ひこうきの子守歌

信じられるかい わたしの話
あるときね仕事から帰る道すがら ひこうきに出会ったんだ
ひこうきは歩道を歩いていてね 
人々を見回しながら 歌をくちずさんでいた 
ぼくの記憶のが正しければこんな歌だったよ

 わたしは小さいひこうきだよ
 どんなときだって落ちないよ

その日 わたしは急いで家に帰らなくてはならなかった
それで思いついた
ちょっとお願いしてひこうきに 家まで送っていってもらえないかと

わたしは礼儀正しく挨拶した こんばんは とね
こんばんは とひこうきはこたえた
とてもやさしそうで わたしがためらわずに挨拶したことに感謝しているみたいだった
それでわたしは言ったんだ

おそれいります ご迷惑でしょうけれど
おねがいしたいことがあるのです 
どうぞ とひこうきは答えた 
そこでわたしはたのんでみた

ひこうきはしばらく考え込んで 
それからこころよく 返事した 
なにはともあれ 急いでお乗りなさい 
そしてタラップを取り出した

たいして遠慮することもなく わたしは機内に入ったよ 
ひこうきは 歩道から車道へすすみでて空へ飛び上がった
今までにないくらい早く家に着いたよ
本当に飛行機で帰ったみたいだった 
考えてもみなかったけどひこうきはうちの中庭に着陸したんだよ

わたしがとても感謝したら ひこうきは言ったよ
お礼にはおよびません そしてまた歩いて出ていった
おかしいな どうして飛ばないのかな
でも後になっておもったよ
ひこうきは仕事で一日中飛び回り 大空の高みから街を見てる
だから夜くらいは 通りを散歩してみたいんだな
家を近くから眺めるために

まったくとても優しいひこうきだった
わたしが散歩のじゃまをしたのに よろこんで飛んでくれた
わたしが時間どおり布団に入れるように