不動産と自己破産


Q 破産すると不動産を失うのか

A 結論的には、破産すればほぼまちがいなく不動産は失います。実際上、破産の最大のデメリットは、所有している不動産(住宅・店舗・工場など)を失うことです。そのため店舗・工場などを所有する事業者は結果的に廃業に追い込まれます。

Q 不動産を所有していると管財人事件になるのか

A これは不動産に抵当権や根抵当権といった担保物権が設定されているかいないか、担保権によって確保される債権(被担保債権といいます)と不動産価格のどちらが大きいかによって決まります。複雑ですので例を挙げて説明します

1 担保権の設定のある場合

@ 負債総額2000万円(うち被担保債権1000万円)、不動産価格1500万円

  この場合は管財人事件になります。破産管財人が1500万円で不動産を売却して担保物権のある債権者に1000万円を支払い、残りの500万円を担保物権のない債権者に配当します。

A 負債総額2000万円(うち被担保債権1000万円)、不動産価格500万円

  この場合は売却代金の500万円全額が担保物権のある債権者に支払われ、担保物権のない債権者には1円も配当されません。そのため破産管財人を選ぶ必要がなく、この場合は同時廃止事件になります。不動産は通常、競売によって売却されます。 
 
2 担保権の設定のない場合

 この場合は管財人事件になります。破産管財人が不動産を売却して売却代金を債権者に配当します。

Q 被担保債権1000万円、不動産価格900万円の場合はどうなるか

A 管財人事件になるか同時廃止事件については実は基準があります。具体的には、被担保債権>不動産価格×1.5の基準を満たせば同時廃止事件となります。上の例はこの基準を満たさないので管財人事件になります。

Q 不動産価格はどのように決めるのか。

A 不動産業者2社の時価に関する報告書(査定書)を資料にして判断します。他にも方法はありますがあまり使われないので省略します。

Q 不動産を親族に買ってもらうことはできるのか

A 破産した人が所有する不動産を親族に購入してもらい、破産後も使用することはけっこう行われています。購入した親族には必要に応じて家賃を払うわけです。現在のところ破産しても不動産を失わない方法はこれくらいです。
 担保物権のある債権者としても、競売よりも任意売却の方が高く売れる可能性が高いのでたいてい応じてくれます。もちろん親族が資金を有するか、住宅ローンを組めることが条件です。

Q 競売された場合、住宅にはいつまで住めるのか

A 任意売却しなかった(できなかった)不動産は裁判所の競売によって売却されます。競売では買受人が売却代金を裁判所に納付した時に不動産を取得することになっているので、その時まで不動産を使用することができます。現在でも競売には半年以上の期間が必要なので、破産申立から1年近く使用できることもあります。

Q 個人再生手続の住宅ローンの特則が使えない場合

A 住宅を所有し、住宅ローンがあっても、個人再生手続の住宅ローンの特則が使えない場合もあります。その代表例が住宅に住宅ローンを担保する抵当権以外の担保権が設定され、登記(仮登記も含む)されている場合です。したがって事業者が事業資金の担保として自宅に銀行や信用保証協会の(根)抵当権を設定した場合や、サラ金の不動産担保ローンや商工ローンの(根)抵当権が設定されている場合は住宅ローンの特則は使えません。このため住宅を所有し、住宅ローンがあっても破産を選択せざるを得ない場合もあります。
 



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