TOTOといえば80年代に"Rosanna""Africa"をヒットさせたいわゆる「AOR」の代表格バンド。…というのが一般的な認識でしょうが、現在もまだ活動中です。たしかにこれ以上のヒットには恵まれず、以降はさほど目立ちはしませんでしたが、クオリティは現在も落ちることなく名曲を送り出し続けています。8thアルバム「Kingdom
Of Desire」を出したところでドラムのジェフ・ポーカロが急死してしまい、この後数年音沙汰が無かったので解散したと思っている人も多いのではないでしょうか。
人気が落ちてしまった最大の理由は度重なるヴォーカルの交代です。アルバムで見ると、1st〜4thがボビー・キンボール、5thがファーギー・フレデリクセン、6th〜7thがジョセフ・ウィリアムズ、この次のベストアルバムの新録にジャン・ミシェル・バイロン、8th〜9thはとうとう新加入を諦めたのか、それまで数曲で歌っていたギターのスティーブ・ルカサーとデヴィッド・ペイチが全曲担当しました。そして10thからは初代ヴォーカルのボビーが復帰しています。これだけバンドの看板が代わればイメージも一定せず、覚えられ難くなってしまうでしょう。しかし逆にファンにしてみればそれだけ多様なスタイルが味わえるということです。"Rosanna""Africa"が好きな人はぜひ他のアルバムも聞いてみてください。
TOTOはもともとセッション・ミュージシャンの集まりなので、それぞれプレイテクニックは完璧ともいえる腕前なのですが、曲調はメロディアスな親しみやすいものです。しかし時折超技のソロが飛び出したりするので、曲を楽しむにもテクニックを研究するにも優れたバンドです。AORで言えばジャーニー、シカゴ、イーグルス、テクニカルなバンドならエイジア、MR.BIG、イエスなどが好きな人なら絶対に気に入るはずです。またセッションの人脈からリンダ・ロンシュタット、ドン・ヘンリー、マイケル・マクドナルド、ジョン・アンダーソン、デヴィッド・サンボーン、マイルス・デイヴィスなどゲストが呼ばれることも多くあります。
なおヴォーカルは前述の通り数人に渡って交代しましたが、ヴォーカリストはみんなハイトーン系です。時々歌うスティーブ・ルカサー("Georgy
Porgy"他、バラード担当)とデヴィッド・ペイチ("Africa"他)は低音ですがこちらは曲に深みがあります。
メンバー各人が芸達者なため、ソロアルバムも多数出ているのですが、多数につき別ページで解説します。またセッション・ミュージシャンでもあるためレコーディング参加アルバムは数知れません。歴代メンバーとセッション人脈がジェフ・ポーカロを偲び一堂に会した「Tribute
To Jeff」(名義はデヴィッド・ガーフィールド&フレンズ)にはとんでもない顔ぶれが参加しています。
しかし2008年、唯一デビュー時からのオリジナルメンバーであり実質リーダーのルカサーが解散を発表しました。メンバー間が不仲なわけではありませんし、セッション・ミュージシャンとして競演も多い彼らのこと、これからも各メンバーが互いに参加したTOTOサウンドは作り続けられていくことでしょう。
オリジナルアルバム
| TOTO | ヴォーカルはボビー。テクニシャン集団のためプログレを意識したのか、冒頭は威風堂々のインスト"Child's
Anthem"。 現在まで必ずライブでやる"Hold The Line""Georgy Porgy"収録。 |
| Hydra | ヴォーカルはボビー。叙事詩風"St.George And The Dragon"、名バラード"99""MAMA"収録。でも今となっては個人的に一番印象薄いかも。 |
| Turn Back | ヴォーカルはボビー。当時は地味だったが、後にライブで取り上げられる曲が多数(「Livefields」「Live In Amsterdam」合わせて4曲)。 |
| TOTO IV | ヴォーカルはボビー。問答無用の大ヒット作。10曲中5曲がシングル化("Rosanna""Africa"収録)、グラミー7部門獲得。 人気の高さからか今までにいくつか限定新装版あり。 |
| Isolation | ヴォーカルはファーギー。歴代ヴォーカルの中でも最高のハイトーンなので、曲もウエストコーストHRを意識したのかほとんどがアップテンポ。 一般には目立ってないが、屈指の名曲(かつ、音楽史に残るヘンなリズムの)"Stranger In Town"収録。他の曲もHR好きなら気に入るはず。 |
| Fahrenheit | ヴォーカルはジョセフ。再びポップ路線に戻って、爽快なAORポップとバラードが並ぶ。 サンボーンのサックスが泣かせる"Lia"、マイルス登場の"Don't Stop Me Now"収録。 |
| The Seventh One | ヴォーカルはジョセフ。全アルバムの中で最もポップで、個人的にも好きな曲が多数。「IV」の次にどれを聴くかと訊かれたらこれを薦めます。 "Stop Loving You""Mushanga""Home Of The Brave"は傑作! |
| Kingdom Of Desire | ヴォーカルはルカサー。曲作りも彼が中心になったのか、得意のパワー・バラードとブルース調ロックが全開。 屈指の名曲バラード"2 Hearts"収録。これを最後にジェフが他界。 |
| Tambu | ヴォーカルはルカサー。ジェフ他界後の復活作であり、もうシーンなんて関係ないと思ったのか、TOTOスタイルとも言うべきバラードとミドルテンポの曲が中心。 車のTVCMに使われた"Drag Him To The Roof"収録。 |
| Mindfields | ボビー復帰。久々にハイトーンの曲に戻って存分に能力を発揮したかのような、決してベテランの回顧作ではない、十分にクオリティはシーンに通用する傑作。 TOTO全曲中でもバラードの最高傑作と言ってよい"Melanie"、アップテンポな曲ではこれまた屈指の名曲"Mad About You"収録。 |
