まほろば日誌1


9月6日
木村美代子さんという写真家がやってきた。前日に電話があったんだけど素早い訪問だね。独身女性を一人で泊めるのは初めてだったのでちょっと心配したけど、その夜はやけに忙しくて気を遣う暇がなかったよ。宿泊客のいる日は何故か「まほろば」は賑やかになるような気がするね。しかし、こうして気軽に宿泊しながら利用してもらうと嬉しいよ。実際、じっくり観るにはそのくらいの時間はかかると思うからね。昨日は「赤城で夜を」の会の皆さんが立ち寄ってくれた。前夜は、赤城大沼湖畔にある「大沼山荘」で徹夜で飲み明かした筈。この会にはおれも何度も参加したけれど、今回は「まほろば」でお待ちするという立場。詩誌「東国」が中心になって呼びかけている会だから、小山和郎、川島完、真下章などの案内で午前中には到着した。おかげさまで「まほろば」は貸し切り状態。増田幸太郎と大橋政人は二日酔いというか、そのまま酔い続けているというか、酒持ってこい、というのでハイハイ。西岡光秋、丸山勝久、北岡善寿、天彦五男らソウソウたる面々が「まほろば」を闊歩する姿は嬉しかったね。あまり出歩けなくなっているおれとしては、こうして訪れてくれた方々の口コミに頼るしかないからね。まるで観光バスが帰ったような静寂があって、夜は地元の同級生が飲みにきてくれた。大繁盛の一日だったなあ。感謝。
8月30日
土曜会のことから。今回は、なんとなく静かな気がしていたんだけれど、意外や意外という盛会だったよ。主婦4人組の参加に加え、「銀猫」同人が3人、怪僧木黙に加藤アキラさんもやってきた。中澤睦士とその友人もだから賑やかだったよ。ちょっと別件でおれたち夫婦はユウウツな気分だったので、とても救われたよ。この日は「銀猫」創刊号ができあがった日で、そのお祝いみたいな感じだったね。久しぶりに今成寛もきていて、どうやら次回の「ミュージック・ナイト」も開けそうだよ。今成も「銀猫」同人で、詩とエッセイを書いているよ。編集長、飯島章の息子も書いているし、以前に紹介した今井るみかも書いている。それにしても、版下は飯島、装丁と製本は今成という手作り詩誌だけど、立派なものだよ。さすがに裁断は、音楽仲間の印刷屋さんに頼んだらしいけど、見事なものだよ。おれもゲストとして、散文を書いているから読んでね。この日のるみかさんはおとなしかったなあ。中澤の友人は、伝統工芸をやりたいということで、仏師、木黙、現代美術、加藤アキラの話に聞き入っていたね。モクちゃん、あんまりいじめちゃダメだよ。こうして今年の夏が過ぎていくんだね。「まほろば」も、どうやら無事に1周年を迎えることができそうだけど、なんというか、やはり夢中だったような気がするね。
8月23日
高校野球をこんなに楽しめた年はなかったよ。開幕試合から決勝戦まで地元の桐生第一高校の快進撃に酔ったね。おかげで借りてきたビデオがなかなか観られなかったよ。今年はプロ野球に何故か熱が入らなかったんだけど、その分しっかり埋め合わせをしてもらった気分だよ。群馬の高校野球で決勝に進んだのは県立桐生高校だけで、やはり桐生勢で全国制覇を達成したということだね。ここまで書いたらカミさんが芝刈りをしようよ、と言う。ううむ、伸びすぎているので大変だろうな、と思ったら、その通り。大汗をかいてしまったよ。前の職場には立派な芝刈り機があって、こんなの簡単なのに、と思いながらやってるからよけい疲れたよ。雷がやってきたので半分でやめにしたけど、群馬の雷は凄いよ。数日前のはひどかったなあ。照明器具を2つ壊されちゃったよ。保険になんか入ってないから被害は実費だよ。今月は不動産取得税と固定資産税を払ったから完全に赤字なのに、雷の被害まで被ってはたまらないよ。なかなか落ち着いて商売させてくれないものだね。ここにいるだけで、毎日何かしら神経を使ってしまうよ。まあ、たまには夜空を見上げているときもあるけどね。昨日は、大きな雲が月に照らされて移動していくのを眺めていたよ。もう秋だねえ。
8月16日
北海道の木村哲也氏が連泊していった。民宿「しおざわ」で2泊、「まほろば」で4泊という夏休みだったみたいだね。今回はワープロを持ち込んで仕事をしていたよ。文教大の蔵書には貸し出しカードがついていて、利用状況が一目瞭然なのだが、つくづく現代詩の置かれている状況が分かるよ。ほとんど貸し出し記録が無いんだよね。おれや木村さんが、胸躍らせながら手にとってみる貴重詩集のほとんどが貸し出し記録無しだからね。いったい現代詩って何だろう、と考えてしまうよ。いまさら何を言っているの、と言う声も聞こえそうだけど、これでは本当に「詩は滅んだ」と言わざるを得ないね。よろしい「まほろば」は、真にその亡骸を引き受けましょう。やがて訪れるであろう新世紀の読者のためにね。別にヤケを起こしているわけではありません。現代詩が読まれないことの理由を探るには「まほろば」は良い実験室になるかもしれないな、と思ってるのね。書き手ではなく、興味はあるけれど、つきあい方が分からない、という人はいるんだよね。つまり「あなたにも詩は書けますよ」というインチキな入り口を示してダマしていては現代詩はいけないんじゃないかな。読者はいるんだよね。むしろ、現代詩の側で卑屈なバリヤーを張っているフシがあるね。まあ、見ていなさいよ、ちゃんと読者との通路を開いてみるからさ。なんてね。
8月9日
「ポエトリー・ステージ」の報告からだね。朝から「笑う猫」のリハーサル。肝心の日にカミさんは、前日から部活の付き添いで川崎だからね、受付は中澤睦士に頼み、厨房は中里諒子に手伝ってもらい、という、なんとかなるさ態勢。それにしても手不足だなあ、というところへ義弟夫婦が来た。おい、いいところへ来たな、ということで一安心。今回は遠方からの客が3組。新潟は佐渡から、金山夫妻、北海道からは常連の木村助教授、広島からタンポ(ごめん、どういう字を書くのか失念)さんという女性もやってきた。いよいよ「まほろば」も全国区かしら。車で来るという井坂さんが渋滞につかまらないかと心配していたけど、早目に着いて、近くの「やすらぎの湯」で休憩してきたとか、無事、到着。娘さんの運転で、ご主人ともども家族で来てくれた。あまり家族のことは書かない井坂さんだけど、人柄そのままのあったかい家族を造っているな、と思ったね。本人には言わなかったけれど、井坂さんの写真は何故か写り具合の悪いのが多くて、実物の方がずっとステキな方なのですよ。いままで、二度ほど逢っているけれど、ちゃんと逢うのは初めてかな。何故か、人前で話すのが苦手という井坂さん。でも、この日はいい感じでした。スタッフも入れて40名というのは満員ですよ。残った人たちとしばらく歓談して、井坂さんと家族は、伊香保温泉へと登っていきました。そうね、15分くらいで着く距離だね。こうして、それぞれが「まほろば」を後にして、おれは、しみじみと後かたづけをします。この時間がいいんだよね。次は誰を呼ぼうかなあ。
8月3日
土曜日は「東国」の同人会で使ってもらった。おれは20年近くも個人誌だから、同人会の雰囲気を忘れていたよ。司会進行、川島完。小山和郎がにらみを効かせていたね。日曜日の晩に北海道から訪ねてくれたカップルがいた。夏休みの旅行のついでみたいだったけど、感動してもらうと嬉しいね。しかし、金曜日に届いた分と併せて、4000冊の文教大分が未整理だったのには反省したね。それで、昨日はカミさんと、その分の整理をすることにした。おかげで他のことは何もできなかったよ。全体の分量を確認するため、とにかく全部広げてみたのだけれど呆然としたね。空き箱の山と詩集の山。二人で12時までやったけど、さっぱりはかどらない。おいおい、明日、店を開ける準備だけでも大変だぜ。まあ、しかし、文教大コレクションの特徴が分かるね。「まほろば」は、ここ20年ほどのコレクションが中心だけれど、さらに20年ほど遡ったコレクションが文教大みたいだね。あらかじめ、重複分は除いてあるとはいえ、ほぼそっくり収蔵することになる。かなり収蔵している詩人の初期詩集が含まれているのは嬉しいよ。今日は朝から空き箱を片付けたり書架のスペースを作ったりしている。何故か、お客も来ないので、カミさんは整理に専念。おれは、これを書いている。猛暑。
7月26日
