とあるお師匠様とその弟子の話


ボクは偶然にも見てしまった。お師匠様が自慰をしている姿を。

清楚で純粋で聖母のようなお師匠様。その彼女が寝間着から胸をはだけ、先を指で摘む。
「くふんっ……はぁ……ぃぃ……」
切なそうに声を上げ、自らの翳りを指でかき混ぜて淫猥な音を奏でる。

「あん……はぁん……」
股間が痛いぐらい堅くなっていくのを感じた。
ボクは見てはいけないものを見た気がして、慌てて自室に戻った。


◇ ・ ◇ ・ ◇



「お師匠様……」
ボクはズボンをずらし、怒張したそれを表に出す。
堅くなった竿を握り、さっき見たお師匠様の姿を思い出してそれをしごく。

「……はぁ……はぁ……」
初めて見た。あんな艶めかしいお師匠様の姿。ボクよりもずっと年上のはずなのに
すごく可愛くて、でも少しだけそそっかしい。ボクをとても可愛がってくれるお師匠様。
その彼女が普段の様子からはとても想像出来ないような淫らな姿で自分を慰めていた。

確かに、ボクだってほとんど毎日してるんだから、
ボクよりもずっと大人のお師匠様がしないって事はないと思う。

毎日してるんだろうか?誰の事を思ってるんだろうか。

「……はぁ……はぁ……はぁ……」

『トウヤくん……』
お師匠様の顔が頭に浮かぶ。いつもの僕に微笑むあの……。

「はぁ……お師匠様……お師匠様……ぁ……ん……んん……っ……ぁ……!!!!!!」





「……はぁ……はぁ」

手とズボンが吐き出した白濁物でどろどろになった。

ボクは大きく溜息をつく。
「……洗濯……しなくっちゃ……」


◇ ・ ◇ ・ ◇



ボクは小さな頃に両親を亡くした。
家も借家だったし、特別財産みたいなものは何もなかったから
親戚はみんなボクを引き取るのを嫌がった。
そんなボクを最終的に引き取ってくれたのが近所に住んでいた赤の他人のお師匠様だったんだ。

ボクはお師匠様が大好きだった。お師匠様も本当に子供なんじゃないの?って言う位
とても可愛がってくれたから。でも、ボクが成長して行くに連れて、
大人になったらお師匠様から離れなきゃいけないってお師匠様の知り合いのいろんな人達に
言われるようになった。
年頃の女性であるお師匠様と年が離れているとは言え、血の繋がっていないボクが
一緒に住んでいるといろいろ噂立てられたり、詮索されたりするからって。

でもボクはお師匠様から離れたくなかった。だから一生懸命考えた。
ここに滞在する理由があれば離れなくてもすむって思った。

「お世話になってるだけじゃ嫌だからボクもお師匠様の仕事を手伝いしたい」
って頼み込んだらボクの気持ちをわかってくれて、
本当なら弟子を取らない主義のお師匠様が特別に弟子にしてくれたんだ。
まあ、弟子って言ってもまだ、ほとんど雑用ぐらいしかやらせてもらってないけど。

お師匠様はボクがお師匠様に特別な感情があるって事はきっと気づいていない。
だって、親子ほども年が離れてるし、ボクはまだ子供だ。
それに彼女はとても魅力的な人で言い寄ってくる男の人だっているんだから。

きっとボクなんて男として見てくれてない。



「ボクがもう少し早く産まれていたらな」

虚しい自慰を終えた後、いつも思う。少しは彼女との関係が違っていたかも知れない。
彼女にはずっと守られてばかりだったけど守ってあげられるかも知れない。



「……ふぅ」
その日はなかなか寝付けなかった。


◇ ・ ◇ ・ ◇



「ほらトウヤくんダメよ。それはきちんと天秤で計らなきゃ」
お師匠様の声で我に返る。ボクはアシオの粉を大盛りにして器に入れる寸前だった。

「え?あ……ああ……す、すみません」

いけない。いけない。今日はお師匠様の旧知の友人からから頼まれた薬を作ってるんだった。
ボクの所為で失敗したらお師匠様に迷惑がかかっちゃう。

慌てて元に戻し、改めて分量を計り直して器に……。
「どうしたの?トウヤくん。今日は何だかぼんやりしてるみたい。体調が悪いの?」
ボクが朝から上の空だったからだろう。心配したお師匠様は眼鏡越しにボクの顔を覗き込んだ。

