<衝突>
第4章)相対論的衝突の理論
目次
4−1)ガリレオ変換での衝突
4−2)相対論(光速以下)での衝突
a)エネルギ−保存則 b)運動量 c)まとめ
4−3 ) 超光速の絡む衝突
イ)エネルギ−保存より ロ)運動量 ハ)まとめ
イ)エネルギ−保存より ロ)運動量 ハ)まとめ
イ)エネルギ−保存より ロ)運動量 ハ)まとめ
4−4) この章の終りに
本章は計算が主役である。ある程度、ロ−タスなりエクセルなりに精通しないと分かり難い。かと言って結論だけ述べて「信じなさい」では当HPの趣旨に反する。まぁ あまり硬いことは言わないが、この章で明らかにされた数値は実際にエクセルで計算した結果であることだけは言っておく。
すみませんがこの章はフル画面でご覧下さい。
基本式 E=(1/2)MV2 P=MV
まず、ガリレオ変換での衝突、我々がビリヤ−ドで見る衝突を扱ってみる。静止している質量Mの球に速度V1、質量Mの球が衝突する。するとふたつの球は各々速度V2,V3で動く。V1,V2,V3はベクトルを示す。
V2.V3が作る角度を散乱角と言う。
ニュ−トン力学ではこの時衝突前のエネルギ−と運動量は保存され衝突後も同じエネルギ−と運動量を保ってなければならない。
つまり
エネルギ−保存の法則より
(1/2)MV12=(1/2)MV22+(1/2)MV32
V12=V22+V32
運動量保存の法則より
MV1=MV2+MV3
V1=V2+V3
このV12=V22+V32と運動量V1=V2+V3の関係を図示するとこうなる。(左上の図)
左上の図をそのままV3のみ移動したのが(左下の図)である。
つまり散乱角は直角しか成り立たない。ビリヤ−ドで注意深く見るとわかるが、衝突した球はお互いに直角に動いている。
まとめ)
エネルギ−と運動量が保存された状態での玉突き衝突は散乱角が直角になる。
ただし速度が小さくニュ−トン物理学に充分適用できる場合である。

直角とは言え、衝突の微妙な差異により色々なパタ−ンが出来る。
図の(A)も散乱角が直角な一例である。
4−2)相対論(光速以下)での衝突
| E=MC2(1/√(1-V12/C2)-1)
E=MC2(1/√(1-V22/C2)-1) P=(M/√(1-V12/C2))V1 P=(M/√(1-V22/C2))V2 |
少しややこしくなるので衝突した後のふたつの球の速度が同じである場合に限ろう。速度が同じでも方向が違うのでV2=V3ではない。(ベクトルだから)
a)エネルギ−保存則
ニュ−トン力学と同じくここでもエネルギ−と運動量が保存されるとすれば
エネルギ−保存の法則より
MC2(1/√(1-V12/C2)-1)=2MC2(1/√(1-V22/C2)-1)
よって
1/√(1-V12/C2)=2/√(1-V22/C2)-1----式(1
展開すると
(√(1-V12/C2)+1)/√(1-V12/C2)=2/√(1-V22/C2)
√(1-V22/C2)=2(√(1-V12/C2)/(√(1-V12/C2)+1)
この式はV1を決めればV2は決まってしまうことを表す。
具体的にはこうなる。ロ−タスかエクセルで計算すればわけない!
| V1/C | V2/C |
| 0.30 | 0.2158 |
| 0.80 | 0.6614 |
| 0.85 | 0.7238 |
| 0.90 | 0.7946 |
| 0.95 | 0.8795 |
b)運動量
運動量保存則は質量が変化する場合は運動量そのもので扱う。(図)
P1=P2+P3,P1=M1*V1,P2=M2*V2,P3=M2*V3----式(2
ところでP2,P3は方向は違うが同じ大きさのベクトルであるから
左図の関係が成り立つ。つまり
P1=2P2COS(θ/2)である。P1,P2はスカラ−である。
COS(θ/2)=(1/2)(P1/P2)となる。
COS(θ)=COS2(θ/2)-SIN2(θ/2)=2COS2(θ/2)-1であるから
COS(θ)=(P1/P2)2/2-1---式(3
式(3の右辺に式(2のP1、P2(ベクトル)の大きさだけを取り出して代入しよう。
COS(θ)=(1/2)*(M1/M2)2(V1/V2)2-1---式(4
式4)はM1=M2ならばV1/V2=√2の時COS(θ)=0になる。つまりV12=2V22の時θは90°になる。4−1)の結論と矛盾しない。
この式4)に式1)の関係を考慮すればCOS(θ)の値すなわちθを求めることができる。_(@-@)_ツカレル!
