■盲点
僕自身がそれを知ったのがいつのことだったか覚えていないのだが,今となってはあまりにも当たり前のものとして理解しているので,大学生の大半が,たとえ話としての「盲点」は知っていても,本来の意味の「盲点」を知らないことは,まさに盲点であった.
しかし盲点の発見は人類史上ごく最近のことのようだ.ジャック・ニニオ著「錯覚の世界」(新曜社;2004年)によれば,盲点が発見されたのは1666年だそうだ.古代ギリシャの時代に発見されていてもおかしくないと思うのだが,発見されなかったというのは,これまた人類にとっての盲点だったのだろう.
盲点の見つけ方を書いておこう.紙に1cmくらいの十字を描き,そこから左側へ真横に10cmくらいのところに直径1cmくらいの黒丸を描く.紙を目から30cmほど離し,右目をふさいで左目で十字を見ると,そこにあるはずの黒丸が消える.その黒丸が盲点に入ったからである.逆に,黒丸を見ても十字は消えない.
盲点は常に存在するのだが,両目が互いの盲点を補うこと,そして仮に片目で見る場合でも,脳が見えない部分を補うから,普段は盲点の存在に気づかない.