではドレスに汗がついて気持ちが悪い。
ドレスも、ここにきてからずっと替えていない。何とかならないのだろうか。

マリアに言うと、
「…そうですね。気が付きませんでした。申し訳ありません。少々お待ちを」
そう言って部屋から出ていった。

しばらくすると彼女は部屋に戻る。
「湯浴みの準備を致しました。どうぞこちらへ」
扉を開けて廊下に手を向けた。

「私、足枷を付けられていて…」
「大丈夫ですわ。私が持って歩きます」
くすりと笑い、片手で軽々とそれを彼女は持って私を案内する。



継ぎの間に入るとそこには石壁とは不似合いな湯船があり、
中にはなみなみと暖かいお湯がたたえてあった。

彼女は私のドレスを脱がすのを手伝い、一糸まとわぬ姿にしてい。
「お綺麗ですわ…姫様」
うっとりとした表情で私を見る。

「マリア」
「はい」
「あなた、こうやって塔の主に従っているようだけどここから出たくはないの?」
「はい…今のところそのつもりはありませんわ。ここの主は私に良くしてくださいます」
「私だってしていたでしょう?」
「ええ、姫様にも大変可愛がって頂きました。でも、私ここの主の命令には絶対なんです。
仮ですが契約を取り交わしておりますから」
「契約?」
「ええ、私の願いと引替えに彼に従っているのです」
「願い?」
「…おしゃべりが過ぎましたね。さあ、姫様中へどうぞ」

ちゃぷ…

湯船に浸かり、汗を流すと憂鬱だった気分も少しは晴れる。

「姫様、お手伝いをさせて頂きます…」
「あ…ありがとう」

彼女は布で丁寧に私の身体を洗っていく。
心地よい感触。

「え?」

その彼女の手が伸びてきて、私の…双丘を優しく揉みほぐす。
「マリア?」
彼女の顔を見るとうっとりとした表情で私の胸を触っている。
「姫様の胸はとても形がよろしくて…素敵です…」
「あ…ありがとう…マリア…そこは私が…あっ…」

「姫様…とっても感じやすいのですね…くすくす…ほぉら…もう乳首がこんなに硬く…」
「ああっ…マリア…何を…」
「こちらの方はいかがかしら…」
うなじの横のあたりに息をふっと吹きかけられる。

「マリア…や…やめて…あっ…」
ぞくっとする妙な感覚で少しだけ身体が仰け反る。

「まあ…くすっ…これだけの事でもこんなに反応をして頂けますの?
本当に姫様は敏感で…ああ…ここを洗うのを忘れておりましたわ…」

ちゃぷ…

彼女は手を湯船に入れる、そして私の…足の付け根を触り出す。
「ああっ…なっ…やっ…」
「ここはとても私たちにとって大事な所ですのよ…ですから特に丁寧に洗わないと…」
「わかっているわ…男性を受け入れる所で、おややを産む所でしょ?
先日、初夜の心得の本を読んだばかりです…」
「…そして私たちの食事をするところですわ」
「食事?」

「くすくす…姫様…先ほどのでとても感じていらっしゃったのですね…
ここがぬるぬるとしてきましたわ」
そこを指でなぞり笑いながら私の耳元で囁く。

私は顔が真っ赤になり思わず彼女に大声を出した。
「マリア!」
「ああ、姫様ご無礼をお許し下さい。
あまりに姫の裸が美しかったので思わずいたずらをしてしまいました」
彼女は詫びを入れると、それからは普通に私の身体を洗っていった。


湯浴みを終えると別の着替えが用意されていた。
私のドレス…どうしてこれが?城にあるはずのこれがどうしてここに?
オファールの森へは日帰りのつもりでいたから着替えなど用意しなかったのに…
まるで前もって彼女もこの誘拐に荷担をしているようで…ひどく驚愕した。


「姫様…湯浴みはお済みになりましたか?」
部屋に戻るとローブ姿の彼が椅子に座っていた。
どうやら私を待っていたようだ。
彼女は私をベッドに連れて行き、足枷をその側に置くと彼の側に行く。

「はい。しっかりと身体の隅々まで綺麗にさせて頂きました」
にっこりと彼女は彼に微笑み、彼に傅く。
「マリア。どうもご苦労様」
その下げた頭を彼は優しく撫でる。

…いよいよ私を辱める気なのね?

そんな私の考えを裏切って彼らは…
まるで私を無視したように会話を始めだした。

「あ…あの…ご主人様?私…あの…」
彼女は小刻みに震えながら彼を見上げて甘ったるげな声を出す。
「ああ、そうでした今日はあなたに与えていませんでしたね。
いいですよ。お上がりなさい」

そう、彼は言うとその椅子にゆったりと座り込んだ。
彼女は嬉しそうに…おずおずと…彼のローブの裾をあげて…
彼の股間をあらわにした。

な…何をする気なの?