| Through The Looking Glass | 25周年記念のカバー曲集。スタイルやテクニックの駆使を原曲と比べてみる楽しみもあり。 特にルカサーの"While My Guitar Gently Weeps""Sunshine Of Your Love"はギターファン必聴。 |
| Falling In Between | キーボードにグレッグ・フィリンゲインズが加入して6人体制に。「Tambu」からのアダルトサウンド空間をさらに追求し、かつての高揚感ある曲はないものの、逆にしみじみとしたバラードの深さはさすが。賛美歌を意識したという"Spiritual Man"の崇高さ。ジョセフ、イアン・アンダーソンが参加。 |
ベストアルバム
| Past To Present 1977-1990 | 「The Seventh One」までの曲+新曲4(これでしか聴けないジャン・ミシェル・バイロン)。今となっては新曲が価値あり。 |
| Best Ballards | 「Kingdom Of Desire」までのバラード集。と言いつつ"Rosanna""Africa"もあり。割と地味な曲を再発見する価値あり。 |
| TOTO XX | 20周年記念。アルバム未収録&未発表曲集。ペイチのレゲエなんて珍品から、デビュー前のデモ、南アでのライブ"Africa"も。 某レコード店の文句は「残念ながら・・・傑作です!」 |
| Greatest Hits...And More | 「Mindfields」までSONY時代の集大成。アルバム未収録曲も1曲あるので要注意。 ただし国内版には「Dune」からの2曲が入っていないので、安い輸入版のほうが良い。歌詞を知りたい人のみ国内版を買ったほうがいいです。 |
その他のアルバム
| Dune | 映画「デューン 砂の惑星」サウンドトラック。ペイチと、彼の父親マーティン・ペイチ(映画音楽家)が主導でシンセ中心。 なぜかブライアン・イーノが1曲担当。国内版は絶版。 |
| Absolutely Live | 「Kingdom Of Desire」のツアー。ジェフに代わりサイモン・フィリップスが正式メンバーに。ヴォーカルはルカサーと女性のツアー・メンバーが半々。 |
| Livefields | 「Mindfields」のツアー。というよりボビー復帰ツアーで、ボビー時代の曲がほとんど。アコースティック・メドレーあり。 |
| Live In Amsterdam | 25周年ツアー。「The Seventh One」以前の全アルバム(「Dune」も!)と「Through
The Looking Glass」から最低1曲が出ているが、 改めて定番以外の曲の良さを思い知らされる。出だしの初期曲メドレーが見事。 |
| Falling In Between Live | DVDと同内容のCD版。 |
DVD
| Greatest Hits Live... And More |
「Past To Present」のツアー。ジャンは研修期間だったのか、メインヴォーカルを取るのは最後の1曲だけ。これを見ればもっと聞かせてもらいたかった・・・と誰もが思うはず。 なぜか「The Seventh One」と「Tambu」発表時のインタビューが追加されているが、前者で元気良く応えるジェフの雄姿がうれしい。 |
| Past To Present 1977-1990 |
同名ベストアルバムまでのクリップ集。国内版は3曲が追加され、恐らく全クリップが収録されている。なぜかヴォーカル交代直後はシングルでリードヴォーカルを取らせてもらえないみたいだが、そんな中2曲でリードを取っているジャン・ミシェル・バイロンの才能が目立つ。 |
| Live In Amsterdam | 収録曲はCDと全く同じ。おバカ満載の日本ツアードキュメンタリーが見もの。 トイレネタや「オオキナ***サ〜ン」と歌うルカサーが・・・。 |
| Falling In Between Live | 結成30周年記念でもある「Falling In Between」(4曲演奏)のツアー。ただしはペイチ不参加、マイクも怪我で降板。ライヴでは珍しい"Pamera""Stop Loving You""Isolation""Gift Of Faith""Drag Him To The Roof"と、新メンバーグレッグに注目。映像特典はメンバーのインタビュー&デモンストレーション(英語字幕あり)。 |
オフィシャルサイトです。ニュースも速新かつ詳細です。各メンバーのソロ活動なども載っている他、用語辞典まである充実ぶりです。
デスクトップテーマやアイコン・カーソルもあるので楽しみいっぱい!
閑話休題
私はこんなコンピレーションを作りました。()内は収録アルバムです。1st〜3rdの曲が入ってませんが、これは「Past
To Present」にたくさん入ってるので。
| Mad About You | (Mindfields) |
| Drag Him To The Roof | (Tambu) |
| Stranger In Town | (Isolation) |
| Melanie | (Mindfields) |
| Stop Loving You | (The Seventh One) |
| Mr. Friendly | (Isolation) |
| Mushanga | (The Seventh One) |
| We Can Make It Tonight | (Fehrenheit) |
| 2 Hearts | (Kingdom Of Desire) |
| Lea | (Fehrenheit) |
| Home Of The Brave | (The Seventh One) |
| Africa | (TOTO IV) |
TOTOといえば日本人なら誰でも思い出してしまうのが某トイレ用品会社(TOTOのメンバーも来日時にトイレに入ってたまげたらしい)ですが、バンド名は会社とは全く関係なく、ましてサッカーくじとも関係なく、「オズの魔法使い」の犬とボビー・キンボールの本名からつけたそうです。