忠臣蔵商標事件

他人の商品を転売する者が、他人の登録商標が記載された商品袋の上に転売業者の登録商標が記載されたラベルを貼付する行為は「商標の使用」に当たるとされた事例
知財高裁平二〇(行ケ)一〇四八二、忠臣蔵商標事件、平二一・六・二五判決
(判時二〇五一・一二八、判タ一三〇九・二六七、商事法務一八八六判二五一八、審決公報一〇八・四三九)
参照条文 商標法二条・五〇条

事案の概要
原告は、指定商品を第30類「米、脱穀済み大麦、食用粉類、穀物の加工品」とする商標「忠臣蔵」(商標登録第3080538号・本件商標)を保有しており、被告は本件商標をその指定商品「米」について取消す旨の不使用取消審判を請求した。特許庁は、原告が本件商標を「米」について使用していた事実はないとして、本件商標を「米」について取消す旨の審決をした。そこで、原告が審決の取り消しを求めたのが本件である。

判決の要旨〔認容〕
 被告は、原告が本件袋へ本件ラベルを貼付することにより、一つの商品である「本件米」の包装に、いずれも指定商品を「米」とする異なる二つの商標が並列的に表示される状態となっているから、商品の出所が原告(セラの苑)であるのか、株式会社純情米いわてであるのか定かではなく、このような場合には、法二条三項一号ないし三号に規定された「行為」に該当しないと主張するが、上記一(3)及び(4)のとおり、本件袋に本件ラベルが貼付されることによって、一つの商品の包装に二つの商標が表示される結果となっていることは被告が指摘するとおりであるとしても、株式会社純情米いわてが販売した本件米の流通過程において、第三者が何らかの価値を付加するなどして再販売する場合に、当該再販売業者がその再販売する本件米に第三者の商標を付して再販業者としての出所を明らかにし、その商標に化体した信用を本件米に与えることができるのは当然ともいうべきものであって、本件米の出所を混同させるとか、誤認させるとかいった批判は当てはまらないというべきである。

解説
原告はA社が販売する「無洗米ひとめぼれ」を購入して顧客に販売していましたが、その場合にA社に顧客への配送まで委託する場合と、A社から購入した米を原告自身が顧客に配送する方法がありました。A社の米はポリエチレン製の米袋(本件袋)に入れられており、本件袋(35cm〜40cm×30cm)の表面には中央に「無洗米」と大きく書かれ、その下に「岩手県産 ひとめぼれ」の文字、A社の図形商標等が付されていました。原告が本件米を顧客に配送するに際しては、本件袋の表面に本件商標である「忠臣蔵」が書かれたラベル(本件ラベル・11cm×7cm)を貼付して、宅配便で配送していました。本件袋に比較して本件ラベルは小さいので、本件ラベルを付しても本件袋の表面に記載したA社の登録商標は判読できました。被告はこのように二つの商標が並列的に表示されるときは出所識別力が十分ではないから「使用」に当たらないと主張しましたが、判決は「使用」と認めました。当然の結論であり、その理由も妥当です。







リーバイス事件

ジーンズのバックポケットの形状からなる商標が、リーバイスの著名なバックポケットとの関係で商標法4条1項15号に該当するとされた事例
知財高裁平二〇(行ケ)一〇四四九、リーバイス事件、平二一・五・一二判決
(判時二〇五五・一三三)
参照条文 商標法四条

事案の概要
原告が保有する商標登録第4920906号商標(本件商標)に対して、被告が商標法4条1項10号、11号、15号違反の無効審判請求をした。引用商標は被告保有の商標登録第1592525号商標(引用商標1)である。特許庁は、本件商標は4条1項10号・11号には違反しないが、引用商標1は被告のバックポケットの形状として著名であり、本件商標を使用すると被告の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるから同項15号に該当するとして、本件商標を無効とする審決をした。そこで、被告が審決の取消を求めて出訴したのが本件である。

本件商標(原告)
 ・指定商品  第二五類
  「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」
 ・出願日 平成一七年六月八日
 ・登録日 平成一八年一月一三日
 ・登録第四九二〇九〇六号