彼女は彼の股間にある異物を愛おしげに持つと口に含む。

やっ…やだ…あんなもの…口に入れるだなんて…

ちゅ…んちゅば…んくぅ…

彼のそれはだんだんと形を変えて大きく堅く変わっていく。

「んちゅ…ご主人様…感じてらっしゃるのですね…ここがびくびくとして…」
彼女は陶酔したようにそう言い、またその行為を続ける。

んくっ…ちゅば…ちゅっ…はむっ…

私はあまりの事に呆然とした。
今2人でされている行為は…何?

私は声を出す事も出来ず。
目の前の異様な光景を私はただただ見ているだけ。


「あ…」
え?あ…私ったら…はしたない。自分で胸を触り始めてる…。
でも…何故か触らずにはいられない。それにここも…
妙にむずむずして…湿った感じがする。

「ん…んっ…」
彼が彼女の頭を撫でながら気持ちよさそうに声をあげる。

「マリア…そろそろだ…そろそろ行くよ」
「はひ…」

ぶしゅる…ぶしゅるる…

彼女の半開きになった口に彼のそれの先から白いどろどろとした液体が流れ出す。

んくっ…んくぅ…ごくっ…

彼女はそれを嬉しそうに口に入れ全てを受け入れ終わると、
彼のそれを丁寧に舐め綺麗にしていく。
その行為は妖しくて淫らで…
私の目の前で繰り出されるその光景はまるで絵空事のよう。


「満足しましたか?」
「はい…大変美味しゅうございました…」
彼女は満足げにそういい、彼の衣服を整えるとそこから離れる。

「姫様、大変お恥ずかしい所をお見せしました…」
彼女は私の方を見てにっこりと微笑む。

「…今の何?」
「私の食事です」
「食事?あれが?あんな汚らしい所から出されるモノを飲む事が?」
「はい…」
私が嫌悪している表情を見てまた、彼女はくすくすと笑う。

「…姫様は…汚らしいとおっしゃいましたけど…
先ほどの私の食事を見て感じていらっしゃったようですね」
「え?そんな…感じてなんて…」
「嘘はダメですよ。先ほど胸を触っていたではありませんか…それにここも…」
彼女は艶っぽい目つきで私の足の付け根をそっと触る。

「くすくす…私の食事を変な目で見てましたけど、姫様ももうすぐ私と同じになるのですよ。
ご主人様のアレがたまらなく美味しく感じるようになるんです。多分、後2、3日もすれば…」
「…それはどういう…」

「マリア。少しおしゃべりが過ぎますね。今はあまり彼女に知識を入れたくありません。
席を外してもらえますか?」
「あ…申し訳ありません。ご主人様」
彼女は慌てて出ていった。


部屋には彼と二人だけになった。

いよいよ私を抱こうというのね。
そうは行きますか。精一杯抵抗してアルバートが来るまで何としても耐えなくては。

私のそんな様子を見て彼は苦笑し、私に言った。
「姫。そんな恐い顔をなさらないで、私からは何もしませんよ。ご安心なさい」
「え?…何もしない?」

「姫様が私を受け入れたいと思うまで私は何もしないと言っているのですよ」
私は拍子抜けをした。

「私があなたを受け入れたいだなんて思う訳無いでしょ」
「ふふ…あなたは絶対に私を受け入れたくなりますよ。
まあ、それまで気を張ってらして下さい」
そう言って彼は部屋から出ていった。

どういう事?



◇ ・ ◇ ・ ◇




…どうして…何で…また…こんな事を?

翌日、湯浴みを終え部屋に戻るとまた、あの食事の光景を見させられる。
他の部屋に行きたくても足枷が邪魔をして移動が出来ない。
なら、顔を背ければいいのに、私はその行為に釘付けになってしまう。


汚らわしい。不潔だわ。アレが食事だなんて。
彼はマリアに何てひどい事をさせて…

違う…彼女は喜んでいる。

嬉しそうにその食事を味わって一滴も残さずに口に含む。

あんなもの人間の食べ物じゃない。
なのにどうして彼女は…

彼女は食事を終えるとまた、彼の衣服を正して身体を離す。

彼は私と2言3言話すとまた、部屋から出ていく。


彼がいなくなり、私は彼女に問いかけた。
「マリア。本当にそんなモノを食事としていていいの?
満足な食事を与えられていないのではないの?
何なら私の食事を分けてあげるわ。だからそのような事はおやめなさい」

「…いいえ。姫様、私には至高の甘露ですわ。
姫様の食されるものは私には必要ありません。それよりも姫様…
今日は食事を残されたようですね」

床に食事のトレーが置かれている。その器には半分ぐらい食べ物残っていた。
一緒に添えられたワインだけが空になっている。
いつもならばいつでもここから逃げれるようにと残さず食していたのだが
今日は、食べたいという気が殆どおきなかった。

「こんな所に閉じこめられているのです。食欲もなくなろうというものです」
「本当に食欲が無いのですか?食べられないだけではありませんか?」
「それはどういう…」
「私と同じ食事をとりたくなったのではありませんか?」
「な?…冗談ではないわ。あんなもの欲しくなる訳はないでしょう?汚らわしい」

