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PCM1702-DAC

 CDが発売されてからずいぶんの年数が経ちます。

音が良いとのふれこみでした、が、しかし発売された再生機器から出てくるその音は、、、

聴くに堪えないのです。カセットデッキなど帯域の狭いワウフラ、ジッタの化け物のよ

うな音であっても私には十分に楽しめたのですが、CDは違っていました、中高音域に

ガラスを爪で引っかくような感じが付いて回るのです。中高域になにか不連続な音があ

るように聴こえます。

 当時発売された外国製の高級機器であっても同様でした、小さな音で鳴らしていても

気分が悪くなり音の拷問を受けている感じになってしまいます。しかしこの事は人によっ

て大きな差があるようです。当の高級機器の持ち主はそんな風には感じていない様子

ですから、、、この頃某DCアンプの製作者は、CDの音は脳細胞を破壊する、、、と

発言されていた事もあったようです、まったくその発言が嘘ではないという気分でした。

デジタルだから不連続に聴こえる?、、まさかそんな。

 レコードの時に比べCDの音の明らかに優位な点も感じられました。

 安物のCDプレヤーであっても非常に定位が良いのです、これは使用されているアナ

ログ回路のせいもあるのかもしれません。レコードの時の定位は難しく、私がベストと

思うEMTのレコードプレヤー(イコライザ内蔵型)同等以上の定位感があります。

 EMT 930DST

 CDの低域が良い、これも定位感の良さと関係するのかもしれません。昔レコードで

よく聴いていた曲をCDで聴いて、こんな低音だったのかと驚かされることも間々あり

ます。レコードではトレースできる音溝の関係で、ある周波数以下の低音はすべてモノ

ラルになってしまう事とも関係するのかもしれません。

 聴くに堪えないCDプレヤーの原因と思われる事について、

 コンピュータを新しくした時(PC9821Xaの時ですから随分前の事です)にその症状

の極端な状態と思われる事に遭遇します。新しいコンピュータのSWを入れ起動音、、

その起動音が恐ろしく歪んでいるのです、出てくる音すべてブザーのように。

これはきっとスピーカーのボイスコイルがタッチしていると判断し、早速分解して確

認しましたがスピーカーはなんともありません。

原因はコンピュータのクロックが基板パターンから音声出力のICに飛び込んで異常

動作になっていたのです。対策としてICの入出力のピンにセラミックコンデンサー

を追加し正常な音になりました。

 CDプレヤーもCD駆動、制御、表示にデジタル信号、クロックを多用します。

メーカー製の機械を見ますと大きな基板に縦横にパターンが走り、各基板同士の接続

にはフラットケーブル様の配線で繋いであります。コストダウンの為でしょう、

まともにシールド線も使っていなかったりします。デジタル信号は大きな雑音発生源

です。このような中にオーディオ回路があるのです。

 聴けないCDプレーヤは先のコンピュータ程ひどい状態ではないでしょうがデジタ

ル信号からの妨害を受けておかしな事になっていると考えられます。

一時期流行った(今も?)銅箔テープをコンデンサーに貼り付けたり、ICの上に銅

板を張ったり、、という事もデジタル信号の高周波による妨害対策だったとすればす

べて納得できます。オーディオ用として出ているやたら高価なシールド線のほとんど

が2重シールド線構造になっていたりする事も納得できます。


 聴けないCDをなんとかしたい、、そんな試みで組み立てた物が今回のDACです。

要のDAC-ICはすでに時代遅れとも思えるPCM1702です、DACの形式も色

々あるようですが今回使ったPCM1702はその後継PCM1704とともに他の

形式のDACに比べ低域の再生能力に長けていると感じます。

デジタルフィルタ、これもすでに旧聞に属するSM5843を選択、フィルタのシャー

プ、スロー、ディザのオンオフが選択できます。

DIR(Digital Audio Interface Receiver)-ICには入手性の容易さからDIR1

703を使用、ジッタが少ないと謳われているようです。

 ICが決まればデータ−シートで接続を考えますが、DIRのICが3.3V動作、

デジタルフィルタが5V動作でちょっと問題がありそうです。 案の定、DIRの電源

リセット動作がうまくありません。

リセット端子に付けた1μFを外したところ動作するようになりました。DIR170

3のデータシートからは10mS程のリセット時間が必要なように読めるのですが、、、

しかし特に不具合も無さそうですのでこの状態で使う事にします。

下は、ほぼ決定した配線図)

 

 図の回路はDIR1703に直接CDプレヤーからの同軸出力を入れています。

この接続では同軸ケーブル長が1.5m程度までがなんとか実用範囲です。

CDプレヤーの種類、周囲の雑音環境によってはうまく動作しない可能性があり

ます。さらに、CDプレヤーからの信号を入力端で観察しますとCDプレヤー単

体の時に比べDIR1703から漏れてくると思われる雑音増加が観察されます。

 デジタル入力に乗る雑音はジッタの増加に関係します、デジタル信号増幅、及

びバッファとして働かせるためDIR1703のデータシートにあるような入力

回路を入れる事が望ましい事です。が、今回はあえてデジタルICの増加を避け

ました。図はBB社データシートの入力回路例です。

 

