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インドな風景・1


何故か旅人がはまってしまう国インド、
好き嫌いがはっきり分かれるインド、
旅人はインドのどこに惹かれるのでしょう。
いずれにせよ、これだけは自信をもって言えます、
「インドの旅はとっても面白いよ」と。

トイレは水洗が一番

ミネラルウォーター

インドの皿洗い

バラナシの病院

バナナ売り



トイレは水洗が一番

 トイレで紙を使うのは日本人や西洋人では常識です。でもインドやイスラム諸国、アフリカなどでは水洗いが常識です。インドで「紙で拭く」と言うと不潔な物を見るような目で見られます。インドでは左手が不浄の手で、用を足したとき右手に水を入れた容器を持ち、左手でお尻を洗います。最初は勇気が必要ですが一度水で洗い出すと清潔で気持ちよく病みつきになり、「紙で拭く」なんて不潔きわまりないといった感じになります。山の方など寒いところではお尻の穴がキューと縮こまりつらいですが、水で洗う清潔感には変えられません。

 家でウォシュレットにすると止められなくなるように水洗いは気持ちいいですね。日本で「紙で拭く」なんていうのは製紙会社の陰謀ではないかと思ってしまいます。

 バラナシで一緒だった槻木氏は「インド式はパンツが汚れなくていい。」と言って一週間はき続けたパンツを今度は前後ろ反対にして一週間、さらに今度は裏返して一週間、最後にそれを前後ろ反対にして一週間、計4週間はき続けて平気な顔をしていました。

 さて社会復帰して働いていた時バンコクで会った平野氏としばらくぶりに大阪で再会しました。その時、トイレの話になり「だいたい日本の生活には慣れたけど一つだけ止められないことがある。」と平野氏。「やっぱりトイレはインド式だナ」「でも日本のトイレじゃ無理だろう?」「いやいや、それがいい方法を見つけてね、洋式しかできないけど、した後一度水を流すときれいな水が貯まるだろう!? その水で洗うんだ。やっぱりトイレは水洗が一番だネ。」


トイレは水洗が一番

ミネラルウォーター

インドの皿洗い

バラナシの病院

バナナ売り



ミネラルウオーター

 インド・バラナシのビシュヌ・ゲストハウスではドミトリー部屋に泊まっていました。毎晩、寝る前に「明日こそは早起きしてガンガーの日の出を見にいくぞ。」と気合いを入れて寝るのですが、決まって目が覚めるのはもう日が昇り、窓から差し込む日差しで暑くてたまらなくなった頃でした。
 そして、その時間帯には決まってインド人の少年達が枕元に転がっているペットボトルを回収しに部屋に入ってきます。ガサゴソとベットの下を這いまわる音で起こされることもしばしばでした。

 インドでミネラルウォーターは外国人にとっては必要不可欠なもので、私の場合最低1日2本は買っていました。だから、旅行者がたくさん泊まっているドミトリー部屋では一日何本もの空きのペットボトルが散らかっており子供達にとっては格好の稼ぎ場所です。
 たまにまだ水の残っているボトルまで持っていこうとするので注意しないといけません。
 集めたペットボトルは業者に持っていくとお金になるらしく、ペットボトル回収は子供達のいい小遣い稼ぎです。

 たまに一本のペットボトルを巡るケンカなんかも始まって、「ここはお前たちの部屋じゃないんだから外でケンカしろ」と言いたくなりました。
 ちゃっかりした子供は漁夫の利でケンカしてる二人をしりめにせっせとペットボトルをかき集めて持っていってしまいます。
 しかしホテルの従業員に見つかると追い払われるので彼らも必死です。

 こうして子供達の手で集められたペットボトルはリサイクルされて新しくなって店頭に並びます。もしかしてインドは環境問題の先進国なのかも知れませんね。
 ただ、買ったミネラルウォーターの中にゴミが浮いていたり、蓋がゆるかったりすることも多々あるので、本当に工場で詰めた物か心配になります。
 ガンガーの水を濾過しただけでその辺の家で詰めているというウワサもありましたし、工場で作った物に不純物が混じっていないとは言い切れない国ですので。でも、ミネラルウォーターで調子が悪くなったことはないので、きちんとした商品だったのでしょう。