「姫様…」
「え?」
彼女にいきなり両頬を抑えられて無理矢理に口づけをされる。
必死に彼女から逃げようとするけれどすごい力でびくともしない。
彼女の舌が私の唇を割って中に入る。
私は歯を閉じて必死に抵抗をするが不意をつかれて中に割り込まれる。

彼女の舌は私の舌に絡みつく。ほのかに甘い味がして、
私はなぜだかわからないがその味が無性に欲しくなり彼女の舌を舐め始めた。

その味がしなくなると今度はその味を探し、彼女の口の中至る所をなめ回す。
どんなに探しても味がしなくなるとやっと正気に戻り、
彼女が既に頬から手を退けているのに気づく。
逆に私が抱きしめて彼女の唇を求めていたのだ。
その事実に、私は恐れおののき、私は慌てて彼女から身体を離した。

「くすくすくす…ご主人様の甘露。美味しかったのでしょう?
あんなに舌で私の口の中をなめ回して…本当はもっと欲しかったのでしょう?
大丈夫、ご主人様だけのモノになればこれを思う存分飲むことが出来ますよ」
「じょ…冗談じゃないわ。こんな塔に閉じこめて…あなたにあんなひどい事をさせて…
そんな人のモノになんてなりたくありません」

「ところで姫様。食事の他にここに来て何か身体の異変はありましたか?」
「身体の…異変?」
「例えば…排泄はいつからしておられませんか?」
「え?な…何を…いきなり…何て恥ずかしい事を聞くの?」
「いつからですか?」
彼女は真顔で尋ねる。

下着が汚れていたのかしら。ううん。そんなはず無い。
昨日は全然…ぜんぜん?…そのような行為をして…いない?
一昨日は…朝に1度…朝に?え?
「一昨日の朝…から?」

…いくら何でもおかしい。
自分の…身体が…おかしくなっている。
何故その異常に気が付かなかったのだろう…。

「…そんな…」
「では、失礼します…」
私がとまどっている様子を見て楽しそうに彼女は部屋から居なくなった。

ぱたん…

…そう言えば一緒に来ていた者達に一度も会っていない。
今まで自分の事だけで精一杯でそこまで気を回せなかった。
彼、彼女らは一体どういう扱いをされているのか…。
ひどい事をされていないと良いのだけれど…。
次にマリアに会った時にでも聞かないと…。



「マリア…同行していた者達は今どうしているの?」
彼女が食事を持ってくると私は早速聞いてみた。
「…皆、この塔の中で楽しく過ごしておりますよ」
「楽しく?」

「…そうですね。城で出来ないような事を
おおっぴらにしてらっしゃると言えばよろしいでしょうか」
「出来ない事?おおっぴら?」
何をしているの?

「皆さん、自分の本能に正直にしておられます。
このような事が出来る場を与えてくださったご主人様に皆感謝していますよ」
彼女はまた、くすくすと笑いながら部屋から去っていった。


…私の捜索隊は今どのあたりにいるのかしら…。
剣聖アルバートは来ているのかしら…。
早く、早く助けにきて…私の身体が本当におかしくなってしまう前に…



◇ ・ ◇ ・ ◇




「おはようございます。姫様」
「え?」
寝ていると彼女に無理矢理起こされる。

「湯浴みの準備が出来ました。ちょうど良い湯加減ですので冷めると勿体ないですから…」
「あ…そう…解ったわ」
本当ならこんな強引に湯浴みなど行かせられたくはないけれど
いついけるかわからないし、やはり身体を清めると気分も紛れる。


彼女は足枷を片手でひょいと持ち、私を継ぎの間に誘う。
もう見慣れた風景だ。
こんな異常な状態に慣れてしまうなんて…私もどうかしてる。


ふぁさ…

ドレスを脱ぐ。

する…するり…こと…ぱふっ…

コルセットのリボンとズロースのリボンをほどき、それを外し、脱ぐ。

ちゃぷん…

湯船に浸かる。
はぁ…

気の休まる瞬間。嫌な事を何もかも忘れる。

「ここに来られてから姫様の肌はいっそう白さが際だって陶器のお人形のようです」
…気が付かなかった。確かに妙に白く…でもマリアの方がもっと白くて綺麗…
こんな綺麗な手で、あんな汚らわしいモノを持って…ああ、思い出すのもおぞましい。

なのに…あれを私も欲すると言うの?
嫌…汚らわしい。私は絶対あんなもの…。
…でも、昨日は…彼女の口に残っているあれを私はとても舐めたいと感じた。
もっと欲しいとも思った。私は狂ってきているのかもしれない。

湯船から出て、身体を彼女に拭いてもらう。


「え?着替えは?」
いつもならあるはずの着替えが用意されていない。
洗濯が出来ない訳じゃない。昨日は捉えられた時の服だった。
今日はどうして用意されていないのだろう。

「申し訳ございません。ドレスが乾かなくて…今日はこのままでお過ごし下さい」
「え?私に裸で過ごせと言うの?」
「はい。この塔はそれでも十分に過ごせる環境のハズです。たった1日ですよ。
姫様は外にお出になるわけではないのですから、我慢してください」

