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-- 機関誌「いこ☆る」第10号特集 --
いこ☆るの風を全国に 均等法から20年 アンバランスからジャンプ!

「派遣の実態 法律と現場の闘い」


◆7月8日、第6回派遣労働ネットワーク関西の総会が持たれ、増加する派遣労働者の問題に対応する体制作りが青木事務局長から提起されました。その後、永嶋里枝弁護士と脇田滋龍谷大学法学部教授の学習会、現場報告が行われました。
◆派遣労働についてのコンパクトでいながらインパクトのある永嶋さん、脇田さんお二人のお話を紹介します。(脇田滋さん 改正派遣法 この2年と業務請負はこちら。

派遣労働と女性の権利
雇用機会均等法と労働者派遣法
   

永嶋 里枝

派遣においこむもの

 労働者派遣法は悪法の極みである。85年成立86年施行だが、雇用機会均等法とセットでできた経緯は問題が多い。

 85年派遣法と同時に女性差別撤廃条約批准のために均等法ができた。95年に新時代の日本的経営(雇用三分化の戦略)が出されたが、その後育児・介護休業制度を制定して、ILOの家庭的責任条約を批准した。条約は、女性も男性も家族を背負う労働者が対等であることを保障し、家族責任による不利益をこうむらないよう差別を撤廃するもので、勧告にあるように、短時間労働は有期雇用契約を意味しない。家族的責任を果たすためのフルタイムに復帰可能な正社員の短時間化である。

 しかし日本では、そういう視点がまったく盛り込まれず、政府は根本的な男女格差を改めない。均等法は男性と同様に働ける女性に対しての差別を対象にしており、非正規と正規の間の均等待遇は実現できない。この20年間に女性労働者は正社員で働けなくなり、均等法の救済外の女性が増えた。

 派遣の男女比率は女性が多い(表1)。

好きな時間や仕事を選べるから派遣は望ましいというが、そういう意識は労働者を効率的に働かせるだけで労働者を大切にしない今の会社のシステムで作られている。男性並みに働くことを主眼においているとしか思えない均等法の制定以後、それが出来ない育児や介護の必要がある女性は正社員を最初からあきらめて、パートより給与がいい、という消極的な選択で派遣を選ぶ。選べているように見えるがじつは選ばされている。派遣の約75%が時給で、月収10万〜30万が81.4%、正社員は20万〜40万の分布が一番多い。時間当たりが高く見えても残業が少なく手当てがないので、正社員との賃金格差が歴然。妊娠出産を理由にした派遣元からの解雇・雇い止め、派遣先らの中途解約差し替え要求もまかりとおっている。こういう状況を前提にパート・派遣を活用しようとしているのである。企業側のニーズははっきりしているのだ(表2)。

紹介予定派遣―採用方法の多様化?

 これまでは新卒は正社員として雇用したのち当初6ヶ月は試用期間だった。紹介予定派遣は正社員ではなく、派遣で、パートや派遣で、能力を見極めた上で契約終了後正社員として雇う。試用期間を飛ばし、派遣で試して見極めて、試用期間を脱法的に使われる懸念が現実になっている。企業にとってはっきり都合がよいようになっている。労働行政もこの企業の状況をバックアップしている。

 05年厚生労働白書では、25歳から39歳の女性就業者を地域別に分析すると、正規社員で長時間労働でない地域は出生率が高いという。出生率が低い都市部では女性が非正規化し、正規は長時間労働となっている。男性の長時間労働の割合が高い地域は出生率が低い傾向がある。日本では家族的責任を負いながら働くことができない。この現状がある限り派遣を選ぶ女性はこれからも増えるだろう。行使は困難な現状はあるが、派遣労働者女性労働者の権利として最低限抑えるべきは、労基法や均等法の権利は正規以外の身分のすべての労働者に適応され派遣労働者も行使できるということだ。

出産休暇途中の契約の終了について

 今回の均等法で、妊娠出産が理由だと証明できれば、違法と言えるが、契約更新を前提にしていないため立証が難しい。育児介護休業制度が05年4月から改正され、対象労働者が拡大したというが、あまりに複雑な規定があって一人一人の個別交渉はかなり困難。しかし、最近派遣労働者自身が声を上げられるようにようやくなってきた。労働組合で取り組むべきだ。

 

