有珠と虻田のコタン
北海道には数多くの活火山がありますが、有珠山もとりわけ活発な火山です。また、有珠山では、その噴火が人々の生活に大きな影響を与えてきました。有珠周辺の村々に関する物語が残っています。
(伝説のあらすじ)
ある時の有珠山の噴火で有珠の部落(コタン)が全滅してしまったが、虻田の一部の人々は礼文華を越えて長万部に逃げたために助かった。噴火がおさまった後、虻田へ戻ってみると大酋長は祈ったままの姿で座っていたので、「どうした」と言って声をかけるとグサッとくずれた。噴火に焼かれて灰になっていたのだった。その後有珠から宝物を持っていって、宝物で釧路や十勝から人を集めて有珠部落を復興させた。そのために有珠と虻田のコタンはあまり仲がよくないという。
有珠山の最後の噴火は2000年。その前の噴火は1977〜1978年です。それ以前も繰り返し噴火が起きており、30年に一度噴火するとも言われています。また、噴火被害の及ぶ範囲が、人の住む場所まで到達するため、噴火の度に山麓の人々の生活に大きな影響を与えています。1977〜1978年の噴火でもそうでした。虻田も有珠も、有珠火山の山麓にあります。村が壊滅したことも何度かあったことでしょう。当然、生き残った隣の村の人々が全滅した村から様々なものを持ち出すこともあったことでしょう。
このような大災害の際の治安悪化、パニック、略奪は、現在でも自然災害を考える上で重要な問題です。噴火であっても地震であっても当然それは生じうることです。災害は現象による物理的被害だけではないのです。
参考文献 日本の伝説17 北海道の伝説 更科源蔵・安藤美紀夫