「マリア…そんな…私はそんなはしたない格好なんて…」
「ではシーツを身体に巻いてください。それで何とか1日辛抱してください」
「…解ったわ。1日だけね。1日だけ辛抱します」


部屋に戻ると彼がやはり椅子に座っていて…。
私はまた、彼女の食事を見させられる。

ちゅ…くちゅっ…んふぅ…はむ…

ああ、いやだいやだ。目を背けたいのに目がいってしまう。
触りたくないのに…今日は下着を付けてないからか…シーツをそっとまくって
足の付け根を指で触ってしまう。

くちゅり…

あ…

ぬるりとした液体がそこに溢れてて触ると気持ちよくて…。
はしたない事だというのは解っているのに…いじってしまう。

くちゅり…くちゅり…

はぁ…いい…

何であんな異常なモノを見てこんな所を触りたくなるのかしら…
こんな所を触るとこんなに気持ちがいいなんて知らなかった…

ちゃく…ちゃく…

「姫様?」

気持ち…いい…


「姫様!」
「え?」
彼女に声をかけられて、身体を揺さぶられて気が付いた。
彼女の食事が終わったのも気づかないほど私はあそこを触る行為に溺れてようだ。

「ご主人様…姫様はもう立派に私と同じですわ。
私、姫様の心を解きほぐすお手伝いをしてよろしいでしょうか?」
「ああ…任せるよ。アルバートもかなり近くに来ているそうだからね。
姫もそろそろ自覚をもって頂いた方がいい」  
「はい。では姫様。失礼いたします」

彼女はベッドに座っている私に傅きシーツを足下から押し上げる。
白い足と付け根が見えるまで広げられそこに彼女は顔を埋める。
逃げようと思ってもしっかりと足を捕まえられて私はされるがままになる。

ちゅっ…

「あっ…」

ぺちゃ…ぺちゃ…

「…ああっ…」

や…あっ…き…も…ちいい…
ああ、やめないで…ああっ…いいの…そこ…ああっ…

くりっ…

「ひああああ…」

電気が走る。

ぺちゃぺちゃ…

「はぁ…はぁ…」

ちゅぅ…

「はああああああああん…」

身体が仰け反り小刻みに震える。

「ぜい…ぜい…」

「くすくす…姫様?気持ちよかったですか?」
「あ…はい…」
私は無意識に返事をした。

「素直になられるのは良いことですわ」
彼女は私に口吻をする。

…あ…またあの味。
少し…違う味も混ざっているけど…
甘いとろけるようなほろ苦い味。

味わいたい。もっと舐めたい。お願い。もっと…

「もっと欲しいですか?」
「……ほ…し…い…お…願い…もっと舐めさせて…」
うつろな目で私は答える。

「では、ご主人様から直接頂くしかありませんわ。
今日は、全部を綺麗にしませんでしたの。ですから舐めればあの味がします」
「え?」

彼の股間にある異物。
あそこを…あれを舐めろと言うの?
身体がかぁっと熱くなる。

躊躇はしたがあの味を求めて私はよろよろと彼に近づき足下に跪いた。

「姫…お見苦しいモノですがよろしければどうぞ…」
彼はローブをはだけて私にそれを見せる。

彼の股間にあるグロテスクな異物…

ごくり…

アレを舐めればあの味を味わう事が出来る。
私は何も考える事が出来ずにそれを口に含んだ。

はむ…ぺろ…

あ…あの味…。マリアの口の中にあったあの味。
マリアから味わうよりももっと濃くて…もっと私を魅了する味。

美味しい…もっと舐めたい…もっと味わいたい…もっと欲しい…
嘘…やだ、私…汚らわしいモノから出るモノが…欲しいなんて思うなんて…

「姫、マリアがやっていたように舐めると、ここからあれは出てきます。
もっと、味わいたいのでしたら舐めて下さい」
「あ…」

ぺろ…ぺろっ…

誘われるようにまた、今度はそれが出てくるように私はそれを舌で舐める。
だんだんと堅く…大きくそれはなっていき、
先のそれが出てくると言われた場所から透明な汁が少しずつあふれ出す。
先をちろちろと舐めると別の味の美味しい味の液体が溢れて私はまた、それを吸う。

何も考えられない。
ただ、それが味わいたい。
それだけの為に舌を、口を動かす。


「…姫…出ますよ…」
ああ…あれがあの味が出る。

びゅるり…びゅるり…

とくん…とくん…

こくこく…

身体に染み渡る。身体が求めていた私の…食事。
ああ、そう…私の食事。美味しい至福の甘露。

「はぁ…」
「…美味しかったですか?」
「はい…」
「姫に気に入って頂けて光栄です」

ぺちゃ…ぺちゃ…

私は彼のそれをその味がなくなるまで丁寧に丁寧に舐め取っていく。
彼はそうしている私に声をかけた。

「姫…これをずっと味わいたいと思いませんか?」
「え?」
「メルフィンに嫁がれたらこの味を味わう事は二度と出来ません」
「嫁いだら…味わえない?」

…そう…だ。もし、私がここから助け出されて嫁ぐ事になったら
メルフィンに彼は行く事が出来ない。私を拐かした張本人なのだから
永遠にこれを飲めなくなる。そんな事…

「私とずっと…あなたが私のモノになって頂けるのでしたら
私はあなたが望む時にこれを差し上げましょう」

彼の…モノに?私が…なるの?
そしたら…ずっとこれを味わう事が出来る…の?

