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2001/2/12公開

旅の雑談その29 〜国内編〜


狐の穴

人買い

置き引き

米原の怪

サザエ減少   
  ・ヤシガニ絶滅

洞窟探検



狐の穴
 神秘の湖・摩周湖。

 摩周湖は火山の噴火によってできたカルデラ湖で、世界有数の透明度を誇る美しい湖です。夏は霧に包まれ湖面を見れるのは運が良いときだけ、冬は氷に閉ざされ、春の早朝は雲海に覆われます。
 そんな美しい湖は摩周岳に代表される外輪山に囲まれ、ごく一部・第一から第三展望台まで車の通れる道路がありますが、後は裏摩周展望台への道路と摩周岳につづく登山道があるだけです。

 ある晩秋、一人の美しく若い女性が摩周湖で姿を消しました。その女性の泊まっていたホテルの一室から彼女の遺書が発見されました。恋に破れた彼女は思い出の摩周湖を死に場所に選んだのでした。
 すぐに捜索が始まりましたが、それを待っていたかのように初雪が降り積もり彼女の消息も痕跡も全てその白い雪の下に隠してしまいました。

 そして、その冬のある日、別の女性がやはり摩周湖に死に場所を求めてやってきました。彼女も同じように遺書を残し、夕方ホテルを出ました。彼女の様子のおかしいことに気付いていたホテルの従業員は深夜になっても彼女が戻ってこないことに不安をおぼえました。
 「またか・・・。」
 でも、一年に何度も同じ様なことが続くはずがない・・・、従業員はそう自分に言い聞かせるしか不安な気持ちを落ち着かせることはできませんでした。

 翌朝になっても、とうとう彼女は戻ってきませんでした。従業員は彼女の部屋を調べました。女性の一人旅にしては少なすぎる荷物は広げられることなく、部屋の隅に置かれ、机の上には遺書が・・・。

 すぐに捜索が始められました。真冬の摩周湖で一晩たっているので、見つかっても命が助かる見込みは少なく、救助より遺体発見の意味合いが強い捜索でした。幸い、その晩は新たな雪は降らず、彼女らしき足跡もすぐに見つかりました。足跡は摩周岳の方へ続いていました。足跡をたどっていくと、途中で湖面の方へ何かが滑り落ちた跡がありました。注意深く斜面を降りていくと、小さなくぼみがありました。
 そのくぼみに若い女性が倒れていました。すぐに担ぎ出された彼女は息もあり、奇跡的に一命をとりとめました。
 彼女は死に場所を求めて摩周湖をさまよったのですが、夜になり急に死ぬのが怖くなり引き返そうとしたとき、足を滑らせ斜面を滑り落ちたのです。運良く引っかかった木の横に小さなくぼみがあり、そのくぼみ入り寒さに耐え、捜索の来るのを待ったのでした。

 彼女が救出され病院に運ばれた後、警察によってそのくぼみが検証されました。そのくぼみは狐の巣になっており、穴の奥から晩秋に消息を絶った女性の遺体が発見されました。その女性の遺体の顔半分は狐に食べられていました。

 その冬以来、摩周湖近くのホテルでは女性の一人旅は歓迎されざる客となりました。

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米原の怪/サザエ減少・ヤシガニ絶滅/洞窟探検


人買い
 学生の頃、授業を抜け出し繁華街をさまよっていると、特にまだ商店のシャッターが降りているような時間にぶらぶらしていると、よく「君、君!!」と声を掛けられたものです。
 話を聞くと自衛隊の勧誘でした。若者が朝っぱらから繁華街をうろついている姿を見ると黙っておれず、「自衛隊に入って心身を鍛えなさい」といったところでしょうか。

 さて、北海道を旅していたときのこと。知床の羅臼からウトロ方面へヒッチハイクしようと羅臼の市街地から知床峠に向かって歩いていました。ヒッチハイクのコツは市街地を出て、見通しが良く、車の停車しやすい道で手をあげることです。だから、市街地を離れ適当な場所まで歩いて行くところでした。
 道を歩いていると一人のおばさんに声を掛けられました。
 「こんなところを歩いていて、どこに行くの?」

 そして時間があるなら家に寄っていかないかと誘われました。私は特にあても予定もないので、そのおばさんに付いていきました。おばさんは私があてもなく旅していることを知ると「うちで働いていかないか?」と言いました。
 おばさんの家は昆布の養殖をしている漁師で、夏場は人手不足で困っているのでした。本格的に漁の始まる7月中旬頃までにはアルバイトの頭数を揃えなければならないのですが、地元では手が足りないのでフリーの旅行者を勧誘していたのです。そんなおばさんの前を私は通ってしまったのです。

 「網に掛かった」とおばさんは思ったかどうかは知りませんが、私は完璧に網に掛かり、その後昆布の出荷の終わる11月初めまで番屋(シーズン中だけ寝泊まりする漁師小屋)で生活することになりました。

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置き引き
 もう10年以上前のことですが、JR札幌駅で置き引きにあいました。駅の待合い室で列車を待っている時のこと。急にトイレに行きたくなりました。ボロボロのバッグだったし、周りにたくさん人がいるし、盗まれることはないだろうと思っていました。それまでも、何度も荷物を置いて席を離れても無くなることはありませんでした。実状はコインロッカーに預けるお金がなかったためです(せこい話、もったいなかった)。