式(4の中身を展開しておく。
M1/M2={M/√(1-V12/C2)}/{M/√(1-V22/C2)}=√(1-V22/C2)/√(1-V12/C2)
よって(M1/M2)2=(1-V22/C2)/(1-V12/C2)
| V1/C | V2/C | (M1/M2)2 | (V1/V2)2 | COS(θ) | 角度 |
| 0.30 | 0.2158 | 1.047702 | 1.931708 | 0.011927 | 89.3166 |
| 0.80 | 0.6614 | 1.562639 | 1.463024 | 0.143090 | 81.7879 |
| 0.85 | 0.7238 | 1.7157245 | 1.379116 | 0.183091 | 79.43256 |
| 0.90 | 0.7946 | 1.9467451 | 1.285473 | 0.251244 | 75.85066 |
| 0.95 | 0.8795 | 2.3228692 | 1.166744 | 0.355097 | 69.2001 |
c)まとめ
光速の3割程度だと散乱角は89°だからしてほぼ90°である。差があるとしても1°以下である。しかるに光速の80%、90%となると表のように80°、76°と、明らかに90°より小さくなるわけである。これらを相対論的衝突と呼ぶ。
素粒子論の歴史は衝突観測の歴史である。相対論的衝突はそれこそ無数に記録されている。そこから衝突はエネルギ−と運動量を保持したまま行われるイベントであることが証明される。これらは相対論的運動量とエネルギ−がP=(M/√(1-V2/C2))V と E=MC2(1/√(1-V22/C2)-1)である直接の証拠でもある。
解釈本によってはこれらを4次元的衝突だの空間が曲がっているだのワケ分からん解説をしているものがあるから注意されたい。
4−3 ) 超光速の絡む衝突
ここでも少しややこしくなるので衝突した後のふたつの球の速度が同じである場合に限ろう。速度が同じでも方向が違うのでV2=V3ではない。(ベクトルだから)
超光速の物理が成立するなら光速以下の粒子→超光速の粒子となることも超光速の粒子→光速以下の粒子になることもありうるだろう。
そしてそれが衝突と言う現象で行われるならエネルギ−と運動量両方保ちながら行われると思われる。
基本式
E=MC2(1/√(1-V12/C2)-1) E=MC2(1/√(V22/C2-1) P=(M/√(1-V12/C2))V1 P=(M/√(V22/C2-1)V2-MC |
イ)エネルギ−保存より
ニュ−トン力学と同じくここでもエネルギ−と運動量が保存されるとすればエネルギ−保存の法則より
MC2(1/√(1-V12/C2)-1)=2MC2/√(V22/C2-1)
展開すると
1/√(1-V12/C2)-1=2/√(V22/C2-1)
(1-√(1-V12/C2))/√(1-V12/C2)=2/√(V22/C2-1)
√(V22/C2-1)=2√(1-V12/C2)/(1-√(1-V12/C2))
| V1/C | V2/C |
| 0.30 | 41.43294 |
| 0.80 | 3.165578 |
| 0.85 | 2.440656 |
| 0.90 | 1.840729 |
| 0.95 | 1.350749 |
ロ)運動量より
運動量保存則は質量が変化する場合は運動量そのもので扱う。(図)
P1=P2+P3,P1=M1*V1,P2=M2*V2-M0C,P3=M2*V3-M0C
ところでP2,P3は方向は違うが同じ大きさのベクトルであるから
左図の関係が成り立つ。つまり
P1=2P2COS(θ/2)である。P1,P2はスカラ−である。
COS(θ/2)=(1/2)(P1/P2)となる。
COS(θ)=COS2(θ/2)-SIN2(θ/2)=2COS2(θ/2)-1であるから
COS(θ)=(P1/P2)2/2-1
ここまで式(4と出したものと同じである。同じことの繰り返しであるから今後省略する。
式(3の右辺に式(2のP1、P2(ベクトル)の大きさだけを取り出して代入すると
COS(θ)=(1/2)(V1/√(1-V12/C2))2/(V2/√(V22/C2-1)-C)2-1