とくん…

「ご主人様のそれで下のお口に食事をさせて頂くと普通に味わうのとは違うすばらしい
快感があるそうです。私が先ほど気持ちよくさせたのよりもっとすごいモノだそうですよ…」
マリアが言う。

その時の快感を思い出す。

とろ…

先ほどマリアに舐められていた箇所から何かが垂れてくる。

あれよりもっとすごいモノ?…あんなに気持ちが良かったのにあれよりもすごい…

そこがじんじんと熱を帯びてくる。

「ただ、私のモノになって頂くとなると、姫としての地位を捨てねばなりません。
あなたはプリンセス・シルビアでなくなり、ただのシルビアになるのです」

姫としての威厳や存在を捨てて彼と…ずっと…過ごす…。
あの彼から出される甘苦い食事。あれをずっと味わう事が出来る。
メルフィンへ行ったらあれはもう二度と味わえない。

あれが欲しい…
あれをずっと味わいたい…あれで気持ちよくして欲しい…

私…

「…あなたの…モノに…なりたい…これをずっと味わいたいの…」
「もう一度言いますが、私と契約すると言う事は姫ではなくなるのですよ。
それでもよろしいのですか?」

「…だめ…これが味わいたいの…その欲求に抗えない…
これを味わう為なら…姫である事を捨ててもかまわない…」
「嬉しいです。やっと私の願いが叶います…」

彼は私を抱き寄せた。
私にそっと口付けてそして愛おしむように抱きしめる。
そして抱きしめた後、身体を離し私を見据える。

「さあ、契約をしましょう。シルビア・ド・ルナール…。
あなたは私が生きている間ずっと私の下僕として付き従って行くことを誓いなさい。
あなたは私のモノであると誓いなさい」

私の胸に手を当てて彼はそう言う。

あんなにも彼のモノになるのを嫌がっていたのが嘘のよう。
私はドキドキしながら彼の言った言葉を口に出す。

「…私は…あなたのモノです…あなただけの下僕としてずっと…付き従います…」

彼にずっと支配される存在となったという事が胸にすんなりと入っていく。
私はもう、プリンセス・シルビアではない。ただのシルビア。
そして…彼の…彼だけのモノ。それが胸に刻まれる。
それは甘い麻薬のように、ぞくぞくして身体が震える。

彼は私の胸に服従の刻印を押し、また私は彼に抱きしめられる。
「シルビア…私の愛しい人よ。やっと私だけのモノになってくれましたね。
この日をどんなに待ちわびた事か…」
「あ…」

自分の主に抱きしめられて身体が熱くなる。

「私のモノとなったからにはもうこれは必要ありませんね」

カチリ…

足枷が外される。

「さあ、私にあなたの生まれたままの姿を見せてください」
「はい…」

身体を覆っていたシーツを自ら取り去る。
シーツが床に落ち、私の裸体が彼の目に晒される。
私はその身体を隠すことなく立ちつくす。

「長いウェーブの金髪…ルビー色の瞳…陶器のようにきめ細やかな肌…
とても綺麗ですよ」
「ああ…ありがとうございます…」
すんなりと…下僕としての言葉が口からでる。
言葉を紡ぎながらゾクゾクとした高揚感が、刻印から身体中へわき上がる。

契約を終えた後、マリアが主に声をかけた。

「おめでとうございます。ご主人様…」
彼女はにこやかに彼に言う。

「ありがとう、マリア…」
「…よろしかったですね。姫様がその申し出を受け入れてくださって。
もっとも、拒絶は出来なかったでしょうけれど…」
彼女は楽しげに私に微笑む。

私が拒絶出来ない?

「え?マリア。それはどういう…」
「姫様は既に私と同じように人外の者に身体を作り替えられていたのですよ」
「作り替えられて…いた?」

「あの血のような色のワインは美味しかったでしょう?」
…美味しかった。でも、この食事とは違う美味しさ。
「アレは淫魔の血を混ぜてあるんです」
「淫魔の血?」

「…女性だけのようですが、
あれをを飲むと数日で身体が淫魔に作り替えられてしまうのですよ」
「淫魔に?あの…人を色で惑わすあの淫魔?」
「男性の精を生きる糧としてそれをする事でしか生きていく事が出来ない存在にです。
惑わすのではありません。そうしないと生きていく事が出来ないからそうするのです」

「姫はもう人間ではありません。魔の者になってしまわれているのです」
「普通の食事を受け付けなくなったのは…排泄をしなくなってしまったのは
身体が変わっていった証拠です」

「人外の者になれば姫は誰にも嫁ぐ事は出来なくなります。
多分、私しかあなたを愛す事が出来なくなるでしょう。
淫魔の力を使い、好きな者を操れば別ですが…
私が姫を淫魔にしたのはそう言う理由です」