引用商標1(被告)
 ・指定商品
  第二〇類  「クッション、座布団、まくら、マットレス」
  第二四類  「布製身の回り品、敷布、布団、布団カバー、布団側、まくらカバー、毛布」
  第二五類  「被服」


判決の要旨〔棄却〕
 以上を総合すると、本件商標をその指定商品について使用したときには、引用商標1又はYバックポケットの形状が強く連想され、本件で想定される一般消費者を含む取引者ないし需要者において普通に払われる注意力を基準とした場合、YないしYと関係のある営業主の業務に係る商品等であると誤信させYの商品等との混同を生じさせるおそれがあると認めるのが相当である。








ケンちゃん餃子事件

先使用権の確認請求が認められた事例
大阪地裁平一九(ワ)三〇八三、ケンちゃん餃子事件、平二一・三・二六判決
(判時二〇五〇・一四三)
参照条文 商標法三二条

事案の概要
 原告は、昭和45年11月に有限会社ケンちゃんを設立すると同時に「ケンちゃん餃子」の商品名で餃子の製造販売を開始し、ほぼ同時期に原告標章1〜4の使用を開始、その後昭和61年頃から原告標章5の使用を開始した。被告は、平成8年12月6日出願、同10年12月18日登録に係る「ケンちゃんギョーザ」商標(商標登録第4222852号・本件商標)の商標権者である。平成14年頃、被告が原告に対して原告各標章の使用に異議を述べたので、原告は大阪簡易裁判所に調停申し立て等をしたが不調に終わった。そこで、原告が、被告に対して、原告標章目録1〜5記載の態様及び別紙地域目録記載の地域において、「ぎょうざ」について先使用による商標の使用をする権利を有することの確認を求めたのが本件である。

本件商標
登録番号  第4222852号
出願日   平成8年12月6日
登録日   平成10年12月18日
更新登録日 平成20年12月24日
商品の区分 第30類
指定商品  ぎょうざ
    商標

              

            原告標章1                                            原告標章2

                             


                      
原告標章3                                原告標章4

        

                      原告標章5

               

      地域目録
東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、福島県、長野県、静岡県、新潟県

判決の要旨〔認容〕
(2)本件地域における需要者の認識
ア 前記1(2)、(3)によると、原告各標章を付した原告商品の売上は、少なくとも、本件地域を中心に七億円前後というものであり、新潟工場による製造、販売も合わせると、これを相当程度上回る。
 また、前記1(4)のとおり、本件地域において、ラジオCMを放送したことも考慮すると、遅くとも、本件商標の出願(平成八年一二月六日)の際には、原告各標章は、原告商品の商品表示として、本件地域を中心に、需要者の間に広く認識されるに至ったと認めることができる。
イ 被告は、原告商品のうち、業務用商品と市販用商品との販売実績が不明であると主張する。たしかに、その内訳は必ずしも明らかではないが、上記売上高によると、相当長期にわたり、店舗等において消費者の目に触れたことが窺え、また、前記1(4)のとおり、ラジオによるCM放送などを通じ、本件地域内では、業者間だけでなく、一般消費者間でも、原告各標章が、原告商品の商品表示として広く認識されるに至ったと認定して差し支えないと考える。
ウ また、被告は、仮に、原告各標章に周知性が認められたとしても、その場所的範囲は、全国ではなく、地域を限定すべきであると主張し、特に新潟県における周知性を争っている。しかし、前記1(2)のとおり、新潟工場で製造したもののうち、新潟県内や近隣の県の小売業者に対しても販売していることが認められ、上記認定を左右するに足りる事情は窺えない。
(3)まとめ
 以上によると、少なくとも本件地域においては、本件商標の出願の際、原告各標章が、需要者の間で周知であったということができ、原告は、本件商標につき、本件地域において、先使用による商標の使用をする権利を取得したということができる。

