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| 危険地帯 | ||
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89.空想メトロ 好きな芸能人や有名人が、自分の家の近所に住んでいたらいいな、と思うことは誰にでもあるはずだろう。私の場合は、それが「椎名へきる」であったりするわけだ。ここで「木之本桜」などという仮想現実世界のキャラクターを挙げなくなったあたりに自分の成長を噛み締めるわけなのだが、椎名へきるでもあまり変わらないような感じがするのは気のせいであろうか。仮に近くに住んでいたからといって、決してストーカーなどしたりはしない。ただ単純に、ご近所さんだったらより一層の親しみを持って応援できるんじゃないかと思うのだ。まあ、へきるさんは嫌がるかもしれないけれど。 そんなことを思っている時期に聴いた、ある一曲。この曲のおかげで、へきるさんはもしかしたらうちのそばに住んでいるんじゃなかろうかと本気で思ってしまったことがあるのだ。その曲とは「空想メトロ」。個人的にはへきるさん初期の名曲だと思っている。 この曲の一節に、こんな部分がある。
最初は何気なく聴いていたのだが、よく考えてみるとこういう歌詞が出てくるということは、少なくとも毎日3番ホームから電車に乗り、40分かけて目的地まで向かっていた経験があるということになるだろう。そこで、40分という時間に注目することになる。地下鉄で40分といったら結構な長時間である。都心の駅だと、何度乗り継いでも40分乗ることはまず無いだろう。よって、郊外の駅から都心の駅に向かっていたということになる。 「40分も乗りそうな郊外の駅か… 新宿線の本八幡か? それとも東西線の西船橋? あとは、えーっと…」と思考を巡らせているときに、ある駅を思い浮かべることとなる。 ん、千代田線? 綾瀬? そうだ、綾瀬だ。綾瀬である。綾瀬だと、新宿・渋谷などの山手線西側の駅ならば出るのに40分はかかる。しかも、うちの最寄駅ではないか(本当は北綾瀬だけど、個人的に北綾瀬は存在を認めたくなかった)。さらに、綾瀬駅は鉄用語で2面3線の駅なので、3番ホームが存在するのだ。もうこの瞬間、愚かな小生、略して愚生は「へきるは綾瀬在住」と勝手に決め付けてしまったのである。こうなったら、へきるさんが実際にやっていたと思われる「空想メトロ」を再現するしかあるまい。ってこういうのもストーカーの一種になりはしないだろうか。 その翌日、朝8時頃目覚めた。早速洗顔し、朝食は食べないでいざ出発。駅までの移動手段に関しては曲中に指定されていないので、チャリンコで綾瀬駅へと向かった。切符を買い、改札を抜けようと思ったが、その前に何といってもキャロットジュースであろう。3番ホームで重要となるアイテムだ。 ところが売店で「キャロットジュースくれ」と言ってみたものの、「はぁ? そんなものありません」と無下に断られてしまった。ここまで順調な再現ぶりだったのに、ここで早くも破綻してしまったのだ。途中のコンビニなどであらかじめ購入しておくべきだったのだろうか。くー、仕方がない。キャロットジュースは諦めて、改札を抜けて3番ホームへと向かった。本当であれば、ここでキャロットジュースを飲み干す手筈であったのだが、残念だ。 しばらく待つと、3番ホームに電車がやってきたので颯爽と乗ろうとしたら、「回送電車ですのでご乗車にならないで下さい。」と駅員にたしなめられた。むむ、回送ならば仕方がない。ここはこらえよう。次に始発の上り電車が到着したが、開いたのは逆側2番ホームの扉であった。3番ホーム側の扉は堅く閉ざされたままで、開く気配が全くなかった。どうなっておるのだ!! 俺は3番ホームから乗って40分間メトロに揺られたいんじゃー。コラー駅員! 説明せよ!!
朝ラッシュはすでに終了しており、いままでの努力も水泡に帰す。これにて再現終了。 なんか無駄なことをした、ある秋の日であった。 |
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