雑記帳

ラックス MQ60C

 MQ60カスタムというアンプを預かりました。

MQ60という型のアンプは一世を風靡したラックス社のアンプです。

(ラックス社はLUXMANという会社名に変更されました)

MQ60のキット版KMQ60やNFB無しのこのアンプMQ60C、

スイッチでNFBの有無を切り替えられるMQ68Cなどがありました。

最近は出力管の50CA10の入手難や出力トランスの断線などの為、

実働しているアンプは少なくなってきている事と思います。

 このアンプも出力トランス無し、真空管無しの状態で入手したという

話です、シャーシーを利用する為に手に入れたという事でしたが重要部

品が欠けているもののアンプの状態は非常に良く、幸いな事にアンプを

持ってきた人はLUXの同型の出力トランスを持っているという話です、

もう一度MQ60Cとして再現してみたいとの事です。

真空管は出力管の50CA10や12BH7、6267などは我が家に

手持ちがあります。

 さっそく内部パーツの点検を行ってみます。アンプの要のバイアス調

整用の半固定VR、コンデンサのチェック。

このアンプのバイアス調整用に使われている型の半固定VRは熱など経

年変化で劣化しやすいパーツなのです、特に出力管の電流調整という重

要な部分に使用されていますので出来れば交換する事が望ましいのです

が、今回は調べてみても問題はありませんでした。

 無闇に部品を交換する事は元のアンプのオリジナリティを損なう気が

します、コンデンサーなどは特にです。この時期のアンプに使われてい

るカップリングコンデンサーはOILコンでは絶縁不良、フィルムコン

デンサーでは容量抜けが問題です。このアンプに使用されているコンデ

ンサーは今は入手できません、コンデンサー不良の時は代替部品の選択

に悩む事になります。

簡単に音が良いと言われている部品に交換してそれで良しと言えれば良

いのですが、音質や鳴り方にこだわればこそ、部品の音にもそれぞれ得

失があり簡単に交換して良しと言えるものではありません。

 コンデンサーのチェックは電圧が低い側のリードを外し、アンプの全

真空管を抜いてからアンプの電源を入れ、テスターを電圧計レンジにし、

外したリードとシャーシー間の電圧がゼロになる事を確認します。

注意 真空管アンプは高電圧が掛かっています、このアンプは400

    Vを越える電圧が掛かっています。電圧チェックや調整される

    時には感電やショートには十分な注意が必要です。

 幸いな事に使用されているコンデンサはまだ十分使用できるようです。

抵抗も一通り調べましたが問題なさそうです。

出力管のバイアス電圧が一番深くなるようにバイアス調整VRを回し、

バイアス電圧がスムーズに可変できる事と共に出力管グリッドピンの電

圧を確認します。

 出力管を交換する際にはバイアスが一番深い位置から出力管の電流を

調整する事はたとえ動作していたアンプであっても絶対必要な事です。

 出力管のバイアス、バランス調整した後、少し聴いてみました。

久しぶりのMQ60の音です。普段使用している自作のアンプに比べ押

し出しの強い感じです。

 

 MQ60Cには出力管のバイアス調整、DCバランス調整の他に半固

定の調整VRが2個付いています。

1個は位相反転管の負荷抵抗の一部になるように入っている半固定VR

でACバランスの調整用、もう1個は位相反転共通カソード抵抗の一部

になるように入っている半固定VRで位相反転管のバイアス調整用です。

これらの半固定VRは他の既製品のアンプにはあまり例をみません。

以前の自作アンプの回路記事などは初段管のデカップリング用の抵抗を

可変して2段目のバイアスを調整するような配線図が多かったのですが

最近はあまり目にしません。

 MQ60Cのこれらの半固定のVRはアンプの調整はどこを調整すれ

ばよいかという事の参考になります、他のアンプの調整にも大いに参考

になるところです。以下は調整時の要点です。

 

出力管バイアス調整VR

 出力管のアイドリング電流を決めます、多い場合は出力管の寿命に大

きく影響を与えます。少ないとクロスオーバー歪が増えます。

アイドリング電流を多めに設定した場合、歪特性は良くなるのですが鈍

い感じの音になる傾向があります。

出力管DCバランス調整VR

 低域の伸びている許容不平衡電流の小さい出力トランスの時、低域の

伸びているスピーカーを使っている場合は、このバランスをきっちり取

る事で、はっきりと低域の伸びが聴き取れると思います。

ACバランス用VR

 上図のようにして調整する事で明確な調整位置があります。調整位置

の明確さとは裏腹に聴感上はあまり大きな変化がないようです。

2段目(位相反転段)のバイアス調整VR

 測定器を使って歪率を測りますと鈍いながらも歪最小点があります。

調整位置は前段や出力段との歪打ち消し効果も加わるようですが聴感上

のVRの位置は、この最小点では無いようです。聴感上の調整位置の表

現は難しいのですがスピーカーの側面から聴きながら部屋の中に広がる

音を聴き、ごくゆっくりとVRを回し最適点をさぐります。

この調整は明確な音の変化をつかまえにくいのですが大変重要です。

 

 音が出ていたアンプ調整前と調整後の音の変化は表面上はあまり変わ

りありません。多少音像が小さくなって音の粒が立つ感じか、、という

ところです。服を替えたような大きな変化は無いものです。「質」とは

こういうものでしょう。そしてこの「質」が使えるアンプか否かを分け

る事になります。

 調整後は少しあっさりとした感じになりながら音楽に引き込む力が強

くなったように感じます。編成の混んだ音のなかで中域に少しの硬質感

が魅力的です。すでに30年も前のアンプですが真空管アンプの標準と

も思える気がします。

2005/4/10



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