ここでは、個人的におおハマリしてる作品等を順次ご紹介していきます。
コミックが主にはなっていくと思いますが、分野、年代、もろもろにこだわらず、気の向くまま挙げていきます。さあて。何が出てくるのやら。


3月 

『空のむこう』(遠藤淑子)白泉社

遠藤さんの作品を読むときは人前は避けたほうが良い。笑ったり泣いたりとっても忙しいから。今までの作品でも随分とヤラれてきたが、久々の新刊を手にとってやっぱりヤラれてしまった。読み終わると目が潤んでいて、まるで花粉症のひどい人のようである。(この時期に相当苦しんでいる人>失礼;;)
今回の新刊はソフトカバーで読みやすい、B6判の綺麗な本。遠藤ファンなら間違いなく買い!であろう。開くとタイトルから笑える予感の「敏腕!茂合課長」で始まる短編集。頑張れ、茂合課長・・ってこれってシリーズでもっと読みたいなあ・・。
表題作の「空のむこう」は風土病に苦しむ小国の若き王と、国民の心の支えのために信仰の象徴として塔に入るシトゥラと呼ばれる巫女(=儀礼的には王の妻)の物語。王様のキャラがいかにも遠藤キャラで、飄々としていてイイ。坂田ファンならすかさず「鴨池 寂しき不良王子」(『半熟少年』マガジン・マガジン所収)などを思い出されるかもしれない。あの王子のキャラの、賢いくせにすっとぼけた感じがよく似ている。
シトゥラであるエーディンがこれまた賢く、潔い。王子がひとめぼれするくらいだから相当綺麗だと思う(その辺は想像でカバー)。運命を受け入れつつも、やるだけのことはやってみる、前向きな二人のラスト近くのシーンには思わず涙。
どうしてこの人はこれだけの短い作品の中で、理屈抜きに多くのことを伝えてくれるのだろう。物語の舞台設定、架空の国の風土、歴史、宗教、その他がちゃんと画面から伝わってくる。遠藤さんは華麗な絵で見せる人ではないが、この表現力、そして何よりも作風に合った画も好きだ。作品とエッセイ漫画で伺える人となりも。
それから読んでいて思ったのだが、これってもしかして、遠藤版・「続11人いる・東の地平 西の永遠」(By・萩尾望都)ではないだろうか。もちろん萩尾作品を真似た、なんていいたい訳ではなく、いい感じに取り込まれて昇華されてる気がした。いや単なる両者のファンである私の思い過ごしで偶然似た要素があるだけなのかもしれないが。遠藤さんも萩尾ファンだったらいいな、ってちょっと嬉しかったので。(そうそう、あのシーンは物書きなら一度やってみたいシーンだよね、みたいな・・)
収録作品は「敏腕!茂合課長」「あの子」「幸せになろう」「リンク」「こんな話」「空のむこう」「雨」「スノウ」「こんな話 その2」の9編。


2月 

『ハッピー・マニア全11巻』(安野モヨコ)祥伝社

安野モヨコという作家さんは今まで一冊も読んだことがなかった。友人が面白いよ〜と薦めてくれてもなかなか手が出ない。都会的なあの人、ちょっとお友達にはなれないかな・・なんて感じで。そもそも私は恋愛モノをあんまし読まない質だったんである・・。が・・。
今回いつものようにRさんがダンボールでドン!と貸してくださって、さてさて、と読んでみたら、いやもうこれが面白い。今度もまた自分の読まず嫌いを反省する日々である。
話は主人公の重田さんが幸福を求めて恋愛遍歴を重ねていくのだが、すぐ近くに自分にぞっこんの東大生がいるのにも関わらず、どうにもこうにもそっちには安住できず、自分にとって悪いほう悪いほう(ただし顔は良くて一見いい男)に向かい続ける。Hにはすぐなだれこんでしまうので、寝てから間違えたことに気づく。
結果、ストーカーに遭ったり 、刺されそうになったり、あやうく旅館の女将にされそうになったり、自称作家のどうしようもない男を支える羽目になったり、もろもろの失敗を繰り返す。人生の反面教師漫画、なのである。その重田に半ば愛想をつかしそうになりながらも結局は助けてしまう友人のフクちゃんがまたイイ女なのに、なかなか幸せになれない。
いつもお金には困ってるし、いきあたりばったりだし。実家には帰り難いし。仕事は出来ないし。だいじょうぶか〜おいおい〜〜と思いながらも笑ってしまうそんなコミック。
最後の最後までまったく世話の焼ける女。フクちゃんとの切っても切れない友達関係もいいし、ここまでされてもやっぱ重田にいくか、この男は・・というラストも良い。
実際にこういう女の子とは友達にはなることもないとは思うが、読んでいてあまりのおバカぶりが可愛くてしょうがなかった。でも、ホントの意味では重田は常に自分をどこかでちゃんと突き放して見る視点があって、決して単なるおバカさんではない。恋愛真っ最中には無我夢中で嵌るが、そこから冷めると自分への突込みを忘れない。そして自分の状況を他人の目で見ることが出来るので、不幸にも幸福にも酔わない。たとえば自分が外見的にいい男だと知る要領の良い、だけど中身も誠意もない男に一度はハマってもその中身のなさに次には気づける。幻想の中で生きるどうしようもなさにも気づく。だーっと突っ走るくせに客観的な視点を忘れない重田の自分突っ込みはそのまま安野さんの冷静な人生観・人間観なのかも。読んでいてそこがホントに気持ちよかった。
Rさん、ホントに薦めてくれてありがとー!!その感謝を込めてお薦めに挙げてしまおう。


1月 

『アマリリス1〜3続』(岩館真理子)集英社

今年最初のお薦め。何にしようかな〜と思ったらちょうど3巻が出ていてやっぱり面白いのでお薦めしときます。
一見儚げ、清純そうな桃田は勤めていた旅行雑誌社を辞めて家族でお花屋をやることに。開店まもなく父が倒れたので母と弟と切り盛りするが、最初はお客も少なく気が気ではない。一方、桃田は元同僚の赤井がかなり好きなのだが、花粉症に苦しむ&ちょうど美人の彼女から急な別れを告げられた赤井には急な退職の挨拶さえよく分かっていなかったようだ。
退職をきっかけに当の赤井が桃田を気にかけ始める。しかし、この二人、どうもすれ違うことが多く、前途多難な恋になりそう・・。
何が面白いって、見た目は大人しそうな桃田が実は大のホラー好きで、その趣味ゆえに周囲をかなり引かせてしまう変わり者であること。赤井の勤め先&桃田の元の勤め先の旅行雑誌社の面々、赤井の元彼女、上司の娘・鈴ちゃんなどが恋人未満の二人の付き合いをかき混ぜる。そのすれ違いっぷりが見ものなのです。 3巻も大笑いすること請け合いです。