今回は、霊魂や超自然的な話ではなく、あくまでも自然科学の知識内で理解できる出来事を紹介しよう。ただしこれらも、めったに体験するようなことではないのは事実だ。
【光る球】
小学校の5、6年生の頃の夏休みだったと思う。
午後から、夏休みの宿題をかたずけに友人宅へ行っていたのだが、夕立ちが来そうな真っ黒い空模様になってきたので、あわてて帰ることにした。
およそ2キロほどの田舎道を自転車でとばしたが、とうとう途中でバラバラと大粒の雨が降り出してきた。遠くでゴロゴロと雷の音もしはじめたので、雨宿りもせずそのままびしょ濡れになりながらも、なんとか急いで帰りついた。
わが家は広い田んぼの中の一軒家である。バスタオルで濡れた髪や体を拭きながら、玄関の近くの畳の部屋で本かなにかを読んでいた時だ。
あたりが白く光った。
うちから500メートルほど離れた県道沿いに立つ、大きな楠の木に落雷したのだ。バリバリバリと空気を引き裂く音、家や地面をゆるがすドロドロという振動。
ちょうど座っていた所から、ガラス越しにその楠の木が裂けるのが見えた。それにも驚いたが、もっとびっくりしたのは、落雷した場所から光る球が、青々と稲の茂る田んぼの上を這うようにしてこちらへ飛んで来るのだ。
なんだ、あれは。
時間にして数秒もあったろうか。次の瞬間、直径50センチほどのその光る球は玄関のガラス戸をすり抜けて、私の目の前2メートルほどの所の三和土にぶつかり弾けた。2B弾を破裂させたような音と硫黄くさい臭い。玄関のガラスは割れてもいないし三和土に焦げたあともない。
どうやらそれは、「球電」という現象だったらしいと知ったのは、もうすでに2学期も始まった頃だった。
【大きな波動】
その日私は友人宅で行われる、あるマニアックな集まりに出席すべく、車を運転していた。福岡県中部にある自宅から国道3号線を北上していたのだが、ちょうど、頭上を都市高速が通る区間にさしかかった時だった。
瞬間、景色が大きく歪んだ。地震かなにかかと思ったが、道路や橋げたにも亀裂などなく、周りの車は整然と流れていく。しかし、確かに揺れを感じたのだ。一瞬だけだが、大きくグラッと。
心臓がバクバク鼓動し、呼吸も浅く早くなっている。私の体は何かを感じた。なぜだか、頭が痛い。軽い吐き気までしている。
振り返ってみると、私の頭を中心にその揺れは発生したようだ。たとえてみるなら、水を張り柔らかな豆腐の入ったボウルを一瞬だけ激しく揺すった様な感じ…。
そう、後で気付いたのだが、当時その区間は都市高速の工事中で、大型の工事車両が頭上で通行したり作業したりしていたのだ。つまり、工事車両により発生した低周波が、ちょうど下を走っていた私の車の固有振動周波数と共振して、乗車していた私の体を大きく揺さぶったのだろう。
しかしあの、グランと脳味噌の中をかき回されたような嫌な感覚は、忘れようとしても忘れられない。あとほんの少し揺さぶりが大きかったら、私の脳は、深刻なダメージを受けたかもしれないのだ。