1通目の手紙
おじさん。
無事、杜が丘の町に着きました。今日早速、僕がこれから毎日通うことになる田舎中学へ行ってきました。おじさんが言ったとおり、まさに名は体を表さず。田舎どころか都会も都会、前の我が母校、都中学など足下にも及ばないほど、立派な学校です。
前の都中学は三年制でしたが、ここは五年制なので、びっくりするくらい大柄の生徒にも出くわします。おじさんによく似た五年生の人を見かけました。
なんでもその人は実際には八年生に相当する年齢だとか。つまり、落第のしっぱなし、ということなんです。ところが、この人は恥ずかしいという顔も見せず、ゆっさゆっさと、そう、おじさんと前に見た芝居の弁慶みたいな歩き方で闊歩しているんです。愉快だな、と思いました。
でも、落第生というのは稀らしく、むしろ三年生終了とともに高校に編入できる生徒が毎年十名くらいあると言います。卒業後二年かけて高校受験に備える都中学と、何という違いでしょう。一番のエリートは、田舎中学、東雲学寮(おじさんの出身校ですね!)、そして、六大学進学というコースをたどるのだと聞きました。
でもね、おじさん。僕が驚いたのは実は、こんなことではないんです。そんな名門中の名門にもかかわらず、みんなが生き生きと飛び回っているということなんです。
おじさん、僕、今日、すごい上級生を見ちゃったんです。すごい、すごい、超ジャンピング・シュート! もう、僕、脳天突っ切って感動!
こんな学校があるなんて、僕は今でも信じられません。でも、僕は今日から正真正銘の田舎中学校の生徒です。この学校への転校を勧めてくれたおじさんに、改めて感謝します。
約束通り、こちらの様子はなるべく頻繁にお知らせします。おじさんの小説の助けになるかどうかはわかりませんが、おじさんも言っていたように、僕は書くことだけは億劫にはなりません。期待していてください。
おじさんの親友という僕の身元引受人のお医者さん、正平先生は、パイプ先生という名でみんなに親しまれているようです。この先生もいっぺんで好きになりました。
僕のことは心配しないようにお祖父さんに伝えてくださいね。
では、今日はこの辺で。
「2通目」につづく
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