私…人間ではなくなってしまったの?
嘘…よ。淫魔なんかじゃないわ。
あんな淫らでいやらしい生き物なんか…。

「マリアは…マリアもそうだって言ったわね?
全然…そんな淫魔なんかに見えないじゃない…」

彼女は私の言葉を聞くとゆっくりと服を脱ぎ始めた。

ヘアタイを外し…エプロンのリボンを外し…服を脱ぐ。
彼女は下着を付けておらず。キメの細かい白い肌が露出する。

「…姫様。これが私が人でない証拠です。姫様にもそのうち生まれると思います」
そう言って背中を向けるとコウモリのような黒い小さな羽が姿を現した。
「!」
「後、乙女でなくなればここにもしっぽが生えます」
彼女の臀部の少し上…にちいさな黒い突起があった。

私は慌てて自分のお尻を触った。
…彼女と同じ所にそれらしきモノの感触を感じる。


「…私は別に淫魔になった事を後悔していません。
ご主人様が私がアルバート様と結ばれるようにお膳立てをして下さるそうですから」
「アルバートと?」

「彼女はアルバートを好いていたんですよ。ところがアルバートはあの通り剣聖であり、
騎士でありますが女にだらしない。彼女が思いを告げて結ばれたとしても
彼女は行きずりの女としか扱ってもらえないでしょう」

「ですが、淫魔となって彼の心を虜にする事が出来れば
彼は私一人だけのモノになってくれるはずです。私は彼を独り占めしたかったのです」
「私は姫を独り占めにしたい…ただ、私は魔導と魔物に関する事しか知識がない。
その中で考えたのが姫を人外の者にする事です。そうすれば婚礼の話は立ち消えになる。
そう思い、いろいろ研究をしていた時に彼女が私に協力を申し出てくれたのです。
彼女は男性を虜に出来る淫魔になる実験を喜んで引き受けて下さり、
見事、淫魔となって下さいました」

「あら、まだ私は完全な淫魔ではありませんわ」
「そうでした…。しかし、おそらく今の彼女を抱いても虜にされる事は間違いないでしょう。
あの剣聖アルバートでさえも」

「ふふ…ご主人様。姫様ももうすぐ本物の淫魔となりますわ。
ご主人様と契約をしてご主人様だけのモノになったのですもの…」
「そうですね」

「…姫様…本当の淫魔になる時にはこちらのお口にあの汁を注いでもらうのです」
彼女は私の足の付け根に手を這わす。
「…私はまだ、解りませんがすばらしい快感を味わう事ができるそうです。
乙女を失う時も全然痛くないどころか気持ちがいいのだそうです」
「気持ちがいい…の?」

「ここを自分で慰めるよりもっとよろしいそうですよ。ロゼッタが言ってました」
「ロゼッタ…ああ私に同行をした侍女の…彼女もなの?」
「ええ、同行した侍女は全てです。こちらの捜索隊を惑わせる役目をして頂いています。
皆さんかなり優秀な淫魔になりましてね。大半の者はすでに腑抜けにされているようです。
今は、アルバートだけがこの塔を目指してきています。
マリアが目的を遂げるのももうすぐですね」


「マリア…」
彼は彼女の方を向いた。
「はい…」

「少しの間でしたが、私に仕えてくれてありがとう。
アルバートも塔の入口近く。迎えに行ってください」
優しげな笑顔を彼女に向けて彼は礼を言った。

彼女は服を着、慇懃に礼をした。

「ではご主人様…失礼します。アルバート様を虜に出来たらまたお会いしましょう」

ぱたん…

「上手くいくことを願いますよ…」



「さて、ではシルビア…こちらの口に食事をさせてあげましょう。完全な淫魔になる為に…」
「あ…はい…ご主人様…」

ここを自分でいじるより気持ちいいとロゼッタが言っていた。
それを今から私にして頂ける。この下の口への食事…。

…わくわくとした期待感が身体を駆けめぐる。

彼にベッドへと誘われて私はそこに腰を下ろした。
彼はその横に座る。

彼は私を抱き寄せ唇を重ねる。
彼の舌が私の口に割り入ってくる

「ん…んふぅ…んく…」

マリアのようなあの甘露の味はないが全身に痺れるような快感が走る。

くちゅ…

彼の指が私の割れ目に入ってくる。

「あ…」

くちゅ…くちゅ…

「あっ…ああん…」

「もう…こんなに濡していたのですね。前戯の必要もなさそうです…」
「ああ…ご主人様…どうかここに…ご主人様のあの美味しい食事を注いでください。
気持ちよくして下さい…」

