≪アルファタイプ製造の謎とターポンについて≫
通称アルファタイプことA7M1〜M3型、そしてターポン。このお話をSFとして見ると謎だらけの存在ですよね。
アルファタイプはロボットでありながら人間とほとんど変わらぬ身体特徴・能力と知能・人格を持ち、社会的にも
産業製品ではなく人権を持つ一個人として認知されています。そして、ある程度の数を量産する前提になっている。
アルファさんはA7M2「量産試作型」ですが、これは通常、製造ラインを使って製造し製品レベルで問題ないかを
検証するテストショットとして作られる事が多く、ココネ、丸子、ナイといった量産型はライン生産で量産された可能性が
高いからです。(ラインを作ったものの短期間稼動しただけで実質製造数は少ない・・・といった可能性もありますが)
これはかなり矛盾した話で、人工物・産業製品で「人間」を作る理由なんて通常はまずありません。人間の代わりを
する労役用(つまり事実上の奴隷)なら人間同等の人格は余計なだけで、身体能力も産業製品として利用するなら
人間同等では不都合ばかりでしょう。より超人的な能力や特殊能力が備わっていなければ不自然なのです。
人口が減って人間同等のアルファタイプでもいいから労働力が欲しい・・・という「ポストガール」と同じ製造理由も
成り立たないんですよね。ターポン搭乗員のアルファー室長(以下M1姉さん)を除けば、現時点で作中に出てくる
ロボット達は何の使命も帯びず各自バラバラの職業に就き、自分の生計を立てるために働いているのですから。
単純に人口を増やしたいのなら高額な製造費用がかかるであろうロボットなんて作らずに、人口増加政策を取れば
いい話。かといって単純に技術開発としてなら多大な恩恵があるのですが、それなら量産の必要はありません。
そして、ターポン。いったいなぜ、あんなものが空を飛び回っているのか?
以下、自分なりの仮説です。時系列順に表してみました。
20XX年 アルファタイプ開発プロジェクト スタート。この時点では「生体ベース」ということ以外は現在ある他の
多くのロボット開発プロジェクトと目的は変わらず。
20XX年 数度の失敗を繰り返しAX型完成。超人的な身体能力を得るが知能が幼児並み以上から発達せず失敗に
終わる。身体能力のスペックダウンと知能向上、そして「人間の感覚の集積・再現」を目標に取り入れ身体能力を
常人並みにスペックダウンし開発再開。また、この失敗型は後に脱走・野生化し小網代の森に住み着く。(^^)
20XX年 A7M1、完成。各種検査・テストの後小海石先生の元に引き取られ「小海石アルファ」と名付けられ
教育される。知能・身体能力共に満足すぎる結果が出た事と、温暖化による気候変化が進み政情・治安悪化が
深刻化して開発続行の余地がなくなってきた事から※アルファタイプ開発プロジェクトは一応の終了をみる。
(※あるいは、あまりに人間に近付け過ぎたため倫理上・人道上の見地から世論の猛反発を受ける)
20XX年 ターポン建造計画浮上。空中に巨大なコロニーを飛ばし、気候・政情不安の続く地上から人々を避難
させようというもの。搭乗員として、人間の作業を全て肩代わりでき、加齢もしないため世代交代が不要。そして
DNA構成が既存の生物と異なるため免疫力も強いとされるアルファタイプA7型が選択される。
これに伴い、急遽技術者たちが再招集されプロジェクトチーム再結成。ターポン試作機建造と平行しアルファ
タイプ量産型の開発に入る。
20XX年 ターポン試作機ロールアウト。多くの技術者と共に、M1姉さんも研究員兼被験体として搭乗。
20XX年 アルファタイプ量産試作型、量産型が相次いで完成。当初多人数向けの教育体制が整っていなかったため、
量産試作型、量産型数名はM1姉さん同様に研究員のもとで育てられる。ところが、期待に反し初期不良が続発。
動物性タンパク質が摂取できないといった軽微なものから致命的なものまで無視できない多くのトラブルが発生。
特に男性タイプは落命するものが多く出た事から、「高免疫力・不老長寿命」を看板に掲げていたプロジェクトは
暗礁に乗り上げ、搭乗員にはアルファタイプではなく人間を採用する方向に傾く。
そうこうするうちに、地上の気候も治安も安定してきた事からターポン建造計画そのものが疑問視されるようになり、
最終的にアルファタイプ、ターポン共に量産計画は白紙撤回される。ターポン試作機については、搭乗員が
地上帰還を拒んだ事もあり飛行が続行される。
既に製造済みのアルファタイプ量産試作型A7M2、量産型A7M3については人道上廃棄する訳にもいかないため
地上社会で生活するための教育を施し、一般公募で選考された「オーナー」に養子として引き取られる。研究員に
育てられたアルファタイプも、そのまま養子に。
20XX年 A7M2アルファさん他、夕凪の世界でゆったりと生活中。
どうです、アルファタイプ、ターポン、ミサゴの謎が一気に解けてしまうでしょう。(笑)
「今のアルファタイプは本来の目的で使われてはいない」といった考察は他でも目にしますが、「なら本来の
目的って何?」と考え謎解きをやったらこうなりました。ヨコハマのストーリーはSFメインのお話ではないので
こういった考察は邪道だし、芦奈野先生ももしかしたら設定については深く考えてないのかもしれません。(笑)
ヨコハマの世界観は人それぞれ解釈も違いますし、上記の仮説もどこか矛盾があるかも。(^^;)
とりあえず、こんな考えもあるよってことで・・・いかがでしょうか?