窓
風の耳 2006.8
飯島 星/作詞 高橋喜治/作曲の合唱作品“YAISAMANENA”が先月の3日、サンフランシスコ公共図書館で開かれた北カリフォルニア合唱連盟主催の第1回合同合唱祭で 当地(シリコンバレーで活躍)の合唱団「コーラル コスモ」(指揮は香川恵子 Keiko Kagawa-Hamiltonさん)の皆さんによって演奏されました。
“YAISAMANENA”は1995(平成7)年7月7日に横浜の本牧地区で「北海道と本牧を天の川で結ぶ会」の主催で開催されたイヴェント「天の川777フェスタ」の記念曲として作曲された作品。「自然の豊かな北海道も、都市開発のすすむ本牧も、同じ地球星という共通の空間にあります。/地理的に離れ環境の違う所で暮らす人々が、平成7年7月7日に『天の川を通し、大空や大自然に対する畏敬の念をあらためて意識しあう。』ことが出来たら素晴らしく、ビルに囲まれた横浜の子供達にも自然を意識させるいい機会だと思う。」(当時の会の計画書からそのまま引用)という会の趣旨に概ね賛同して「新しい七夕の歌を」という要望にも応えて、飯島星とのコンビで作曲し、その777のラッキーデイに、横浜の本牧のかささぎホールで、中館伸一さんの指揮によるウイングコール(女声合唱団)と かながわフリーダムシンガーズ(男声合唱団)の皆さんによる合同演奏、ソリストに鶴岡恵さんのソプラノ、藤崎啓之さんのバリトン、桜井理恵さんのピアノ、金田真一さんのパーカッションというまさにVSOP(Very Special One time Performance)による初演がなされたのでした。この会では以上のような理念の基に横浜の本牧地区と北海道の上ノ国町との交流を行いましたが、双方の子供たちのホームステイや天の川※の公園に飾るレリーフや天の川※の小石などのプレゼント交換なども行われ、今でも交流は続いているようです。
※「天の川」という美しい川が実際にあり、翌月の旧暦の七夕に併せて行われたその川にかかる「天の川橋」の開通式に私は子供たちに同行して行ったのでしたが、その辺のことは機会があればまた書きます。
初演後さまざまな方からさまざまな演奏形態の編曲の機会を与えて頂きました。依頼により 時に自主的に さまざまなヴァージョンが生まれましたが、その数も一昨年の8月に開かれた「第27回合唱団カベル定期演奏会」で初演されたものでヴァージョン21を数え、間もなくフルート独奏版とチェロ独奏版も生まれようとしているので、もうすぐ24になる訳です。数が多いからと言って別に自慢にはなりませんが、こうしたことは私には異例のことに違いはありません。
このさまざまなヴァージョンを持つ「YAISAMANENA」については楽譜の整備と平行して今後徐々にページをアップして行きます。
さて、今回のこのトピック掲載は、“YAISAMANENA”女声版の楽譜をお求めになられるのに当サイトに行き当たったサンフランシスコで合唱の指導にあたっていらっしゃいます三浦るり子さんからのメールがきっかけとなって実現したのですが、もしよろしければ合唱祭の情報をお寄せ頂けませんでしょうか? とお願い申し上げたところ、とても詳しいリポートをお送り頂きました。ありがとうございます。海を越えた地での合唱シーンがよく窺えるリポートです。以下にご本人ご了承の上、掲載させて頂きます。若干の註を文中に挿入させて頂きました。
※1 正式な依頼が私にあったわけではなく、これには初演指揮者の中館さんの働きかけがあったのです。楽譜を伴奏ピアニストの方が持って行かれて実現したと日記には書いてあります。コーラルコスモの第1回コンサートで演奏され、そのライヴ録音のプライヴェートCDを私は中館さんから頂き大切に持っているのです。直接連絡を受けているわけではありません。
今 思えば、この“YAISAMANENA”を作曲したことが契機となって、アイヌ民謡、アイヌ語、アイヌ文化へと傾倒して行ったので、この曲がなければ、2001年に作曲した現代邦楽グループ真珠(あらたま)委嘱による<交響曲 大地の歌>も2003年に作曲した新日鐵君津合唱団と合唱団カベルの合同委嘱による<父は空 母は大地>も生まれなかったかも知れません。「大地の歌」は当時モンゴルを襲った異常な雪害による草原の砂漠化などの大災害の報道が契機となり発想されましたが、寮美千子さんの編訳によるネイティヴアメリカン シアトル首長のスピーチに基づく「父は空 母は大地」と共に、それらの作品はアイヌのスピリッツと響き合う内実を持っているからなのです。そしてそれ(アイヌ的スピリッツ)は、今だからこそ、地球環境や国家間 民族間の問題でのさまざまな意味での危機に満ちた今であるからこそ、あらたに認識され活かされなければならないことのように思えてなりません。
♪YAISAMANENA(オリジナル前半部分)♪
今や私のホームグラウンドとも言える(?)女声合唱団Asukaのための新曲が完成しました。終わらない憂鬱な長い梅雨の中でも見えない不思議なちからを与えてくれる寮美千子さんの詩に導かれるように楽しく作曲できました。
風の足跡
先日(7.1 BDT18※)委嘱作品が初演されたばかりの室内アンサンブル Bouquet des Tonsのトリオ(Fl,Vn,Cem)のメンバーによる興味深い場所 北斎館(長野の小布施町)でのコンサートです。チェンバロ奏者の猿渡紀子さんのために書き下ろした前奏曲(.....木洩れ日)が早くも再演される他、エピタフ(ラヴェルの墓)作曲中に書いた日本の歌の編曲ものもイベールやバッハの作品と一緒に演奏されます。
コンサート詳細
また、BDTによる先日の演奏の一部を試聴ページで公開中です。
♪BDTのための編曲作品の試聴ページ♪
2002年の3月、私はBDTの面々と同行して小布施の新生病院のオープンスペース「メイプル」で開かれた海外医療協力チャリティーコンサート「つぼみコンサート」にピアノで出演しました。“3月(.....小さな賛美歌)”はその折「宮島義人さんを送る聖歌」として作曲され 演奏 宮島氏に献呈されたもの。古い教会旋法による極短い(1分弱の)小品。
昨年(2005.10.31)、コンセール・パリ・トーキョウ(野瀬百合子さん主宰 下記リンク参照)主催のエリック・ル・サージュ公開レッスンで出会った(と言っても同窓生でしたが)ピアニスト西川理香さんのコンサートのためのアンコール・ピースを書きました。曲はカタロニア民謡“アラゴンの淑女”。コントラバス奏者岡田友希さんとの共演のための編曲です。
コンセール・パリ・トーキョウ
終わりました。当日はお聴き頂いたお客さんから直接ご感想やご意見などを頂きまして有意義な一時を過ごさせて頂きました。<エピタフ(ラヴェルの墓)>は私にとっては新しい試みでしたが、終演後「北海道庁爆破事件」のことを知る機会にも恵まれました。BDTの皆さん、足を運んで聴きにいらしてくださった皆さん、本当にどうもありがとうございました。これを機会にもっともっとラヴェルの音楽のこと知って欲しい(blogエッセイ掲載予定)。「ぼく」の音楽のメッセージのことも 知って欲しい と、願わずにはいられません。では。
BDT18
このページでは本サイトと作曲家高橋喜治に関するニュースをお伝えしていきます。