Tales of phantasia Short Story Series
Time Distotion 〜3〜
「稲妻よ、剣(つるぎ)となりて敵を討たん! サンダーブレード!!」
どがぁぁぁん!
轟音が響く。リスティの手から放たれた魔法はまさしくブレードとなってジェストーナを撃った。
「リスティ、やったな!」
「ファート・・・」
リスティは半ば放心状態でこちらを振り返った。
あれだけの魔術、それだけ精神力を消耗するに違いない。
と、そのとき。
俺は凍りついた。リスティの背後に動くその影を確認したのだ。
ジェストーナはまだ―――
『・・・サンダーブレード・・・・・・』
ジェストーナから放たれた魔力が稲妻の剣となり俺たちに襲い掛かる!
ごぅぅぅん!
「きゃぁぁぁっ!」
「ぐわっ!」
いかづちが容赦なく俺とリスティを襲う。
ジェストーナが放った魔法はリスティのそれと同じだった。
しかし、これほどの威力とは・・・。
「くっ・・・・・・」
俺は剣を杖代わりに立ち上がった。
連続攻撃は無い、俺はそう判断しリスティを探した。
ジェストーナの放った魔術の威力で周囲には砂煙が舞っている。
「リスティ!」
リスティは俺よりジェストーナの至近に居た。
俺の比じゃないダメージを受けているはずだ。
「うっ・・・」
リスティは壁際に倒れていた。
俺は彼女のもとに駆け寄る。
素人目にも分かる重傷。出血も酷い。
「リスティ、しっかりしろ。俺が、分かるか?」
「・・・ファート」
声を出すのも苦しそうだった。しかし、彼女は言葉を続けた。
「もう一度、雷撃の魔法を放つ。
なんとか、時間を稼いで。あいつの、ジェストーナの動きを、止めて・・・」
「無茶なっ!」
俺は思わず叫んだ。
肉体的にも精神的にも、これ以上の負担が生命に関わるのは明らかだった。
「ね、ファート。わたしは大丈夫だから」
リスティは上目遣いで俺を見据えた。
真っ直ぐな紅い瞳。
リスティがものを頼むときに取るポーズ。俺はそれに刃向うことは出来ない。
彼女は俺より遥かに冷静に、事態を把握していた。
だから。
俺は彼女の頭をくしゃっと撫でて言った。
「ズルい奴だよ、お前は・・・」
「ふふっ、ありがとう・・・。ボディーガードさん」
俺は立ち上がった。
痛みは無かった。それどころか傷も無かった。
リスティが知らぬ間に回復の法術を掛けてくれていたのだ。
思う存分、剣を振るえる。
「行くぜっ!」
俺は特攻した。剣を抜き、走りながら下段に構える。
「魔神剣っ!」
ブォンっ!
剣から繰り出される力を帯びた風が地面を薙いだ。
あまり効いていないようだが一瞬、ジェストーナは狼狽えた。
「虎牙破斬っっ!」
俺は間髪を入れずに跳躍、剣を振りかぶりジェストーナに第二撃を放った。
虎牙破斬はアルベイン流剣技の中でも最も俺が得意としている技だ。
ジェストーナほどの敵相手に魔神剣が大きなダメージを与えるとは思えない。
いわばフェイントだ。
虎牙破斬、確かに手応えはあったが―――
「天光満つるところ、我はあり・・・」
『ク・・・喰ラエ・・・』
「!?」
ジェストーナはその巨体で俺に体当たりを仕掛けてきた!
技の直後で体勢の悪い俺はすんでのところでそれを回避する。
「くっ・・・」
ズズぅん・・・
地面に体当たりする形になったジェストーナ。
砂埃が撒きおこり、視界を遮る。
ゆっくりと巨体の影が起き上がるのが分かる。
パワーはあるが、その分小回りは効かない・・・?
「黄泉の門、開くところ汝あり・・・」
リスティの詠唱が聞こえる。
俺の役目はジェストーナの動きを止めること。
ならば!
「ジェストーナ! 俺はこっちだ!」
俺は剣を抜いたままジェストーナの方に走り出す。
そして、攻撃することなく巨体の横を走り抜ける。
案の定、ジェストーナは俺の不可解な行動についてこれない。
奴はゆっくりと俺の方に向き直り、腕を振りかざす!
「遅いっ!」
俺は素早く体制を整え、飛び掛かる。
奴の気を引き、より素早い攻撃を繰り出す!
「奥義! 魔神双破斬ッ!!」
地を薙ぐ闇の風と剣による連撃を同時に繰り出す!