トイレは水洗が一番

ミネラルウォーター

インドの皿洗い

バラナシの病院

バナナ売り



インドの皿洗い

 旅をしていて食べるということは最大の楽しみです。
 そして現地の料理がどの様に作られているか見る機会があるとついつい見入ってしまいます。日本のそば打ちみたいにデモンストレーションをしているところや、キッチンに入らして貰ったりして料理を見ていると時間を忘れます。でも、キッチンを覗くのも善し悪しで、嫌な面を見てしまうことも多々あります。
 「料理なんてそんな物よ」という妻に言わせれば大したことも無いのですが、ろくに洗ってない食器を使ったり、汚いタオルで拭いただけのスプーンやナイフを出してきたりと、そういう現場を見てしまうとデリケートな私は少し食欲を無くしたりするのです。

 キッチンの裏側は日本でも外国でも大差は無いと思いますが、皿洗い現場は国によって違ってきます。水道設備が整っている国ではキッチンで食器を洗うのは当然のことですが、途上国等の水道設備の整っていない所では、近くの川や湖・池などで洗っていたりします。
 インドのガンジス川(生活用水が垂れ流しになっている)などはヒンズー教の聖なる水だから、インド人にとっては有り難い事ですが、旅行者にとってはちょっと怖い気もします。
 そして石鹸の代わりに砂を使うのもキャンプでもする方法なので良いのですが、牛の糞で皿を洗っているのを見た時はさすがに食欲が無くなってしまいました(強靭な胃袋を持つ槻木君談)。
 インド人やネパール人にとっては当たり前の事なのですが、いくら聖なる牛とはいえ、そして洗剤を使うことを考えればはるかに環境に優しいのですが、牛糞で皿を洗っている現場は一旅行者には生理的に受け付け難いものがあります。
 そんな現場を見たり、牛糞のかけらの付いた皿が出てきても平気で食事ができるようになれば旅も一人前です。そういう意味では私の旅など子供だましですね。
 ちなみに牛糞は臭いもきつくなく、乾かして燃料にも使え、乾かす為に壁にペタペタ貼り付けていたりします。ヒンズー教の国では神様である牛は宗教上だけでなく生活にも欠かせない存在です。

トイレは水洗が一番

ミネラルウォーター

インドの皿洗い

バラナシの病院

バナナ売り



バラナシの病院

 私は旅の荷物に使い捨ての注射器を入れていました。念のため断っておきますが私は麻薬中毒者ではありません。アフリカを旅していたときの事、ケニヤのナイロビで黄熱病と破傷風の予防接種をしました。世界中でエイズのことを騒ぎだしていた頃で病院でも「注射針は新しいものか」と確認して注射をしてもらいました。その時医者に「これからアフリカを旅するなら自分の注射器を持っておいたほうがいい。」と教えられ買いに走りました。ナイロビを離れるとまともな病院はないから注射器位は持っていないと、もしもの時に困る。注射で病気が治ってエイズになったなんて洒落にもならないから。

 ネパールのポカラでのこと、「これからインドに行くから肝炎と狂犬病の予防接種をしておこう」とポカラで一番まともな病院を教えてもらい行きました。受付で聞いた部屋に行くと机が一つおいてあるだけで(医学書の類やカルテ等何一つ無かった)ここで注射してもらうことが急に怖くなって引き返して来ました。そういえば泊まっていたホテルのオーナーが「うちの娘が虫歯になったときネパールにはまともな病院が無いからインドのボンベイまで治療に行った。」と言っていました。旅の途中では安心して病気にもなれません。

