演算子rot 絵巻

目次
1)川の流れとrotation
4) まとめ
5)自縛式? おまけ
1)川の流れとrotation
テリス;数学上はベクトル関数 A(x,y,z)の rotAの成分は各々のx、y、z成分について
∂Az/∂y-∂Ay/∂z, ∂Ax/∂z-∂Az/∂x, ∂Ay/∂x-∂Ax/∂y
になるわけだが想像しにくい内容である。この想像し難い想像を想像する。
アリス;騒々しいぞ! この絵巻は『物理数学の直観的方法 通商産業研究所発行』からヒントをいただいております。
テリス;いきなりベクトル関数 A(x,y,z)を考えるのは難しいからひとつ次元を落としたベクトル関数 A(x,y)を考える。
アリス;ベクトルですから任意の点(X,Y)で成分Ax,Ayがあります。そうですねぇ〜 例えば風なんか想像すれば分かり易いでしょう。
テリス;風も良いがここでは川を想像する。大き過ぎず小さ過ぎない、流れが早過ぎず遅過ぎない川を考える。
アリス;何ともイイカゲンな川だね!
テリス;その川に小さな水車を軸を水面に垂直に立てたと想像してもらいたい。すると水車は回る。

アリス;効率が悪い水車だけどともかく回るでしょう。でも回るのは水流の差が有る場合に限られます。そこまでまず理解してください。
テリス;うむ そして図のように回る時右ネジが食い込む方向にベクトルを立てる。つまり水面に直角方向に回転ベクトルができる。
アリス;以上を概念としてつかんだ上で今度は真上から水車を眺めます。ジャ−ン(^^)

テリス;まず川の向うからこちらに座標Xを張る。するとXの値によって川の流速Ayが異なることになる。ベクトルAの成分はY方向のAyのみだ。よって川のベクトルAのY成分AyはXのみの関数になる。それをAy(X)とする。そうしておいて水車(。)をポツンと投げ入れる。
アリス;川の中に水車をチャポンと入れたのが←の図でございます。ものすごく拡大します。
テリス;うむ 羽の長さをRとして結果として水車は角速度ωで回るとする。
アリス;角速度ωは1秒間に回るラジアン角ですから羽の先端速度はωRとなります。その速度はAy(X+R)−Ay(X-R)になりますから結局
ωR=Ay(X+R)−Ay(X-R)
となります。
テリス;うむ それを
ω={Ay(X+R)−Ay(X)}/R+{Ay(X)−Ay(X-R)}/Rと書き換える。
アリス;そして水車に「小さく小さく小さくなぁれ! 小さくなって微分になぁれ」と呪文を唱えます。
テリス;うっ うむ 要するにR→凾窒ノ置換え 凾秩ィ0に持って行く すなわち
ω={Ay(X+R)−Ay(X)}/R+{Ay(X)−Ay(X-R)}/R
→ω=Lim 凾秩ィ0{Ay(X+凾)−Ay(X)}/凾+Lim 凾秩ィ0{Ay(X)−Ay(X-凾)}/凾
=∂Ay/∂X+∂Ay/∂X
=2(∂Ay/∂X) となる。
アリス;結論は ω=2(∂Ay/∂X) なにか すっきりしないね!
テリス;別に間違ってはいない。「垂直軸ポチャン水車方式」思考実験の限界に過ぎない。これがベクトル関数 A(x,y,z)の rotAのz成分 ∂Ay/∂x-∂Ax/∂y の左半分∂Ay/∂x にならないからと言って悩むことはない。
図のように考えれば良い
→ → → のように流速はしだいに速くなる。
ただし→と→は逆方向だから打ち消し合い、→は回転に寄与しない。
よって上の水がないとして同じωで回るのは右図のような赤い→の流速になる。
それが2(∂Ay/∂X) となる。
アリス;理解し易いように角速度ωを出したけど本当は違うのだよ.....としておいてください。
上の図ではベクトル関数 A(x,y,z)の rotAのz成分 ∂Ay/∂x-∂Ax/∂y の左半分∂Ay/∂x とωは一致しません。それは「垂直軸ポチャン水車方式」思考実験の性です。でもωの1/2にしたらチャンと合いますからもう少し「垂直軸ポチャン水車方式」思考実験を続けます。

