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私は旅の荷物に使い捨ての注射器を入れていました。念のため断っておきますが私は麻薬中毒者ではありません。アフリカを旅していたときの事、ケニヤのナイロビで黄熱病と破傷風の予防接種をしました。世界中でエイズのことを騒ぎだしていた頃で病院でも「注射針は新しいものか」と確認して注射をしてもらいました。その時医者に「これからアフリカを旅するなら自分の注射器を持っておいたほうがいい。」と教えられ買いに走りました。ナイロビを離れるとまともな病院はないから注射器位は持っていないと、もしもの時に困る。注射で病気が治ってエイズになったなんて洒落にもならないから。
ネパールのポカラでのこと、「これからインドに行くから肝炎と狂犬病の予防接種をしておこう」とポカラで一番まともな病院を教えてもらい行きました。受付で聞いた部屋に行くと机が一つおいてあるだけで(医学書の類やカルテ等何一つ無かった)ここで注射してもらうことが急に怖くなって引き返して来ました。そういえば泊まっていたホテルのオーナーが「うちの娘が虫歯になったときネパールにはまともな病院が無いからインドのボンベイまで治療に行った。」と言っていました。旅の途中では安心して病気にもなれません。
さてインドのバラナシでのこと。同じホテルに泊まっていた槻木君がある朝「オシッコに血がまじっている!!」とトイレから飛び出してきました。ナマケモノのようによく寝てる彼もさすがに眠気も吹っ飛んだようで、膀胱炎とか色々な病名が頭を駆けめぐったみたいです。急ぎ辞書を引っぱり出し、血=BLOOD,尿=URINEとだけ調べて大学病院へと出かけていきました。
「いやー、やっぱりインドはすごい。」と帰ってきた彼は言いました。「病院もやっばりインドだわ。患者か浮浪者か乞食かわからん人間が廊下や中庭に溢れかえっていて包帯をぐるぐる巻きにされた患者が廊下に並べられているんだ。まるで野戦病院みたいに。」「へー、すごいね。」「いやー、それだけじゃなくって牛が歩いているんだ、牛が」「そりぁ、牛は神様だから病院に入ってきても不思議じゃないけど・・・」「それが患者の寝ている横を、建物の中を歩いているんだ。廊下を歩いていて患者の寝ている上の窓から首をだして外の木の枝を食べているんだ。いゃー、驚いた。」彼はしばらくインドの病院のすごさを話し続けました。
その話を聞いて、病気になったら絶対にバンコク(バンコクにはまともな病院があります)に飛ぶぞと決心しました。彼は病院に圧倒されて診察してもらうのも忘れて帰ってきました。後日、彼は血尿の原因は、インド人同士の殴り合い(インドでは口論はよくありますが殴り合いの喧嘩はあまり見かけません)を野次馬根性まるだしで見物していたとき、とばっちりでお腹を殴られた為だと気が付きました。
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