 さてインドのバラナシでのこと。同じホテルに泊まっていた槻木がある朝「オシッコに血がまじっている!!」とトイレから飛び出してきました。ナマケモノのようによく寝てる彼もさすがに眠気も吹っ飛んだようで、膀胱炎とか色々な病名が頭を駆けめぐったみたいです。急ぎ辞書を引っぱり出し、血=BLOOD,尿=URINEとだけ調べて大学病院へと出かけていきました。

 「いやー、やっぱりインドはすごい。」と帰ってきた彼は言いました。「病院もやっばりインドだわ。患者か浮浪者か乞食かわからん人間が廊下や中庭に溢れかえっていて包帯をぐるぐる巻きにされた患者が廊下に並べられているんだ。まるで野戦病院みたいに。」「へー、すごいね。」「いやー、それだけじゃなくって牛が歩いているんだ、牛が」「そりぁ、牛は神様だから病院に入ってきても不思議じゃないけど・・・」「それが患者の寝ている横を、建物の中を歩いているんだ。廊下を歩いていて患者の寝ている上の窓から首をだして外の木の枝を食べているんだ。いゃー、驚いた。」彼はしばらくインドの病院のすごさを話し続けました。

 その話を聞いて、病気になったら絶対にバンコク(バンコクにはまともな病院があります)に飛ぶぞと決心しました。彼は病院に圧倒されて診察してもらうのも忘れて帰ってきました。後日、彼は血尿の原因は、インド人同士の殴り合い(インドでは口論はよくありますが殴り合いの喧嘩はあまり見かけません)を野次馬根性まるだしで見物していたとき、とばっちりでお腹を殴られた為だと気が付きました。


トイレは水洗が一番

ミネラルウォーター

インドの皿洗い

バラナシの病院

バナナ売り



バナナ売り

 私のバラナシでの主食はバナナでした。インドに入ってから、インドのカレーに決まって入っている一種類か二種類のスパイスを胃が受け付けず、このスパイスが口に入ると胃がキューと縮まって食欲減衰、とても食べられなくなりました。暑い中ラッシーとバナナを食べて過ごしていました。

 バラナシのメインガートへのバザールにあるバナナ売りの露天商の店で、毎日バナナを買っていました。店のおじさん、というよりおじいさんは「1ダース40ルピーだ。」といつもふっかけてきました。「昨日は1ダース20ルピーで買っただろ。」と言うと「いや、今日は相場が高いのだ。」と、決まって応えました。「1ダース20ルピーでなければ他で買う。」と他へ行きかけると「OK今日は特別だ。持っていけ。」とあごをしゃくってこれも決まって応えました。

 インドでは首を傾げるのがYESの仕草で、日本ではいいえの仕草のようで最初は戸惑いましたが、見慣れるとこれが結構格好良く見え、またそれまで強気だったじいさんが他へ行く素振りを見せるとちょっと弱気に「待てっ、」と慌てて呼び止めて来る姿が可愛くて、いつも同じ交渉をして楽しんでいました。それが夕食後の日課になっていました。

 バラナシを出る日、「今日出発するから、最後にバナナを買うよ。1ダースいくらだ?」と聞くと「1ダース40ルピーだ。」とやっぱり応えました。最後だから何か一言あるかと期待しましたが、最後まで変わらぬ対応に、インド人のしたたかさと根性を見た気がし、「じいさん、長生きしてよ。」と思いました。

 インドの値段交渉は疲れますが、インド人も必死に儲けようとしているのだと思うと避けては通れない道だと思います。インド人は生きるのに必死で、こっちは出来るだけ長く旅したい思いで、その戦いの結果の価格が需要と供給のバランスのとれた価格、適正価格なのでしょう。インド人が10倍20倍の値段をふっかけてくるのも彼らにとっては金持ち日本人に対する適正価格なのでしょう。こっちがいくら自分が貧乏旅行者だと思っていても、インド人にすれば金持ちの旅行者にしか見えないのだから。

注、ここでいうインド人とはバザールなどの商売人のことです。


トイレは水洗が一番

ミネラルウォーター

インドの皿洗い

バラナシの病院

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