ここでは、個人的におおハマリしてる作品等を順次ご紹介していきます。
コミックが主にはなっていくと思いますが、分野、年代、もろもろにこだわらず、気の向くまま挙げていきます。さあて。何が出てくるのやら。
9月
『ピリオド1・2続』吉野朔実 著 小学館 IKKIコミックス
1巻も怖かったが、2巻はもっと怖かった〜〜〜っ!吉野さんってどうしてこう狂った人を描くのが上手いのだろう。特に、主人公の父親が大学教授と聞いた途端(そして、その父が今は病のため、兄弟は施設に預けられ、母は行方知らずという状況を聞いた途端)、教師が公然といじめを開始する。
理由はおそらくは教師自身の学歴へのコンプレックスというやつなのだろうが、そのいじめはどんどんエスカレートしていく。本当に身の毛がよだつような場面の連続だった。
もしかしたらこれに似たようなことはどこかでリアルに起きてるんじゃないのか??とも思った。
そういえば、どっかの高校の野球部監督が部員を全裸で校庭を走らせていたという話など実際にあったじゃないか。
そんなコワイ話が、吉野さんのクリアで美しい描線で描かれるのである。キレイでコワイ。
そしてまだ続いている…。
8月
『ヒストリエ1−2続』岩明均 著 講談社 アフタヌーンKCコミックス
・・ということで、『ヒストリエ』である。『ヘウレーカ』の読了感がまだまだ読みたいぞーこの世界〜だったのだが、これが2巻ともに出ていたのを入手してから読んだので、すぐに一気読み。しかもこちらはまだ続いている。お陰で楽しみが増えて嬉しい。
『ヘウレーカ』がアルキメデスならこちらはアリストテレスのいる時代である。
コミックにある説明によると、主人公エウメネスは後にアレキサンドロス大王の側近として細かな記録「王宮日誌」を残した人物なのだそうだ。
1巻目巻頭の登場シーンでは『ヘウレーカ』主人公ダミッポスの従弟?と見まごうほどキャラは被る。
彼はいったいどんな人物でどこへ行こうとしているのか、予備知識がないので分からないまま読み進むと、今度はいきなりアリストテレス大先生が現れる。ペルシア帝国からスパイ容疑で追われてるのだという。
読んでいく内に徐々に時代背景が分かっていくが、歴史に弱い私は、まっさらなまま、それでどうなるのどうなるの、と読んでいく。これが面白い。
当時の書物、市場の様子、戦い、奴隷制、その残虐・・・漫画家さんというのはどんな資料を読み何を調べればこんな風に具体的に絵に出来るのだろう。やっぱ凄いわ・・と改めて感動する。
歴史モノというのはどこか重たくて読者にも体力・気力が要るようなものが多いのだが、この人のは飄々とした視点があるのが私には無性に読みやすい。こんな風に思うのは私だけかもしれないのだが、山岸さんの歴史モノと共通したテンポ感がある。絵の筆致が空間が多くそれでいて無駄なく空気が伝わるところとか。
1・2巻は同時発売だったらしい、2巻が出たのは昨年の10月。3巻はまだかな〜。早く続きが読みたいぞ!!
7月
『ヘウレーカ』岩明均 著 白泉社 ジェッツコミックス
先日ようやく『ヘウレーカ』を入手して読んだ。『寄生獣』の岩明さんが久々に出した本として話題になっていたのがもう一昨年だったか、相変わらず自分のテンポでしか本を読まない;
『ヘウレーカ』とはアルキメデスが浮力の原理を発見した時に発した言葉、(英語だと)ユリイカ=我発見せり。
ということで、こちらはアルキメデスの時代、ローマの同盟市であったシラクサがカルタゴに寝返った為ローマとの攻防になり再征服されるまでを(ヘンな名前の)ダミッポスという一人の若者を通して描かれている。私は塩野七生さんの『ローマ人の物語』の中でこの時代、カルタゴにハンニバルがいた時代の話が一番面白かったので、読んだ時に、ああ、ハンニバルの時代だーと感慨深かった。(・・が例によって内容はあまり覚えていない;)
ハンニバルと同時代にアルキメデスがいて、シラクサの王の要請でその発明品が市を守る武器として使用されていた、なんてことは全く知らなかった。物語の中でアルキメデスはもう半分ボケかけたじいさんで、献身的にしっかりと面倒をみる女性がいるが、弟子達は既に寄り付いていなかった。ダミッポスは彼の恋人=シラクサに住むローマ人女性=を匿ってもらうという流れの中でアルキメデスの邸に住み、そのことで彼の発明した武器の威力、それを使う軍の指揮官のイカレっぷりを間近にする。
戦いを描くシーンは殆ど殺戮、残虐シーンが繰り返し描かれる。だから物語は勿論重たいテーマなのだが、この作家の筆致は例えば『ベルセルク』の三浦さんのような、読み手にも体力が要るような感じはない(すみません、変な比較表現ですが)。
どこか不思議な時間感覚、これは当時現実に生きていたら、戦時下でもこんな感覚だったのだろうか、緊張の中にも弛緩があるという日常の時間。
戦争にはっきり参加しながら、終わったあとランチを楽しむ女性達の時間。
惑乱の中にいながら、達観して常に冷静に、しかしいざとなれば迷わず行動する若者・ダミッポスのキャラと視点が非常に心地よい作品だった。
レビューを散見するともう一歩、というのもけっこうあったようだが、それは恐らくもっとこのキャラを読みたいという気持ちにさせられるところで終わっているからだろう。
が、幸い私はこのシリーズ、ともいうべき『ヒストリエ』が既に2巻も続けて読めたのである。
遅く読むのもこういう時はいいな、と思った次第。
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