米国ニュースアンカーの世代交代



私はアメリカのニュース番組を見ることが多いが、ここ一年でアンカー陣
が大きく様変わりして、新たな視聴率競争が始まった感がする。
アメリカではアンカーと呼ばれるニュースの顔が存在する。ケーブルテレビ等の
発達によりネットワークニュースの地位は低下したと言われるが、それでも3大
ネットのニュース番組の信頼性は絶大なものがあると言われる。
2005年から2006年にかけて3大ネットのメインキャスターが次々に交代すること
になった。NBCのトム・ブロウコウは自ら引退を表明し、CBSのダン・
ラザー氏は番組で紹介されたブッシュ大統領のベトナム戦争の徴兵逃れに関する
メモが偽物である責任をとって辞任した。

ABCのピーター・ジェニングス氏の独走が続くと思われたが、肺癌発病を自ら告
白し、間もなく死亡というかたちで伝統の3人男の時代に終止符をうつことにな
ってしまった。同時多発テロの時に愛国的な報道が幅を利かせた中、ジェニングス
氏は極めて冷静で反戦的な伝え方をして注目を集めたとされるが、死亡時には禁煙
による肺癌予防キャンペーンのマスコットに仕立て上げられてしまった感じがする。
Newsweek アメリカ版の2005年8月22日号の表紙には「Lung Cancer」の大きな文字と
共にジェニングス氏の顔写真が紹介されている。

2006年秋、新たなニュースアンカーが勢ぞろいした。
NBCのブライアン・ウィリアムス、ABCのチャールズ・ギブソンに対して一番
の注目は初の女性アンカーとなるCBSのケイティ・コーリックと言われる。彼女
はNBCの朝の人気モーニングショーからの引き抜きで登場当時は驚異的な視聴率
を獲得したが、政治・外交の硬派ニュースでは他の二人に水をあけられたという状
態が日本の新聞でも伝えられて注目を集めた。

アメリカは自由競争の国であると同時に多国籍国家でもあり、一個人がニュースで
ストレートな意見や感情を表現するのは馴染まないと言われる。日本のテレビニュ
ースでは有名人の引き抜き合戦ばかりではなく、新たな人材が自由に投入でき、自
由な意見を述べることができる点で、アメリカより自由な社会という感じもする。
(2006.10.22記)

NYでチャールズ・ギブソン氏にお会いした。
知名度を鼻にかけない気さくな方であった。
ジェニングス氏なき現在、彼はABCニュース
の顔になっている。