Wilhelmus

ウィルヘルムスは 現存する世界中の国歌の中で一番古いというオランダ国歌. 歌詞は1570年頃.曲は以前からあったものの,記譜はやはり1570年頃. 歌詞は君が代のほうが古い,とオランダ人もよく書いている.

15番からなる歌詞のそれぞれは WILLEM VAN NASSOV(Willem van Nassau の昔の綴り,つまりオレンジ(オラニエ)公 ナッソーのウィレム, 人呼んで沈黙公のフルネーム)の各文字から始まっています. 今日唱われるのは1番と6番だけ.

歌詞ができた正確な時期はわからないものの1568年から1572年の間. 作者はマーニックス・ファンシントアレホンデ(Marnix van St. Allegonde) と言われていましたが,コールンヘルト(D.V. Coornhert)だという説 (Hofman, E., Nieuw licht op het Wilhelmus en zijn dichters. Zoetermeer: Boekencentrum, 1996)もあります.歌詞の成立や正本を めぐって多くの研究論文があります.

スペイン王に対する反乱を率いていたオレンジ公への賛歌 (Winkler Prins大百科事典によれば宗教的政治的プロパガンダ)で, オレンジ公自身の口から語るような形になっている.曲は 既にあったフランスの従軍歌を借りました. 80年戦争中さまざまな機会に歌われました.

フランス革命に心を寄せる「愛国党」が権力を握った18世紀末には 演奏が禁止されていたこともあり,フランスによる占領が終わって オランダ王国が成立したのちも,国歌コンテストで別の歌が人気を得 たりもしましたが,次第に盛り返し,1932年5月10日の勅令によって 正式に国歌になりました. 国歌の演奏を必要とするすべての公式の席でウィルヘルムスを用いること, という内容の勅令であるようです.

国旗とともに国歌へのオランダ人の 思い入れは深いものがあり, いくつか定められた機会以外に軽々しく歌ってはいけないことに なっています.ナショナルチームが対戦するときなんかはいいらしい. 君が代や日の丸同様,多くの人々の血と涙を見てきた国歌ですが, そうした浮沈を超えたものが国歌にはあるようで,オランダ人が 国歌を扱う様子はときに感動的です.


関連リンク
  1. Wilhelmus van Nassauwe: ウィルヘルムスのすべてがわかる.ただしオランダ語.手話版を 動画で見せてくれるのはご愛敬.
  2. THE DUTCH NATIONAL ANTHEM: オランダ外務省提供の英語解説.歌詞の英訳や楽譜も.
  3. Wilhelmus: オランダ語版ウィキペディアの項.さすがに詳しい.音声ファイルへのリンクも.

音声ファイルは,Wilhelmus van Nassauwe サイトにもMIDI版が.


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URL=http://homepage3.nifty.com/hiway/holland/jword/wilhelmu.htm
Author:小橋康章 Y. Kobashi, All rights reserved.
Date : 2006/01/27 (リンク等更新); 2001/02/08 (更新); 1999/05/19 (作成)