2002年2月、大学卒業後11年勤めた会社を辞めました。その理由はたくさんあって聞かれる度に「理由のひとつはね」と前置をして、そのひとつを答えていました。少し経って、「わたしは生きる態度を変えるために辞めたのかもしれない」と思いました。ピタリとくる言葉でした。それまでは、外で仕事はしていてもちゃんと暮してはいませんでした。自分の仕事も夫の仕事と比べて、本当の仕事は「誰かの人生を豊かにするもの」なんじゃないかと思っていました。夫のいる出版社は、出版物を通してたくさんの(100万人くらい)読者の人生を応援しているからです。わたしは仕事も含めて生きる態度を変えたいと強く思い、会社を辞めました。
会社を辞めて、次に何をするかは、大きな問題でした。「生きる態度」を変えるために辞めたので、その意味がなくなるような働き方だけはしたくなかったからです。もちろん、働く以上、お金を得たいと思います。しかし、次の仕事は「何をどう働いてお金を得るか?」が重要でした。以前の仕事は、自己実現がテーマだった頃に選びました。今思うと、自己実現の定義さえ曖昧で、気はずかしいのですが、80年代後半に大学生だったわたしには、大きなテーマだったように思います。そして、後で書く「3つの自由」のうち、「経済からの自由」を除いた2つの自由に反した選択でもありました。
わたしは週に2日程度、町のパソコン教室で先生をしています。この仕事を選んだ理由は、堺屋太一氏の「本当に自分が好きなことを見つけるための3つの自由」に当てはまったからです。わたしは、これを、仕事をするときの3つの自由ととらえました。本当に好きなこと=仕事になったら、こんな幸福なことはないからです。仕事を選ぶための機軸を持つことができてよかったと思っています。わたしには未来からの自由が一番難しいのですが、皆さんはどうでしょうか。(以下、定期購読誌「いきいき」平成15年1月号の堺屋太一氏談話記事より引用)
本当に自分が好きなことを見つけるためには、3つの自由を心に持つことが必要だと私は思います。まずは、経済からの自由。これは安いからいい。儲かりそうだからやってみようと、損得勘定で考えると、本当に好きなことは見つかりません。2番目は未来からの自由。これをやっておいたら、将来役に立つ。この人とつきあっていたら、先々得になるという発想をしないことです。3番目は、世間からの自由。これをやったら格好がいい、あるいはみっともない、という考えを捨てることです。 そのためには、あることをやっても、普通の人より疲れないことを見つければいいのです。たとえばゴルフをやったとき、ほかの人が1ラウンドでへばるところ、2ラウンド回ってもまだ続けたいとしたら、それは本当に好きだということです。
現在の仕事は、教える曜日や時間数も、ほぼ自由に決めることができるので、週に10時間ほど教える時間を持っています。時給で働き、生徒さんからも1時間単位でお金をいただいているので、月給制で働いていた頃に比べて、お金と時間を意識して働くようになりました。経済からの自由は、お金は少しでいいと考えることではありません。損得勘定で仕事を選ぶと、本当に好きなことは見つからないということなのです。好きな仕事に就けば、長続きします。長続きすれば結果的に得られるお金は増えます。つまり、時給で働いている場合は、就労時間に比例して収入が増えますし、年収130万円以上働いて、厚生年金の受給権も確保した方が、長期的な生涯収入は増えるというわけです。
わたしは、社会学者の山田昌弘氏の定義によると「自分の生活水準が夫の収入に連動する」専業主婦です。現在の年収は100万円以下ですが、会社を辞めた後の1年間は、自分の収入がまったくありませんでした。貯金はすべて家を建てるための頭金にしたため、自分名義の貯金もゼロでした。これはショックで、自由まで無くなったような気になっていました。 今後どのような仕事に就くか分かりませんが、3つの自由を前提に仕事をして収入を増やしていくつもりです。お金は、わたしの気持ちを自由にしてくれるからです。以下は、お金について考えるために読んだ本です。いずれも、amazon.co.jpで購入できます(2003年10月13日公開時)。