ここでは、個人的におおハマリしてる作品等を順次ご紹介していきます。
コミックが主にはなっていくと思いますが、分野、年代、もろもろにこだわらず、気の向くまま挙げていきます。さあて。何が出てくるのやら。


6月 

『知る辺の道』紺野キタ 著 幻冬舎 幻冬舎コミックス

少し前から紺野キタさんで何かお薦めを挙げたいと思っていたのだが、なんとなく挙げそびれていた。私がこの作家さんを読んだのは、坂田さんが水の森シリーズを描いていた『コミックモエ』の『秘密の階段』だったが、あの本の中で坂田さんの次に楽しみに読んだ作品だったのだ。
絵は柔らかく優しい。とっつきがいい代わりに無難といえば無難。物語りもそうなのかなーと思うと、これが優しいだけではなくて、心にひっかかる何かがある。それは何なのだろう、といつも思う。一見、鼻につくような優しさ、優等生臭が漂うかに見えてそうではない、どこか斜からも見るような面白い引きがあるのだ。この斜に見る部分が好きで、だが、やっぱり後味もよく、爽やかでもある、という二面性に私は惹かれたように思う。
特に女の子の描き方がいい。ボーイズも描かれるようだが、この人は女の子をたくさん描いた方がより味が出てるように思う。
『知る辺の道』は今市子さんの『百鬼夜行抄』の律の少女版みたいな感じ。あちら側とこちら側の境界的存在の少女・真央は、足を悪くしたおとうさんと二人暮し。が、実はこの音お父さん、もうとっくにあちら側にいかねばならないのを真央がその力でこちら側に引き止めている。あちら側への案内人(真央は死神と呼ぶが)に目をつけられ、お父さんの件を見逃す代わりに、案内人のお手伝いをする羽目になる・・。
女の子の制服が黒い帽子に黒いケープつきのマント。一応日本が舞台のはずだが、どことなく欧州風、ファンタジーならではの魔女学校風でもある。この真央の話2編の他に中編が4つ。これがいずれもイイ。もっと読みたくなる。
あまりたくさんは読んでいないので、まだこれから未読の作品がたくさんあるので見かけたらどんどん買ってみようと思っている。楽しみな作家さんだ。


5月 

『願い叶えたまえ』西田東 著 芳文社 花音コミックス

なんたってPNがイイ。にしだひがし。佐藤史生(さとうしお)に勝るとも劣らない。この人の名前はたまに書店でチェックする『花音』で特集予告のカットがあって(へぇ?地味な絵だけど人気あるんだ??)と気になっていたのだが、これまたミクシィのブログでKはらさんのお薦めレビューを読んですっかり背中を押されて買ってみた。イイ。これから出る本は買おう、と決める。そんで、この新刊だ。

世の中オカルト・ホラーブームから純愛ブーム、らしい。日本映画にあまり興味がもてないのでセカチューも見てないですが、世間はピュアな愛を感じたがってる、らしい。 ところで純愛ってなんだろう。とっても困難な状況にあってもその人だけを愛し続けるシツコさみたいもん。そんで愛ってのは一方で非常にこっぱずかしい。大体、人を好きになって抱きたいだの抱かれたいだの感じたら、あなた、あーゆーことやらこーゆーことやら人様の前ではできないようなかっこわるい思いをしなくてはいけない。本来「恋愛」なんて正気じゃできない。

今回の西田さんの新刊は、ピアニスト(くずれ)の主人公とぴかぴかのヤクザのお兄さんとの純愛を描くモノ、みたいだ。多分、これ以上ない困難な状況におかれた愛。ヤクザのお兄さんはヤクザってだけでなくどこか心が壊れている。その詳細はまだ分からない。 ピアノを通じて出会い、ぎくしゃくと近づく二人。だけどお兄さんの商売が商売だけにとんでもない目にも遭う。

これは描き手によっては全然別の重たい話になるだろう、気取ることもできる、スタイリッシュに走ることも出来る。だけど西田作品には独特の軽さがあって、どこか笑えるんである。ピアニストくずれの主人公の飄々とした庶民的な味は他の作品にも共通してるが、耽美に堕ちない、堕ちることが出来ない。絵は全般に書き込みが少ないしおおざっぱな感があるが、いいんだ、この人はこれで。
絵が上手い人はたくさんいるが、自分の書きたい物語を真に持ってる人は殆どいない。西田さんはそれを持ってると私は思う。
物語の二人の噛み合わない恋愛のように、とても不器用だけど伝わってくるモノがある。
これはどう転がっていくか楽しみだ。

・・願わくば、次の巻を早く読ませたまえ。


4月 

『愛がなくても喰ってゆけます。』よしながふみ 著 太田出版

もしかして、この本のカテゴリは「グルメ」の方だったかもしれない
久々に入った近所の書店で目に入ったのがこの一冊。よしながさんの新刊だーー!と即効購入、手に取った時になんか不思議なノリの表紙だな??とは思ったが、よしなが本は何がなんでも買ってしまうことに決めてるので中身はその場ではよく見なかった。で、帰って読んだ内容はなんとよしながさんによる美味しい店の紹介。
どこまでがネタでどこまで実際が反映しているのか、よしながさんの近しい存在の方ならきっとよく分かるのだろうけども、一応本の片隅には「全てフィクション」とある。ただし、作中に出てくるお店やメニューは実在で、別枠で紹介がきちんと載ってる。
で、限りなく作者と思われるYながさんが出てきて周辺の人たちと出かけていき、実際に美味しいとYながさんが激賞するお店での食事を日常話に織り込んで描かれている・・それがもうむやみに面白い。
締め切りに追われて化粧っ気のないリアルな描写、うーん;;こういう感じで自分を描かれる漫画家さんって女性ではなかなかいないんだよねえ・・とっさに浮かんだのは新井理恵さんだけども。。。
”笑い”を描かれる方はどこまでも客観的なのでギター侍が自分を最後必ず切るようなもんなんだよね・・;私がよしなが作品を好きなのも、この笑いのもつ客観的でやや自虐的な感覚なんだけども、それにしてもリアル、、、でもどこまでネタなんでしょ、、、(最初に戻る、ぐるぐる@@)お化粧して決めるとかなり派手ってのも??なんか分かる気が、でも真に受けていいのか??(ぐるぐる@@)

前々からよしながさんの作中の人物達が非常に美味しそうなものを作ったり食べに行ったりしてるその描写から、よしながさんが大層美味しんぼさんであることはひしひし感じていたし、何かのインタビュー記事でもそういうことを読んだ気がする。大体あの『西洋骨董菓子店』だって相当な知識だったもの。好きじゃなければ描けない〜〜。
残念ながら私自身はグルメではない・・。まして健啖家には程遠い。ケーキ2個食べるのがやっとだ。なのに、私が好きな作家さんはけっこう美味しんぼさんが多くて、作品の中でもいつも美味しそうに食事をする。それは既に私にとっては体験できない事柄の一つになってしまうのだけど、美味しいものに執着する話を読むのはけっこう好き。
・・ということで、この作品もいろーんな意味で非常に面白く読みました。
都内近郊の方にとってはグルメブックとしても機能する一冊。一冊で二度美味しいとはまさにこのこと?