南小学校のPTA、演劇教室の打ち上げ、土曜会と宴会の3連チャンだったよ。そうねえ、演劇教室の夜が一番辛かったかなあ。いつもは午前2時くらいまでヘーキなんだけど、この日は疲れたねえ。それを察してか、1時にはお開きにしてくれたね。なにせ、8時頃からピアノ伴奏で歌いっぱなしだからね。ほぼ同世代の奥様主体のグループだけれど元気なんだよね。ごめんね、ちょっと疲れたそぶりをみせちゃって。翌日は土曜会、前夜の3分の1の人数だから、しみじみとした宴会だよね。で、今回の主役は初参加の今井るみかサンでしたなあ。紅一点というだけでも注目の的なのに、いやあ、興味津々の体験談を披露してくれましたなあ。とてもここには書けないお話だからね、皆、目は点、耳はダンボ状態でしたな。わが妻は昨夜の疲れもあって早々に退散。怪僧、木黙も何故か早目のお帰り。10時過ぎに伊香保の土産物屋さんのバイトを終えた中里諒子が登場。話題は新雑誌の打ち合わせへと移ったようでしたな。飯島章編集長の目が座っていて、なにやら激論になってきた様子。おれとしては、静観していたいんだけどね、つい割り込んじゃうんだよね。中澤睦士がやけに冷静にやりとりを聞いてるんだよね。ここでも主役は、るみかサン。おれ、嘘ついたかもね。やはり、自分の詩が一番いいってみんな思っているんだよね。だから衝突する。仕方ないさ。
7月19日
夏バテかなあ。今週はちょっとお疲れ気味だよ。雨は嫌いじゃないけど、田んぼの消毒ができないんだよね。共同作業でやるんだけれど、予定が1週間もズレこんでしまったよ。そのせいか夜になるとウンカの大群が「まほろば」の灯りをめざして押し寄せるんだよね。防虫スプレーを噴霧しておくと効果があるんだけれど、忘れていると悲惨だよ。なんというか、夏は虫やら植物やらが元気で、おれとしては負けそうな気分なのだよ。西日の当たる三畳一間で汗だくになって眠るしかなかった青春時代を思い出すなあ。これではいかん、と奮い立とうとするのだが、頭がボーっとしたままだよ。こういうときには不義理をしてしまうね。あれこれ思いついて冷や汗がでるよ。直接は関係ないのだけれど、お客さんの抱えている事件を聴いたりしてしまうからね。そんなことも気になるし、呆然としている間に日々は過ぎていくというわけさ。実はまだ、今日予定していたことの10分の1の仕事しかできないでいる。世間様はそれなりに充実した一日を終えたことだろうね。夜のとばりが降りてきて、おれも家族と過ごす一夜のために自宅に帰らなければならない時間だよ。おれのためだけの時間というのが少なくなってるのかなあ。そんなことはないはずなんだけど。
7月12日
「JAZZ・ナイト」は盛況だったよ。詩人関係は少なかったけど、その分新しい人たちが集まってくれたのは嬉しいね。そもそものきっかけは詩人の飯島章の紹介だった。バン・マスのトロンボーン奏者今成寛は、最近まで「三原綱木&ニューブリード」でプロとして活躍していたんだけれど、辞めて郷里に帰ってきたんだよ。それで、今はアマチュアだからということで実現したステージなんだよね。こんな田舎で生演奏が聴けるなんて、とお客さんには好評だったよ。隠れベースマンでもある、わが友、今井敬二は、手伝いを頼んだのにステージに熱中してるんだよね。まあ、奥さんに手伝ってもらったからいいけどね。しかし、人のつながりは不思議なもので、この日のヴォーカルは、おれが18年間勤めた会社の社長令嬢だった。まあ、音楽も絵も演劇もどこかでつながるようになっているのかもね。ステージが無事終了して、居残り4人。これも「まほろば」が結びつけたグループになるだろうね。新しい同人誌が生まれそうな気配なんだよね。なんと、ミュージシャン・今成寛は、詩も書いていたらしいのだよ。ここに、つい最近、沼田から処女詩集を携えてやってきた今井るみかが加わって一気にフレッシュな詩誌の誕生になりそうだよ。しかしさあ、そろそろ解散しない、2時すぎだよお。
7月5日
芝刈り機を買ってきた。一番安いものだけどちゃんと刈れたよ。おれはヤスモノ買いで、カミさんはイイモノ好き。昔、雑貨を売り歩く仕事をしていたんだけれど、ホントに安くてイイモノは絶対に無いんだよね。でも、安くてワルイモノの方が売れるんだから呆れるね。芝刈りをしていたら日が暮れちゃったよ。まあ、しかし、日々の関心事が勤め人の時とはまるで違ってきたなあ。草木の様子がとても気になるんだよ。待っている商売だから客が来なければどうしようもない。かといって出歩くわけにはいかない。周囲の草木だけがともだちなんだよね。小さな実をつけていた梨の木がボキリと折れている。悲しかったなあ。犯人は分からないけど昨日のことだね。毎日楽しみにしていたのになあ。なんだかご隠居さんのたわごとみたいになってきたけど、あちこち出かけたいという気分にはならないから、本物のご隠居さんになっているのかも知れないね。「まほろば」は田んぼの真ん中に建っている。初めての夏を迎えるわけだけど、夜になるとムシが押し寄せるのが分かった。先日はノコギリクワガタがおれにガンを飛ばすんだよね。こういうのは楽しめるけど、ウンカの襲来には閉口するよ。ドアに虫除けスプレーをかけてみたけど、どうかなあ。などと、チマチマとしたことばかり考えている今日この頃。
6月28日
土曜会は10名という盛況だった。初参加のMさんは、ラジオで「まほろば」を知って来るようになったお客さん。到着順に飲み始めて、参加者が到着する度に乾杯。おれも、料理を出し終われば全開で飲んじゃう。今回は主婦4人組も勢揃い、遅れて中里諒子も登場。おや、男女同数という華やかさじゃないの。こういう構成ですと問題はおきません。話題はあちこちに飛びますが、今回は激論にはなりませんでしたなあ。深夜2時には解散ということで、井上敬二はお泊まり。今度は仮装パーティーをやろう、なんと話もでましたが、言い出しっぺのHさん、あなたの都合が一番怪しいじゃない、と大爆笑。まあ、なんとか顔ぶれは少し変わるけれど、続いているから嬉しい集まりだよ。今日はカミさんの関係で食事会があるというので開けている。本来は定休日なので、全くお客さんの来る気配はないね。こんな時はレンタルビデオの出番だよ。村だけどちゃんとビデオ屋さんもある。先週は「インターネット」を借りて観た。期待していなかったけど、意外に面白かったなあ。これから観ようとしているのは「メジャーリーグ2」だけど、時間つぶしになるだけかもね。植木には慈雨だけど、アカザや、メヒシバ、スベリヒユなどが旺盛に生えてきた。ううむ、草むしりが優先かなあ。
6月21日
朝寝坊をすると休日は忙しい。なんとなく休日にすればいいや、と先送りしていた仕事が溜まっているのだが、いや、休みだからいいじゃないか、という気分に勝てない。草むしりもしなくちゃだけど、仕入れにも行かなくちゃだからね。このところ大好きな「やすらぎの湯」にもいけないしなあ。で、今日は優先的な通信事務をこなしていたら日が暮れてしまったよ。そろそろ、カミさんから「何してんの、夕ごはんよ」という電話がかかってきそうだよ。しかしねえ、ほとんどの仕事を「まほろば」にもってきちゃったから、家に帰るとストップしちゃうんだよね。それに、あわてて帰ってみると、当のカミさんが帰ってない、なんてこともあるからね。どうも、恐妻ぶりを白状しているようでマズイなあ。昨日は地元のワケーシ(若衆)がバレーボール大会の慰労会で使ってくれたけれど、資料館をめざして来るお客さんも欲しいよね。そこでボチボチと、いやあわてて、パンフレットなどを造り始めた。その前に、もう少しホームページも工夫しなさい、という声も聞こえますが、ええ、分かっております。朝日新聞の関西版に「まほろば」の紹介が載った。群馬県榛東村で郵便が届いたのには驚いたね。水曜日には地元ラジオでも紹介してくれる予定だよ。まあ、こんなことを支えに頑張るしかないなあ。
6月14日
文教大学湘南図書館から第1便が届いた。これが9000冊の寄贈詩書の一部というわけさ。つまり、文教大の現代詩コレクションの全てが「まほろば」に移ってくるということだよ。こうなったのは文教大への主力寄贈者だった谷川俊太郎さんの口添えが決定的だった。まさに谷川さんのおかげだよ。こんなに早くギャラリーを潰して資料室を拡張することになるとは思わなかったけれど、全く嬉しい誤算というやつだよ。こうなると、おれの「まほろば」というわけにはいかないね。現代詩の財産を預かってしまったわけだから、それを活用しなければ贈ってくれた皆さんに申し訳ないという気分になるよ。ううむ「まほろば」発展計画を練らねば。まあ、しかし、できることから一歩づつしかないけどね。それで、続けばいいけど第2土曜日に気軽なパーティーを始めることにしたよ。音楽を聴きながらの巾広い集まりになればと思ってね。「ポエトリーステージ」は、井坂洋子さんに「笑う猫」がからむ朗読会に決まった。「笑う猫」はステージ造りにはウルサイからね。真夏の昼間にどんな演出をしてくれるか楽しみだよ。なにもかもが渋滞して身動きがとれない時期があるけど、それらがいっせいにスムースに流れ出す時期もくる。「まほろば」もそんな流れに乗れるといいなあ、と思っているこのごろだよ。
