ここでは、個人的におおハマリしてる作品等を順次ご紹介していきます。
コミックが主にはなっていくと思いますが、分野、年代、もろもろにこだわらず、気の向くまま挙げていきます。さあて。何が出てくるのやら。


9月 

『ピクニック』山田ユギ著 花音コミックス 芳文社

『彩(いろ)おとこ1〜(続)』鳥人ヒロミ 新書館 

『幻月楼奇譚』今市子 キャラコミックス 徳間書店 

うわー、今月買った3冊、全部BL;;と思ったが、どれもアタリだったのでお薦めに挙げてしまおう。今さんも山田さんももう前にお薦めに挙げてる作家さんだけど、相変わらず面白いです。
特に山田ユギさんはますます快調という感じ。今回の新刊も主人公がともかく可愛い。いまどきこんな健気な子は現実の女の子にはいないだろうなーと思うのだが、もしかしたら男の子にはいるのかもしらん、などと幻想を抱かせてくれる。ありえん!と思っても、心理描写や物語の運びに無理がなく、なんて可愛いの、けなげなの、、とすっかり術中に落ちている。やっぱフィクションはこうでなくては。
山田さんのキャラはよく泣く。いっぱいいっぱいになって言葉がうまく出なくて、思いが噴出すようによく泣く。私はこの人の描くキャラ達のそういう表情がかなり好きみたい。Hシーン、けっこうありますので、苦手な人には薦めませんが。

今さんの新刊は、限りなく昭和に近い時代の、置屋を舞台にした幇間と味噌屋の若旦那のふしぎな関係を軸とした話で。・・しかしこれは物語を一口に説明するのは難しい。芸がない(得意なのは怪談;)たいこもちに惚れた若旦那の素っ頓狂なキャラと、へらへら逃げようとしながら過去の闇を垣間見せる幇間の与三郎・・。二人を取り巻く人間関係の入り組み具合が今さんならでは、で。シーンなど描かなくてもさいごはふっと色っぽいあたりもさすが。

鳥人ヒロミさんは紹介を挙げるのは初めて。
前に友人にいいよ、と薦められて何冊か読んでいるので、見かければチェック入れる作家さんだったのだが、今回新刊を書店で見てこれは面白そう!と・・。やっぱアタリでしたね。こういう時は書店で棚を見る甲斐を感じる。
物語は大正時代、浅草に男性専門の和服店を出す訳あり三兄弟のお話。
デザイナー兼店長の長男はホモセクシャル。女顔で苦労しているが敢えて世の中の流れを自分の方にひきつけてやるという気概で店を出している。男はこうじゃなきゃ、という固定観念に真っ向勝負を仕掛けるあたり、ぞくぞくする。
外見は女性的、しかして中身は靭く一本筋が入ったキャラ。それでいながら性愛はやはり同性に向かう・・この裏返しの連続がこの人の持ち味なのかもしれない。なよなよした外見で中身も受身でそのまま受身、ってのではない。長男が惚れる相手がストイックな軍人さん。こちらは外国人の血が入ってるのかどうなのか、やはり外見が日本人離れしているというので苦労している。いわば両方世間的な「ふつう」ではない。さらにこの長男と次男にこなかけてくるバイセクシャルの用心棒なんかも出てきてすったもんだ。これは先が楽しみだ。
BLの中には、単に女性の代替としてのキャラの方が圧倒的に多いような気がするが、それでいちゃいちゃされても面白くもなんともない。単にHが同性に変わるだけで、それなら別にフィクションの甲斐もない。この人の作品にはそうした安易さがないのが好きだな。

8月 

『ムーンライダーズ詩集 ドント・トラスト・オーバー・サーティ』新潮文庫

私は頭の構造が偏っているらしく、歌詞のある曲を聴いてる間はクラシックは聴けなくなり、クラシックを聴き出すと歌詞のある曲を聴けなくなる。気分がどちらかに傾き、同じ時期にどちらも交互にというのは出来ない。ポップスを聴きだすとそのまま同じアルバムを何度も何度も聴いてしまう・・;
基本的にポップスは歌詞で聴くタイプなので(ポップスでも歌詞よりリズムや音の方で聴く人もいるはずだ)、気に入ったボーカル、気に入った歌詞がイコール好きな曲、となる。
そういう私のお気に入りは長い間ムーンライダーズだった。決して上手いとは言えない、だけど艶っぽい声と独特の詩群!シュールだったりセクシィだったりする言葉を舌で味わいたくて繰り返し聴いて覚えて歌った。今でもかなり歌える。
この本は彼らの詩をまとめたもので昭和61年発行。最初に買ったのは友人に贈ってしまったので、私自身が今手元に持っているのは平成13年に復刻したんだっけか、再入手した第二版だ。最近どうしても交響曲ばかり聴く耳になっていて彼らの音楽の方にはご無沙汰しているが、この詩集はたまに眺める。古くならない言葉達。凄い素敵だ。

7月 

『おいピータン!!1〜5(続)』伊藤理佐 講談社コミックス

伊藤さんといえば、お名前は見ていたし、作品もちらちら読んだことはあったと思う。だけど、まとまったものを読んでみたり意識して読んだことはなかった。が、コミックに詳しい知人と友人が揃って薦めるので、ほー??と思って書店で探していたら珍しく品揃えの悪い通勤路の書店に全巻揃っていたので、それも何かの縁かと買ってみて読んでみたらこれがまあ、ホントに面白い。

基本的には生活お笑いマンガである。けらえいこさんとかと並ぶのかもしれない。
最初の内はふ〜ん?面白いけど・・くらいの調子だったのだが、読んでいく内にどんどんどんどんツボに入っていくのだった。
ピータンというのは、作品の中で主軸になるキャラに、彼が行きつけのお店で同じような常連客カップルが密かに名づけているあだ名である。彼がその店で必ず頼むメニューがピータンだから、だ。
肥っていて、お腹も出ていて、顔も決して良くない。”ピータン”はそのカップルに( 彼女いなさそう、、)と思われていて、実際ずっといなかったのだが、彼は見かけによらずずっといい奴だし、決め細やかな神経を持ったかっこいい男だった。思いやりもあって、仕事もきちんとできる。そのピータンは食へのこだわりが非常にあって、行く先々のお店で顔を覚えられているほど、味の分かる男でもある。
そんな彼に彼女が出来るきっかけも食だった。会社で残業していた同僚の女性をたまたまおでん屋に誘ったら食べたい物、順番がまったく同じ!だったのである。彼女のほうも驚き、その驚きがいいお付き合いにつながっていった。
そんな二人のお付き合いや会社の女の子達の話、ピータンの元の彼女の話、などなどが短い中に食を中心に展開していく。生活の中のどうということのない場面の、よくある心理や風景が笑いの中に描かれる、その微妙な感じがすごくイイ。
長い連載の中でしかし飽きのこないこれだけのネタ。日々の中でこの作者は非常な観察眼や共感性をもってネタを拾っておられるのだろう。おおらかな雰囲気でありながらも実は繊細で心理のひだを大事にされている。

私自身は食へのこだわりが恐らくは薄い方なのだが、好きな作家や作品には食へのこだわりがイイ感じの方が多い。食を楽しみ笑いを大事にすること、そのキメの細やかさこそが読み手である私の快感の元である。