江村洋著「カール五世:中世ヨーロッパ最後の栄光」
からオラニエ公ウィレムに関する記述:
そこにはフィリップの二人の伯叔母の姿があった。カールの姉エレオノーレと妹マリアである。彼女らに続いてエグモント伯やオラーニエン公も新君主に挨拶した。彼らはフィリップの最高顧問アルバ公とも、親しく言葉を交わしあった。三十年後には、オランダの自由と独立をめぐって血みどろの死闘を繰り広げるスペインとネーデルラントの貴顕たちが、いま一堂に会したことになる(p.290)。
一五五五年十月二十二日の金羊毛騎士団の団長辞任に始まるカール五世の一連の辞任劇は、荘重というしかない。その三日後には、ブリュッセルの王宮の大広間で、ネーデルラントの統治を正式に嫡子フィリップに委譲する儀式が行われた。ここは四十年前にカールが丁年に達した成人式を挙行し、ブルゴーニュ公に即位したのと同じ王宮、同じ大広間だった。
漆黒の長衣に身を包んだカールは、杖をつきながら、侍従オラーニエン公に腕を支えられて姿を現した(p.328)。
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