6月7日
今週は忙しかったよ。北海道の常連客、木村哲也氏が2泊3日の予定でやってきた。この人、本当に福の神かも知れないよ。にわかに「まほろば」が活気づくから不思議だね。店を開ける前におれは田植え。機械だからね、準備さえ整っていれば予定は立つ。二日で植え終わったよ。しかし、これは疲れるのです。そのまま店を開けて、宴会が連チャンで午前2時までだからね。今週だけで、先月の半分以上を稼いだけれど、小商いだからハードだよ。まあ、しかし、こんなときに頑張っておかないと、また誰も来ない日が続くかもしれないからね。泊まり込みで木村学芸員が整理してくれたので、詩誌コーナーが観やすくなった。もう少し全体的に整理する必要があるけれど、質・量ともに開店当初よりは確実に充実してきたと思うよ。今月中旬から届き始める予定の9000冊を加えれば、一応の骨格は築けるんじゃないかな。あとは、これをどう利用してもらうかだね。それにしてもですよ。詩人って、案外人の詩を読まないんじゃないかなあ。いや、これは非常にマズイことだけど、知っている人の詩しか読まない、仲間内の詩談義で全て済ましているような面がありはしませんか。我を振り返っていうのですけどもね。ううむ、しかし、これでは完全に読者不在だよなあ。よろしい、私が見つけましょう。なんてことを考えていたらヘンなFAXが入ってきた。発信元不明。奇妙な細密画が4枚。コメント一切無し。何なのかねえ、これ。そのうちの1枚が、どこかで観たような気がして、すごく気になっている。心当たりのある人がいたら教えてよ。「まほろば」の日々にはこういうこともあるんだなあ。
5月31日
今月は悲惨な営業成績だったなあ。おまけに税金やら備品やらの出費がかさんで大赤字だったよ。若い営業の飛び込みがきたので、あんた昼メシはどうしてるの?と訊いてみた。弁当持ちだってさ。義理のコーヒーも飲めないっていうんだから、どっちも悲惨だよね。平成大不況も極まれりだね。朝日新聞を読んでいたら、デパートもがらがらで、商品の影から店員が音もなくにじり寄ってくるとか。ううん、想像できるよなあ。その店員さんも、いつ整理されるか分からないとなれば、給料は使いませんね。おおそうだ、大阪では好調阪神タイガースのおかげで、馬鹿騒ぎが始まっているらしい。実にいいことです。あとは、無事に7月が過ぎれば、世紀末の狂乱景気が訪れるでしょう。何、言ってるのかねおれは。しかし、世の中の景気と「まほろば」は関係ないような気がするね。いつまでも閑な店でいることが、すなわち「まほろば」であるような、そんなところのような・・・。おいおい大丈夫かね。おれは誰もいない資料室の窓辺でこれを書いている。コンクリート打ち放し の壁面には絵が飾られ、隣の喫茶室には観葉植物が繁っている。奥の資料室には数千冊の詩書が書架に収められている。いい眺めです。これは。
5月24日
土曜会は、おれを入れて5人だったよ。主婦4人組が欠席だったので、楽器を用意してきた中澤睦士の出番がなかったのは残念だったね。まあ、たまには男同士でしみじみと飲むのもいいね。登録中の川崎洋さんからの寄贈のなかに田村隆一「四千の日と夜」があって、つい興奮のあまり皆に見せてしまった。飯島章が、あまり真剣に眺めているので、おれはさっさと片付けたね。こんなこと書くと、マニヤに狙われやしないかと心配になるよ。あの、悪い目的で「まほろば」に来ないで下さいね。今のところ、とっても閑な店ですから、ヘンな動きをすればすぐに分かりますからね。「まほろば」の蔵書は確実に充実し、植えたばかりの樹木も静かに繁り続けている。もう、おれの思惑の外で「まほろば」は運命を刻んでいるような気がするね。ここまで書いたらお客が来た。カミさんにと土産をいただいたが、どなたなのか分からない。報告もできないので名前を訊いたけど、失礼だったよなあ。心外そうなそぶりはごもっともです。こういうのは落ち込むよなあ。おれ、人の顔を一発で記憶できないだよね。接客業としてはマズイよなあ。また一人お客さんを減らしちゃったよ。やはり「まほろば」の存亡はおれに賭かっているね。心配だなあ。
5月17日
川崎洋さんから大量の寄贈があった。丁度、資料室の再構築をしている最中だったのでグッド・タイミング(古いなあ)だったよ。しかし、合計18箱の内容には感動したね。いいのかしら、こんな貴重なモノをいただいちゃって、なんて思いながら登録している。まだ半分しか開けてないけど、おれが詩を書き始めた頃に、どうしても買えなかったモノや、詩論のなかでよく引用される見たこともない名高い詩集がでてくるんだよ。それはないよ、と古書店業者が怒るかもしれないですよ、川崎さん。届く予定の9000冊のリストも凄いし、これで、予想以上に早く「資料館」らしい内容になりそうだよ。こうして望外の協力をしてもらうのは、おれとしては跳び上がるほど嬉しいのだけれど、気にかかることがあるね。それは、その詩人に贈った人たちの思いだよ。おれ自身もそうだけど、その人に持っていてもらいたい、折りに触れて読んでもらいたい、と思っているからね。このあたりのことは、寄贈される方も充分に心を痛めたうえで、ベストの選択として「まほろば」へ寄贈してくれるんだよね。だから、どうか、大目にみてやって下さいな。もちろん、おれとしては、それに応える義務があると思っているよ。身に覚えのない詩人の詩集が大量に集まり続けているというのが「まほろば」の現状だから、是非、確認がてらお越し下さいな。きっと、あなたの詩集が静かに待っていると思いますよ。
5月10日
日本詩人クラブの総会に行って来た。ひさしぶりの東京だが、なにかがおこりそうな予感がしないのは寂しいなあ。なんというか、首都のくらがりで行方不明になりたいという欲求がいつもあったのだけれど、歳かねえ。御礼を言わなければならない何人もの詩人がいて、その方々に逢えたのはよかったよ。一緒に行った小山和郎さんに、もっと「まほろば」の営業をしなければダメじゃないか、と言われてしまった。なにせ、名刺もパンフレットも持たずだからね。傲慢に見えたかも知れないけど、おれ、嫌なんだよね、そういうの。まあ、お店だからね「まほろば」も、営業努力を放棄しているわけではないけれど、甘いんだろうね、おれは。と、いうわけではなくて、9000冊の大量寄贈に備えて資料室の模様替えにとりかかった。ギャラリーを潰して、そこを全部資料室にしてしまおうというわけさ。もともと広い資料室がすっきりして、これはこれでよかったんじゃないかと思うね。やはり、観て楽しめる空間にしておかないと、頑固一徹のおれの「まほろば」になってしまうだけだからね。しかし、何度も見直してしまったなあ。今日は、ええいとばかりにスチール棚を20本も注文しちゃったよ。そんなに在庫はなくて、4本だけ組んで本の移動をした。定休日だけど、店を開けてたら一人来た。ささやかな売り上げですよ。カミさんが来て、花に水をやってよ、とほざく。忙しかったんだよ、おれは。
5月3日
中上哲夫&佐野のりこのステージは盛況だった。中上さんとは古いつきあいで、何度も自宅に宿泊してもらった仲なのだよ。いつも誰かが一緒に来て、八木幹夫、井川博年、辻征夫、宮野一世などと知り合うきっかけを作ってくれたね。実は、今回はひさしぶりの訪問で、ゲスト・ルームは夫人の佐野のりこさんと、同行の柳沼咲子さんに使ってもらい、中上さんだけ自宅に泊まってもらうことになった。ステージ前日なのに、午前3時まで話しこんでしまったよ。ここ数年のブランクを埋めるような話だったなあ。で、当日は、予約以外の人も入って35名という入り。八木幹夫夫妻、立木早夫妻という遠来の客に地元詩人も多数駆けつけてくれたのは、中上さんの群馬人脈の広さだったね。そうそう、折からの交通渋滞で遅ればせながら新延拳、村山精二もやってきた。中上さんのトークのあとは佐野のりこさんの朗読。一服の清涼剤のようなステージだったよ。終了後は歓談の場となったけど、おれは、カウンターのなかで感無量だったぜ。なんだか、清水節郎や崔華國、柴田茂、梁田ばくという亡くなった詩人たちの気配さえ漂うような雰囲気なんだよね。提箸宏や新井穎子の顔の隣にさ。そんな、なごやかなひとときだったねえ。その夜は、新延、村山がお泊まり。井上敬二は奥さんが迎えにきたけど、夫婦喧嘩の最中だったのかな。仲良くね。八木幹夫から電話。実は、移植した樹木の世話を昼間してもらったのだ。おれが、枯らしそうにしてしまった2本を、彼が鍬で水受けを作ったり、剪定の指示をしたり、で、その晩に水を更にバケツで2杯づつ与えよ、という指示でした。はい、その通りにしました。樹の扱いも知らないなどと、おれをネタに詩を書かないでね。お泊まりの二人は「やすらぎの湯」に寄って帰るとか、昨夜は佐野さんたちも入ったよ。そうそう、柳沼さん、メガネがあってよかったね。二人を見送って、連休中なので営業をしたけれど、昨日の賑わいとはうってかわった静けさ。おお、これが「まほろばの日々」なのですよ。7時半だけど、たった二人だよ、今日のお客。