使える!法的な権利 ― 永嶋さんの講演から

1.差別禁止

労働基準法4条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない

*この解釈について
 1998年10月 労働関係民事・行政事件担当裁判官協議会

  • 最高裁判所は、社会的身分には、職制上の地位は含まないとの見解
  • 同一労働同一賃金は実定法上の根拠がない
  • 雇用形態が異なれば賃金格差は許される

雇用管理区分が違うと平等原則がない、と最高裁判所を頂点とした日本の司法の考え方。

男女雇用機会均等法 2006年改正

  • 女性差別禁止から、男女差別禁止へ
  • 禁止対象事項の拡大
    募集、採用、配置、昇進、教育訓練、福利厚生、定年、退職、解雇の雇用ステー
    ジについての差別禁止
    →配置において、権限の付与・業務の配分を加え、降格、雇用形態又は職種の変更、退職勧奨、雇止めのステージを追加
  • 間接差別規定の新設
  • 妊娠・出産・産前産後休業取得等を理由とする解雇以外の不利益取扱いの禁止 妊娠・出産したこと、産前産後休暇を取得したことを理由とする解雇禁止
    →妊娠または出産に関する事由を理由とする差別禁止 妊産婦に対する解雇無効
  • 男性に対するセクシャルハラスメント
  • 均等法に基づく調停の対象を拡大するなど、手続の改善

 

労働者派遣法26条7項 派遣先は、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努力義務を負う.

派遣先指針3 派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、面接する、履歴書を送付させる、性別を特定するなど、派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。

労働者派遣法27条 派遣先は、派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として、派遣契約(注:期間中の解除)を解除してはならない。
→母性保護を求めたことによる解除、差替要求無効

派遣先指針4 派遣契約に性別を記載してはならない。

派遣先指針18 紹介予定派遣に係る派遣労働者を受け入れるに際し均等法5条(募集についての性別の禁止)の趣旨に照らし行ってはならない措置適用除外あり

派遣元指針11 派遣元は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣労働者の特定を目的とする行為に協力してはならない。

2.母性保護規定

これも全面的に該当するが、派遣元の義務、派遣先の義務がまちまちである。

・妊産婦の危険有害業務の就業制限 労基法64条の3
                  ・・・派遣元・派遣先(派遣法44条2項、3項、47条の2)

・産前・産後休暇 労基法65条   ・・・派遣元(派遣法44条2項反対解釈)

産前・産後休暇中に派遣契約期間が満了する場合

・妊産婦の労働時間制限 労基法66条・・・派遣先(派遣法44条2項)

・育児時間 労基法67条      ・・・派遣先(派遣法44条2項)

・生理休暇 労基法68条      ・・・派遣先(派遣法44条2項)
  特別の証明がなくても請求あれば与えること、診断書の厳格な証明は不要、同僚の証言程度で対応すべき(昭和23年5月5日基発682号、昭和63年3月14日基発150号、婦発47号)

・妊産婦の通院のための時間確保 均等法22条
                  ・・・派遣元・派遣先(派遣法44条2項、3項、47条の2)
・妊娠中の通勤緩和・休憩 均等法23条
                  ・・・派遣元・派遣先(派遣法44条2項、3項、47条の2)
・育児・介護休業  育児・介護休業法5条、11条
                   ・・・派遣元
 ア 日々雇用される労働者は育児休業の適用対象から除外 同法2条
 イ 期間を定めて雇用される者も育児休業の適用対象から除外 同法2条
○形式上期間を定めて雇用される労働者でも、実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には取得可
○形式上期間を定めて雇用される労働者でも、1年以上の雇用実績があり、休業終了後も継続雇用が見込まれる場合は取得可
●登録型
 ウ 労使協定により育児・介護休業を取ることができないとされた者(採用されて1年未満の者、1年以内に退職することが明らかな者、1週間の所定労働日数が著しく少ない者等)も適用除外 同法2条

・労働時間短縮、時差出勤、フレックスタイム制 同法17、18、23条
                   ・・・派遣元
・深夜労働の免除 同法19、20条 適用除外規定なし(同法2条1号、6条反対解釈)

・年次有給休暇 労基法39条     ・・・派遣元(派遣法44条2項反対解釈)
 6ヶ月間継続勤務して全労働日の8割以上出勤していれば、派遣労働者も年休を取ることができる。
○登録型でも、短期の契約を繰り返し更新したり、途中で派遣先が変わっても、1ヶ月以内に次の派遣先に派遣されていれば継続勤務と言える(強気)。
生理休暇は全労働日には入らない。産前産後休暇や育児休暇は全労働日には入るが、出勤したものとみなす。