テリス;さて今までの話は上の図で「今までの設定」とされた部分だ。これを同じ角速度ωでまわる条件で川の向きを変えてみる。中央は45°傾けた時、そして右側は90°傾けた時だ。
アリス;ヘリコプタ−で水車の上空に行って90°回転したとでも想像してください。そして右端の図ではωは流速Ax(Y)をYで微分することで得られるのですが、あらあら不思議 あら不思議....
テリス;Ay(X)で ∂Ay/∂x は>0 つまりこの水車の位置ではxが増加すると水流は増える位置にあった。ところがAx(Y)では ∂Ax/∂y は<0 つまりこの水車の位置ではYが増加すると水流は減る位置になる。
アリス;これがベクトル関数 A(x,y,z)の rotAのz成分 が ∂Ay/∂x-∂Ax/∂y となるのか? なぜ∂Ax/∂yを引かなければならないのかの理由です。そうしないと向きが逆になる。(^^)
テリス;これで水流ベクトルAを持つ川をロ-テ-ションすると図のように回転ベクトルが無数に立つわけです。

アリス;川端の回転ベクトルが大きいのはちょっと妙ですけどAyをsinカ-ブとして見立てているのでご笑納ください。ベクトル関数 A(x,y,z)の rotAのx成分とrotAのy成分
∂Az/∂y-∂Ay/∂z, ∂Ax/∂z-∂Az/∂x
は同じ考えで出て来るはずです。でもこれって言葉ではなかなか説明しづらいので皆さんの直感で判断してください。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
テリス;マックスウエルの電磁方程式はベクトルが4次元的に絡むのでイメ-ジが沸き難いのですが「第1部第6章 光速度不変の謎」に従って 電界EをEyのみ0でないとします。そうすると簡単になり電界Eとは方向はY方向であり、大きさはEy(X,t)とできます。
アリス;そうするとrotEとは方向はZ方向であり、大きさは∂Ey/∂Xとできます。
以上の関係でEy=Asin(B(X-Ct))として表したのが左の図です。
電界Eyは図の赤いsinカ-ブで表わしています。
∂Ey/∂xは図の青いcosカ-ブになります。
その式は∂Ey/∂xですから
(rotE)z=AB*COS(B(X-Ct)) 他は0
になります。
テリス;ここで rotE=-μ0(∂H/∂t) を考慮します。rotEは(rotE)zだけ0でないなら、式の上からHはHzだけ0でないことになります。すなわちここで我々は方向を外して
AB*COS(B(X-Ct))=-μ0(∂H/∂t)
だけ考えれば良いことになります。
アリス;さっさとH=.....とする前に式をジッとみると面白いことになります。
∂H/∂t=-(AB/μ0)*COS(B(X-Ct))
としまして∂H/∂tを僣/冲と置換えますと
僣=-(AB/μ0)*COS(B(X-Ct))冲
です。....?
テリス;このままじゃ 分かり難いですよね そこで tを固定してみます。例えばt=0とする。すると
僣=-(AB/μ0)*COS(BX)冲
そうするとこの式は時刻がt=0からt=凾狽ノなった時 もとのHがどの程度増減するかの式になる。その増減はXの値により異なるけどともかくHは増減により変形して行く。
アリス;それではその様子を図示してみます。
一番上の図は時刻=0時の磁界Hを示します。青い線です。
それに対して真中の図は上記
僣=-(AB/μ0)*COS(BX)冲
を示します。時刻は凾狽ナす。
さて問題は一番下の図です。時刻がt=0からt=冲になると磁界はHからH+僣になるはずですから、それを赤い線で表しました。
テリス;青いsinカ-ブと赤いsinカ-ブは位相がずれます。これで磁界はX方向に進むわけです。
アリス;早い話、EをrotしたrotEによって磁界はX方向に進むようにストレスがかけられるわけです。
テリス;rotE=-μ0(∂H/∂t)で大きさだけを表現した
rotEy=-μ0(∂Hz/∂t)
を使いますと EyとHz 両方の式を完全に書けます。Ey=Asin(B(X-Ct))としますと
Hz=A/(Cμ0)sin(B(X-Ct))
となります。計算は面倒なので結果だけですが(^^)
−−−−−−−−−−−−−−−−−