4月26日
現代詩作品展は、あまり地元マスコミがとりあげてくれなかったけれど、それなりに盛況だったよ。出品者が連れだって来てくれたり、これを機会に初めて訪れる人もいたりね。土曜会は、奥様4人組を中心に盛り上がったけど、詩人の参加が少なかったなあ。まあ、今週は作品展の懇親パーティーもあって、毎度というわけにもいかないからね。それにしても、中澤睦士が器用にどんな楽器もこなしてしまうのには驚くね。カラオケどころか生演奏付きだから奥様たちにはモテるよ。おれなんか、楽器はなんにもできないからねえ。カスタネットかタンバリンでも置いておこうかな。遅くなって飯島章が登場。料理もあらかた食べ尽くした後だったので申し訳ないような気がしたなあ。で、午前2時。さすがに、ちょっと疲れたなあ。次の日は「高崎現代詩の会」の総会とセミナーが入っていたので、とにかく寝なくちゃあ。しっかり、9時半まで寝ちゃったね。雨が降っていたので、愛犬「らぶ」は静か。あわてて「まほろば」を開けに行ったよ。総勢20名ほどかな。いっせいに食事だから、結構大変なんだけど、丁度、義弟夫婦がやってきたので手伝ってもらった。カミさんと二人だけでは混乱したかもね。いやあ、今月は詩人の皆さんに喰わせていただいたようなものだよ。援軍来る、という感じだね。感謝。
4月19日
今週はいろいろあったなあ。先ず、荒川洋治さんが「朝日新聞」の取材記者を伴って、総勢9人で再訪してくれたよ。閑な日が続いていたので仕込みを減らしていたからね。いやあ、久しぶりに汗をかいたぜ。荒川さんの講義を受けている学生たちや、檸檬屋の主人、五柳書院の社長という面々だったけど、あまり褒められると心配になるね。まだまだ蔵書量としてはたいしたことないし、本当に貴重なモノが並んでいるわけではないからね。しかし、学生さんたちが興味深そうに眺めている様は感動的だったね。ちゃんと現代詩に関心を寄せる学生もいるじゃないの。かつての大学には、必ず「文学研究会」みたいなものがあって、当代の現代詩人の作品について生意気に批評をしていたものだけれど、ここによく登場する木村さんや荒川さんの話では、そんな雰囲気はいまの大学には、全く無いとか。「いるじゃない、荒川さん」なんて、思わず口走っちゃったよ。昨日は、開催中の「現代詩作品展」の懇親パーティーを主催の群馬詩人クラブに開いてもらった。これで電気代が払える、と、マジに思ってしまったよ。ようやく元気になった小山和郎氏の毒舌を中心に宴は盛り上がりましたなあ。館長のおれが死んだらここもお終い、そんな処に大事な蔵書を託せるか?と、まあ当然のご指摘です。保証できませんね。それを考えながらおれは生きるつもりだけれどね。まだ始まったばかりです。「まほろばの日々」がどれだけ積もるかで、答えはでるんじゃないかなあ。
4月12日
閑だと書き込んだら、早速、田口三舩さんが寄ってくれた。こういう思いやりが嬉しいのですよ。昨日は同級生のゴルフの仲間が花見の二次会で使ってくれたけれど「女っ気のねえ店になんか行けるかい」とのたもうた奴がいたらしい。いや、それはその通りだよなあ、と思うね。中年のむさい男が独りでやってる店なんだよなあ。それに、おれは自分では普通だと思っているんだけど、変わった人と見られているのかも知れないね。あらためて、こんな店に客がきてくれることを不思議に思うよ。キレイなネェちゃんをはべらせて、難しい話は無しで、狂いたい酒飲みには無縁の店だわな。独り「やすらぎの湯」に沈みながら、おれは、うつろいやすい商売について考えたね。ここも、一時の賑わいはないよ。前橋方面の客は吉岡町、渋川市に相次いでオープンした同様の日帰り温泉に流れているし、地元の客もそちらに行ってるみたいだからね。でも、おれは、こんな風情が好きだね。ひたひたと従業員の足音が聞こえ、お客さんの表情が見える状態がね。まあ、経営者は危機感を募らせ、従業員も一抹の不安を感じている気配は分かります。でも、おれは気に入っているよ、と伝えたいね 。まあしかし、こんな少数派のお客さんばかりでは落ち目なのだろうね。「まほろば」は、この辺りで成り立っているのかもしれないし、それが望みなのだから、やはりヘンな店なのかもね。
4月5日
今週は閑だったなあ。特に4月に入ったとたんに人の気配が消えちゃたね。まあ、年度代わりで忙しいのかな。2日くらいは閑な日が続いても溜まっている仕事を片付けるのに丁度いいのだけれど、4日も続くと不安になるね。今日こそ誰も来ないんじゃないかと思ったりね。前の畑で両親が葱の種を蒔き、カミさんは草むしり。家族が働いているのを見ながら客待ちをしているのはセツないものがあるよ。それでも幸いなことに、まだ一人も客が来なかったという日はないから有り難いね。忙しくても疲れるけれど、閑だと、もっと疲れてしまう。なかなか丁度良いというわけにはいかないね。今日は休みなので仕入れに行って来た。春休み中のカミさんとドライブだよ。大渡橋と板東橋の間に新しい橋が開通したので渡ってみた。前の職場のすぐ脇にでるのだけれど、おれは辞めたトコには絶対、立ち寄らないからね。まあ、なんというか春だね。なまぬるい風に桜が揺れていて、けだるい景色が広がっているよ。漠然とした不安みたいなものがにじり寄ってきて、あまり好きな季節ではないね。不安といえば、大腸ポリープの検査結果は良性だった。とりあえず「まほろばの日々」はまだ残されているみたいだね。大事に過ごしていくよ。飽きずに商いとは、よく言ったものだね。
3月29日
土曜会は全く案内を出さないのに8名で成立したよ。こうして定着していくのがいいね。春の人事は常連のEさんが不本意な異動らしかったけど、心配していたYY親子が希望通りの結果になったのは嬉しかったなあ。自称、押しかけ学芸員の木村哲也氏のおかげで詩誌の棚が分かりやすくなったよ。本当は詩誌の動きを調べるのが詩人個々のつながりが見えて面白いのだけれど、それこそまちまちの版型だし、消息がつかみにくいこと甚だしいからね。資料室もそれなりに拡張を続けているんだけれど、寄贈のペースが思ったより早くて整理が追いつかないのが実状だね。なにしろ一人だからねえ。嬉しい誤算というやつだけれど、最近、また凄い話が届いて驚いているよ。一挙に9000冊もの詩書がゲットできそうなんだよ。それも、出所は正しすぎるほど正しいから大いに期待してもらいたいね。今後10年くらいかけても集まらないかも知れない量だと思うけど、こうなればギャラリーを潰してでも受け入れるよ。詳しくは後で報告するけれど、木村学芸員は早くも拡張計画を練り始めたよ。それにしても、今日は寒い。店のパソコンでの更新が成功しそうなので頑張っているのだけれど、もう少しもう少しと暖房無しでやってたら風邪ひきそうだよ。
3月23日
暑さ寒さも彼岸まで、というけれど、全く寒いお彼岸だったね。みぞれが舞ってきたのには驚いたよ。真冬に逆戻りしたもんだから身支度もそれなりに戻したり、灯油を買いに走ったりだったよ。その後は凄い風だったね。自慢のオブジェが吹き飛ばされるんじゃないかと心配だったなあ。じりじりと向きを変えて、その内のひとつはコロンブスの卵みたいに立ち上がってしまったよ。面白いのでそのままにしてあるけどね。この時期は人事異動やら卒業入学などで皆、落ち着かないね。「まほろば」のお客さんもそんな雰囲気なんだよね。まあ、それぞれの希望がかなうといいのだけれど、どうなるのかねえ。ラジオの影響はまだ続いていて、遠くの方から何度も電話で問い合わせながら来てくれる人がいる。やっと辿り着いたのに、一瞥するや、そそくさと帰ってしまったご夫婦がいた。いったい、なにを期待して来たのかなあ。かと思えば、満足気に道中談を聞かせてくれる人もいる。まあ、なんというか、勝手に判断してくださいな。おれはもう気にしないことにするよ。そんなことより、そろそろ実作者としてのおれ自身の方が気になるね。なんだか書く姿勢が決まらないまま日々が過ぎてしまうのだけれど、こういう自覚がでてきたのはいいことさ。やがて桜も咲くでしょう。
3月15日