解 説
 判決の認定した事実は、原告は製造が間に合わなくなって昭和53年11月に新潟工場を、平成5年に東京第二工場を開設したこと、売上高が平成5年をピークとして増減を繰り返しながら年間7億円以上であること、平成元年2月には新潟工場と合わせて年間7000万個の餃子を作り、国内200社の中で5番目のシェアであったこと、昭和51年頃ラジオCMを放送し、平成2年〜5年もラジオCMを放映したこと、受信地域は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、山梨県を完全にカバーし、さらに福島県、長野県、静岡県、新潟県の一部を含むものであったこと、平成12年にホームページを開設したことである。
 先使用権が認められると全国的にその商標を使用できるのか(大阪地判平9・12・9判タ967・237、東京高判平13・3・6)、それとも周知性の認められる範囲内において使用できるにすぎないのかの問題がありますが、本判決は地域を限定して先使用権を認めています。本判決の主文は次のようです。「原告が、別紙商標目録記載の商標に関し、別紙標章目録1ないし5記載の態様及び別紙地域目録記載の地域において、「ぎょうざ」について、先使用による商標の使用をする権利を有することを確認する。」
 最後に、これまでは先使用による商標の使用権はその周知になった態様に限定されると解されていましたが、反対説もあり(平尾・商標法〈第一次改訂版〉368頁)、本判決は、「商標法32条1項により、商標の使用権が認められる以上、その使用権の内容は、先使用時における使用態様に限定されるわけではないが、原告は・・・・原告各標章の態様の使用に限定した使用権の確認を求めており、その限度で認容することとする」として、周知になったその態様に限定されないと述べています。








ウォーカー事件

原告又はその関連会社以外の会社を商標権者とする多数の「○○+ウォーカー」の商標(指定商品「印刷物」等)が登録されている事実、原告又はその関連会社以外の会社が発行する「○○+ウォーカー」を題号とする書籍が流通している事実からすると、出版物の取引者又は需要者において、「○○+ウォーカー」の名称が原告又はその関連会社が発行する出版物に付される商標と考えることがあったとは認めがたいとして、「ガールズウォーカー」の商標が商標法4条1項15号に該当しないとされた事例
知財高裁平二〇(行ケ)一〇三六一、ウォーカー事件、平二一・四・八判決
(半タ一三一〇・二六一、審決公報一〇七・四五一)
参照条文 商標法四条

事案の概要
 被告が保有する商標登録第4539127号商標「ガールズウォーカー」(本件商標・平成12年11月22日出願、同14年1月25日登録)に対して、原告がその指定商品中の「印刷物」について登録の無効を求める審判請求をしたところ、特許庁は請求棄却の審決をしたために、原告が審決の取消を求めて出訴したのが本件である。原告の主張は、原告は、雑誌の題号として、「東京ウォーカー」「関西ウォーカー」「月刊ゲームウォーカー」「マンスリーウォーカー」「東海ウォーカー」「メンズウォーカー」「ワールドウォーカー」「九州ウォーカー」「横浜ウォーカー」「千葉ウォーカー」「神戸ウォーカー」「北海道ウォーカー」「大人のウォーカー」「ファミリーウォーカー」「シネコンウォーカー」等を使用してきたから、被告が本件商標を印刷物に使用すると原告の雑誌との間に混同が生じるとするものである。