ジェストーナに確かなダメージと動揺を与えたはずだ。
そして・・・
「出でよっ! 神のいかずち! インディグネーション!!」
――――。
まばゆい光があたりを包んだ。
まさに『神の怒り』にふさわしい雷撃がジェストーナを襲った。
「やったか!?」
「・・・・・・」
「グ、グゥ・・・・・・」
ズゥゥン・・・
ジェストーナは地に伏し、動かなくなった。
俺は、ジェストーナの気配が完全に消えたのを確認し、剣をしまった。
「・・・そうだ、リスティ!?」
リスティもまた、地に倒れていた。
俺は慌てて駆け寄り、リスティを抱き起こす。
「リスティ、しっかりしろ!」
「・・・ちょっと、疲れた、かな・・・」
魔法に関してはド素人の俺にも分かった。
あの魔法はリスティには荷が重すぎたんだ。
術を暴走させずに発動させたのだって、奇跡に近いのかもしれない。
「大丈夫だ、リスティ。ジェストーナは倒した」
「うん・・・ファートの、おかげ」
「違うぞ、リスティの魔術が倒したんだ」
そうじゃない、俺が言うべきことはそんなんじゃない。
考えることはそんなことじゃない。
彼女を助ける方法を考えなきゃいけない。
でも、思考が回らなかった。
リスティがゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ファートが居てくれなかったら、無理だったよ。ボディガード、ごくろうさま・・・」
「リスティ・・・」
「・・・ね、ちょっと、休んでいいかな?」
リスティは上目遣いで俺を見た。
その言葉が意味することを、俺は分かっていた。
俺に出来ることは、彼女を最後まで守ること。
「ああ、ゆっくり休め・・・」
「・・・ありがとう」
リスティは俺の腕の中で目を閉じた。
そして、二度と目を覚ますことは無かった・・・・・・。
――数日後。トーティス村、アルベイン剣道場。
「ご苦労だったな、ファート」
「いえ・・・・・・」
俺はミゲール師範に呼び出されていた。
「リスティはな、代々あの地を監視する家に生まれたのだ。
事態は我々の想像して以上に進んでいた。その結果、彼女の生命を無駄にしてしまった・・・」
師範の言葉はいまいち要領を得なかった。
「あの地には、『時の魔人』が封じられている。私もまた、あの地を監視する役目を引き受けている」
「時の魔人・・・あの、ヴァルハラ戦役の、ですか?」
「そうだ。彼女・・・リスティア=L=モリスンは強い魔力を持っていた。
彼女に任せておけば大丈夫だろうと思っていたが・・・・・・すまない」
俺は、アルベイン道場を辞めた。
剣の道を捨てたわけじゃない。俺には目的が出来た。
それは、世界を回ること。時の魔人の復活を企む輩が他にも居るかもしれない。
もちろん、師範は監視を強化すると約束してくれた。
もし師範の目の届かないところで、俺が見つけたら命を賭けて叩き潰す。
それだけじゃない。リスティの好きだった世界。
命を賭けて守った世界を、見て回りたい。
「お前の分まで、世界を駆け回ってやるよ。リスティ・・・・・・」
― 完 ―
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●申し開き●
本編でどうせダオスは復活するんですがね(ぉぃ
タイムパラドックスって奴ですな。
テイルズオブファンタジアを語る上で欠かすことの出来ない部分でもありますが。
本来、クレス達の時代には魔術が無い。
ダオスには魔術が無いと傷一つつけることは出来ない。
そこでモリスンはクレス達を過去に転送、クレス達は魔術を滅びることのない歴史の流れを作り、
現代に帰ってくる。
と、ここで「魔術が残っている現代」が生まれるわけで、そうなれば当然、
「ダオスを倒す手段(=魔術)を探す為にクレス達を過去に転送」
と言う理由が失われる、と。
この部分、テイルズなりダンの小説で語られており、チェスターが、
「失われた魔法インディグネーションを求めて過去に行った」
「魔術は無くなってなんかいないし、クレス達の言う歴史と違う」
のような発言をしてたりします。
※ごめんなさい、GB版はやってないので小説版です(--;
そんなわけで、魔術が残っている現代。
当然歴史の流れも変わるわけで、そこで生み出されたのが、
「現代における魔術使い=リスティ」でした。
と、ここまで前提です(長イヨ)
ここからオリジナル。
リスティは
○魔術のある現代のみに存在(本来の歴史には無かった)
○時の魔人復活の管理者のひとり
と言う設定を持ってます。
「モリスン」を名乗らせたのは・・・その方が箔がつくから(爆)
と言うのは冗談で「時の魔人」監視人に都合がいいから、です。
トリニクスさんは忙しい人っぽいので、長期のお出かけ中ってことで(ぉぃ
その代わりがリスティ。
ファートは・・・結構適当(爆)
リスティの末期は最初から決めてたんで、代わりの主人公が欲しいぞ、と。
だったらトーティスの関係者がいいかなと思ったのでアルベイン剣士に。
アミィとミゲールはせっかくなんで使ってみました。
なんでこんなに長々と解説を(汗)
本当は作品中で全部説明しないといけないのに。オチもちょっと弱いし。
精進します。
感想等、いただければ嬉しいです。では。