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機関誌最新号目次 バックナンバー2〜10号 いこる4コママンガ -- 機関誌「いこ☆る」第10号特集 -- 「派遣の実態 法律と現場の闘い」 |
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派遣労働と女性の権利 永嶋 里枝 派遣においこむもの 労働者派遣法は悪法の極みである。85年成立86年施行だが、雇用機会均等法とセットでできた経緯は問題が多い。 85年派遣法と同時に女性差別撤廃条約批准のために均等法ができた。95年に新時代の日本的経営(雇用三分化の戦略)が出されたが、その後育児・介護休業制度を制定して、ILOの家庭的責任条約を批准した。条約は、女性も男性も家族を背負う労働者が対等であることを保障し、家族責任による不利益をこうむらないよう差別を撤廃するもので、勧告にあるように、短時間労働は有期雇用契約を意味しない。家族的責任を果たすためのフルタイムに復帰可能な正社員の短時間化である。 しかし日本では、そういう視点がまったく盛り込まれず、政府は根本的な男女格差を改めない。均等法は男性と同様に働ける女性に対しての差別を対象にしており、非正規と正規の間の均等待遇は実現できない。この20年間に女性労働者は正社員で働けなくなり、均等法の救済外の女性が増えた。 派遣の男女比率は女性が多い(表1)。
好きな時間や仕事を選べるから派遣は望ましいというが、そういう意識は労働者を効率的に働かせるだけで労働者を大切にしない今の会社のシステムで作られている。男性並みに働くことを主眼においているとしか思えない均等法の制定以後、それが出来ない育児や介護の必要がある女性は正社員を最初からあきらめて、パートより給与がいい、という消極的な選択で派遣を選ぶ。選べているように見えるがじつは選ばされている。派遣の約75%が時給で、月収10万〜30万が81.4%、正社員は20万〜40万の分布が一番多い。時間当たりが高く見えても残業が少なく手当てがないので、正社員との賃金格差が歴然。妊娠出産を理由にした派遣元からの解雇・雇い止め、派遣先らの中途解約差し替え要求もまかりとおっている。こういう状況を前提にパート・派遣を活用しようとしているのである。企業側のニーズははっきりしているのだ(表2)。
紹介予定派遣―採用方法の多様化? これまでは新卒は正社員として雇用したのち当初6ヶ月は試用期間だった。紹介予定派遣は正社員ではなく、派遣で、パートや派遣で、能力を見極めた上で契約終了後正社員として雇う。試用期間を飛ばし、派遣で試して見極めて、試用期間を脱法的に使われる懸念が現実になっている。企業にとってはっきり都合がよいようになっている。労働行政もこの企業の状況をバックアップしている。 05年厚生労働白書では、25歳から39歳の女性就業者を地域別に分析すると、正規社員で長時間労働でない地域は出生率が高いという。出生率が低い都市部では女性が非正規化し、正規は長時間労働となっている。男性の長時間労働の割合が高い地域は出生率が低い傾向がある。日本では家族的責任を負いながら働くことができない。この現状がある限り派遣を選ぶ女性はこれからも増えるだろう。行使は困難な現状はあるが、派遣労働者女性労働者の権利として最低限抑えるべきは、労基法や均等法の権利は正規以外の身分のすべての労働者に適応され派遣労働者も行使できるということだ。 出産休暇途中の契約の終了について 今回の均等法で、妊娠出産が理由だと証明できれば、違法と言えるが、契約更新を前提にしていないため立証が難しい。育児介護休業制度が05年4月から改正され、対象労働者が拡大したというが、あまりに複雑な規定があって一人一人の個別交渉はかなり困難。しかし、最近派遣労働者自身が声を上げられるようにようやくなってきた。労働組合で取り組むべきだ。
使える!法的な権利 ― 永嶋さんの講演から 1.差別禁止
*この解釈について
雇用管理区分が違うと平等原則がない、と最高裁判所を頂点とした日本の司法の考え方。
2.母性保護規定 これも全面的に該当するが、派遣元の義務、派遣先の義務がまちまちである。
3.セクシャルハラスメント禁止・防止
改正派遣法 脇田 滋 派遣労働を周辺の問題とするのはまったくの間違いである。これは労働組合全体を弱める無力化だ。水からだんだんあったまって気づかないうちにゆだって死んでしまった、ゆで蛙のような状況に近づいている。 日本の派遣法は世界一だめ 派遣法はもともとドイツで72年に作られた。それまで職業紹介の国家独占が原則で派遣は認められてなかったが、マンパワードイツが営業の自由を定めたドイツの基本法に違反すると提訴、憲法裁判所で違憲判断が出た。ドイツ政府はやむなく派遣法を作った。ドイツの原則ははっきりしている。 1.派遣元は常用雇用しなければならない 2.派遣期間は3ヶ月の期間労働として認める 3ヶ月を超える場合は、直接雇いにしなければならない。「テンポラリー・ツー・パーマネント」が大原則。イタリアやフランスでは派遣と派遣先の労働者が同じ仕事なら、同じかそれ以上の待遇でなければならない。日本では直接雇用なら同じ使用者の仕事は同じ待遇にできるが、派遣先と派遣元は別会社だからできない。ヨーロッパは仕事を元にしているので、労働が同じなら会社が違っても同じ待遇。