Page Editor: Y. Kobashi
Date : 5 Sept. 2001 (figure added); 25 Jun 1996 (modified); 30 April 1996 (created)
オフィス・オートメーション学会支援基礎論研究部会研究報告書 「『支援』概念の基礎づけに向けて」(1995)第1部第2章として発表


支援の定義

飯島淳一(東京工業大学)


「支援」概念の重要性は,様々なところで指摘されている.たとえば,小橋 は,意思決定を支援することの難しさを様々な例を引いて論じている[ 1]. 今田は,社会の自己組織性の観点から,「管理くずし」の必要性をあげてい る[ 2].一方,渡辺は,脱産業化という経済構造の変化に由来するマクロな 社会変動の一環として,自己実現至上主義が台頭してきていると指摘し,従 来の管理概念にかわる概念の必要性を指摘している[ 3].

また,林は,情報社会のモデルとして,参加型社会モデル提案し,財,サー ビス,ライフスタイルを自ら構想し創りだす能力の必要性を指摘している [ 4].

さらに,ウォーターマンは,「指導つき自治」システムと呼ぶ,自主管理チ ームによる生産性の向上に言及している[ 5].

これらを見てわかることは,個を尊重する新しい管理のあり方の必要性が叫 ばれはじめ,そこでは,情報システムが重要な役割を果たすことが期待され ているということである.

本研究会は,このような問題意識から出発して,「支援」とは何か,よりよ い支援はいかにしたら実現できるかという点を中心として研究を進めてきた. 2年間の研究部会活動の成果として,「支援」についての一致した定義を確 立することができた.そこで,この章では本報告書の基底をなす,「支援」 概念の定義について述べる.

本研究会では,「支援」を次のように定義する.

定義1 支援

支援とは他者の意図を持った行為に対する働きかけであ り,その意図を理解し,その行為の質の改善,維持あるいは行為の達成をめ ざすものである.このとき働きかけを行うものを,支援者と 呼び,支援を受ける行為者を,被支援者と呼ぶ.


[ 図1 支援の構図 ]

この定義における「行為」については,次のように考える.

定義2 行為のモデル

  1. 行為は,行為者と,行為者をとりまく環境,行為者と環境の間のインタ フェースの3つの部分から構成される.
  2. 行為のプロセスは,環境の認識,行為の決定,行為の認識の3つの相に 分解することができる.
  3. 行為の決定には,行為の目的と行為の手段の決定が含まれる.

尚,支援を議論するにあたって,次の点に留意する必要がある.

  1. 支援者は,被支援者の意図や目的を理解し,(支援するという意図をも って)知識に裏付けられて支援を行う.
  2. 支援の一つのポイントは,行為の目的の決定が,被支援者が主体的に行 うという点である.
  3. 支援者が目的を押し付けるものは支援ではない.
  4. 目的や手段の決定には,混沌とした段階から,漠然とした段階,満足す べき条件が明らかになった段階,具体的なインスタンスが決まった段階とい う広がりがある.
  5. 被支援者が目的や手段を明確にすることを助けることも支援の重要なポ イントである.

参考文献

[ 1]小橋康章(1988), 「決定を支援する」, 東京大学出版会.
[ 2]今田高俊(1994), 「混沌の力」, 講談社.
[ 3]渡辺聰子(1994), 「生きがい創造への組織変革」, 東洋経済新報社.
[ 4]林周二(1990),「日本型の情報社会」,東京大学出版会.
[ 5]R.H.ウォーターマン著,野中郁次郎訳(1994), 「エクセレントマネ ージャー」, クレスト社.

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E-mail: PDB00176@nifty.ne.jp (小橋康章)

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