=(1/2)(V1/V2)2(1/√(1-V12/C2))2/(1/√(V22/C2-1)-C/V2)2-1
=(1/2)(V1/V2)2/(1-V12/C2)/(1/√(V22/C2-1)-C/V2)2-1
A=(V1/V2)2/(1-V12/C2)
B=(1/√(V22/C2-1)-C/V2)
COS(θ)=A/(B*B)/2-1とする。
| V1/C | V2/C | A | B | COS(θ) | 角度 |
| 0.30 | 41.4629406 | 0.0000576 | 0.00000703 | 582416.7 | 不可能 |
| 0.80 | 3.16227766 | 0.1777777 | 0.01710556 | 302.7893 | 不可能 |
| 0.85 | 2.44065643 | 0.4370863 | 0.03943215 | 139.5498 | 不可能 |
| 0.90 | 1.840729 | 1.2582058 | 0.10381564 | 57.36708 | 不可能 |
| 0.95 | 1.35074941 | 0.5678892 | 0.05276137 | 101.0002 | 不可能 |
ハ)まとめ
認めたくない結果である。COS(θ)が1より大きいから散乱角は存在できない。
早い話、超光速を光速以下から作り出すことはできない。
基本式
E=MC2(1/√(V12/C2-1)) E=MC2(1/√(1-V22/C2)-1) P=(M/√(V12/C2-1))V1-MC P=(M/√(1-V22/C2)V2 |
イ)エネルギ−保存より
ニュ−トン力学と同じくここでもエネルギ−と運動量が保存されるとすればエネルギ−保存の法則より
MC2/√(V12/C2-1)=2MC2(1/√(1-V22/C2)-1)
展開すると
1/√(V12/C2-1)=2/√(1-V22/C2)-2
1/√(V12/C2-1)+2=2/√(1-V22/C2)
√(1-V22/C2)=2√(V12/C2-1)/(2√(V12/C2-1)+1)
| V1/C | V2/C |
| 1.05 | 0.920662 |
| 1.10 | 0.878240 |
| 1.15 | 0.846877 |
| 1.20 | 0.821507 |
| 1.25 | 0.8 |
ロ)運動量より
COS(θ)=(P1/P2)2/2-1は共通である。ただし
P1=(M/√(V12/C2-1))V1-MC P2=(M/√(1-V22/C2)V2
よって
COS(θ)=(1/2)(V1/√(V12/C2-1)-C)2/(V22/(1-V22/C2))-1
=(1/2)(V1/V2)2(1-V22/C2)/(1/√(V12/C2-1)-C/V1)2-1
| V1/C | V2/C | (V1/V2)2 | (1-V22/C2) | (1/√(V12/C2-1)-C/V1)2 | COS(θ) | 角度 |
| 1.05 | 0.920662 | 1.30070226 | 0.152380961 | 4.71365 | -'0.97898 | 168.2304 |
| 1.10 | 0.878240 | 1.56879778 | 0.228694004 | 1.620753 | -0.88932 | 152.788 |
| 1.15 | 0.846877 | 1.84397087 | 0.282797783 | 0.794481 | -0.67182 | 132.2074 |
| 1.20 | 0.821507 | 2.13372898 | 0.625125165 | 0.454577 | -0.23695 | 103.7067 |
| 1.25 | 0.8 | 2.44140525 | 0.36 | 0.284444 | 0.544952 | 56.97859 |
ハ)まとめ
超光速の素粒子が光速以下の素粒子(止まっている素粒子)に衝突して光速以下になる?
かなり奇妙な結果になる。初速が光速の3割以下の場合で結果が光速以下でしかない場合は散乱角は90°である。光速以下から超光速はできないらしい。そして超光速から光速以下になる場合は散乱角が90°以上にも以下にもなる。がともかく可能である。?
