『坂道のアポロン』1〜2・続 小玉ユキ著・小学館
『フラワーズ』に連載されている小玉ユキさんの作品。これがまた凄くいい。ひ弱な転校生で眼鏡キャラの主人公・薫が不良と恐れられている千太郎とジャズ音楽を通じて仲を深めていく。九州ののどかな田舎で転校生の自分に何かと親切にしてくれる律子に恋心を抱くが、律子は幼馴染の千太郎が好き。そして千太郎は新しく知り合った美人に・・・と恋は三角関係ならぬ四角関係の様相に。
青春模様を力みなく新鮮に描いていく個性派作家の今後の展開にますます期待。
『雪月花』『大門パラダイス』 松田奈緒子著・詳伝社
「雪月花」
明治に生きる二人の姉妹。何不自由なく育てられていた姉妹はしかし血はつながっておらず、美しく華やかで男に媚びるような生き方を選ぶ妹に対して姉である主人公・光子は妹が”女郎の子であるから”と思っていた。事業に失敗し汚名を着せられた父が自殺した際に彼女が知るのは、姉妹は二人ともに養女であり、女郎の子は自分の方であったという真実。それでもまっすぐに生きる光子は下働きをしながら勉学への夢を捨てない。ある日行き倒れそうになっているみすぼらしい年配の女性を助けるが、それは豪商の女主人・橘カツであった。豪放磊落なカツに気に入られた光子は養女となる・・・。そして思想と行動に自分と同じ志を感じる橘の甥・馨と結婚し、幸福を得る。一方、妹・喜久子の方は自分の容貌と奔放な性を武器に世を渡るが、男を破滅させ、自らも孤独の中で死を迎える。
変動する時代の中で運命の波にもまれながら対照的に生きる二人の女性を描いた力作。
「大門パラダイス」
貧しさの中で吉原に売られてくる少女達。容貌に恵まれるもの恵まれないもの・・・本来は育ちもよく、容貌にも恵まれ賢く優しい妙、元々は田舎育ちで親もいないりん。りんは妙を慕い、いろいろと教わっていく中で二人はともに花魁として客を取るようになるが、その立場は徐々に変化していく。ただ実家のことを思い妹を思いひたすら我慢するだけの妙に比べて、自分の仕事に誇りをもち客を大事にするようになり頭を使うようになったりんには質のいい客が付き始める。暗い妙には執拗でただ権高なだけの客が増え、その無理の中で妙はとうとう身体を壊し、心の支えにしていた妹が死んだことを知り最後には狂い死にしてしまう・・。対照的な二人の女性の生き方に焦点を当てながら、吉原に生きる様々な女性達の苦しみや強さ、哀しさを描いたこちらも渾身の作品。
装丁もよく、非常に質の高い二作が収録された本だと思う。
『午後のお茶は妖精の国で』 遠藤淑子著・詳伝社
なんせ遠藤さんのファンタジーなのでどこか力が抜けていてイイ!妖精と現役女子高生の掛け合いには大うけである。それでいて最後にはほろっとかじーんとかちゃんと心に残るものがある。やっぱ好きだーー遠藤さん〜〜v続きがあるらしいのでまた続刊が楽しみだ。
|