【山道の提灯行列】


 かれこれ25、6年ほど前、私が高校生だった頃の話だ。


 私は演劇部に入っていた。ある年の12月、筑豊地区の高校演劇連盟で冬のゼミナールを自主開催しようということになった。とはいっても、顧問教師も呼ばず、クリスマスにちなんで泊まり込んで遊び、ついでに寸劇や芝居の話も、、、というような企画だった。


 会場は直方市のN町公民館をコネで借りた。各校からの参加者は20〜30名ほどだったろうか。楽しく熱く語り遊び、夜も更けてきた。女の子の何名かは、泊まらずに帰宅しないといけない。OBたちが、車で送っていこうということになり、自宅の方向別に数台の車が出ることになった。そして、帰り道の買出し要員として私も同乗したのだ。


 車に乗っていたのは運転する他校OBのM松さんと私、そして赤池・方城方面の女の子ふたりの計4名。無事女の子を送り届けた時には、午後10時をまわっていたろうか。M松さんは、せっかくやからちょっと遠回りしてドライブして帰ろうといい、深夜の福智山方向へ車を走らせた。


 2、30分ほど真っ暗な山道を走ったころ、遠くに灯が見えた。道の両側に2列に並び、ゆっくりと揺れながら進んでいる。まるで提灯行列のような光だ。


「あれ、なんですかねえ?」
「行ってみようか」


 我々は、灯の後を追いかけていった。ところが、いくら走っても行列に近づけない。灯は山道を見え隠れしながら、次第に山頂へと向かっていく。いつの間にか道路の舗装も途切れ、砂利道だ。道幅もだんだん狭くなっていく。灯はずんずんと進んでいき、差は全然詰まらない。10分か15分は追跡したが、ついに道は林道の入口のような所に差し掛かり、ふたりとも諦めてみんなの待つ公民館へ戻ったのだった。


 帰りを待っていたみんなに話しても信じてもらえず、遅いのは女の子といちゃついていたからと誤解される始末。しかし次の日、N町の世話役のFさんにこの話をすると、
「それは狐の嫁入りたい。付いていっとったらオオゴトになっとったぞ」と、大まじめな顔で言われたのだった。

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