基本式
E=MC2(1/√(V12/C2-1)) E=MC2(1/√(V22/C2-1) P=(M/√(V12/C2-1))V1-MC P=(M/√(V22/C21-1)V2-MC |
イ)エネルギ−保存より
ニュ−トン力学と同じくここでもエネルギ−と運動量が保存されるとすればエネルギ−保存の法則より
MC2/√(V12/C2-1)=2MC2/√(V22/C2-1)
展開すると
1/√(V12/C2-1)=2/√(V22/C2-1)
√(V22/C2-1)=2√(V12/C2-1)
| V1/C | V2/C |
| 1.05 | 1.187434209 |
| 1.10 | 1.356465997 |
| 1.15 | 1.513574595 |
| 1.20 | 1.661324773 |
| 1.25 | 1.802775638 |
ロ)運動量より
COS(θ)=(P1/P2)2/2-1は共通である。ただし
P1=(M/√(V12/C2-1))V1-MC P2=(M/√(V22/C2-1)V2-MC
よって
COS(θ)=(1/2)(V1/√(V12/C2-1)-C)2/(V2/√(V22/C2-1)-C)2-1
=(1/2)(V1/V2)2(√(V22/C2-1)-C/V2)2/(√(V12/C2-1)-C/V1)2-1
| V1/C | V2/C | (V1/V2)2 | (√(V22/C2-1)-C/V2)2 | (√(V12/C2-1)-C/V1)2 | COS(θ) | 角度 |
| 1.05 | 1.18743421 | 0.78191489 | 0.040739183 | 0.399708 | -'0.92031 | 156.9708 |
| 1.10 | 1.356466 | 0.68760870 | 0.032150411 | 0.203251 | -0.89598 | 153.6344 |
| 1.15 | 1.5132746 | 0.57751092 | 0.225589917 | 0.091007 | 0.431538 | 64.43477 |
| 1.20 | 1.66132477 | 0.52176913 | 0.525220022 | 0.028903 | 8.480998 | non |
| 1.25 | 1.80277564 | 0.48076923 | 0.893591719 | 0.0025 | 170.8446 | non |
ハ)まとめ
超光速の素粒子が光速以下の素粒子(止まっている素粒子)に衝突して超光速になる?
散乱角nonは計算不能だ。COS(θ)は1以上では解を持たない。だから光速の1.2倍の粒子が止まっている粒子に衝突した場合、超光速の粒子がふたつ生まれることはない。
このことは超光速粒子が連鎖反応的に生まれないことを意味する。
超光速は本当にないのか? あるかもしれない。 あるとすればどんな原理があるのか。 そしてあるとすればどう振舞うのか?
やめられない 止まらない 相対論的モウソウはここで頂点を迎える。......はずだったのだが、数式と計算だらけだ。おせじにも面白いとは言えない。
だけど数式と計算は単なる道具だ。道具であるべきだ。数式を展開できるからエライのではない。本音を言えば間違っているかもしれないと恐れている。間違っていたとしてもどう振舞うのかの指針にはなろう。
ビリヤ−ドの玉は衝突するとお互いに直角に動き出す。そこには運動量とエネルギ−が全体として保たれると言う原理がある。そう計算するとぴたりと当たる。
その原理が相対論的衝突でも有効なのだ。ビリヤ−ドとシンクロトロンやサイクロトロンは同じ原理の下に現象を表す。一見つまらない数式や計算の中に途方もない法則が見え隠れする。例によってアリスとテリスによる「ちょっと一服」を参照されたい。
その原理をさらに超光速まで拡大しよう。超光速になる。超光速粒子がぶつかる。そこでも運動量とエネルギ−が全体として保たれ、数式と計算がその振る舞いを記述する。
その結果 奇妙なことになった。ナント! 光速以下の粒子どうしの衝突では超光速は誕生しない。(らしい)
この問題は未練かもしれないが次の章でもう一度取り上げてみる。両方の玉が動いている場合とかもあるし!
そしてさらに奇妙なことに超光速粒子が止まっている粒子にぶつかると、どうも光速以下になるらしい。これではビックバンから少し時間が経てば超光速粒子はほとんど死滅して宇宙の隅々まで探しても見つからないであろう。泰山鳴動、ネズミ一匹?
それでいいのだ! と言うにはどうも面白くない。皆さんはどう 思われるのだろうか?????
とりあえず 我々が書き溜めた相対論のレポ−トはこれで全部吐き出した。書き上げてみて納得できない部分が如何に多いのか、あらためて思い知らされた。長かった「逆説の相対性理論」も実質的にはこれで終る。
次の章ではレポ−トからこぼれた話題も少々登場させながら全体を俯瞰してみる。もちろん 間違いがあれば予告なく変更するカモしれない。そしてそれから「逆説の...」 一般相対性理論にするか? 量子力学にするか はたまた.... 決めてない。リクエストされても......多分 できないだろうなぁ.. 春の酔い ひねもす ノタリこいのぼり お後がよろしい様で........