十割そばに挑戦

十割そば(生粉うちそば)
 
十割(生粉打ち)そばは蕎麦粉と水(湯)だけで作るそばで、つなぎとしての小麦粉などが入っていないため蕎麦本来の風味や食感を楽しむことができます。

 反面つなぎが無いためにそばとして打つには非常に高い技術が要求されます。

 とまぁ、こんな具合に紹介されている場合が多いのですが十割そばもいろいろで本当に蕎麦の風味が生かされて美味しいと思うものもありますし、そうでないものもあります。
 また、打つのが難しいと言われますが実は比較的簡単に打てるものがあります。


 十割そばはつなぎを入れずにそば粉と水だけで作るのですが、粉の碾き方やそばの実のどの部分を利用するかによって全く違った感じのそばに仕上がります。
 またそばとして打つための難易度も違ってきます。
 非常に慎重に打たなければならないものと二八そば並に簡単に打てるものもあります。 そして難しいから美味しい簡単だからまずいとも限らないのもそばの面白さです。

 また、そばの産地や品種によってもそばの味は大きく変化します。 私の好きな十割蕎麦を出す沼津の「ふく田」さんでは玄そば信州の上村で栽培している粒の小さな在来種で天日乾燥されたものです。 そば粉は当日の朝に使う分だけ碾いているのです。 このそばも味、香りは最近の蕎麦の主流である粒の大きい蕎麦に比べ優しい香りそしてなんともいえない旨さがあり一度食べると忘れられないのです。 しかし玄そばの確保が大変なのだそうです。
 そばの世界も品種改良や機械化が進み大量生産の時代です。 品種改良で蕎麦の実を大きくして収穫量を上げたり機械乾燥による合理化を進めています。 信州上村のような標高が高く傾斜地ばかりのところでは幸いにも他品種からの交配を逃れ機械も入らないために品種改良の必要性も無く在来の品種が守られているのです。
 しかしご多分に漏れず上村でも生産者の方々の高齢化が進んでおりもしかしたらそうした本物の?そばはこの先食べることが出来なくなるかもしれないのだ。


 話は戻りますが打ちにくいとされる十割そばもたんぱく質成分を多く含んだ甘皮部分を多く入れたり、非常に細かく碾いたりすることによっていとも簡単に打つことができるのです。但し旨いかまずいかは別です。
 碾かれた粉の状態によって黒いもの白いもの食感がコリコリしたもの粘つくものそしてこし、香りと実に多くの変化があります。
 そんなわけでそば打ちを趣味とする私も自分で本当に美味しい自分なりの十割そばを打ってみたいと思う訳なのですが、初めて自分で碾いて打った十割そばは・・・うーん。

 そば粉の中で美味しいと感じる部分はそばの実の中心にある澱粉質の部分、そして香りはたんぱく質の多い外側に近い部分であり、美味しいと思う十割そばは澱粉質の部分を多く使い香りをつけるために外側の部分をほんの少し入れる・・・と、現時点では理解しているのですが。

カナダ産マンカン種で十割そばを打つ
 ドイツ製製粉機オクタゴンで碾いたものを50目で篩い、残ったものを再度オクタゴンで碾き再び50目で篩った粉を混ぜたものである。 その結果は殻が多く入り込み食感が悪いと思われるがこの粉で十割に挑戦
 予め3番粉を二割ほど加えてあるので多分打てるとは思うのだが少し加水量を多めに水回しをしてみた。 しかし流石に澱粉質の多い粉、手ごわい、更科を作るときに行うこね鉢へ摺り込むような動作を何回か繰り返した後に確認のため手で揉んで見た結果ちょうどいいと思ったのだが菊もみの段階でぼろぼろに割れてしまうのだ。ちょっとズルをして玉の中に更に水を加水、なんとか形になった。しかし今度は延しがままならないのだ。手延しの段階でヒビだらけになってしまったのでそのまま延し棒で本延しを開始。なんとか2ミリ近辺の厚さまでに伸し終え切りに入るが怖くてとても打ち粉を払う気になれない。 全て切り終えたそばを包丁で持ち上げ駒板に乗せて鍋まで運び1人前ずつそのまま投入した。茹であがったそばは比較的長くつながっており苦労が報われた感じである。 食べてみるといつもよりそばの香りも強く食感も腰は維持しながら二八より柔らかい感じで歯の抜けも良く思った以上に満足な出来栄えだった

  
カナダ産マンカン種を自分で碾いた十割そば

北海道産の玄そばと抜きで十割を打つ
 北海道産の玄そばと抜きをそれぞれ石臼で碾いたものを40目でそれぞれ篩い5:5で混ぜ合わせたもので打ったものである。
 特に考えもなく玄そばから碾いた粉200gそして抜きから碾いた粉200gを混ぜて400gを十割で打つ。加水は約55%で水回し終了。 抜きの全層粉が繋ぎの役割をしているのか菊ねり、へそだしまでは順調に進んだ。 玉の表面は玄そばを40目で篩ったため大きな星が目立ち食感が気になる。 延しはやはり十割、加水を多めに下にもかかわらず縁にはひび割れが多数発生。量も400gと少ないので手延し、丸出し終了後そのまま本延しに入る。なんとか1.5ミリ付近まで延ばして終了。 
さて試食、先ずは十割から、茹で時間約50秒であげて食べてみるがそばの香り食感ともに問題はなくとても美味しいそばである。しかしやはりおおきな殻が数多く混入しているために時々砂を噛むような食感が感じられるので、殻をきれいに取り除く方法があればと思うのだが今後の課題である。 

    
北海道産の玄そばから碾いた粉と抜きから碾いた粉を5:5で合わせた粉で作ったそば

2002年6月8日おおざとそば打ち同好会


 今日は以前にも打った事のある某製粉会社の中級者向け十割そば用粉を使用して十割そばにチャレンジする。
この十割用そば粉粉はどんなブレンドなのは書かれていないが水打ちが可能な粉であると書かれている。
粉の感じはしっとりとしており指でつまんで揉んでみても鳴かない。 多分3番粉、つまりたんぱく質成分が相当多いのだろうか、 そば粉500gを木鉢に投入、早速水回しをしてみる。 加水率は不明なので先に200ccを入れる。 しばらく水回しをすると強いそばの香りがわきたってくる。 更に撹拌してみると真っ黒な粉に変身した。撹拌を続けると水が足りない状態なので残りの半分約25CCほどを加水し再び撹拌。 少し加水しすぎた様子で急にべたべたの状態に様変わりした。 木鉢表面にべとべととまつわりつき捏ねにくいため木鉢から取り出し延し台に打ち粉を十分に振り菊練りを行う。 なんとかまとめ上げて延し切りを終了。 完成したそばも相当に黒い。
 茹で上げていよいよ試食、思ったとおり香りは強いが噛むと奥歯に残る感触が強い、味もいまひとつ甘味に欠けるし何かさっぱりとしない。 やはり3番粉が相当に多いために味のバランスが悪いのか。
中級者が水で打てる生粉打ち用の粉がうたい文句であるから仕方がないのだろうか。

久津間製粉所 石臼挽き
小田原 久津間製粉鰍フ石臼挽きを十割で打つ。
北海道産の玄そばを石臼で粗く挽いた粉だそうである。 今回は500gを打つことにした。 袋から取り出しただけでとても強いそばの香りがしてくる。 そして触れた感触はザラッとした粗挽きの粉である先ず粉を40目の篩いで試しに篩って見たがあまり良く映っていないが写真のように粗い粉が残っているところを見ると35メッシュ以下のそこそこに粗い粉であることが解る