「龍」〜胸の印〜





「気まぐれって言葉・・ほんとに似合うよね〜飛影って・・・。」

「何だ突然・・・」

は自分の部屋のソファに寝転がっている飛影に、ふと思いついたように言った。

「だって・・いつも、いつもなんの前触れもなくやってきて
好き勝手寛いだかと思えば、すぐいなくなって・・まるで猫みたい・・。」

そういって、クスッ・・と笑う。飛影は
当然面白くなく・・プィと背を向ける。

「猫・・・俺はそいつと同じだというのか?お前は・・。」

飛影の言うそいつとは、 が抱っこしている猫である。

「う〜ん・・そうね・・でも永吉君のほうが可愛いげがあるかな〜。」

そう言って抱っこしている猫、永吉にスリスリしている。
実は桑原に預かってくれと頼まれたらしい。桑原家は4日ほど
温泉旅行に行っている。(当然雪菜も)その間に永吉の面倒を
見てくれと昨日いきなり電話があったのだ。
見ている飛影はムッとした。いくら猫とはいえ・・こうも
自分のものに・・・。またも面白くなく飛影は舌打ちする。

「ちっ・・あのつぶれ顔・・余計なものを預からせやがって・・」

「何よー預かってるのは、私で飛影じゃないでしょー。ねぇ・・永吉君!」

にゃーんと即座に返事をする永吉、まるで「そうだ」と言ってるかのようである。
そしてどこか挑戦的な目で飛影を見ていた。
飛影は当然その永吉の眼差しに気付かない訳ではなく・・。

「ふん!貴様も飼い主同様、威勢だけはいいな・・。」

不敵な笑みを漏らし飛影はゆっくり近づいた。 は思わずあとずさる。
彼は永吉をムンズ!とつかむと半ば乱暴めに退け、 に抱きつく。

「きゃあっ!飛影!!何すんのよー!」

「こいつにお前が誰のものか教えてやるだけだ。」

「猫にそんなこと判る訳ないでしょ!」

もう!猫にまで嫉妬して!! は思った。飛影の嫉妬深さは半端じゃない。
に男が近づこうものなら即座に黒い炎が発火する位だ。
自分がいない間もそれは同じだった。飛影は が寝ている間に瞳の邪眼を
開いて何か呪文のようなものを唱え妖術をかけたのだった。
その後 の胸の上には小さいが黒龍の印が浮かんでいた。
それ以後 に邪まなココロで近づき触れようとする人間・・もしくは妖怪は致命傷までは
いかずとも黒い炎が発火する仕組みとなったのだった。

「・・・この黒龍が永吉に反応しなくて良かった〜。」

自分の胸の上に付けられた黒龍の印を見て心底ほっとしたように は言う。
退けられた永吉は飛影にフーッ!!と鳴き毛を逆毛に立てて怒りをあらわにしていた。
飛影は悔しそうにしている永吉を見て「ふん!」と鼻をならした。

「いくら・・お前に近づいても相手が動物ではな・・発火なんぞ出来ん。」

当たり前である。本能のままに生きる動物には邪まとかの邪悪なココロは存在しないだろう。
飛影は彼女の胸の上にある印を少し露わにさせた。白く綺麗な肌まで見える。
そんなことをされた は少し顔を赤らめて服を直そうとしたが遮られた。

「やっ・・飛影!離してっ!」

「断る・・。」

そう言うと彼は印に唇をよせて口付けた。少しちくりとした甘い痛みが
走った。付けられた所は当然赤い痕がついた。
が余計に黒龍の印が際立っているようにも見えた。

「あ〜あ・・こんな痕までつけて・・いったい幾つつける気よー。」

「さあな・・」

しれっとした顔で飛影は答えたのだった。


(お前が俺のものだと判るのならいくらでもな・・・。)

密かに思う飛影の激しい独占欲・・。



永吉はしばらく怒っていたのだが・・、
諦めたのかそっぽをむいてフテ寝をしていた。


Fin



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