どきっ。お師匠様と目が合った。
「いえ、なんでもありません!」
昨日のお師匠様を思いだしてボクは慌てて横を向いた。

「そう?でも顔が赤いわよ。熱でも……」
背の低いお師匠様が背伸びをして熱を計ろうとボクのおでこに手を伸ばす。
その手がおでこに触れる瞬間にボクはその手をさりげなくよけた。

「だ、大丈夫です。すみません。ちょっと寝不足なだけです」
「……そう?」
心配そうにお師匠様は尋ねる。

ごめんなさい。ボクは今、お師匠様の顔をまともに見られないんです。
昨日のあのお師匠様の艶めかしい声や仕草が頭から離れられないんです。
ボクはお師匠様に欲情してしまった、いけない弟子なんです。

「すみません。ボク顔を洗ってきます」

顔を洗って目を覚ましたらいつものボクに戻れるかも知れない。

ボクは慌てて部屋から出ていった。


◇ ・ ◇ ・ ◇



「………………」
手桶に水を入れてその中に顔を埋める。これぐらいしないと火照った頭が冷静になりそうもない。
息が苦しくなるまでそのまま何も考えずに顔を鎮めて苦しくなって
顔を上げてぶんぶんと頭を振って濡れた髪から水滴を飛ばした。

「ふぅ…………さっぱりした……」

さっき、ふくらみかけていた股間も何とかおさまりそうだ。


◇ ・ ◇ ・ ◇



「お師匠様。さっきはすみませんでした」
作業所に入るとお師匠様はボクを見てにっこりと微笑んだ。

「目が覚めた?」
「はい」
「じゃ、続きね」


◇ ・ ◇ ・ ◇



「はい。完成」
ことり。
机の上に薬瓶が置かれた。

お師匠様は自室に戻って作業用の服を脱ぎ、外出着に着替える。
そして作業場に顔を覗かせていつものように一声かける。
「じゃ、私、これを届けにいってくるからお留守番お願いね」
「はい。気を付けて行って来て下さいね」

お師匠様が出掛けてしばらくすると誰かが家のドアをノックした。
扉を開ける。

「いるかい?」
道具屋の店主が立っていた。

この人お師匠様の事が好きなんだ。だから何かあるにつけて家を訪ねてくる。
「あ、ニールさん、こんにちわ。お師匠様なら出掛けましたよ」

ボクが部屋に戻ろうとすると店主に腕を引っ張られた。
「いや、違う。トウヤお前に用があってきたんだ」
「ボク?……ですか?」
「ああ」

珍しい。いつもボクの事は邪険にしているのに。どういった風の吹き回しなんだろう。

「何でしょう?」
ボクはニールさんの方に向き直る。

「お前。ミルティから独立する気にはならないか?」
思い詰めたような表情で彼はボクを見て言った。
「え?ボ、ボクはダメですよ。まだお師匠様がいないと何も出来ないんですから」
ボクは両手を振った。

だってまだ雑用しかさせてもらっていない半人前なのに独立だなんて考えられる訳がない。

「ああ、悪い。そう言う意味じゃないんだ。この家から出ていく気はないか?と言いたかったんだ」
「え?この家からですか?でも、僕は弟子ですし一人で暮らすなんて……」
「何なら俺がミルティに言ってやる。それに安いところを探してやってもいい」

「……いきなりどうしたんですか?」
「いや、俺さ。昨日、ミルティに告白したんだよ」
「え?」

告白って、告白ってプロポーズって事だよね?もしかしてお師匠様……

「……でな?お前がいるからって断られたんだよ」
店主の言葉を聞き、ボクはほっとして息を吐いた。
その様子をみているのかいないのか店主は話を続ける。

「だから付き合うとか結婚とか考えられないってさ。そう言われたんだ」

ボクがいるから……。

「ま、俺の事はいいけどよ。お前のような半人前がなかなかミルティから
独立しようとせずにいるから彼女、恋愛もろくろく出来ないんだぞ。
いい加減ミルティにくっついていないで独立する事考えろよ。
下手すると彼女は一生独身だぞ?女盛りをお前の世話で終えさせちまったら可哀想だろう?」
「……そう、ですね」

