6N6Gシングルアンプ('06/3 追加)

| “6N6G”ポジティブグリッド管という聞きなれない方式の真空管です。 普通の真空管のグリッド入力はマイナスの電圧領域のみですが、 この出力管部はプラスの電圧領域で動作するのだそうです。 「魅惑の真空管アンプ その歴史・設計・製作」(注1)の中に類似管の 「6B5」、「6AC5」などと共に取り上げられています。 かって米国製の電蓄、ラジオに多用された真空管であると書かれています。 食わず嫌いの感のあった「2A3アンプ」の音の好印象だった事から 「2A3」と近い時代に流行ったと思われるこの「6N6G」の音も確認 してみたくなりました。 注1 浅野勇 監修 魅惑の真空管アンプ その歴史・設計・製作 誠文堂新光社 |
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| 6N6Gの外観は2A3より一回り小型のST管の形をしていますが ソケットはGTソケットで、出力部とドライブ管が入っている複合管です。 同誌の回路を参考に初段管をメタル管の「6SF5」とし、出力トランス は1次インピーダンス7Kオームという指定なのですが代用として手持ち の5Kオームのタムラの「F475」を使用しました。部品点数も少なく シンプルな回路です。 |
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測定 このアンプの歪率は大分大きく、さらに特性カーブの1W位のところに 盛り上がりがあります。(Rch) クリッピング・ポイントも元々の歪が大きい為どの点を最大出力にするか 迷います。ちょっと歪が多すぎるという感が否めません。 また当初入手した球の1本は低出力時に素直に歪が小さくなっていきま せん。(グラフの青色の線) 真空管の個体差かとも思うのですが数日間鳴らした後測定しますと、 多少変化していくような気配が伺えます、数十年間 眠っていた真空管で しょうから、しばらく使ってからでないと落ち着かないのかもしれません。 周波数特性は 約 20Hz〜37KHz(-3db) |
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10KHz方形波応答 |
試聴
| CDプレヤー SONY CDP-X5000 50KオームのVRを通して6N6Gシングルアンプに接続 使用スピーカーは JBL Ti1000 |
2.5cm Tweeter |
![]() Ti1000 (右側) |
16.5cm Woofer |
| カソード負帰還なしの音 6N6Gという球の音の出方を聴くため負帰還無しの音を聴いてみました。 (配線図の出力トランス2次側16オーム端子に接続してあるアースを0オー ム側に接続) 中高域は小気味良い抜けの良い出方をします、しかし澄んだ音という訳では 無く、高rpの小型直熱3極管などのキラキラした高域とも違っています。 低音は“ぼ〜ん”とした出方でまったく制動が掛かっていない感じです。 並三ラジオなどに使われた「6ZP1」など5極管の負帰還無しの音といった ところです。 DFを確認しますとDF≒0.33/100Hzといった極端に低い値です。 昔のラジオの小型スピーカーでは低音が出にくかったでしょうから、 このような高い内部抵抗のアンプによって持ち上がるfo付近の低域も低音不 足の補償の役もあったのかもしれませんが、少なくともオーディオ用という スピーカーには、このような低DFのアンプとの組み合わせての低音は方向が 違っているようです。DFが低いアンプの低音の出かたはDFの値の多少の差 に大きく支配されてしまいます。 カソード負帰還後 出力管のカソード負帰還によってDFは0.33から約1になります。 結果は、ゆるい低域であっても“ぼ〜ん”という鳴り方から劇的に改善され、 アンプの内部抵抗と負荷の比をダンピング・ファクター(DF)と名づけら れた理由がわかります。(低音の音「質」ということからは、DFはもっと 大きな値になる方が良さそうですが、、、よい方法が見当たりません) 歪も大きく音の分解能も十分とは言いがたいのに抜けの良い感じを持たせる 理由はなんだろうと聴いていますと、音像が小さい事に気がつきます。 人の声も胴間声になりません。 スピーカーとの組み合わせもあるのでしょうが低域の入っている新しい録音 の場合、分解能と密度の不足感があり、また中高域も芯の薄い感じもあり、 満足という訳では有りません。 しかし、ソースが古い音源の場合は相当に聴き込めるようです。 |
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ベルガマスク組曲 ワルター・ギーゼキング 録音自体の周波数帯域、ダイナミックレンジとも狭く、 CDになった時にも、CDの特性上からは、まったく 問題なさそうなのですがレコードとは大違い、、、。 最近の装置でも、特性的には楽々問題なく再生できるはず なのですが聴けるように再生する事は難しかったりします。 |
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THE BEST OF RONETTES 低域の出方と迫力という面では駄目なのですが音が ごちゃまぜになって出てくる歪感がいけます。 |
その後の6N6Gアンプ (2006/3)
| 初段管にP−G負帰還を掛けました、アンプの歪みは出力管の歪みが支配 的で負帰還によって歪みが小さくなるという事はありませんでしたが、音は 昔のトランジスタ・アンプのような音域バランスに似てきます。アンプの特 性などは大きく違っている事でしょうが面白い事です。 (「魅惑の真空管アンプ」の中にもトランジスタ・アンプの音に似ていると いう記述があったような、、、) アンプの測定中、電源電圧の変動によって歪率が変化します。 6N6Gの出力管部に直結になっているドライバ管の電圧変動の影響をもろ に受けるようです。当初感じた特性が変化していくようだという事はこの電 源電圧の変化に敏感な事が理由のようです。 対策としてドライブ管部のB電圧をツェナーダイオードを使って安定化さ せます、ツェナーダイオード(1W型)を何本かシリーズ接続にして所定の 電圧にするのですが表記されている電圧と実際の電圧との差が結構出ますの でツェナーダイオードの電圧の違う物を数本用意して合わせ込みます。 またツェナーダイオードは、かなり発熱があります。 元々シングルアンプは電源部をひっくるめてドライブするような回路構成 ですから(特に低域は)電源を共用しないモノラル・アンプ構成にすると良 いのですが規模が大分大きくなってしまいます、今回はこのままで。 |
| 出力トランスからのカソード負帰還は使用するスピーカーによって多少変更 した方が結果が良いようです。小型のスピーカーの場合は現状のまま、大型の スピーカーを使った場合は4Ωの端子からとし帰還量を減らした方が好ましい 感じでした。 この回路での歪み特性などは当初の回路に比べ多少の変化はあるものの (低出力時若干悪い)基本的には大差なしという結果でした。 音質傾向 聴感上はナローな感じで、分解能の悪さを高域の歪み感でカバーしている ような、、、しかし、やかましくは無く、穏やかな鳴り方といった感じです。 低域はダンピングファクターが小さいため、昔、四半世紀も前のステレオ の低音という雰囲気ですが、低い方まで伸びているせいか”どす、むすっ” といった独特の感じがあります。 |