[民話と火山のトップへ]
[民話マップへ]

摩周岳(カムイヌプリ)

 

透明度の高さで知られる摩周湖はカルデラ火山湖です。その側の山々に関わる荒々しい伝説があり、火山噴火を思わせます。この伝説は遠く国後島まで及ぶ壮大な物語です。


屈斜路湖の奥の藻琴山は無法者であったので、湖の南の男山(ピンネヌプリ)がそれをこらしめようと槍投げの試合をした。男山の投げた槍は藻琴山の胴腹を割った。真っ赤な血を吹きながらも男山に投げ返したが、ねらいがはずれて男山の肩をかすって後ろに飛び、摩周岳(カムイヌプリ)に突き刺さった。怒ったカムイヌプリは摩周湖畔の岩を血と涙で染めて、はるか国後まで飛び去り、爺爺岳(チャチャヌプリ)になってしまった。それで摩周岳をイケシェヌプリ(立腹山)とかオメウケヌプリ(抜けていった山)と呼ぶ。



 摩周湖はカルデラ火山であり、カムイヌプリはそのカルデラ内にできた成層火山です。カムイヌプリは活火山で、10世紀ころに大きな噴火を起こしているようです。このとき噴出した摩周bという火山灰が、火山の周囲に堆積しています。小さな噴火はもしかしたらそれ以降もあったかもしれません。ですから、カムイヌプリの噴火がこのような伝説として残されていても何ら不思議はありません。ただ藻琴山の方は、あたかも赤い熔岩を流す噴火のような描写ではありますが、これは必ずしそうは言えないようです。摩周湖はカルデラ火山で、その噴火活動は30万年前から3万年前の間に起きました。藻琴山は摩周カルデラより古い火山です。この付近でこの千年程度の間に噴火したことがあるのは、おそらくカムイヌプリだけではないかと思われます。
 さて、チャチャヌプリですが、これは国後島にある活火山です。知床付近からはこの山が望めます。最近、チャチャヌプリについては北海道大学の火山研究グループと朝日新聞社が、ビザなし渡航で学術調査を行っています。この火山はかなり活動的で、1970年代にもかなり大きな噴火が起きています。このかざんならば伝説になる程度の時代に、噴火があったかもしれません。


参考文献 日本の伝説17 北海道の伝説 更科源蔵・安藤美紀夫

[民話と火山のトップへ]

[民話マップへ]