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摩周湖の大アメマス

 「おおひらめ」として語られているものもありますが、北海道の湖の主はどこでもアメマスのようです。摩周湖にもアメマスの伝説があります。


伝説のあらすじ

ある時、摩周湖の大アメマスは、湖畔に水を飲みに来た鹿を丸飲みにしたため、鹿の角が腹に刺さって死んだ。それが湖底をくぐって根室の西別川の湧水池に来て引っかかり、水の出口を塞いだので摩周湖の水が今にもあふれそうになった。それを閑古鳥の神が下流の村々に知らせたところ、川上のコタンでは安全地帯に逃れたのに、閑古鳥の知らせを信じない川下の人は水源地に行って大アメマスを発見し、喜んでそれを引き抜いたので、たまりにたまった摩周の水が噴出し、辺り一面の土地の一切を押し流してしまった。


 摩周湖はカルデラ火山です。火山での災害というと、熔岩や火砕流だけを想像しがちですが、世界的に見て規模の大きい火山災害は、津波と泥流、つまり、噴出物そのものよりも、二次的に水が関係したものが多くを占めています。さて、そのうちの泥流による災害で有名なのが、コロンビアのネバドデルルイス火山の火山災害です。ネバドデルルイス火山の噴火が引き金となり、大規模な泥流が発生し、遠く離れた場所まで流れ下り、アルメロという町を飲み込み、数万人の死者行方不明者を出しています。このときは、閑古鳥の神ならぬ学者たちは災害を予測しており、すでに情報を出していたそうです。しかし、町では何ら対応せず、大災害を生み出してしまったのです。
 この摩周湖の大アメマスの話は、ネバドデルルイス火山の災害とそっくりです。というより、実際に発生した同様な災害を基にした伝説ではないでしょうか?山の上に湖があるわけですから、洪水が発生しても不思議はありません。特に、噴火が引き金となって突然の洪水または泥流が起きてもおかしくはないでしょう。


参考文献 日本の伝説17 北海道の伝説 更科源蔵・安藤美紀夫

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