そこが日欧の違い。韓国でも98年の憲法では派遣先と派遣労働者の均等待遇を努力義務にしている。 3.派遣労働者は、労働組合の協約が及び、労働条件を変えられる積極的な地位を持つ。 韓国では派遣を入れる場合は職場の組合と協議、イタリアでは派遣は何パーセントと組合と協議、と、労働組合がたくさん登場。ドイツの派遣法では、派遣先の経営協議会に派遣労働者が参加し、被選挙権はないが、選挙でき、就業規則の協定を結ぶ。ドイツでは今は規制緩和で派遣期間の制限はなくなってしまった。派遣先での均等待遇を保障するのは派遣元の義務で、それができなければ許可取り消しになる。日本では、派遣法関係に03年の改正まで労働組合がまったく出てこない。毎年3割増えて4年で倍増 ドイツでは今でも派遣労働者は30万人。 製造業務の派遣解禁の流れ 派遣法は85年から10年単位で改正されてきている。労働行政にべったりの学者も新自由主義の流れの中で捨てられ、今は派遣法に反対している有様だ。 現在派遣対象業務は原則自由化になってしまった。95年の日経連雇用三分化の戦略が派遣を通じて具体化貫徹されると危機感を持って、あわてた連合も抵抗して新しく自由化された業務は1年たったら直雇い、のルールができた。実際はすでに業務請負があったものの製造業務は85年から弊害が大きすぎると除外だったが03年に解禁。受け入れ期間が、03年の改正以前は1年までの受け入れ期間が3年までになった。26業務は3年といわれていたのが制限なしになった。製造業は来年の2月末までは1年。そのあとは3年。派遣期間については複雑だが、産前産後育児介護休業の取得労働者の業務も制限なし。考えるとおかしい。
3年を超えたらドイツでは自動的に派遣先と雇用関係ができたとみなされ3割から5割は派遣の後正社員になっている。同じ待遇だから負担は同じだが、日本では、派遣の平均年収は200万、正社員の半分で働いてその人件費で派遣2人雇えるので、特別な場合以外正社員にはしようとしない。日本では逆でパームツーテンプ(正規から非正規へ)。雇用破壊そのもの。韓国では2年たって派遣を雇っていたら労働組合がすごく騒ぐが、日本ではそんな労組はない。 偽装請負の横行 今の焦点は、製造業の業務請負。業務請負の中には派遣としか見えないのに、派遣だったら1年たったら直接雇いにしなければならないので、製造業の業務請負を偽装する。就職誌の求人はみなアウトソーシングで中身は業務請負。業界団体もあるのに雇用主としての実態がない。日本を代表するような製造業の有名企業が請負を活用しているのである。コンプライアンス(法令遵守)はどうなっているのか。 01年から違反が年々倍増しており、12月に厚労省の是正指導がされた。東京労働局では昨年5月の統計で派遣事業所の81・2%で、業務請負事業所76.5%違法行為が横行。禁止されている建設業派遣、加重派遣も多い。大阪労働局では請負事業所の62.5%に問題点が発見された。派遣と同じように請負先が仕事の指示をした、責任の負担が明記されていない、など。 問題はどう改善するかだが、労働者の立場は弱い。直接雇用が基本で、東京の派遣労働ネットワークでは、直接雇用に成功したが、最近労働行政が変わった。この3月、直接雇用へのハードルが引き上げられる。行政は改善の指導をするが、直接雇用にはしないで、請負化という形で解決しようとするようになった。製造業務の派遣より悪い業務請負に対し、日本の労働行政は、派遣法ができてから職安法の違反摘発をやめ違法派遣の取締りを緩めた。クリスタルという製造部門への違法派遣の会社はコマーシャルまでやっている。社長は千葉県の長者番付トップ。パソナの何倍も売り上げている。紹介予定派遣はいずれ正社員にすると、派遣では安全衛生の確保など労働者保護を定めているが、結局業務請負で直雇いを避けている。 職業安定所の求人の会社の中で派遣会社が、3割か4割、新宿では5割を超えている。形の上では雇用主だが、雇用者は、勤務地を飛ばされ労働条件がはっきりしない。追及しても、派遣会社が求人情報を職安におんぶする実態。自分で人を集められない、事務所も10Fでいい、中間搾取するだけの名前だけの派遣会社が多い。そして労働者に対する暴行や人権侵害が起こっている。
これらは明らかに請負を偽装した違法の派遣だ。以前は派遣労働者には責任はないとされたが、今では一人のミスが連帯責任になる。同一労働で差別賃金、いつでも首を切れる。派遣の場合は契約の打ち切りですむ。交渉もできない。暴力団まがいで、最低基準の権利行使が困難。6ヶ月以内だと有給休暇がなく、一般労働者なら当然の有給休暇が取れない。25歳の壁、35歳の壁、があって時給が安くなる。こんなに使用者にとって便利な形態はない。使用者がこれを広げるのは当然だ。 韓国では非正規労働者の組織化権利の闘いをしている。韓国では2年たったら正規社員にと、民主労組韓国労組ともに「非正規、撤廃」のバトルをしている。錦湖タイヤで300人規模で正社員化をした。03年SK(財閥系)の物流の事業所でも最高裁で判断が出て2年後直接雇用という話になった。労働組合の運動がバックになって解決しているのである。 組合に入っていなくても、地域労組へ相談できる。労働組合がこの問題に取り組まないと組合の存在意義が問われる。 |
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