3.セクシャルハラスメント禁止・防止

  1. 派遣元も派遣先も派遣労働者のセクシャルハラスメント防止について雇用管理上の責任を負う(派遣法47条の2、派遣先指針9^)。
  2. セクシャルハラスメントについての指針(1999(平成11)年4月1日施行)遵守義務
  3. 被害を受けたら、派遣元、派遣先に善処を要請
  4. 派遣元は、派遣先が違反行為を行った場合は、派遣を停止し、契約を解除することができる(派遣法28条)。この場合は、派遣先の当事者、派遣先に対する損害賠償請求ができる。
  5. 派遣元が何も対応せず、派遣先から派遣契約の中途解除を受けたら、中途解除は無効 だから、引き続き派遣先での就労を求めることもできるし、派遣先での就労を断念して、派遣元に対し、残期間の給料請求権、損害賠償請求権を行使することもできる。いずれの場合も、派遣先の当事者、派遣先にも損害賠償請求ができる。

セクシャルハラスメントの被害を訴えたことによって派遣元から解雇された場合は、当然解雇無効を主張して争うことができる。この場合も、派遣先の当事者、派遣先に対する損害賠償請求ができる。

改正派遣法
この2年と業務請負

脇田 滋

 派遣労働を周辺の問題とするのはまったくの間違いである。これは労働組合全体を弱める無力化だ。水からだんだんあったまって気づかないうちにゆだって死んでしまった、ゆで蛙のような状況に近づいている。

日本の派遣法は世界一だめ

 派遣法はもともとドイツで72年に作られた。それまで職業紹介の国家独占が原則で派遣は認められてなかったが、マンパワードイツが営業の自由を定めたドイツの基本法に違反すると提訴、憲法裁判所で違憲判断が出た。ドイツ政府はやむなく派遣法を作った。ドイツの原則ははっきりしている。

1.派遣元は常用雇用しなければならない

2.派遣期間は3ヶ月の期間労働として認める

 3ヶ月を超える場合は、直接雇いにしなければならない。「テンポラリー・ツー・パーマネント」が大原則。イタリアやフランスでは派遣と派遣先の労働者が同じ仕事なら、同じかそれ以上の待遇でなければならない。日本では直接雇用なら同じ使用者の仕事は同じ待遇にできるが、派遣先と派遣元は別会社だからできない。ヨーロッパは仕事を元にしているので、労働が同じなら会社が違っても同じ待遇。そこが日欧の違い。韓国でも98年の憲法では派遣先と派遣労働者の均等待遇を努力義務にしている。

3.派遣労働者は、労働組合の協約が及び、労働条件を変えられる積極的な地位を持つ。

 韓国では派遣を入れる場合は職場の組合と協議、イタリアでは派遣は何パーセントと組合と協議、と、労働組合がたくさん登場。ドイツの派遣法では、派遣先の経営協議会に派遣労働者が参加し、被選挙権はないが、選挙でき、就業規則の協定を結ぶ。ドイツでは今は規制緩和で派遣期間の制限はなくなってしまった。派遣先での均等待遇を保障するのは派遣元の義務で、それができなければ許可取り消しになる。日本では、派遣法関係に03年の改正まで労働組合がまったく出てこない。毎年3割増えて4年で倍増 ドイツでは今でも派遣労働者は30万人。
日本の派遣法は本来の派遣法からも外れている。廃止するしかないと思う。

製造業務の派遣解禁の流れ

 派遣法は85年から10年単位で改正されてきている。労働行政にべったりの学者も新自由主義の流れの中で捨てられ、今は派遣法に反対している有様だ。

 現在派遣対象業務は原則自由化になってしまった。95年の日経連雇用三分化の戦略が派遣を通じて具体化貫徹されると危機感を持って、あわてた連合も抵抗して新しく自由化された業務は1年たったら直雇い、のルールができた。実際はすでに業務請負があったものの製造業務は85年から弊害が大きすぎると除外だったが03年に解禁。受け入れ期間が、03年の改正以前は1年までの受け入れ期間が3年までになった。26業務は3年といわれていたのが制限なしになった。製造業は来年の2月末までは1年。そのあとは3年。派遣期間については複雑だが、産前産後育児介護休業の取得労働者の業務も制限なし。考えるとおかしい。


  日本では派遣雇用期間が長引き直接雇用にする場合雇用契約の申し込みが必要だ。最長3年だが1年を超える場合、派遣先の労働組合が口を挟んで、短くできる。根拠としてぜひ活用してほしい。雇用期間のとりきめがない業種でも正規労働者を募集する際には派遣労働者が優先的に雇用される。