「ふふ…期待をされているのですね。どんどん溢れてきます。
淫らで美しい淫魔ですよ。あなたは…」
「…ああ」

彼はローブを脱いでズボンだけの姿になった。
魔導士特有のやせぎすの身体が現れる。

私は彼に身を寄せると、本能のままに彼の身体に舌を這わす。

首筋や乳首に刺激を与えると
彼は普段の困ったような表情をしながらも頬を赤く染めて身悶えをする。

ああ…なんて色っぽい表情…

私はその表情が見たくなり、もっと彼を舌でせめる。
彼はくぐもった声を漏らして身体を震わせる。

「ご主人様…気持ちがいいのですか?」
「…ええ…すごいですね…これだけの事をされるだけでもうこんなですよ」
知らぬ間にズボンの股間の部分が持ち上がっている。

「既に2度も出しているというのに…あなたに注ぎたくてたまりません」
「…ああ…嬉しい」
身体を振るわせながら頬を染める。

彼に抱かれたい。

「さあ、ベッドに手をつくのです」
「あ…はい…」

「あなたが食事をさせて欲しい場所を私がよく見えるようにするんですよ」

…よく見えるように…

私は頭を低くし、彼にお尻をつき出すような格好をする。

「いい娘ですね。よく見えますよ。とてもいやらしい眺めです。
あの貞淑だった姫が私にこんな風に大事な所を恥ずかしげもなく見せている…」
「…ご主人様…私はもう姫ではありません。シルビアという名の淫魔です」

「…そうでしたね。私があなたをそうしたのでした」
「ご主人様…どうか…私のここに食事を注いでください…。もう、ダメですお願いします…」
私はそこを指で彼に見えるように広げる。

それが当たり前のように…

「ああ…下の口からよだれを垂らして私のモノを欲しがっていますね。
わかりました…さあ、入れますよ。よく味わってください」

ずにゅり…

「あああああ…」

主のアレが私の中にめりめりと音を立てて入っていく。
すさまじい快感。
それが私の中の何かにぶつかると一度引かれそれから一気に中に強引に突っ込まれる。

「うわあぁぁぁぁぁ…」

何かがちぎれたような破られたような感触。
お尻に主の肌の感触。

「シルビア…根元まで入りましたよ…私のこれが全部あなたの中に入っているんです」

…ご主人様の…アレが…全部…私に…入って…いるの?

ずず…っと腰を引かれる。

「ああっ…ああっ…」

また、突かれる。

「あああん…」

それが繰り返され、中で快感を生み出す。

にゅちゃ…にゅちゃ…

ご主人様のあの棒で中をかき混ぜられている水音がする。

じゅぐ…じゅぐ…

あ…ダメ…すごい…すごすぎる…これが食事?

「ああん…ああっ…あはぁん…」

喘ぎの声を上げて私は快楽に身をゆだねる。

「ああん…ああん…ああん…」

これをいつでも私は味わう事が出来るの?

「シルビア…あなたの中はとても素敵です…もうすぐにでも出してしまいたくなるほどです」
「あ…ああ…く…下さい…私の中に…ご主人様の…あの…美味しい食事を…」
「…わかりました…」

ご主人様の動きが激しくなる。今までの快感よりももっとすごい快感が走る。
気が触れてしまいそうなぐらい…。

「うあ…あんっ…あんっ…あんっ…はぁあ…ご…ご主人様…いい…はぁ…いいのぉ…」

パンパンと身体がぶつかる音。

「あはぁ…すご…く…いい…の…もう…気が…いってしまうくらい…」

ぶるっと身体が震える。
身体に異変が起こる。

「ひゃぁ…」

背中とお尻が…熱くなり身体から何か引っ張り出されるような感触。

「ああ…変態を始めたようですね…」

「え?変態?あ?…ああっ…ああああああ…」

熱い…熱い…ダメ…どうして?こんなに熱いの?

ずるずるずる…

「真っ黒なしっぽが生えましたよ。てらてらと光ってとても美しいです」

ご主人様のため息のような声。

ぶちぶちぶち…
皮膚が…裂ける…

「うあああああ…」
痛い…ハズなのに…気持ちいい…

「…小さな羽が生えました。もう立派な淫魔ですね…
はぁ…はぁ…綺麗ですよ…シルビア…」

ご主人様の動きがもっと…奥を突くくらい激しく…私をせめる。

「うあっ…うあっ…ああん…」

泣きたくなるぐらい気持ちいい。

また…身体が震える…ああ…すごい…気持ちが良くなる予感…

「…ご…ご主人…様ぁ…あああ…だめぇ…私…死んでしまう…」
「出しますよ…」

どく…どくどくどくどく…

びくん…びくびくびく…

「うわあ…ああああ…うあああああああああああああああああ…」

すごい…すごい…すごい…上の口で味わうのとは違う

…身体がどんどん満たされていく。
至福の瞬間。

気・持・ち・い・い…

身体が仰け反る。

ぶわさっ…

背中の翼が大きく広がり、一扇ぎする。

完全な淫魔への変態…が終わった。



変態を終えると、急に身体の力が抜けて床に座り込んだ。
「はぁ…はぁ…」

「ご…ご主人様?」
繋がっていたはずの主の感触がなくなり私は周りを見渡した。
主は…私の後ろの方で尻餅をついていた。
翼を広げた時の風圧で少し飛ばされてしまったらしい。

私は彼の元にいそいでいって助け起こす。
「…すみません。…私、気が付かなくて…」
「いや、いいですよ…初めての事で、気が付けというのは無理な話です。
…私も忘れていました。ロゼッタの時に見ていたというのに…ダメですね」