 入力回路例 BB社データシートより

 下のオッシロ波形写真はこの回路で手元にある2種のCDプレヤーを繋いだ時

の入力端におけるデジタル波形です。CDプレヤーの価格差もあるのでしょうが

CDP−X5000に比べもう一台の方は立ち上がり時間が倍近い上、妙な立ち

上がり波形になっています。いずれのプレヤーでも問題なく再生出来ていますが

プレヤーに手を入れたくなるところです。

 

SONY CDP−X5000

     

          某社CDプレヤー

 

 DAコンバータ部がCDプレヤーと分離される事はデジタル雑音の低減に大いに有

利になりますが、DAコンバータ部にも発振回路があってデジタル部分があります。

デジタル部分の配線は長ければアンテナとして働いてノイズを撒き散らす事になりま

す。小型に作る事は配線長を短くするメリットになります、しかし高周波の電界強度

は距離の2乗に反比例します、小さく作ってもそれぞれを密接配置する事は問題です、

最近のICは特に小さくて、つい小型に組み込んでしまいがちです。

今回はデジタル部分とDAC部を別な基板に組み立てました。

 IV変換は抵抗510Ωで行い出力電圧は約0.3V(RMS)というところです。

プリアンプがあればなんとか使えるかという電圧です。5〜6倍程度の増幅回路を入

れたいところですが、増幅回路として簡単そうな事はOPアンプを使う事なのですが、

OPアンプを使った回路の再生音はIV変換に使った場合に限らず、音の出方がどこ

か変だという感じがあります、とりあえずは増幅回路なしで音を聴いてみます。

少しの試聴結果からSM5843のの設定はディザなし、フィルタは高音域の音色感

が若干アップするスローロールオフとします。

 このDAコンバーターの全体的な音の印象は大変に柔らかいという感じです。

個々の楽器に注意して聴いた場合は柔らかいという事ではないのですが柔らかな印象

を持ちます。オーケストラの木管楽器の再生音などは大変に魅力があります。人の声

もマイクに張り付いたようでは無く空間を感じます。

しかしCD,中高音域にかけてつやが無い感じがあって不満があるのですがこれは

44.1KHzというCDのフォーマットの問題が大きい気がします。

            

 

  2008/8/15

 先のDAコンバーターの状態になってから、だいぶ時間が空いてしまいました。

しかし、先の状態、DAC直接の出力で結構聴けてしまうのです、人の声のリアリティ

は出色です。

増幅回路を試すのですが残念なことに増幅回路を追加することによって失う部分が大き

く増幅回路がなかなか完成しませんでした。

音のメリハリや帯域バランスなど言葉で言えるような事柄は良好になるのですが音楽

にとって一番大事な部分が欠落してしまうように聴こえます、これは辛いことです。

 巷では配線一本でも音が変わると言われていますが増幅回路は半導体やコンデンサー、

抵抗などで構成されます、それぞれが音に与える影響は配線材料の比ではないのです、

そのような部材を大量に投入して増幅回路を複雑にして良い結果を求めることは至難

の業であるように思います、出来る限り信号経路を単純化した回路で、、、と思うの

ですが歪の問題、出力インピーダンスの問題があり、単純化するにも程度が、、、

 

・IV変換について

PCM1702DACの直接の出力Pin14をオシロで観測してみますと、写真2のような

信号が観測されます。

 写真2

 

 写真は回路からの高周波ノイズなどを拾い大分輝線が太くなっています、

(測定時にプローブに直接誘導する信号も大きいようです)デジタル信号を階段状に組

み合わせる事でアナログ信号を擬似的に形作っている波形です。

この階段状の波形をLPF(フィルタ)を通すことでアナログ波形に変換するわけです

が、

この階段状の立ち上がり部分は非常に高い周波数成分を含みます、OPアンプICを

使ったIV変換回路の音質が変な感じを受ける理由の1つはこのような高周波数成分を

含む信号を入れるせいではないかと思われます。(スルーレイトの問題の他にIC内部

の寄生ダイオード、高域時定数の問題があるのではないかと思っています)

対策としてはこのような高い周波数を余裕で通すようなディバイス、回路を選択するか、

あらかじめLPFを通して高い周波数成分を除いてしまう方法が考えられますが、階段

状の立ち上がり部分は急峻なほど高い周波数成分を含む為、高周波を余裕で通すような

ディバイス、回路は非常に難しくなります。

よって先の抵抗IV変換にもう1段LPFを追加し、単純に増幅回路を加える事としま

したが、それでもその増幅回路を入れる事による音楽の重要と思われる部分の欠落感に

悩まされます。

増幅回路1

2SK170+2SA872

増幅回路2

7586+2SA872

 

 増幅回路2は入力部分に真空管(ニュービスタ)を使ったものです。

いつも真空管と半導体の音の差が言われますが、全くそのようです相当違って聴こえま

す、どちらかの音が正しいとするともう片方は何か問題があるような聴こえ方です。

半導体のみの増幅回路1では、意外にも中低域が柔らかく、くっきりとした音で高域に

賑やかな感じがあります、真空管を使った回路では、聴き始めは、おだやかな印象の音

の出方ですが分解能は良く聴こえます。増幅回路を通す前の音は低域は少し細身で音質

傾向は両増幅回路の中間という気がします。

 


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