300Bアンプ

 伊藤さんのプリアンプを見て思い出すのは同じく伊藤喜多男さんのWE300Bのシング

ルアンプです。かっての一時期、伊藤さん、いや、氏の300Bアンプの裏蓋を外し中の

回路を眺めながら、どうしたものかと、もう傍らの組み立て途中の300Bのアンプをい

じっていたのです。

後年に発売された StereoSound別冊サウンド・コニサー誌

 

 その頃は伊藤喜多男さんが苦労してWE300Bを入手した時代とは違い、WE300Bが容易に

入手可能な時代になっており、300Bアンプの組み立てキットなどもあって数台組み立て

たりしていました。

 組み立てたキットのアンプをテストの為、我が家のスピーカーJBL4331に接続、、

これが大間違い、とんでもない低音に化けてしまうのです、確かに低音は出ますが

「どふるーん」。

シングル・アンプはDF値(ダンピングファクター)が低くJBLの重いコーン紙によるfo

(エフゼロ)の低域共振の音がまともに聴こえてしまうのです。

これが大太鼓の後ならリアルな皮の音、、とかで済むのですが、ピアノのフォルテの後

にもfoの「どふるーん」と。(ピアノは大太鼓じゃ無いやい、、)

これはスピーカーが元々持っている低域共振の音が極端な形で顕在化したものです。

しかし、今まで気にならなかった音なのに、一度聴こえた低域共振は元のトランジスタ・

アンプに戻しても、もう聴こえてしまうのです。

低域共振の音から逃げるには、、、やむを得ません、スピーカーを別なものに交換する

しか手はありません、、、(*


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そんな時期に

伊藤さんの300Bアンプを聴いたのです、驚天動地とはこのことでしょう、、、鳴り

方が全く違うのです。自分でも300Bのアンプに挑戦してみようかという気になった

のです。

 シングルアンプは先のようにDFの問題がありますし、出力が取れないという事もあって

敬遠していたのです。出力の取れない事は高能率のスピーカーと組み合わせれば、、と

いうような事はスピーカーの能率と数字的なつじつま合わせにしかなりません。

実際に小出力のアンプと高能率なスピーカーを組み合わせた場合、アンプのリニアリティ

の不足からくる飽和感、力感の無さが気になり音楽どころでは無くなってしまいます。

 しかし伊藤さんの300Bアンプの力感、、、その鳴り方は他の300Bアンプとは似て

さえもいないという風に聴こえます、音の出方はPP(プッシュプル)アンプのようです。



 手本があるならそっくり真似れば、、とはいうものの肝心の出力トランスと電源回りの

コンデンサーの入手が出来ません。さらにまずいことに自分の作るアンプだとすると音質

傾向を伊藤アンプに似せることが出来ない事に気がついてしまいます。

しかたがありません、自らの技量の問題も差し置いてイソップ童話の狐のごとく

「あの葡萄はすっぱいのさ」と。


 伊藤さんの300Bという途方も無いアンプを聴いた後での300Bアンプ、、当然のよ

うに長い間完成しませんでした。それでもなんとか自分なりにこれであれば聴き込む事が

出来るだろうと思うところにこぎつけたのが下の写真のアンプです。試聴してくれた人か

ら竹針の音がすると評価してくれましたが誉めてくれたものかどうかは不明ですが、その

人はその後WE310を買い込んでいたりしましたから、、、きっと、。





 今写真を見ながらこの頃から何年経っただろうと、、このアンプの音を忘れてしまっ

て印象を思い出すことが出来ません。出力管はITTの4300Bにされて現用されている

はずです、今聴いたらどう感じるだろうか、、あの時の狐の心をどう納得させたものか

機会があったらもう一度聴いてみたいものと思っています。

                           2008/7/23



         *)スピーカーはその後同じJBLのD44000に、、

 

 

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