春名寺の由来


春名寺は、今から四百数年前に 石川県金沢市の郊外、 北陸の地に建立された小さな尼寺でございます。
戦乱の世に傷ついた女性を救うため、 また、悲しいさだめの水子の霊を救うためが、 建立の目的にございました。

その後、加賀藩百万石、前田家のご側室のお世話を させて頂くとともに御加護を頂いたことが誇りではごさいますが、 それにもまして太平の世には、城下町・金沢の色町ではたらく 多勢の芸鼓さんやお女郎さんのお世話ができたことを 誇りに思います。

春名の寺は、観光客の訪れる賑やかな寺ではございません。
片田舎の小さな小さな尼寺にございます。
冬は雪に埋まり、春はサクラ咲き、夏は緑に包まれ、 秋は紅葉に染まる、自然の中に同化し、季節の輪廻をともにする、 そんなお寺にございます。

大勢の参拝客の来訪よりも、たった一人の女性の悲しみに 耳を傾けるのが春名の寺の務め。
尼僧のわたしどもにできることは、同じ女性として 悲しみを分かち合い、ともに泣き、ともに苦しみ、 そして、ともにお子様のたましいの成仏を 祈ることが務めにございます。

誰にも知られず、大地に座し、風を呼吸するのが、春名寺の姿。
女性の悲しみを念仏とともに浄化させ、命に代えても秘密を 守ることを使命とし、仏を尽くしてお子様の霊を成仏させるのが 尼寺の姿にございます。


忘れ去られたお寺


10数年前に春名寺は、ある観光の雑誌に載ったことがありました。
その時は全国から女性が集まり、たいへんな混雑になって しまいました。
小さな尼寺で、お迎えできる施設もございませんし、 尼僧も少なく、とても対応できません。ご近所などにも迷惑を かけてしまいました。
水子供養なさる方のプライバシーもなにもございません。 これではいけません。
そして、なにより残念だったのは観光気分で訪れて、 気安く供養を依頼する方の多いことでした。

それ以来、春名寺は住所や電話番号を公開することなく、 お問い合わせにもすべてお断りしてきました。 ようやくこの頃、人様から忘れられ、静かになった環境で、 お供養と修行と、そしてご奉仕に専念させていただいております。 当寺は観光のためのお寺ではございませんので、 この方針は変えることなく続けていくつもりでございます。

女性の縁談ともなると、あの手この手で秘密を探ろうとしたり、 その秘密を高い値段で売買したり、卑劣な手段を駆使してまいります。
尼寺は、そのようなことは絶対許しませんよ。縁談に関係なくても、 すべての女性を守り抜きます。

それにしても、あの数の水子はどこへ行くのでしょう。
マスメディアには安易な水子供養を助長する欠点もございましたが、 まじめに供養を考えて、我が子の冥福を祈っていた女性も多かったのです。

そんな方に、次のお言葉をお贈りいたします。
お釈迦様が晩年に死病を患った時、悲しむ弟子達に言いました。

『みずからを光とし、みずからを依りどころとしなさい。』

私を慕って悲しまなくてもいいのですよ、 あなた方が、心静かに両手を合わせた時、あなた方の心には 仏の光が宿ることでしょう。
あなた方は常に私と結ばれ、常に私と出会っているのです。
あなた方の心を大切にしなさい、心の中の仏を大切にしなさい。
私はいつもあなた方とともにいます。

春名寺の水子供養に、信教や宗派をとわずに供養するのも、 また、お祈りする形式にとらわれず、各地からメールを通じまして 供養を受け付けていますのも、理由はここにあります。
消えてしまった生命ですが、決して「無」になり消滅したわけでは ございません。
あなたの心の中に生きています。
今は会うこともかなわぬお子様ですが、心の中でたいせつにして あげようと、お考えの方、心から冥福を祈り、 やすらかな成仏を願う方は、 春名寺とともにお供養いたしましょう。



作者の紹介

春名寺住職、松島薫心尼

五十代の尼僧にございます。
春名寺の住職という、伝統と責任ある地位を受け継いでおります。
奉仕と祈りが私の使命と考えると同時に、それが当寺の歴史的な 伝統を守り、社会的な責任を全うすることと考えております。
趣味は畑仕事で汗を流すことでございます。

この度、インターネットにホームページを作ってくださると いうことでお願いしましたら、まあ、なんとカワイイのでしょう!
お若い方の感性には、驚かされます。
また、日本中の方とメールでお話できるなんて、 すばらしいことですね。
でも、さすが悪名高きインターネットでございます、 おかしなメールが届いたり、あれやこれやと対応しています 若い尼僧さんも苦労しています。

不慣れな上に、なにかと混乱や失敗もありますインターネットでの 水子供養ですが、忙しさに追われて供養できない方、 お寺に出向く勇気のない方など、この機会にお考えいただければ 幸いと存じます。

決してあなたを責めたりいたしませんよ。
恐い話もいたしません。

いつの時代にも女性の苦しみ、悲しみは絶えることが ございません。
どうしてなんでしょう。
まるで荒野をさまよう子羊のような気分に陥る人生ですが、 一人で落ち込んでいるよりも、お互い助け合って 生きてまいりましょう。

こうして知り合えた「ご縁」をたいせつにして、 少しでも多くの女性の救いとなればと願い、 祈り続けております。

また、暇をみてはユニセフの義援金活動へのご協力も、 いたしております。
発展途上国の恵まれない子供たち、 とくに不法就労と強制少女売春から子供たちを救おうと、 ボランティアに駆け回る毎日を送っております。





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