お師匠様何もおっしゃられないから。

「お前もさ、少しは師匠離れした方がいいんじゃないのか?ミルティの事も考えてやりな」
「ええ、そうですね。考えてみます」





店主が帰った後、彼の言った言葉がボクの頭の中で渦を巻いていた。
ボクは自分の事ばかりでお師匠様の事を考えてなかった。
昨日の……あれはボクがいる所為で好きな人と付き合えないから、
だから自分の身体を慰めていたんだ。だとしたら……。


「ただいま」
お師匠様が戻ってきた。
「お帰りなさい」
何事もなかったようにボクはお師匠様を出迎える。

「トウヤくん。これ好きだったよね?お店の近くを通ったから買って来ちゃった」
嬉しそうにボクに微笑みながら紙包みを手渡す。中には色とりどりのあめ玉がいっぱい。
「……あ、ありがとうございます」
受け取ってお礼を言うとまた、お師匠様は嬉しそうな顔をした。
「ふふっ。どういたしまして。じゃ、夕ご飯にしよう?」
「……はい」


◇ ・ ◇ ・ ◇



「え?……ここを出る?」
食事の時間。ボクが一人暮らしをしたいと言うと、スプーンを持ったまま
お師匠様は小首を傾げボクを覗き込む。

「どうして?何かあったの?」
「いえ……そうじゃなくて、ボクもそろそろ一人で暮らしてみたいなって……」
ボクは震える声でそう答えた。

本当は出ていきたくない。ずっとお師匠様と一緒に住みたい。
でも、そんな事をしていたらお師匠様に悪いから。
ボクが出ていけば好きな人とつき会う時間も取れる
一緒に住む事だってボクに気兼ねしなくてもできるはずだ。

「……そう……か。トウヤくんもそう言う年頃なんだね」
お師匠様は寂しそうに笑った。
「やっぱり、私みたいなおばさんと一緒に住むのって抵抗を感じるようになったんだね」
「そんな事……」

ボクが返事に困っているのをみるとくすりと笑う。
「ふふっ。冗談よ。ちょっと寂しいけどトウヤくんがそう言うなら仕方ないね。
良さそうなお部屋探して置くから」
「……お願いします」


その日はボクの大好きなシチューだったのに全然美味しく感じなかった。


◇ ・ ◇ ・ ◇



「………………」
一人暮らししたいだなんてどうしてそんな事を言ってしまったのだろう。

ボクは思い切り後悔していた。ニールさんに言われたとは言え、
お師匠様の為だからそう思ったんだけどこの家から出るなんてやっぱり嫌だ。
ボクはお師匠様の部屋に向かった。
お師匠様に「まだ、一人暮らしは出来そうにないからさっきの話は保留にして欲しい」
と言うためだ。

軽くノックをする。
「………………」
返事がない。

「お師匠様?いらっしゃいますか?」
そう言ってから耳をそばだてる。

ギシッ……

中でベッドが軋む音がかすかに聞こえた。お師匠様の声がこれもわずかに漏れてくる。
「………………ぁ…………ん……はぁ……ぁ……」
え?これって……


気になってそっとお師匠様の部屋のドアを開け中を覗くと、
月明かりが窓から照らされた部屋にお師匠様はベッドに寝そべっていた。
寝間着を胸の上までまくり上げると掛布を筒状にして、誰かを抱きしめるかのように
それを抱きしめて。抱きしめた手はクロスされ、そのまま露わにした彼女の胸の先の先端を
何やら弄っている。

「……はぁ……ぁ……」
指で摘んで堅くなった先端を指で優しく潰すように動かす
「くふんっ……はぁ……はぁ……ぃぃ……の……ぉ……」
そうしながらお師匠様は掛布にこすりつけるように腰を動かす。
艶めかしいその動きでボクの股間は段々と堅くなった。


1.そっと立ち去る
2.中に入る