判決の要旨〔棄却〕
一方、上記のとおり、原告は、「東京ウォーカー/Tokyo Walker」を始めとする上記の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の雑誌のほかに、平成六年一二月にゲーム情報を掲載した月刊情報誌「ゲームウォーカー/Game Walker」、平成七年六月から平成八年一〇月まで、生活情報月刊誌「マンスリーウォーカー/MONTHLY WALKER」、平成八年一一月から平成一二年九月まで男性向け隔週刊誌「メンズウォーカー/MEN’S WALKER(又はMW)」、平成九年一月から平成一一年二月まで海外旅行情報誌「ワールドウォーカー/World Walker」を発行し、これらの平均発行部数も別紙「ゲームウォーカー等平均発行部数」のとおり、一〇万部や二〇万部を超えるときもあったが、それぞれの雑誌は、情報の内容や想定された対象読者層等はそれぞれ異なるものであって、たとえ広義の意味では各種情報について記載する雑誌であるにしても、必ずしも統一的に理解されるものではなく、また、定期刊行された期間も比較的短いものもあり、原告又はその関連会社がこれらの雑誌を発行していたことをもって、本件商標の出願時である平成一二年一一月及び登録査定時である平成一三年一一月の時点において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき、取引者又は需要者が原告又はその関連する会社が発行する雑誌等に付される商標と考える状況にあったとは認め難い。
 また、上記のとおり、原告は、「東京ウォーカー/Tokyo Walker」、「関西ウォーカー/Kansai Walker」、「メンズウォーカー/MEN’S WALKER(又はMW)」、「ゲームウォーカー/Game Walker」等の増刊号の形式やムック本又は単行本などで、また、商品の宣伝広告等を目的とする企業等との共同発行又はその依頼に基づく企画編集等として、単発的又は数回にわたる形や定期的な形で、パソコン情報誌「クリックウォーカー」、「Musical Walker」、「デジタルウォーカー/DIGITAL WALKER」、「マックウォーカー/Mac Walker」、「Uniform Walker」、「アイモードウォーカー/imode Walker」等の多数の出版物の発行をしているが、これらについては、その発行の時期、対象地域、対象読者層、情報の内容、発行回数が単発か継続的なものかということまで多種多様であって、たとえ広義の意味では各種情報について記載する刊行物等であるにしても、必ずしも統一的に理解されるものではなく、原告又はその関連会社がこれらの刊行物等を発行していたことをもって、本件商標の出願時である平成一二年一一月及び登録査定時である平成一三年一一月の時点において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき、取引者又は需要者が原告又はその関連する会社が発行する雑誌等に付される商標と考えることがあったとは認め難い。
 〔中略〕
 以上の事実によれば、現時点においても、原告又はその関連会社以外の会社等を権利者とし、指定商品を印刷物や電子出版物等とする多数の「○○+ウォーカー(walker/Walker/WALKER)」とする商標登録が存在し、また、原告又はその関連会社以外が発行する「○○+ウォーカー(WALKER)」とする書籍等が流通しており、本件商標の出願時である平成一二年一一月及び登録査定時である平成一三年一一月の時点においても、印刷物や電子出版物の取引者又は需要者において、「○○+ウォーカー(walker/Walker/WALKER)」との名称が、原告又はその関連会社の発行する出版物等に付される商標と考えることがあったとは認め難い。







モズライト事件(6)

昭和40年代にセミー・モズレーが死亡し、さらに会社が倒産して、それ以降は、周知商標であった「MOSRITE」商標を付したエレキギターが製造・販売されなくなったとしても、商標法4条1項10号の周知商標に該当するとされた事例
知財高裁平二〇(行ケ)一〇四一五、モズライト事件(6)、平二一・八・二七判決
(判時二〇六三・一二八)
参照条文 商標法四条

事案の概要
 原告が第15類「米国カリフォルニア州製のギター」を指定商品とする「MOSRITE」商標(本件商標・平成10年4月28日出願 同15年10月10日登録 商標登録第4715753号)の商標権を保有していたところ、被告が、本件商標はモズライト・ギターを表示するためのものとして日本の音楽関連の専門家、愛好家のお間に広く認識されている引用商標と類似し、その指定商品も同一または類似であるから、本件商標の登録は商標法4条1項10号に違反して登録されたものである旨の無効審判を請求した。特許庁は無効審判請求を認めて本件商標を無効としたので、被告が審決取消訴訟を提起したのが本件である。
本件商標(商標登録第4715753号)

