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有珠山の噴火

 北海道には十勝岳,有珠山,雌阿寒,駒ヶ岳など,活動的な火山がいくつもあります.最近でもこれらの火山は頻繁に噴火を繰り返しています.北海道は歴史が浅く,有史の人による噴火の記録は本州や九州の火山などと比べると新しい時代のものしかありません.とはいえ,北海道に昔は人が住んでいなかったのではなく,アイヌの人々が暮らしてきたわけです.そして,そのアイヌの人々にいくつもの民話が語り継がれています.その民話の中に火山現象を現したものは無いでしょうか?多分たくさんあるのだと思いますけれど,今のところ資料不足です.「有珠山の噴火」は,私が知った数少ない噴火にまつわるアイヌの民話です.


(あらすじ)
 昔、十勝にイモシタクルという手癖の悪い男がいた.その男の悪業に怒った神様は,この男をこらしめようとした.北海道中を逃げる男を追いかけ,とうとう洞爺湖の虻田にまで追いつめ,その男めがけものすごい力で蹴飛ばした.その勢いであたりが地震となり,又,アプタスプリ(有珠山)がその影響で大爆発を起こしたと伝えられている.

−その解釈−

 有珠山は活発な活火山で,最近でも2000年、1977年に大きな噴火が起きました.1977年の噴火では,軽石を多量に遠くまで撒き散らし,北海道中に火山灰が降りました.そして有珠火山に近い洞爺湖温泉などには大きな被害を与えました.有珠山は比較的粘り気の高いマグマを噴出することが多く,このようなマグマの噴出の場合,爆発性の高い噴火になりやすいことが知られています(雲仙普賢岳のような溶岩ドームになることも多いですけど).1977年噴火はかなり爆発的な噴火だったようです.犠牲者がでなかったのは本当に幸いでした.
 現在は洞爺湖温泉には,この1977年の噴火記録などを展示した火山博物館があります.洞爺湖を訪れたときは是非訪ねてみてください.また,その近くに北海道大学の有珠火山観測所があり,常に有珠山の活動を見張っています.
 さて,民話に語られているのは,表題どおり,有珠山の噴火です.具体的な噴火活動を表したものに違いありません.「蹴飛ばした勢いであたりが地震となり」とは,おそらく噴火に先行して大きな火山性地震が起きたのでしょう.いつ起きたどのような噴火か?ということまではこれだけではわかりません.一つの火山が似たような噴火を繰り返すのはごく自然なことなので,1977年のような噴火が,過去にも繰り返し起きていたことでしょう.1977年より前に起きた有珠山の大きな噴火は,1822年の文政年間の噴火があります.この時は雲仙普賢岳のような火砕流が発生したようです.もしかしたらこの噴火かもしれませんね.
 



引用文献
アイヌの伝説 福田芳文堂

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