 トイレから帰ってくると、あるはずの荷物がありません。
 すぐに交番に走りましたが、お巡りさんは構内のゴミ箱を見て回るだけで、「こりゃ、出てきませんね。」とあっさり言われてしまいました。金目のものだけ取り出して他はさっさと捨ててしまうのでしょう。
 男物の下着(そういう趣味の人間かも知れませんが)や着替えなど大した荷物が入っていたわけではないので、盗んだほうもがっかりでしょうが、当人にしてみれば、再び旅の道具一式買い揃えなければならないので痛い出費でした。カメラはそれ自体よりその中に写っている写真が残念でした。使っていた郵便局の通帳も再発行でした(印鑑はさすがに別に持っていました)。

 旅をしていると親切にされたり助けてもらうことが多いのですが、あの時はさすがに自分の甘さを痛感しました。
 その経験のおかげもあり、海外ではどこに行くにも荷物だけはしっかり抱き抱えて行動するようになりました。

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米原の怪/サザエ減少・ヤシガニ絶滅/洞窟探検


米原の怪
 沖縄の石垣島に米原キャンプ場というキャンプ場がありました。寒い本土をのがれ越冬する長期滞在キャンパーや何年も住み着いている主のような人が多くテントを貼っていました。
 数百メートルの砂浜の海岸沿いに数カ所の水場とトイレがあり、おのおの気に入った場所にテントを貼っています。

 私がそこでキャンプ生活をしていたのは1988年から1989年の年越しにかけてでした。丁度年号が昭和から平成に変ったときでした。
 それまで旅していた北海道の寒さを逃れ、暖かい南国の島で春まで過ごす。私の計画ではその間にサトウキビ関連のアルバイトをして新たに旅費を稼ぐ予定でした。
 それがアルバイトもせず早々にテントをたたんだのは、ある夜の出来事のためです。

 ある日、米原キャンプ場に警察の人間が何人かやってきて尋ねました。
 「この辺に土左右衛門がうちあげられていないか?」

 警察の話では、何日か前に少し離れた岬から飛び降り自殺をした人がおり、潮の流れから、キャンプ場周辺に打ち上げられる事が多いとのことで、調べにきていました。その時は見つからなかったのですが、数日後、キャンプ場から100メートル程のところに打ち上げられていました。私のテントからも200メートル程のところでした。

 そしてあの夜。深夜、何かがテントの回りをまわる気配を感じ起きました。起きたといっても金縛り中で目だけ開いている状態でしたが。
 月夜でもないのに薄明るく、音もなくテントの回りをまわる何かに怖がり屋の私は震え上がりました。
 砂地にテントを貼っているので、人間や動物なら足音がするはずだが・・・。
 次の日、私は早々にテントをたたみ、西表島に向いました。

 そんなことがあったので、私の米原キャンプ場は約1カ月足らずの短期滞在でした。

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サザエ減少・ヤシガニ絶滅
 石垣島・米原キャンプ場の話をもう一つ。

 サンゴ礁が広がる砂浜を前に、キャンパーがすること一つに食料調達があります。冬の海は南国といえども、長く泳ぐにはつらいものがあり、美しいサンゴと魚を見るためだけに海に入るのには少し勇気がいります。そこで、「夕食にサザエでも」と気合いを入れて海に入ったものです。
 引き潮の時には数十メートル位先までは歩いていけるのですが、歩いていける範囲にサザエはいません。正確には「いない」ではなく取り尽くされてしまっただけで、中身のない抜け殻だけが落ちています。しかたなく、潜れる範囲の少し深い場所(急に深くなります)で探すことになりますが、そこでも、なかなか見つかりません。それでも最初の頃は面白くて毎日のように海に入っていましたが、気が付けば海には行っているのは新参者ばかりで、長期滞在者はあまり入っていません。
 そのうち、私も労のわりに実りの少ないサザエ漁に飽きてしまって、海は泳ぐみのではなく、浜辺で寝そべって眺めるものに変わっていきました。

 さて、サザエは減少したとはいえ、まだ食卓にのぼっていたのですが、ヤシガニにはついにお目に掛かりませんでした。以前はキャンプ場周辺にも生息していたようですが、キャンパーが増えるにつれ絶滅に向かっていった?ようです。
 「ゆがいて色が変わらない奴は食べれない。ゆがいて赤くなったら食べられる。」そんな話をキャンプ場に住んでいるような主(実際、米原キャンプ場内・何々様で手紙は届きます)は言いましたが、一度ヤシガニという奴にお目に掛かりたかったものです。

 ちなみに、沖縄といえばハブですが、ハブは生息しています。ハブを捕まえ瓶に入れ、しばらく絶食させ糞を出し尽くさせたあと焼酎に入れ、ハブ酒を楽しんでいたキャンパーもいました。そして、骨だらけであごが鍛えられましたが、蒲焼きにするなどハブも立派な食材(貴重なタンパク源)となっていました。

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洞窟探検
 石垣島・米原キャンプ場の話をもう一つ。

 キャンプを貼っていると皆一度は足を踏み入れる場所がありました。キャンプ場から海に向かって左手に、砂浜を歩いていくと岩場に突き当たり、さらに少し行くと洞窟があります。その近くの森はかつて島民の墓場になっていて、掘れば人骨が出てくるという話もありました。観光地になっているわけではないので、少し準備がいります。懐中電灯にロープ(麻紐など長いもの)・軍手そしてヘルメット等があれば安全です。洞窟内は人一人通れるくらいの隙間やかなり広い空間など変化に富んでいます。広い空間からは何本かの通路があり、道に迷う可能性があるので、ロープをたらして帰りの目印にします。真っ暗で狭いので岩に頭をぶつけ血まみれになりながら、「ヘルメットがあれば」と思いました。

 規模は小さいですが、人の手の入っていない洞窟は楽しいものです。もし、米原キャンプ場に行くことがあれば一度探検してみて下さい。

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米原の怪/サザエ減少・ヤシガニ絶滅/洞窟探検


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