アリス;え〜 少々 省略(誤魔化し?)いたします。我々は C^2μ0ε0=1 を知っているものとします。これはすなわち 1/(Cμ0)=Cε0 と言うことですから
Hz=A/(Cμ0)sin(B(X-Ct))→Hz=ACε0sin(B(X-Ct))
となるわけです。
テリス;rotH=ε0(∂E/∂t)で大きさだけを表現したら
rotHz=ε0(∂Ey/∂t)
となるわけです。このHzを上記のACε0sin(B(X-Ct))としましてrotHzを−∂Hz/∂Xとしますと
左辺
=−ABCε0cos(B(X-Ct))
となります。
アリス;一方 Ey=Asin(B(X-Ct)) ですから
右辺
=−ABCε0cos(B(X-Ct))
となり見事に一致します。
アリス;rotAのy成分は ∂Ax/∂z-∂Az/∂x ですからrotHzを−∂Hz/∂Xとしました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
4)まとめ
テリス;それではまとめよう。rotation(回転)演算子とは演算されるベクトル場が空間的に一様でない時、言い換えると感覚的に渦(ウズ)が出来易い場合に「垂直軸ポチャン水車方式」の角速度みたいな概念として考えられる。ただし純粋な角速度ではないから注意されたい。
アリス;もう少しスマ−トに格調高く言えない?
テリス;うっ うむ 内容には自信があっても文章はどうも.......
アリス;そして電場EをrotしたrotEは磁場Hを回転蹴りでドツクため磁場HはX方向に進むことになる。
テリス;その表現はスマ−トで格調高いと言える?
アリス;うっ うむ 内容には自信があっても文章はどうも.......
テリス;そして磁場HをrotしたrotHも電場Eを回転蹴りでドツクため電場EはX方向に進むことになる。
アリス;その表現もスマ−トで格調高いと言える?......って これじゃドツキ漫才だよ!
テリス;うむ 身が持たない(^^) 格調高いとは言えないがまとめよう。
どこからでも良いが まず電場Eから出発しよう。
Eが決まればrotEが決まる。
そのrotEが電磁方程式
rotE=-μ0(∂H/∂t)
によって磁場Hが決まるがこの時磁場HはX方向に進むようにストレスをrotEにより受ける。
そしてHが決まればrotHが決まる。
そのrotEが電磁方程式
rotH=ε0(∂E/∂t)
によって電場Eが決まるがこの時電場EはX方向に進むようにストレスをrotHにより受ける。
この関係は時間tを固定すると完全に解けて
Ey=Asin(B(X-Ct))ならば
Hz=A/(Cμ0)sin(B(X-Ct))
=(ACε0)sin(B(X-Ct))
となる。
5)自縛式? おまけ
アリス;そうすると電場Eyは結局自分自身のEyで自縛(ジバク)されるのだが、もっとスッキリEyが満足する式をX,tのみで表現できない?
テリス;もちろんできる。rotEy=-μ0(∂Hz/∂t) と rotHz=ε0(∂Ey/∂t) を使うと
∂Ey/∂X=-μ0(∂Hz/∂t) 式1
−∂Hz/∂X=ε0(∂Ey/∂t) 式2
だが式1をさらにXで偏微分して 式2をさらにtで偏微分すれば
∂2Ey/∂X2=-μ0(∂2Hz/∂t∂X) 式1'
−∂2Hz/∂X∂t=ε0(∂2Ey/∂t2) 式2'
となる。この2式を式のまま掛け算すれば
∂2Ey/∂X2=ε0μ0(∂2Ey/∂t2)
となる。これがEyの自縛(ジバク)式? だ。
アリス;Ey=Asin(B(X-Ct))として計算してみてください。結果は
∂2Ey/∂X2=(1/C^2)(∂2Ey/∂t2)
となるはずです。つまりこれは ε0μ0=(1/C^2) でなければならないことになります。
...............
テリス;う〜む rotを直観的に分かり易く解釈し直すことで電磁波とは何かを導いたつもりではあるのだが.........
アリス;まだまだだね。『光速度不変』の原理だか要請だか法則だか...ともかく特殊相対性理論の原理中の原理はマックスウエルの電磁方程式とは「言葉の上」でしか繋がっていない。まったく異なる理屈をお互いが主張しているだけと言う元々の主張を破ることはできなかった。
今回の研究はここでお開きとします。
では また