翻訳蔵用語集 |
【適応症】hyperhimacemia (暇持余血症)。
【用法・用量】精読せずに読み流し、読後は忘れて下さい。 【警告】生真面目な人は読まないで下さい。重篤な誤解が生じる恐れがあります。 【使用上の注意】読む前に必ず眉に唾をつけて下さい。 【副作用】頭痛、眩暈、いらいら、湿疹、胃痛、眠気等が生じることがあります。 |
★新着用語:【煮えている】【煮え煮え】【焦げ付きそう】【焦げ焦げ】【修羅場】【現実逃避】(いずれもblueさんのご厚意により転載させていただきました) 【CD-ROM辞書】OSの変更によって使えなくなるのではないかと、常にびくびくさせてくれる辞書。少なくとも100年後には使えなくなっているはずである。→紙の辞書 【Google】検索エンジン。仕事にはもちろん、毎日の献立を決めるためにかかせない道具。専門語の検索よりも、レシピ検索のほうがキーワードの選択が難しい場合がある。検索テクニックを鍛えるにはレシピ検索はもってこいである。ただし、食べたい料理がヒットしても同居人に作らせるのは愚行というものである。自分が食べたいものは自分で作るのが大人というものである。 【OJT】on the job training. 仕事をしながらスキルを磨くこと。在宅翻訳者の場合、往々にして自習を意味する。エージェントからトレーニングを受けられれば僥倖。どんなに叩かれても涙を見せてはならない。→エージェント、スキル 【SOHO】Small Office Home Office.小規模事業者ないし個人事業所のこと。内職商法業者のおかげでうさんくさい業務形態の代名詞と成り下がった。在宅翻訳者と称してもフリーランスと称してもうさんくさいことに変わりはないが。 【Three Dimension】Daily Yomiuriの金曜版のコーナー。この写真を寄り目で見ると、何かの形が浮き上がって見える。この三次元視ができるのは家族の中で蔵主のみであるため、自慢である。しかし、何かの役に立つわけではない。 【TOEIC】翻訳者の履歴書に書くには900点以上が必要と言われるが、蔵主は受けたことがないのでよくわからない。→英検 【USA】大分県宇佐市。 【アップレギュレーション】増加するように調節されること。修羅場においてはエンドルフィンがこの作用を受け、しばしばランナーズハイ様状態に至る。→修羅場 【アメリカ人】自分も他人もコントロールしたがる人々。一方で、他人にコントロールされることを最も嫌悪するため、面倒なことになる。健康のためなら死ねるという人も多く、思いやりがあるため健康に悪い煙草やコーヒーは他人にも許さないが(ただし、ビールは水だと解釈している)、やめろと説教するその口で頭痛がするほど甘い高カロリーのものを食べている。自己矛盾に満ちた国民性である。 【ありがたや、ありがたや】フィードバックされた訳文評価を読むときに精神を安定させるために用いる呪文。→フィードバック 【アルコール】蔵主は生真面目であるため二十歳になるまで1滴も口にしなかったが、一度口にしたとたんに呑兵衛になった。ただし日本酒は苦手で、もっぱら焼酎、ビール、ワインである。従って、健康診断や診察で1日に日本酒何合を飲むかと聞かれれば、正直に飲まないと答える。 【案件】エージェントがオファーする、ひとまとまりの仕事のこと。ジョブともいう。番号が付けられており、○○番のジョブ、ジョブナンバー○○の案件、などと言う。実は、蔵主がこの言葉を知ったのは数年前である。それまでは仕事かジョブという言い方しか知らなかった。田舎者の世間知らずであることが露呈したのであった。 【医食同源】食って治すこと。食って予防すること。同音異字の衣食同源とは、着るものも食べるものも蔵主の財布から出ているということを意味する。どいつもこいつも、ちったあ遠慮ってえものをしねえかと言いたい。 【命取られるわけじゃなし】納期に間に合わないのではないかという不安にかられたときに唱える呪文。強い抗不安作用があるが、副作用として傾眠が生じるため慎重に用いる必要がある。→納期 【意訳】学校の試験問題であれば×がもらえる。翻訳にはしばしば用いられるが、乱用すると翻訳ではなくなる。→直訳、超訳 【エージェント】翻訳会社のこと。ソースクライアントと登録翻訳者を仲介する業者。一部業者はブラックボックスないしブラックホールとも呼ばれ、仕掛けはわからないがソースクライアントが支払った翻訳料金が吸収される場所となる。蔵主が登録しているエージェントに限れば営業代行、訳文校正、教育、尻ぬぐい等を行ってくれる有難い存在であるが、このようなエージェントは稀有である。蔵主はケチであるため、どのエージェントか聞かれても教えない。