 3年を超えたらドイツでは自動的に派遣先と雇用関係ができたとみなされ3割から5割は派遣の後正社員になっている。同じ待遇だから負担は同じだが、日本では、派遣の平均年収は200万、正社員の半分で働いてその人件費で派遣2人雇えるので、特別な場合以外正社員にはしようとしない。日本では逆でパームツーテンプ(正規から非正規へ)。雇用破壊そのもの。韓国では2年たって派遣を雇っていたら労働組合がすごく騒ぐが、日本ではそんな労組はない。

偽装請負の横行

 今の焦点は、製造業の業務請負。業務請負の中には派遣としか見えないのに、派遣だったら1年たったら直接雇いにしなければならないので、製造業の業務請負を偽装する。就職誌の求人はみなアウトソーシングで中身は業務請負。業界団体もあるのに雇用主としての実態がない。日本を代表するような製造業の有名企業が請負を活用しているのである。コンプライアンス(法令遵守)はどうなっているのか。

 01年から違反が年々倍増しており、12月に厚労省の是正指導がされた。東京労働局では昨年5月の統計で派遣事業所の81・2%で、業務請負事業所76.5%違法行為が横行。禁止されている建設業派遣、加重派遣も多い。大阪労働局では請負事業所の62.5%に問題点が発見された。派遣と同じように請負先が仕事の指示をした、責任の負担が明記されていない、など。

 問題はどう改善するかだが、労働者の立場は弱い。直接雇用が基本で、東京の派遣労働ネットワークでは、直接雇用に成功したが、最近労働行政が変わった。この3月、直接雇用へのハードルが引き上げられる。行政は改善の指導をするが、直接雇用にはしないで、請負化という形で解決しようとするようになった。製造業務の派遣より悪い業務請負に対し、日本の労働行政は、派遣法ができてから職安法の違反摘発をやめ違法派遣の取締りを緩めた。クリスタルという製造部門への違法派遣の会社はコマーシャルまでやっている。社長は千葉県の長者番付トップ。パソナの何倍も売り上げている。紹介予定派遣はいずれ正社員にすると、派遣では安全衛生の確保など労働者保護を定めているが、結局業務請負で直雇いを避けている。

 職業安定所の求人の会社の中で派遣会社が、3割か4割、新宿では5割を超えている。形の上では雇用主だが、雇用者は、勤務地を飛ばされ労働条件がはっきりしない。追及しても、派遣会社が求人情報を職安におんぶする実態。自分で人を集められない、事務所も10Fでいい、中間搾取するだけの名前だけの派遣会社が多い。そして労働者に対する暴行や人権侵害が起こっている。

・ヨドバシカメラ携帯電話販売業務の二重派遣
 30分の早出に10分遅刻。暴力をふるわれ便器を磨いてなめろと命令され登社拒否になった。エッセイストの母の目前で上司が暴行。刑事事件で損害賠償裁判。去年の判決で、原告の訴えが認められた。

 

・ニコン・ネクスタ製造業務のメンタルヘルスの破壊
 23歳の派遣の上段君。神経を使う作業を10数日連続でさせられうつ病を発祥し、ネクスタの提供アパートで首吊り。命日もわからない。ホームページや新聞で証人を募集してニコンとネクスタを相手に東京地裁へ訴え、安全健康配慮義務違反が昨年3月認められた。

 これらは明らかに請負を偽装した違法の派遣だ。以前は派遣労働者には責任はないとされたが、今では一人のミスが連帯責任になる。同一労働で差別賃金、いつでも首を切れる。派遣の場合は契約の打ち切りですむ。交渉もできない。暴力団まがいで、最低基準の権利行使が困難。6ヶ月以内だと有給休暇がなく、一般労働者なら当然の有給休暇が取れない。25歳の壁、35歳の壁、があって時給が安くなる。こんなに使用者にとって便利な形態はない。使用者がこれを広げるのは当然だ。

 韓国では非正規労働者の組織化権利の闘いをしている。韓国では2年たったら正規社員にと、民主労組韓国労組ともに「非正規、撤廃」のバトルをしている。錦湖タイヤで300人規模で正社員化をした。03年SK(財閥系)の物流の事業所でも最高裁で判断が出て2年後直接雇用という話になった。労働組合の運動がバックになって解決しているのである。

 組合に入っていなくても、地域労組へ相談できる。労働組合がこの問題に取り組まないと組合の存在意義が問われる。

他にも盛りだくさんの内容です。ぜひ、機関誌をご覧ください。

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