灸のおはなし


 灸の材料━艾(もぐさ) 

艾は蓬(よもぎ)の葉から作られます。蓬の葉からつくられる艾は、他の材料と比較して、人体の皮膚、組織に対する損傷が少ないうえに、爽快感があり、適度な熱刺激を組織に浸透させることができるという理由から、今日まで利用されてきました。
 蓬は菊科の多年草です。葉の裏面にある柔毛からできている線維様の物質が艾となります。この柔毛は毛茸と腺毛という2種類の物質から成り立っていて、腺毛には揮発性の精油が含まれています。精油の主成分は、テルペン類に含まれるチネオールで、これらを燃焼させると艾独特の芳香を発します。
 蓬は単に灸の材料ばかりでなく、保健剤、解熱剤、駆虫剤、利尿剤、止血剤、防腐剤、胃腸剤、調経剤などの効用もあります。


 灸の種類

有痕灸と無痕灸のに大別されます。
有痕灸とは、直接皮膚の上の一定部位に艾柱を置いて、それに点火し、生体に温熱的刺激と火傷を与えて、それに伴って生ずる生体の反応を利用することを目的としたものです。
透熱灸(一般に広く行われている灸法)、焦灼灸、打膿灸の3種類があります。
無痕灸とは、灸痕を残さないように、また強い熱感を半減させることを目的とする灸法で、火傷が起こらず、やわらかな温熱刺激を伝達させ、効果的な生体反応を期待することができます。隔物灸と温灸に分類されます。
臨床では、透熱灸と温灸がよく使われます。透熱灸は神経に作用し、反射的に遠隔部の血管を拡張し、温灸は伝導熱、輻射熱により、直接局部の血管を拡張させます。


 灸頭鍼について

刺鍼中の鍼の鍼柄部で、艾球をを燃焼させます。刺鍼効果に温熱効果を加えるものです。非常に気持ちがよく、冷え性にもってこいの治療法です。


 灸の治療的作用

鍼治療の作用でもある調整作用、誘導作用、反射作用の他に、増血作用、止血作用、強心効果などがあります。


 灸治療の適応症

鍼治療の適応症とほとんど同じですが、個人が家庭で毎日施灸することが可能なことにより、慢性的疾患の自己管理に効果が期待できることがその特長です。


 瞑眩
鍼灸治療後一時的に病状が悪くなり、のちに急速に回復することをいいます。倦怠感、吐き気、嘔吐、肩こりなどを伴いますが、2〜3日で病状が軽減します。鍼あたり・灸あたりといい、誤治、刺激過多とは区別します。

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