荒川さんがTBSラジオで「まほろば」を紹介してくれた。当日は電話がジャンジャンきたよ。わずかな放送なのに反響は大きいものだね。実際に訪れてくれた人もいて、なんだか見えない波が寄せてきたような気分になったね。常連さんは、賑やかになるのは困るみたいだし、おれも、せわしないのは困るんだけど、そんな心配をする必要はないかもね。ラジオで放送するくらいだからと、期待して来た人にとっては何てことはないよ。あのねえ、わざわざ来たのならコーヒーの一杯くらいは応援していきなさいよ。まあ、そう言いたくなる客が2割かな。こっちもそういう客は分かるから知らんぷりをしているけどね。でも、後の8割の方はエライね。いや、今週訪れてくれた方は皆エライ。本当に感謝しています。新たな観光スポットでは、と勘違いして観光バスなど寄らないで下さいね。とても対応できませんから。と、まあ案ずるほどのこともなく、土日は静かに過ぎました。「まほろば」にもペースができつつあって、おれはそれを大事にしたいと思っているよ。このところ、センチになってて、何か大きな悲しみを感じているよ。個人的なことじゃなくて、生きてることのね、誰もが正当に報われなければならないというような、いや、うまく言えないことだけれど。
3月8日
荒川さんの講演会は満員盛況だったけど、その顛末を書いておこうかね。前日の土曜日は、北海道の木村哲也氏の宿泊予約と榛東中の女性教師の昼食会の予約が入っていた。まあ、本番前の余裕の前日だったね。そこへ、所沢の尾崎昭代さんから電話。どうやら一日勘違いをしていたらしい。伊香保温泉からというから驚いたね。まあ、それは仕方がないということで、ゆっくりと過ごしていかれたけれど、おれも一瞬、困っちゃったよ。木村氏は、もう4回目の訪問。今回は、高崎から一番本数の多い関越交通バス、群馬温泉行で終点まで来たとか。折しものからっ風と登り道15分はきつかったみたいだね。その夜の「まほろば」は盛況。木村助教授って福の神かしらと思ったね。明けて当日、その福の神に会場設営を手伝わせていると、昨日の財部鳥子さんの「萩原朔太郎賞受賞記念作品展講演」に同行し、伊香保泊まりだった嵯峨恵子さんと「おごじょ」さんが予定通り立ち寄ってくれた。嵯峨さんとは、事前にEメールで連絡をとりあっていたからね。今度はゆっくり来てほしいよ。ありがとう。荒川さんは一人で、バスでやってきた。「まほろば」の姿に感動してくれたけれど、おれは、バス停から歩いてきてくれた荒川さんに感動したね。想像していたよりも5倍いいね、と言われて嬉しかったなあ。で、1時間という講演が1時間半。テープはとってあるけど、とても過激な内容につき公表できません。予約状況から自信はあったけど、雨にもかかわらず定員一杯の50名。おれが気分が良かったのは入場人員ではなく、丁度50名というのがスペース的にも雰囲気的にもぴったりだったということだね。客構成も良かったなあ。詩人関係、それ以外のアーチスト、一般客と3分の1づつという構成に見えたね。カミさんが隣の南部コミセンで仕事だったので、厨房に友達で絵描きの今井敬二を頼んだ。受付には提橋宏を頼み、駆けつけたカミさんには、同僚の美人教師二人が手伝うという華やかさ。「まほろば」出現の日だったかもね。それにしても、今井敬二のフライパンさばきは鮮やかだぜ。立場ないけど、おれは皿洗い出身、彼は調理場出身だからね。しょうがねえよ。おれが気がついたのは、荒川洋治は今も闘っている、ということだね。みんな、ものわかりのいい大人になって怠けているんじゃないかな。たぶん、荒川さんは闘い続けているだけで、周りの詩人たちが何故か早々に旗を巻いちゃってるような気がするね。最初に逢った時と同じ荒川さんがいて、雨の高崎駅まで木村さんと一緒に送り届けた。上越新幹線で、東京まで1時間もかからない。
3月1日
今週は、やはり土曜会のことかな。今回は本当に誰にも案内を出さなかったけれど、常連の主婦4人組の参加もあって珍しい盛り上がりを見せたよ。前にも書いたことのある読み聞かせの会「回転木馬」のメンバーということもあって、自然発生的に朗読会になったのには驚いたね。井上敬二が置いておいたギターも活躍したよ。ひさしぶりに中澤睦士の芸が炸裂したり、意外にテレ屋の飯島章に、やさしいオバサマたちのケアがあったり、飯島がバカにモテて見えたのは釈然としなかったなあ。つい、おれも朗読なんかしちゃったよ。午前2時過ぎまで、お泊まり組は議論していましたなあ。女性陣が帰ると、急に白熱してくるのは何故かねえ。そうそう、昼間、真下章が来て、静かに資料を読んでいったよ。というか、突然、榛東中学の柔道部一行が来て、カツミート11人前という大騒ぎだったからね。相手ができなかったんだよね。まあ、忙しいのはいいことだけれど、誰も来なくてビデオを観ている日もあるよ。ほら、雪の降った木曜日だったかな「タイタニック」をじっくり観ちゃたよ。おれ、ああいう構成が好きなんだよ。過去と現在と未来が鮮やかにつながっていくっていう感じがね。常套ってことだけれど、その程度の射程でいいんじゃないかな、はかなさの届く距離だよ。最後のシーンでは泣いちゃったね。
2月22日
昨日は大橋政人と新井頴子がなにやら密談。いや、大橋夫人も同伴でしたからスキャンダルにあらずですよ。そこへ、葬式帰りの一団の予約が飛び込み、おれはカミさんの応援を頼んだね。カミさんも働いているから、日曜日にこきつかうのは気がひけるのだよ。しかしねえ、こりゃあヤバイという人数なのは、すぐに分かるからね。こうなると、不思議に客は客を呼ぶね。そんなところにFAXが届いた。飯田光子から蔵書の問い合わせ。後で調べたけれど、その人のその著作は未収蔵だったよ。まだまだだね「まほろば」も。夕方から個展の撤収と搬入。山内氏は長野からひたすら一般道を走ってくる。既に友人二人は二時間も前から待機していたよ。おれは、昼の繁盛で少々くたびれちゃったからね。客足の途絶えた時間が嬉しかったよ。ゼイタクなこと言ってるよね。それにしても基本的には「まほろば」の周りを人は実にあわただしく駆け抜けていくね。なんだか、取り残されてるような気分もするけど、妙に静かでいいもんだよ。ちょっと前までは、おれも同じだったんだけどね。落ち込むというのではなくて、静かに静かにこころが沈んでいくんだよね。ビートルズや60年代のポップスを流していたけど、いまは、タランコタランコしたブルースか、クラシックがいいなあ。
2月15日
今週もいろいろあったなあ。カミさんも出演した村の演劇サークルの発表会「榛東・キャッツ」が隣の南部コミセンであって、おれも店を閉めて観に行ったよ。なかなか、素人劇団にしては面白かったぜ。これが、すなわち「まほろば劇団」に発展する予定なんだけど、どうなるのかなあ。この日は「まほろば」は貸し切り予定。あわてて店を開けたら、一般客がどんどん入って、打ち上げの準備どころではなかったよ。丁度、井上敬二が来ていたので、手伝ってもらったよ。いやあ、本当に助かったね。これが11日のこと。13日には「健康保険」という雑誌の取材があった。先ずカメラマンのT氏がケツに羽の生えた車で到着。チーフのE氏と若いライターのK氏もほどなく到着したね。健保組合の月刊PR誌みたいだけれど、関係者がいたら観てね。日曜日はバレンタインデーだったね。「まほろば」を開けに行くと、小学生の女の子が待っている。待ち合わせだってさ。どうやら、男の子を呼び出してチョコレートを渡そうという計画らしい。微笑ましいよなあ。「どうしょう、ドキドキするね」なんて、言いながら窓辺を気にしている姿は新鮮だったなあ。その後で、余っ たんだろうけど、おれにもチョコをくれるんだよね。あはは。その後、中学3年生の女の子がきたけど、こちらはもう女だねえ。しっかし、ただ、店を開けてるだけなのに退屈しないものだねえ。
2月8日
木村哲也氏が三度目の訪問。土曜日の午前、古くからの友人のO氏とコーヒーを飲みながらしみじみと昔ばなしをしていた。まるで、劇画の一コマみたいにね。そこへ、木村氏がフラリと現れた。今回は東京発高崎下車、しんとう温泉行のバスで来たとか。なにしろ、隅々までチェックしてくれるので、自然と詩誌の整理までしてくれることになるのだから有り難い。「まほろば」の静寂を破ったのは小学生6人組だった。たいがいは、メニューを見せると帰っていくのだが、今回は違ったね。お金なら心配しないで下さい、なんて言うんだよね。ケーキにスパゲティにピザまで注文するんだよ。おれは、小学生はお客の対象にしていなかったので戸惑ったね。おいおい、小学生に喰わせてもらうのかよ。しかし、ちゃんと商売しました。女の子ばっかりだったけど、堂々と過ごしていきましたよ。あんまり、調理するおれの手元を見るなよな。まあ、好奇心が強いのはいいことだし「まほろば」の客層は広いってことにしておこうかね。その後に来たのは中学生。この子は2回目だけど、ここは落ち着くんですよ、なんて生意気言うんだよね。次に来たのは、その中学の先生。どうだ、客層広いだろう。昨日は「西毛文学」同人会ご一行が来た。いろいろな人たちが来てくれて「まほろばの日々」が積もっていく。これでいい。
