『ADHDの明日に向かって』

−認めあい・支えあい・赦しあうネットワークをめざして−

田中康雄著







  ひとことで言えば、ひじょうにていねいに書かれた本です。
  お人柄の反映と言えるかもしれません。
  治療者として日々臨床の現場でADHDの子どもたちに接しながら、他職種との連携
  を模索してきた田中先生の体験が、具体的にこまかく書かれているのは、目次からも
  お分かりのとおりです。
  ひとりひとりの臨床像の多様さ、関連した問題との重なりが、ADHDを語るときの
  大きな問題点だとはっきり書かれれば、親としては、まったくもってそのとおり、学
  校にも周りの人達にも、そこを分かってほしいのよと、納得できます。
  ケースバイケースの世界に、地域児童精神医療とご自身で呼ぶ活動が具体的にどのよ
  うにかかわるのか、その実践報告とも言えますが、ADHDをとりまく「不幸」の
  解決には、道のりはまだまだ長いことも感じさせられます。
  それでも、このような精神科医がいてくれることは、治療者からも傷つけられること
  しばしばの親として、大きな励みになります。
  一読をおすすめします。
                                  (Black Ice)

   『ADHDの明日に向かって』      −認めあい・支えあい・赦しあうネットワークをめざして−    田中康雄著、星和書店、2001年、四六判、222頁、\1900 、ISBN-4-7911-0459-5   【目  次】      はじめに   第1部 ADHDの真実    プロローグ    第1章 ADHD問題     1.子どもの不幸     2.養育者の不幸     3.教育者の不幸     4.医療者の不幸     5.解決に向けて    第2章 ADHDの歴史     1.第1期:1900〜1960年     2.第2期:1960〜1970年     3.第3期から第4期:1970年代から90年代へ     4.第5期:90年代後半から現在    第3章 基本的な事柄     1.臨床症状       1) 多動性       2) 不注意       3) 衝動性       4) おこりっぽさ       5) 学習障害・学習不振       6) 二次的な問題     2.原因       1) 脳の構造・機能的要因       2) 遺伝・環境的要因       3) 対人関係性の悪循環     3.疫学     4.関連する障害・鑑別する障害       1) 元気な子ども       2) 状況に応じて落ち着かない子ども       3) 反抗挑戦性障害・行為障害       4) 情緒障害・精神障害       5) アレルギー       6) チック       7) 広汎性発達障害       8) 学習障害       9) DAMP症候群      10) 知的障害(精神遅滞)      11) てんかん      12) 慢性の身体疾患      13) 他におこりっぽさや、落ち着きのなさ、不注意を引き起こす        可能性のある障害      14) ADHD的状態を示す環境状況     5.診断     6.経過と予後、そして予防       1) 第一次予防       2) 第二次予防       3) 第三次予防   間奏曲     養育者の思い       −養育者のアンケート調査から−   第2部 ADHD対策    第4章 連携とネットワークのおける支援とは?    第5章 連携の流れ     1.受診・相談と情報収集     2.対策     3.支援     4.実施 〜具体的な対応策〜       1) 啓発活動・学習会       2) 薬物療法       3) 行動に注目した関わり        《子どもへの接し方の基本的心構え》          A) よい行動を肯定的に強化し、よくない行動は無視して強化しない          B) 褒めること、認めること、勇気づけること          C) 関係者が挫けないために        《ライフステージからみた発達特徴と支援のあり方》         1 妊娠出産課程(〜0歳)         2 乳児期(0〜1歳)         3 幼児前期(1〜3歳)         4 幼児後期(3〜6歳)         5 学童期(6〜12歳)         6 思春期(12〜18歳)   [教室での接し方]          A) しっかりした構造          B) 子どもと一緒に考える          C) 戦略の例          イ.注意力への戦略          ロ.衝動性への戦略          ハ.多動性への戦略          ニ.学習困難への戦略          ホ.不安定な情緒面への戦略          ヘ.社会性への戦略          ト.破壊的な行為への戦略          チ.自尊心への戦略   [家庭での接し方]          A) 家庭関係の強化          B) 役割意識を持たせる          C) しっかりした構造作り          D) 戦略の例          イ.責任感への戦略          ロ.家庭学習の戦略          ハ.自尊心への戦略          ニ.周囲への理解のための「カミングアウト」       7 青年期(18〜22歳)       8 成人期(22歳〜)       4) 本人への告知の問題       5) 評価と慰労     5.見直し     6.連携を支えるもの    第6章 課題    エピローグ 「理解と支援を必要とする個性としてのADHD」     あとがきにかえて、心からお礼を     付録   文献








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