伸ばすという身体の使い方
たとえば、握力。握力計を使うと目でとらえやすい内側(前側)、つまり、胸、腹、二の腕などに緊張が走る。ものを握るとは、この形しかないのであろうか。バットでボールを打った瞬間、手のひらからバットが飛んでいかない。これは、手のひらが無理矢理開かれるを我慢している。さらに、荷物を詰め込んだ重いバッグを腕を伸ばして長い時間持ち続ける。手指が鍵のようになって、つまり「コの字」に固定されたような感覚はないであろうか。これは手の甲側、肘の外側などの外側が使われる。
つまり、「グリップをしっかりと握り・・」という表現が、人によっては使う筋肉が違う可能性があるということである。これは、何かをつかむと腕を縮める筋肉を使いながら、伸ばす運動を行う人と伸ばす筋肉を使ってものをつかめる人がいるということである。腕を伸ばすことと縮めることは逆動作ではないか。バットは、小さな円から急激に大きな円へと螺旋のように展開していく。半径は伸びていくので、腕は伸ばす運動を行うはずである。身体の内側(前面)の筋肉が、緊張するのは腕を縮めるということになる。
もう少し、わかりやすい例を挙げてみよう。自分が、重いと感じられるダンベルを持つ。90度程度に腕を曲げてダンベルを保持する。そのまま左右に動かしてみる。次に何も持たないで腕を同じように90度程度に曲げて同じように動かす。なめらかに動く。当たり前と感じたであろうか。なぜ動くのか。力を込めていないからである。ここで重要なことはなぜ腕は90度に曲がっているのか。意識できない筋肉が、半自動的に無意識の動きを行っている。さらに腕を曲げたままスムーズに動かしたということである。
ゴルフで力まずにクラブを振ったら意外に飛んだという経験はないだろうか。腕がスムーズに回り、ヘッドスピードが上がったからであろう。グリップを強く握った腕に力が入った状態ではなかったということである。腕の外側を使って握っていたわけだ。腕の外側を使うことは誰でもできる。多少練習は必要とはなる。具体的には、鷹の爪というやり方。指を外側に強く開いて第一関節から順番に折っていく。うまくできると内側に卵くらいの空間ができる。また、身体の前に両腕で円を作り徐々にその円をなるべく地面と平行に保ったまま下に下げる。わかりにくいであろうから後ほど動画にて説明する。
フリークライミングというのか。道具をあまり利用しないで手指をかぎ爪のように固定して垂直に近い壁を上る。わずかな手がかりだけに指をかけ背中の力で上る。このことは、懸垂でさえも人によっては使う筋肉が違うことを示している。鉄棒から身体が落ちなければよいはずなので、このかぎ爪にして身体を支えられる人がいる。肩胛骨の間の筋肉で身体を持ち上げる。鉄棒とバットのグリップは、同じ円柱状である。同じ形を握って、同じことを目的とするのに違う部分(筋肉)を使うということである。
もう一度、バットを振り下ろす動作をしてみよう。鎖骨周辺、胸、二の腕を強く使ってバットを振ることが、ヘッドスピードが一番速い状態であろうか。腕を縮めながら伸ばす動きではないのか。車でいえば、ブレーキを強く踏んでアクセルを床いっぱいに踏み込んでいることにはならないのか。ヘッドスピードが上がり、体重の多くの部分が、ボールにのれば、ボールは強く速く飛ぶのではないか。ヘッドが、遅れて出てくるとはどういうことか。ヘッドが遅れるとは、小さな展開がいきなり大きくなることを示す。



