Tales of phantasia Short Story Series
Time Distotion 〜1〜
時間。
空間。
いま居るこの場所。
とても些細なもの。
ひどく不安定なもの。
そんな不安定な流れのなかで綴られるストーリー。
歴史を一本の木に例えるならばその流れは枝葉。
ちょっとしたことでどの枝葉に進むかは変わっていく。
歴史もまた同じ。
彼らは『時の勇者』によって『時の魔人』が封じられた歴史に生きていた。
アセリア暦4299年。
『時の魔人』ダオスが『時の勇者』に封じられて約100年。
人々はダオスの脅威を忘れ、日々を平穏に過ごしていた。
真実を知る、一部の者を除いては。
「くっ…こいつら単なるスケルトンじゃねぇ…」
ユークリッド南部の神殿。
「地下墓地」と通称されているところだ。
俺はアルベイン流剣技の『試練』でここに来ていた。
試練と言っても実践的な修練のようなもので、何ごともなく終わるはずだった。
しかしこいつらは格が違った。
普通のモンスターじゃない。
少なくとも、本来この神殿に出るようなレベルのモンスターには
負けないくらいの技量を俺は持っている。
がきぃんっ!
「しまったっ」
スケルトンとの応戦。
力負けした俺は剣を吹き飛ばされてしまった。
俺は盾を持っていない。鎧だってアルベイン流儀に倣った軽装具だ。
ぶんっ!
スケルトンが振りかぶる!
やられる!
そう思ったときだった。
「来たれっ! 火の精霊よ! イラプション!」
どぉぉーん!!
凛とした声が響き、スケルトンが地から吹き出した烈火に包まれる!
火の精霊魔術イラプション。
放ったのは俺じゃない。
そもそも俺は魔術なんて使うことが出来ない。
炎が消えたとき、スケルトンは灰になっていた。
「だいじょうぶ?」
背後から声を聞いた。魔術詠唱の声と同じ、女性のものだった。
「あ、ああ…」
俺は立ち上がろうとして膝をつく。
「ちょっと待って…」
女性が駆け寄る。いや、女性と言うにはまだ幼かった。
旅装束とマントに身を包んでは居るが、
顔立ちは間違いなくあどけない少女のそれだった。
そして澄んだ髪と薄桃の瞳。
エルフ族の血を引いた証。
「ヒール!」
声と共に俺の体が暖かい光に包まれる。
容姿に気を取られて詠唱に気がつかなかったが、これは…法術だ。
身体に力が戻るのを感じる。
俺は難なく立ち上がることが出来た。
「だいじょうぶ?」
少女はもう一度同じ事を訊いた。
「ああ……。ありがとう」
身に掛かった埃を落としながら俺は応えた。
法術の効果だろうか、本当に身体はなんともなかった。
「苦戦してたねぇ」
少女は俺を物珍しそうに眺めながら言った。
「ま。ボーンナイト相手じゃ無理ないかな?」
「ボーンナイト?」
俺はその名を繰り返した。
スケルトンの上位モンスター…だった気がする。
「単なるスケルトンじゃない」という考えは当たっていたらしい。
当たったところで油断して危かったことに違いはないが。
「なんにしても、無事でよかった」
少女は俺から離れた。壁を触っているようだ。
なにかを、調べている?
「ね、壁とかには触れてないよね?」
「ああ……奴等と闘ったときも触れてないはずだ」
「そう……」
少女はなにやら考え込んでいるようだ。
「…………」
「あ、ごめんごめん」
呆然と立ち尽くしている俺に気がついたらしい。
俺のほうは彼女をどう扱えばよいものか戸惑っていたところだった。
「で、なんでこんなトコに居るの?」
「そりゃ俺の台詞だ」
つい思ったことをそのまま口に出してしまった。
彼女は俺の言葉に笑って応えた。
「あははっ。そうだねぇ。
私はリスティ。ココの神殿を調査に来たんだよ」
「調査?」
「そ。だから怪しい者じゃないよ。」
調査=怪しい者じゃない、と言い切れるものか俺は考えたが、
その彼女…リスティの目が『お前も名乗れ』と言っていることに気がついた。
「俺はアルベイン流剣士ファート。修行の一環でここに来てる」
「へぇ……」
リスティはしげしげと俺を眺めた。
「容姿に似合わず立派な名前なんだねぇ」
「うるさい」
俺は思わずリスティを小突いていた。
すると彼女はクスっと笑い、こう言った。
「そんだけ元気なら大丈夫だね」
俺とリスティは神殿を出た。
「さて・・・」
「ん?」
俺は背後に居るリスティを見据えて言った。
「なんでついてくる?」
「むぅ、酷いなぁ。命の恩人に向かって」
「それはそうだが・・・」
「あ」
不意にリスティが俺を指差した。
「暗くて分からなかったけど・・・ちゃんとバンダナ巻いてるんだねぇ」
「こうみえてもアルべイン流だからな」
俺はバンダナをきゅっと結びなおしながら言った。
別に決まりではないが、アルベインの剣士はみなバンダナを巻いているのだ。
「と言うことでトーティスまでご案内お願いします♪」
さらっとリスティは言った。
「別に構わんが・・・案内って、場所、知らないのか?」
「知ってるよー。でも、近道、あるでしょ」
トーティスとこの地下墓地の間には山地があり、本来は大きく迂回せねばならない。
しかし地下墓地が修練の場所となっていることから、ケモノ道を改良した近道があるのだ。
もっとも、これも修練のひとつとされていてかなり険しい道のりなのだが。
「なんだ、そんなことまで知ってるのか」
「うん。でも何処に近道があるのかまでは知らないの。だから案内」
上目遣いで俺に頼み込むリスティ。
こいつ、自分のペースに持って行くのが上手いな・・・
結局、俺とリスティはふたりでトーティスまで戻ることになった・・・
続く
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●申し開き●
要するに本編で語れなかった説明。
分かりにくくてもこれ以上直球で書くことは出来ませんでした(T_T
年代:ゲーム本編の3年前(本編はアセリア歴4304年。過去編は4202年)
キャラ:オリジナルです。本編には居ません。
マップ:極力本編に合わせてます。ただし、遺跡からトーティスへの近道なんて無いです(笑)
たしかに近いんですけどね・・・
ちなみに「遺跡」=「地下墓地」はダオスが封じられてるトコとご理解ください。
その他詳細については後編で解説予定。