2月1日
今週は宴会が3回もあって忙しかったなあ。新年初頭のヒマな時期に資料整理をしておいてよかったよ。暮れに初めてやってきた北海道の木村哲也氏が、何故か「まほろば資料室」を気にいってくれて、再度、訪問してくれた。当夜は宴会のさなか、あまりの賑やかさに驚いていたよ。加藤アキラ氏のオブジェのことだけど、画像の通りの不思議な球体の出現に、皆びっくり。しかしですね、これ、ブリキの筒のようなもの。心配が的中しましたな。ご当地名物、からっ風が朝から吹きまして、それに飛ばされて、3ケほどがゴロゴロと転がるじゃありませんか。おれは、あわてて追いかけたね。悲しいことに、転がる度にベコンベコンと凹むんだよね。どう固定したかは、来てみて調べて下さい。しかし、次の問題は近くの南小学校のガキ、いや、おぼっちゃま、おじょうさま達の好奇心でしたね。おれが窓辺に居るのにベカンと蹴るんですよ。女の子まで蹴るんだから困ったね。サッカーボールにでも見立ててるのかね。でも、これ、それだけ興味を惹くオブジェだということだね。倉庫みたい、なんて言われてしまうほどシンプルな敷地と建物が、一挙に存在感を示したのだから、作家の力を認めざるを得ないね。店はお客のもの、建物は地域のもの。こうして「まほろば」は、確実に出現していくのだろうなあ。
1月25日
新年会はちょっと参加者がつかみきれなくて心配したけど、総勢11人という盛況だったよ。常連の参加が少なかった分、取引先のとみざわ酒店の若旦那とか、日頃のお客様のYさん、Aさんなど熟年主婦の参加に救われたね。こうして、詩人、アーティスト以外の参加が増えるのはいいことだよ。別に芸術論を闘わせる会じゃないし、話していることがすなわちそれであるかもしれないからね。そんな構成もあって、とてもなごやかな新年会だったなあ。加藤アキラさんという造形作家がいて、その作品が格納場所の都合で危機に瀕している。「まほろば」で引き取ってくれないか、という話のついでに加藤さんも参加していた。飯島章が、突然、加藤アキラに「言いたいことがあります」と詰め寄った。なっなにごとか。そしたら、いきなり愛の告白なのよね。社員70名を率いる営業部長も、ここでは、永遠の文学少年なのですね。それはともかく、おれは、加藤さんの気が変わらないうちにと、その奇妙なオブジェを引き取りに行ったよ。ブリキの宇宙船だね。それが格納されていたのは、隣町の山の中腹。廃屋の庭なのだが、大家の都合で取り壊す予定になっているらしい。なるほど、いまにも埋め立てんばかりにブルドーザーが動いている。いや、いいモノでした。軽トラックで一つしか運べないブリキの球体が九つ。今日は一日がかりだったよ。日没でデジカメに撮れなかったけど、次回はお見せしたいね。まるで「まほろば」のために眠っていたオブジェみたいだよ。大満足の休日だったなあ。
1月18日
成人式の日は暇だったので油断していたら、土、日は忙しかったなあ。自分の昼飯を喰う暇がなかったよ。いろいろ考えるけれど、素直に、来てくれるお客さんに感謝しているよ。こんな田舎のお店を訪ねて来てくれるんだから有り難いね。手作りピザを始めたんだけど、これが好評みたいだよ。まあ、なんというか、本当にそうなのかなあ、という不安はあるけど、美味しい、と言ってもらうと嬉しいものだね。一応、粉から生地作りをしているんだけれど、手順はともかく、手間がかかるね。それだけやっているわけではないから大変だよ。今日は休みなので、スチール棚を買ってきて書庫の増設を始めた。スチール棚は安くて頑丈だけど、組み立てるのに一つ1時間もかかってしまう。それを三つだからね。実は、未整理の詩書が、段ボール箱で20程ある。収蔵スペースを作らないとどうにもならなくなってしまったというわけさ。だいぶ資料室らしくなったけれど、これを読んでいる暇がないのには呆れるね。精神状態がまだ水平飛行に移っていないのかもね。もう少し飛行チェックに時間がかかりそうだよ。飲食店というのは、売れても売れなくても準備と仕込みをする。その後のひとときが一番楽しい。おれは、コーヒーを落とし、一服しながら新聞を読む。朝の光のなかでね。
1月11日
いま、やらなければならないこと、原稿の締め切りがふたつ、蔵書登録、書架の増設、イベントのポスター制作、植木の移植、滞っている礼状書き、日々の仕入れ、水の呪文のこと、他にも多分忘れていることがありそうだ。まあ、ひとつづつ片づけて行くしかないのだが、いっぺんにしようと思うと呆然とするね。それで、ぼんやり煙草をふかしているだけということになる。今年の正月は、村の鎮守様にお参りしただけで、おでかけは無し。例年だと、浅草演芸場か鈴本で初笑いなんだけどね。順番からいけば、今年は池袋演芸場あたりだったね。おれはあまり出歩くタイプじゃないからヘーキだけど、カミさんは面白くなかったかもね。つい、ご機嫌を伺ってしまうよ。こう寒いと客足も悪いね。まだ雪は降らないけど、厳しい季節に入ったなあという感じだよ。荒川洋治さんの講演会が決まったよ。特に親しくしてもらっているわけではないけど、かなり前から面識はあって、何故か川崎の駅前でバッタリ出会ったこともあったね。安いギャラで快諾してもらったのが嬉しいよ。どんな発言が飛び出すか、おれも楽しみにしているよ。この企画は毎月続けていく予定だけど、そのためには稼がなくちゃね。いつも満員なら続けられるんだけどね。よろしく。
1月4日
年末年始をどうするかなんて考えていなかったので、なるようになれという感じだったね。年賀状も300通以上は出したんだけど、途中でチェック不能になってしまったよ。当然差し上げるべき人、一言申し上げるべき人、あろうことか、宛名だけで差し出してしまった人がいたかも。これらは、全て私めのいたらなさであります。ごめんなさい。ええ、年頭から混乱ぶりを白状してしまいましたが、ともかく時間は淀みなく進むという、とりかえしのつかなさ、ありがたさ。年内に、とか、今年こそ、とか、こころの揺れる時期もあっていいのですが、基本的にはそういう物日は苦手ですね。なんというか、淡々と日々は過ぎていき、ある日ある時、決意したり、絶望したりするだけでいいんじゃないか、と思いますね。いや、わざと仏滅に吉事をしようとか、そういうんじゃなくて、一応、暦は見ます。けれども、諸般の事情で、その日が適当であるなら、お日柄は見ないことにしておきますね。ええ、「まほろば」は今年なにをするかというと、まだ決まっていません。まあ、いくつかは考えていて、実現可能なものからやっていきたいというのが本当のところですね。でっ、突然ここで呼びかけることになるでしょう。できることしかできないからね。ううむ、たよりないなあ。
12月29日
「まほろば忘年会」は、おれを入れて12名の参加だったよ。まあ、大忘年会と言うには少人数だけど、盛り上がったぜ。北海道の木村哲也氏は、前夜から「まほろば」に泊まり込みで参加。大橋政人は、高崎駅からのバスの時刻表を確認しつつ「ガーネット」のネタ拾いも兼ねての参加とか、どんな訪問記になるか楽しみだね。で、女性の参加は、新井啓子さんのみ。なごやかに始まったのだが、やがてメートルはあがります。木村教授を中心に議論は白熱しておるようでありましたな。そこへ、木黙氏が遅れて参加。ウチのカミさんの言う通りですな。「詩人って何でケンカばかりするのかしら」まあ、ケンカというか、議論ですよ。その気合いがですね、テメエ、とか馬鹿者とかね、入るという。それだけなのですが、一応、おれとしては手の出ないうちに止める体勢ではいるわけ。まっ、寸止めルールはあるからね。そのあたりは皆さん馴れてるわな。この日は結局3時でしたな。お泊まり3人。実はネットでの呼びかけの他は、県内でも来てくれそうな人に案内を出しただけで、誰でも気軽に参加してもらいたいと思っているのだよ。実際のところ20人以上は無理だからね。木村氏もそうだけど、もう一人埼玉から「まほろば」を訪ねてくれた人がいて、実に熱心に資料を観てくれた。嬉しかったよ。
12月21日
