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2A3シングルアンプ


 「2A3」という球は大変有名な球なのですが、実際にこの球を使った

アンプを聴く事は意外と少ないのではないかと感じます。

 使った出力管は手元にあった数十年前の中古の東芝製「2A3」ですが、

現在入手可能な球としては海外各社の「2A3」変形型ともいえるものもあり、

中にはメッシュプレートなどという大変興味深いものもあります。

 今回、出力トランスは加藤氏(http://homepage1.nifty.com/k_katoh)から

LUNDAHL社のLL1623/90mAをお借り出来ました。

 

 

 2A3シングルアンプ 実験機の外観

 

 初段管に「6AU6」、出力管に「2A3」を使用した直結回路です。

直結回路としてはロフチン・ホワイト回路が有名ですが、今回のこの回路は

「自己バイアス抵抗を持つ直結アンプ」です。

出力段のアース電位をツェナーダイオードを使って初段管のプレート電圧に

合わせる事によって直結としています。さらに出力段自己バイアス抵抗に

生じた電圧を初段管スクリーングリッドに帰還し、回路の安定を図ります。

 この2A3アンプの組み立て当初の音の印象は、中低域寄りの大変好まし

いバランスが印象的でしたが、声に歪感がつきまといます。

 2A3を別なメーカーに代えますと改善される様子が窺えます、しかし

これとても満足とはいきません、種々対策を模索した結果マイナーループの

負帰還を追加しました。

 せっかくの直結回路ですので、この負帰還回路のコンデンサも抜きたい所

ですが、試聴の結果からは省略する事ができませんでした。

回路図

このアンプ特有の注意点

出力段の電源帰路がアースから浮いている事に注意。

電源にブロック型ケミコン使用の時は外装が絶縁してあるものが必要。

調整法

 始めに 6AU6プレート、2A3グリッド間の配線を外し、

「2A3グリッド」と「自己バイアス抵抗の電源接続点側」に別に用意した

100kΩの抵抗を接続します。(両チャンネル共)

 ハムバランサーVRを中央位置にし、電源SWを入れ出力管2A3の自己

バイアス抵抗の両端電圧が45V前後であることを確認。

 初段管「6AU6のプレート」と、出力管「自己バイアス抵抗電源側」間

の電圧が0V(+−2〜3V以内で十分です)になるようスクリーングリッ

ドに入っているVRを回します。アンプ入力端子をオープン、ショートして

合わせた電圧が大きく変化しない事を確認しますが、意外と初段管6AU6

の、ばらつきなどもあり今回も数本の中から選別しました。

以上の事が済んだ後 電源SWを切り、配線を元に戻します。

 電源を入れ2A3の自己バイアス抵抗の両端電圧が45Vになるように

再度VRを調整します。

 スピーカーを接続しハムバランサーを調整し、ハム音が最小になる位置

に合わせ、調整終了です。

(この状態で出力管の交換は可能ですが初段管の交換は、もう一度調整を

やり直さないといけません不用意に初段管の差し替えを行う事は厳禁!)

 ハムバランサーにホーロー巻線型のVRを使用しましたが測定上の最小

点に調整するには使ったVRの分解能が不足するようです。

 残留雑音は約1.5mVと、かなり大きめな値になりましたがハム音は

ほとんど気にならない(?)ようです。 

 気になる直結型アンプでの電源SWオンからの出力管の電流推移ですが、この

位であれば特別の工夫が無くても通常使用可能と判断しました、しかし電源の再

投入の時間間隔が短い場合は出力管に過大な電流が流れます、電源の再投入には

2〜3分間の時間が必要な要注意なアンプです。

 

測定

LUNDAHL−LL1623出力トランスのインピーダンス設定は3KΩ:8Ω

低域特性はマイナーNFB回路のコンデンサーの影響

特性  出力     約3.5W(8Ω/1KHz)

    周波数特性  20Hz〜26KHz(−3db)

    DF     約 2(8Ω/100Hz)

    残留雑音   約1.5mV


謝辞:このアンプの調整時にはefu氏(http://member.nifty.ne.jp/efu/)発表の

    フリーソフト、WaveSpectraを活用させていただきました。

試聴

 試聴スピーカーは現用中のJBL Ti1000

(16.5cmウーハ、2.5cmツィータ)

 

JBL Ti1000

 プリアンプは使わず、CDプレヤーSONY CDP−X5000の出力を

VR50KΩを介して2A3アンプに接続します。

 響きの少ない若干暗めな感じ、、、音域のバランスが低域寄りにあるように

聴こえます。低DFの為心配した低域分解能甘く、柔らか目なしまりのない

低音なのですが重厚に聴こえ、奥の深い音場を想像させます。高域は若干毒が

有るような、、芯のある感じです。

 出力3.5Wという事でおのずと鳴らし方、聴き方を左右してしまいます、

どの音域の音もきちんとは出ないようですが音楽は生真面目な鳴り方をします、

このアンプの鳴り方は昨今聞くスピード感などという言葉とは無縁な鳴り方と

いう気がします。


 トスカニーニがフィラディルフィア管弦楽団を

 振ったチャイコフスキーの「悲愴」第一楽章、

 有名な主題の入り方、、、絶妙な表現です。

   
 ホームセンターで購入のアルフレッド・ハウゼ楽団、

「碧空」「小さな喫茶店」「ジェラシー」など、

 弦とバンドネオンの高音域 魅力。

   
 ビーチ・ボーイズのCD。これもホームセンターで

 購入、アンプのしまりの無い低域が、リズムの中の

 うねりを想像させます。

 

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