私はご主人様を虜にしたのでしょうか?
…淫魔というのはそのような魔物のはず。
ですがご主人様を見る限りそのように思えません。

「ご主人様…私…どうしてご主人様を虜に出来ていないのでしょうか?」
「ふふ…シルビア。お気を悪くするかもしれませんが、
私は淫魔の虜にならないように先にあなたと契約をしたのです。
あなたをせっかく自分のものにしたというのにあなたに虜にされては勿体ないですからね。
あなたは私のモノであるが故、私を虜にする事は出来ません。
しかし、元々私はあなたを抱く前から虜になっていたのです。
ですから大した事ではありませんよ」

…確かにそう…。
ご主人様が私を好いて下さっていたのは私が淫魔になる前から…。
今更、彼を虜にしようがどうしようが変わらない。

私が逆にこの主に虜にされてしまったのだ。
あの例えようもない美味しい…甘美な食事で…

彼はまた私を抱きしめて…唇を重ねる。
「あふぅ…」
心地よい感触。

「あなたは私だけのモノです。私だけを見て、私だけを愛して下さい。それで充分です」
ご主人様だけを見て…ご主人様だけを愛す…。
胸の刻印からゾクゾクとした興奮と快感が全身に広がる。

「ああ…ご主人様…わ…たし…は、ご主人様だけのモノ。ご主人様だけの淫魔です。
私は…ご主人様しか愛せません。ご主人様としか食事をしたくありません…」
彼の言った言葉に酔い、自分の言葉で快感を得る。

「ああ…」
彼一人の者になると言うのがこんなにも気持ちのいいものだとは…
姫であった頃は考えもつかなかった。

私は主の足下に跪き、先ほどまで自分の中にあった
彼の股間にあるアレを舌で綺麗にしていく…
美味しい味を舐めるたび私を幸せな気分にしていく。

うっとりとしながらそれを舐めていると主から声がかかる。

「シルビア…次の食事はもう少し時間をおいてからにさせて下さい…
こう、ひっきりなしでは私の方も持ちません」
「…はい」
彼はいつもの困った顔で優しく私の髪を撫でていく。
私はくすくすと笑いながら丁寧に舐め取って彼のズボンの中に納めた。

「…ところでマリアは上手くアルバートを虜にできたのでしょうか」



◇ ・ ◇ ・ ◇




私の捜索隊は形の上で全滅をした。
大半を腑抜けにされて森の入口に転がされて…。
死者は侍女達が活躍するまでに主が配置した怪物によって数人出しただけ。
ある意味平和的にこの…私の主の計画は成功をし、捜索は打ち切られた。

マリアによって私を捜索する気をなくされたアルバートは他の捜索隊の者達と
腑抜けのような状態で城に戻っていった。もちろんマリアを連れて。

父上はアルバートや捜索隊が私を捜す気をなくされてしまった事に驚愕し、
寝込んでしまったそうだ。
もちろんメルフィンへお輿入れの話も私がいないのだから立ち消えになった。


マリアはアルバートと普段は淫魔であることを隠して一緒に住むようになったという。
他の侍女達は風の噂では捜索隊の中に気に入った者を見つけてついていったり、
同行した御者、護衛とくっついた者もいるとか…。

私は…もちろんあの塔に…ご主人様と一緒に住んでいる。
煩わしい事を何も考えず、ただただ主に抱かれ、食事を頂く毎日。


「あふぅ…あっ…あっ…」

私はご主人様と向かい合わせに座り、抱き合っている。
彼の棒を下の口に入れて、快感を得ようと自ら腰を妖しくくねらす。
淫らな甘美な行為。

彼は快感にもだえている私の唇を塞ぎ舌を絡ませる。
その刺激は幾重にも快感に変換されて倍増させる。

「最初からこうすれば風圧で飛ばされる事はありませんでしたね…」
「ああん…あふっ…ご主人様ぁ…」

ぶわさっ…ぶわさっ…

快感が中の奥をつくたびに私の羽は動く。
本来ならそんな事にはならないのだそうだがなるのは私がまだ淫魔として未熟な為だろう。
でもそんな私をご主人様は慈しみ愛して下さる。
感じているのが良く解ると言って下さる。

「シルビア…」
「ふぁ…」
「出しますよ…」
「ああ…はい…いっぱい出して下さい…」

びゅる…びゅるる…
「んんん…はぁぁぁぁぁ…」

びく…びく…と主の棒が液を吐き出す毎に身震いをする。

ばさばさと背中の羽が羽ばたく。

私は彼の精を身体に受けるたびにすざまじい快楽と充実感を味わう。


んじゅぶ…はむ…んちゅ…

自分の体液と主の精の入り交じったそれをいつものように舐め取って彼の衣服を正す。



前の私が何だったのかもうどうでも良い。
今の私は彼に従属する淫魔。彼からの快楽を得る事に心をとろけさす。

私の食事を与えて下さる方。私の主。私の愛する方…。
この主さえいればもう何もいらない