何人かの常連さんができて、その人たちがしばらくみえないと、おれとしても気になる。何か気に入らないことでも言ったかなあ、とかね。そのうちの一人、Yさんの息子のJ君がこのページを観ているらしい。ねっ、オジさんはこんなことを考えながらお店にいるんだよ。また、遊びにおいで。年末になって、何も手についていないことに気付いた。ノートパソコンのトラブルで、事務処理につまづいているのが負担になっている。詩に埋もれた「まほろばの日々」のつもりだったが、店って、開けているとこまごまとした仕事が続くものだね。仕込みに仕入れに支払いに、セールスの相手とかね。それで、いくつか忘れていることに気付いて焦りまくったり。暇はたっぷりあるじゃない、なんてカミさんは言うけど、確かにありそうなんだけど何もできない。こんな感じ、わっかるかな?わっかんねだろな。今度の忘年会に北海道から木村哲也氏が参加したいと連絡してきた。北海道もそうだけど、群馬も車中心の交通網だからね。鉄道からの連絡がまことに悪いときている。無事に到着できるかなあ。あらためて、不便なところに建ってるなあ、と思ったね。けれども、それなりのところに建ててもそれなりの苦労があるはず、後悔なんかしていないよ。
12月14日
一昨日は地元の指人形劇団「回転木馬」のリハーサルに「まほろば」を使ってもらった。読み聞かせの会が発展して独自の活動集団になったらしいからエライね。若いお母さんたちのグループだから、ふと気がついたら男はおれ一人だったよ。カウンターに並んだベテラン主婦から調理の手元を見られるのは緊張するね。喫茶は、しばし貸し切り状態の女だらけ。そこへ、旧友のゲージュツ家で同級生のY氏登場。異貌にバンダナだからね、奥様たちのたじろぐ気配が分かったよ。まあまあ、怪しいものではありません。なんて、言ってはみたけれど、どう見ても怪しいわな。まっ、しようがないね。そう言えば昨日も凄い人が来たなあ。外国詩人のコーナーを一瞥するや、アポリネールもランボーもロートレアモンも15歳のときに読んだよ、そしたら気が変になっちゃったよ、なんて言うんだよね。へえ、それはそれは、なんて応えておいたんだけど、いったん帰ったと思ったら、また来たね。ケーキと紅茶をばくばくじゅるじゅるとやりながら、今度はオーディオ自慢をする。何、聴いてんの?と、おれ。山口百恵とかキャンデーズがいいな、クラシックもジャズも聴くけどさあ。どうもご近所のようで、ちょくちょく来るよ、なんて帰っていったけど。隠れた天才か、はたまた・・・。
12月7日
昨日は「山脈」同人会一行が予定通り「まほろば」に現れた。筧槇二代表、村山精二事務局長以下、総勢14名。前夜の「民宿しおざわ」での深酒がたたってか、約1名は蒼白にて二日酔い。なんと、新延拳、水島美津江など、同行者に加え、地元からも真下章、小山和郎、川島完、井上敬二が合流するなど、いい雰囲気での出会いとなったのが嬉しい。折しも、奇人ゲージュツ家、芹沢木黙の展覧会オープニングとも重なり、異様な熱気に包まれた。おれは張り切ったね。それぞれのグループが、どんな交歓をしたのか知らないけれど、ちょっと目算が外れたのは、ごはん一杯分だけだった。村山さん、意外に美味しいガーリックライスを後回しにしたら、ごはんが終わっちゃたんだよ、ごめん。皆、無事に帰れたかなあ。これに懲りずにまた来てね。こんな風に利用してもらうと、商売抜きで嬉しいね。本当は、詩友のふところをあてにするのは心苦しい。けれども、踏み切ってしまったことだから、おれも覚悟しているよ。また、よろしくね。実は、ここ数日は、何があったかというように「まほろば」は忙しい。つまり、いつもの5倍、10倍なのだが、この落差が自営業の辛いどころなのよね。こんなこと書くと、明日から誰も来ないかも。仕入れしすぎちゃったかなあ。
12月1日
二回目の土曜会も無事成立。隣町のN嬢が遅れてやってくると、男どもはにわかに活気づく。やはり、女性が参加すると盛り上がるね。中沢睦士が平均年齢をさげているだけで、まあ、50歳になろうかという面々が、N嬢の隣の席をめぐってウロウロ。「時を駆けるおじさん」は、例によってグラグラと酔いつぶれそうでつぶれない酔い方。MM氏は、この日は旧友が二人もいたためか、いつもの軽口がでない。高崎現代詩の会で知り合ったY氏はノンアルコール。夜更けまで酒盛りは続き、お泊まりは「耳のない犬」S氏。エアコンの調子も良く、快適だったとか。おれ、次の日は9時半まで寝ちゃったよ。「ありがとう」なんて、書き置きをして、S氏は帰ったあとだったよ。「裳」の同人会で使ってもらった。奥の和室は10人前後が丁度いいね。こういう風に使ってもらえると有り難いね。ちょっと遠いのがネックだけれど、おれの「まほろば」が誰かにとっても「まほろば」になればいいと思っているよ。開店前に書いているんだけれど、そろそろタイムアップだ。午前中はたいがい暇だけれど、一応仕込みがあるんだよ。あれこれ、ホームページも整理しなければならないと思うのだけれど、今回もやっつけ更新になってしまったね。
11月23日
祭日なので営業をする。どうしても暇な話になるのだが、グチっているわけではないので、そのつもりでね。Hさんというお客さんがいて、この人、開店一番乗りのお客さんだった。何が気に入ったのか、文学方面にはまるで感心がないのに、すっかり常連さんなのだよ。曰く「ここんちは、空いてていいや」というのだから、素直に喜んでいいものかなあ。今日なんて2回も寄ってくれるのだから有り難いよ。川岸則夫が来た。隣町だけれど、よく来てくれるので嬉しいね。学習塾を5つも経営していて、そりゃあ、おれなんかの比ではないリスクを背負っているらしい。ついつい、経営の話になったりするけど、詩のことが気にならないはずはないよね。そんな気配のやりとりをしていると、しみじみとしちゃうなあ。カミさんの教え子がチャリンコに乗ってやってきた。高校生だけれど、カミさんにとっては子どもなのだろうな。おれとしては、ちょっとぶ然としたい甘やかしようだが、まっいいか。どうせ暇だからと一人で商売物を飲んでいたら、竹馬の友の大工さんが、飲みにきた。なにしろ、灯りのみえる所に住んでいるから、人気のない店の様子をみかねたのかもね。職人気質が勝りすぎていまだに独身の武闘派だけれど、心根はやさしいやつだよ。それで、今日は終わり。
11月16日
20人の宴会が入った。この日は職場体験の中学生が来る日で、頼んでおいたエアコンの工事も入る予定だった。平日だからカミさんもいないし、オフクロに手伝ってもらって準備を始めたよ。中学生に仕事のダンドリを教えたり、まあ、ちょっと気を使ってココアをだしてやったりね。こんな日には、珍しくお昼の客も来たりするものだね。宴会は4時からの予定だから、2時間前にはかからないと間に合わない。これも仕事とばかりに中学生にテーブルをセットさせたよ。この二人、黙々とやるんだよね。先生が様子を見に来たり、職場体験の見学ということで、別の中学生がやってきて、おれにあれこれ質問していったよ。逆におれも質問してやったよ。三人だったけど、君たちはどんな仕事をしたいと思ってるの?設計の仕事というのと医者になりたいと答えたのがいて、もう一人は決めてないということだったね。医者になりたいって答えた子は、えらい頭の良さそうなお子さんだったぜ。ちょっと毅然としすぎているのが気に入らないけど。で、急に時間が足りなくなった。練り物を作ったり揚げ物を作ったり、言っときますが、オフクロはキャベツを刻んだり盛りつけをして運んだりで、作ってるのはおれだよ。なんとかなるもので、職場体験も宴会も無事終わったよ。あっ、ゲストルームのエアコンもついたからね。
11月9日
思いついて「まほろば」へ模型飛行機を持ち込んだ。おれ、ラジコン少年だったからね。これは、電動のセスナのスケール機だけれど、実際に飛ばしていたものではないよ。しかし、おれは飛行機を眺めていると勇気が湧いて来るなあ。詩に出会うまでは近くの相馬ケ原で毎週飛ばしていたものさ。シングル・ラダー・オンリー、と言っても誰も分からないだろうけど、当時の最低のエンジン付きラジコン飛行機の仕様さ。乗るのは怖いよ。飛行機ってやつは本当に敏感だからね。今日は休み。仕入れに行ったり、ゲストルームのエアコンを注文したりして、午後はモミスリ。自家製コシヒカリだぜ。店で使っているのも、もちろんこれ。群馬の米はブランドじゃないけど、おれは自信を持ってるよ。玄米で貯蔵しておいて、必要分だけ自家精米して使っているのさ。このあいだ、ネットのともだちに紹介されてという人が来た。近所の人らしいけど、よく知らない老人がふらりと現れたりもする。「まほろばの日々」は、着実に新しい人を加えているみたいだよ。今週は地元の中学校の職場体験とかで、一日、二人の中学生が店を手伝ってくれるという話だ。ふむ、未整理の同人詩誌の整理をしてもらおうかな。これさえ収めきれば一段落だからね。こきつかうぞお。なんてね。
11月2日