判決の要旨〔棄却〕
 しかしながら、上記(1)のとおり、サミー・モズレー又は同人の関係会社が製造・販売したモズライト・ギターの周知性は最近に至るまで存在し続けていると認められるところであって、仮にセミー・モズレーの死亡及びユニファイド社の倒産によってセミー・モズレーに関係するものとしての引用商標一を付したエレキギターの製造・販売がされることがなくなったとしても、法四条一項一〇号の趣旨に含まれる周知商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図り、その結果、需要者の利益を保護するという目的を図る必要がなくなるとまではこういうことができないばかりでなく、周知商標の権利者等が死亡するなどした、当該商標を付した製品が製造・販売されることができなくなったからといって、その権利者等から正等に周知商標に係る権利を譲り受けた者ではないのに、その者が周知商標と同一又は類似の商標を付した製品を製造・販売することが容認されるべき理由もないから、原告の主張を採用する余地はないというべきである。

解説
1 モズライトギターに関する原被告間の過去の争い
 「モズライト」は、セミー・モズレーの設立したモズライト社の製造販売するエレキギターの名称であり、日本において加山雄三、寺内タケシといった著名ミュージシャンが使用したことによりかつては音楽ファンの間で広く知られていたが、その後モズライト社は倒産した。原告はモズライト社の孫請けをしていた者であり、被告はモズライト社とは無関係の者であるが、両名ともモズライト社倒産後「モズライト」の商標を付してギターを販売してきた。この両名に関して、かつて次の争いがあり、判決が出されている。
@ 東京高裁平14年(行ケ)283号同年11月28日判決
 原告が、被告を被請求人として、被告が保有していた商標登録1419427号商標(被告商標)に対する無効審判請求をしたところ、特許庁が商標法4条1項10号該当を理由に、被告商標の指定商品中「楽器、演奏補助品、蓄音器、レコード」について被告商標を無効としたので、被告が提起した審決取消請求訴訟であり、被告の請求が棄却された。(モズライト事件(3))     
A 東京高裁平14年(行ケ)497号平成15年3月3日判決
 原告代表者が、被告を被請求人として、被告が保有していた商標登録1419427号商標(被告商標)に対する不正使用取消審判請求をしたところ、特許庁が被告商標を取り消す旨の審決をしたので、被告が提起した審決取消請求訴訟であり、被告の請求が棄却された。(モズライト事件(4))
B 東京地裁平成19年(ワ)5022号同年10月25日判決、知財高裁平成19年(ネ)10094号平成20年8月28日判決、最高裁平成20年(オ)1580号同年(受)1908号同年12月16日決定
 原告が、被告他1名に対して、本件商標権(出願日平成10年4月28日 設定登録日平成15年10月10日 商標登録第4715753号 指定商品第15類「米国カリフォルニア州制のギター」)に基づき被告商標の使用差止め等を求めた商標権侵害差止等請求事件で原告の請求が棄却された。(モズライト事件(5))
C 本件のモズライト事件(6)
 被告が、原告を被請求人として、原告の保有していた商標登録第4715753号商標に対する無効審判請求をしたところ、特許庁が商標法4条1項10号該当を理由に、原告商標の指定商品「米国カリフォルニア州制のギター」について原告商標を無効としたので、原告が提起した審決取消請求訴訟であり、原告の請求が棄却された。

 すなわち、まず被告が、昭和55年頃に、「楽器」を指定商品に含む「MOSRITE」商標(商標登録1419427号・被告商標)の登録を受け、その後原告が、被告商標に対して商標法4条1項10号違反の無効審判及び不正使用取消審判を提起してこれを無効及び取消としました(@A)。原告はその間に「米国カリフォルニア州製のギター」を指定商品とする「MOSRITE」商標を出願し、被告の商標が無効及び取消となってから登録を受けました(商標登録4715753号・本件商標)。そこで、今度は原告が被告に対して、「MOSRITE」商標の使用差止訴訟を提起しましたので(B)、被告は本件商標に対して商標法4条1項10号違反の無効審判を提起しました(C)。結果は、前者の使用差止訴訟は原告が敗訴し、後者の無効審判も原告が敗訴して本件商標は無効とされました。周知商標であった「MOSRITE」商標が会社倒産等によって使用されなくなった後に、それを使用する両名の間において一方が商標登録を得て他方を排除する行為は許されないとされたのです。