昨日は「芸能発表会」という村の文化祭が隣の「南部コミュニティセンター」で行われていて、朝から人出があったけど「まほろば」は暇。ちょっと地域の人のつれなさにいじけそうになったよ。そしたら、どっと?8人寄ってくれて、つまらなそうな顔を作るのに困ったね。でもねえ、こっちは楽だけど、とりとめもなくおいで願いたいものだよ。誰も来なくても待機モードに入っているから、暇なのも疲れるのだよ。「萩原朔太郎賞」の授賞式と記念講演があった。今年は財部鳥子さんだったね。嵯峨恵子さんなど、遠来の客もあるのに、あまり集まらなかったのかなあ。おれも、いつもは行くのだけれど、開店しちゃったからね。行かないのに言うことではないけれど「詩の国・群馬」「水と緑と詩の街・前橋」にしては、例年それほどでもないのが実情だね。どこでも似たような様子らしいけど、もっとさりげなく盛り上がってほしよね。から騒ぎではなく、自然と多くの人が現代詩人の業績を讃えるという具合にね。まあ、静かな熱狂というカタチかな。無理かねえ。休むと、何故か問い合わせがある。たまたま、こんな日に二回も当たると「まほろば」はいつも休みだ、ということになる。そんなことないんだけどね。関さん、改行しなくてごめんね。
10月26日
「まほろば土曜会」はロクな案内も出さないのに、おれを入れて7人で成立したよ。匿名で報告記を書いておこう。画家で詩人のS氏から確認の電話。最初の「土曜会」の会場「K」のママさんで、何故かY氏とカップルになっている、ええとYさんですな、彼女からも確認の電話。なんとか成立しそうな雰囲気を感じたおれは肴の用意をはじめたね。「詩学」で名を売った、群馬の若手N氏は折り込み済み。例によって何気なく現れたよ。もう、おれは貸し切りに決めていたから貼り紙を出しちゃったよ。心配無用さ、どうせ他には誰も来ないよ。さて、ほどなく、こんなことには律儀な反全共闘世代のI氏も登場。これで、目出度く成立したのだが、銀座での個展を控え、搬入準備に忙しいMM氏に声をかけないわけにはいかない。「ああ、忙しいけど、行けたら行く」と、いつになく切迫した返事。来るよ、きっと。なんて肴にしながら宴たけなわ。おれも久しぶりに飲んだねえ。「越の寒梅」一本空けて、MM氏待ち。来たねえ、やはり。深夜2時まで。お泊まり3人。おれは自宅に帰って寝たけどね。翌日は「高崎現代詩の会」のセミナーが入っていたからね。N氏によれば、しののめの赤城がキレイだったそうだよ。セミナー盛況。感謝。
10月19日
金曜日は、地元の中学校の教職員組合の宴会。妻の営業だが、こういうのがないと苦しい。しっかし、久しぶりに宴会らしい宴会をみたね。老若男女入り乱れての酒席なんて、民間ではみられないよ。いや、皮肉じゃなくて、妙にシラケた宴会ばかり仕切ってきたから、センセイたちの豪快な飲みっぷりに感激してしまったよ。もっとも、その後でどうにもならない事件が起こるのだから気の毒だけれどね。いったい、元気を出そうとすると出鼻をくじくような事件が起こるのは何故なのだろうね。まあ、そんな時代なのだろうけど、横浜ベイスターズファンにとっては、そんなことはないみたいだね。なんだか、オリックスが「がんばろう神戸」の象徴みたいに活躍したのを思い出したよ。おめでとう、4連勝で君たちの勝ちだよ。詩誌「山脈」が、当地で合宿という飲み会を計画している。事務局の村山精二氏に頼まれて「民宿しおざわ」を紹介した。もちろん「榛名まほろば」訪問は、既定のコース。そうだよね、村山さん。ここの凄いところは、事務長自らが下見に来ること。昨日はありがとうございました。もっと繁盛しているところをみせたかったけど、いや、あれから急に忙しなったんだよ。当地には、他にも宿泊施設有り。応相談。
10月12日
昨日、パソコンの師匠の早川聡がやってきた。やはりパソコンの話で盛り上がり、おれのページの画像処理の適当さを指摘されてしまったよ。実は、取り込み画像のサイズ処理ができないので、適当に縮小していたわけさ。その夜、彼からメールで見事な処理画像が来たので、早速、貼り付けたわけさ。どう。ビブロが無償修理で返ってきたけど、セットアップしたら音声がでない。マニュアルを読みながらいろいろやってみたけどダメ。どうなってるの。またカミさんに怒られちゃったよ。それにしても、相性が悪いなあ、この機種。更新が遅れたのはそのせいもあるけど、楽しくて疲れなんか感じないと思っていた「まほろばの日々」も、肉体的な疲れは来るね。それで、月曜日は定休日。まあ、そこそこに忙しいし、一人ならなんとかという売り上げかなあ。後はおれのココロの置き所だね。客待ちの合間にはまとまった原稿書きは無理だよ。どうしても休みは必要だね。そんなに依頼は無いけどさ。「現代詩手帖」に開店の知らせが小さく載っているけど、文面通りとはいえ、ピシャリとしすぎてるかなあ。おれ、けっこうオチャメだからね。気軽に来てね。いやあ、反省の日々だよ。農繁期は特に気もそぞろになって、冴えないよ。
10月5日
じわじわと疲れがたまってきたので休みをとった。といっても、なんとなく店にいる。買い物をしたり、病院に行ったり、店の庭をいじったり。休みだから近くの温泉へ。JAの乳製品直売所が「やすらぎの湯」の真ん前にオープンして、いまどきアドバルーンがあがっている。新鮮だけど、安くはねえなあ、と思う。店に戻って老眼鏡を忘れたことに気付いた。あわてて引き返したが、何故か無い。悲しいことに、これがないと仕事にならない。野口直紀が眼鏡屋さんなのだが、間に合わないので箕郷の眼鏡屋に行く。ここも「まほろば」並の閑散とした風景。どこかで逢ったような店主がしきりに検眼、最良の品を薦めるが、いいよお、その安いので。なんだか、休むとお金がかかる。それにしても、忘れ物が多い。いや、持ち歩くものがヤケに多くなったせいもあるね。みんなポーチに投げ込んでおくのだが、いつも何か探しているような気がするよ。塩原経央がサンケイ新聞で「まほろば」を紹介してくれて、その記事が今朝、掲載されたらしい。電話の問い合わせがあったけど、困ったなあ。実は、アクセスで蔵書登録しておいたのだけれど、バックアップしておかなかったら、店用に買ったビブロのハードを壊しちゃったんだよ。データの3分1は骨折り損さ。グレそうだよ。
9月28日
日曜日だというのに「まほろば」は暇。いただいた詩誌の整理をしていると一組の客。だいたい、何かしようとしていると客が来る。この男女、昼間からお酒のメニューを注文する。ちょっとアブナイ感じの目付きだが、客は選べない。生ビールにおつまみ三品、女はスパゲッティ。これくらいならいいとして、ウィスキーのハーフボトルにポークカレーもというから驚き。ちょっと何か別の用事でもあるのかいな、と思ったね。そこへ、当店お馴染みのM氏が登場。この人、ゲージツ家だが、この場合誤解を招きそうなツルツル頭に坊さんスタイルだからね。一瞬、緊張しちゃったよ。まあ、別段何事もなく、たちまち、男は全てを飲み、かつ食べ、女がきちんと払っていったのだけれど、ジャックダニエルをビールみたいに空けてケロリとしていたのには呆れたね。おかげで、売り上げの半分は稼がせてもらったよ。榛名画廊のオーナー夫婦が来たり、スタジオ・ムーブというギャラリーのオーナーも来た。敵情視察かしら。隣町の詩人、大塚史朗がしばらく話していった。夕方から8時30分頃まで、客ゼロ。妻は退屈して帰ってしまった。しっかし、閉めようとすると客は来るねえ。M氏、再度登場。そこへ、近所のK氏がへべれけでやってきた。結局1時間延長しちゃたよ。しょうがねえなあ。
9月21日
ここまで来るのは大変だったなあ。順調そのものに見えただろうけど、何度も危機があったのさ。家族4人に犬1匹、おれの退職と同時に本格的な準備に入ったわけだけれど、カミさんは高血圧で倒れるは、オフクロは気分が悪いと寝込むは、オヤジは肺の精密検査でひっかかるは、ラブは原因不明の無駄吠えを始めるは、ついに大腸ガン検診でオレがひっかかったのは、まほろば完成直前のことだった。正直、これを造ってお終いかと思ったよ。内視鏡に映ったポリープには驚いたね。三つ、その場で摘出して、一晩入院して、翌日退院できたのが信じられなかったよ。誰かが「家を新築すると病気になるから気をつけなさい」と、便りにしたためてくれたけれど、その通りだったよ。「詩学」の原稿は、その前日の絶望的な気分の中で封をしたものさ。命さえあれば、どんな非礼も償える。どんな苦しみも報われる。お金なんか、どうにでもなる。「あなたは、恵まれすぎている故に作品がつまらない」などと、開店早々に投げ文をいただいたが、そんなことなど、たいしたことではない。もう、何十食も料理を作って、売った。評判が気にならないわけではないが、なによりも「まほろばの日々」が残されていたことが嬉しい。

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