→ソースクライアント、登録翻訳者、ブラックボックス 【ウチナーグチ】沖縄語。八重山語とは多少異なるらしい。蔵主が最もマスターしたい言語。 【運動不足】翻訳者の職業病の一。蔵主は運動音痴であるため、他の職業に就いたとしても発症していたに違いない。 【英語】読み書き会話ができて当然と目される言語。従って、会話ができない蔵主は英語ができないとみなされる。 【英検】翻訳者の履歴書に書くには1級を取らなければならないと言われているが、蔵主は受けたことがないのでよくわからない。→TOEIC 【お客様は神様です】クライアントから厳しい指摘を受けたとき、困難な注文を受けたとき、対価が安いときなどに唱える呪文。 【確定申告】蔵主は未だに白色申告である。面倒だからである。さすがに慣れてきたので、半日あれば領収書を整理して書類を書ける。しかし、昨年、計算法を間違って数年間余分に納税していたことに気付いた。今さら取り戻せないのは悔しいが、悪いのは自分である。ちょっとだけ泣いた。 【家事】翻訳より難しい仕事。しかも無償かつエンドレスである。しかし、人を雇うとなれば出費が嵩むため、ケチな蔵主はしぶしぶ自分でやることになる。 【風邪】数少ない休日に限って待っていたかのように発症する。従って、蔵主の休日の多くは布団の中である。仕事がいちばんの薬ということか。仕事中は免疫力が上がると考えられなくもないが、あまり嬉しい話ではない。 【肩こり】翻訳者の職業病の一。蔵主はなで肩であることも災いして重度の肩こりに悩まされている。整骨医も太鼓判を押す鎧のような肩と背である。護身に役立つかもしれない。 【活字中毒】蔵主の業病。活字であれば、醤油のラベルでも中吊り広告でも熟読する。そんな蔵主が読まないところを見ると、督促状は活字で構成されていないらしい。 【紙の辞書】CD-ROM辞書や電子辞書に対する従来の辞書。こういう言葉ができるとは、20年前には考えられなかった。パラダイムシフトである。いずれ紙のペーパーなどという言葉もできるであろう。→CD-ROM辞書 【眼精疲労】翻訳者の職業病の一。ブルーベリーが効くと言われているが、蔵主は毎日同じものを食べるという根性を持たないため、もっぱら目薬に頼っている。仕事をしないのが一番の治療法であるが、金銭的損失が大きいためケチな蔵主には実践が難しいという問題がある。 【くさや】発酵した液に漬けたアジなどの干物。蔵主の好物。家族が最も嫌悪する匂いを発する。厠でイワシを食べたという紫式部を想いつつ家族の留守にこっそりと食べるが、家の中に匂いが残るためやはり猛烈な非難を受ける。たまに殉教したくなる対象。 【クッキング・パパ】料理漫画。蔵主がメニューに困ったときに読む参考書。あげくに出前にすることが多い。すでに70巻を超える。連載開始当初小学校低学年であった主人公の息子がもう高校生である。登場人物全員が一定の速度で年を取っていくところが「こち亀」とは異なるが、長期連載漫画にありがちなマンネリ化はまぬがれないところである。しかし、蔵主も読者としてマンネリ化しているので惰性で買い続けている。寅さん現象である。それにしても、お尻の穴がむずがゆくなる題名である。 【蔵主】翻訳蔵の主。炬燵猫。医学翻訳者。中年の♀。ケチ。面倒くさがり。少し頭が鈍い。行動はさらに鈍いが、菱沼さんほどではないと思う。→菱沼さん 【グレープフルーツ】高血圧の治療薬との相互作用があるため、蔵主は摂取できない。食べるなと言われれば食べたくなるのが人情である。従って、以前はさして関心がなかったが、高血圧症発症後では好物である。しかし、蔵主は生真面目であるため発症後は一度も口にしていない。→高血圧症 【クレーム】訳抜け、誤訳のクレームに対しては平身低頭するしかないが、事前に知らされていない条件を出されても困ります。サイキッカーとかじゃないし。 →訳抜け、誤訳 【携帯電話】蔵主も持っているが、一人で外出する時には決して携帯しない。メール機能もない。何のために持っているのかと疑問に思う向きもあろうが、複数人で外出したときに方向音痴の蔵主が迷子になったときの用心、というれっきとした理由がある。 【原稿】メールでもらうことが多くなったものの、紙の原稿もまだ多い。紙の場合は宅配で送られてくるため、頻回になればクロネコなどのお兄さんと親しくなれる。しかし、蔵主の登録先はたまたま社名に「翻訳」の文字がないエージェントばかりであるため、お兄さんは宅配の中身を推測しようがない。はたして何屋だと思われているのか、知りたいところである。例:作家、ルポライター、芸能人、モデル、暇人、密輸業者、探偵。 【現実逃避】 「修羅場」中に限って、ネット海をあてもなく彷徨ってついネットショッピングで衝動買いしてみたり、長文メールを打ってみたり、掲示板に書き込んでみたり、blogの記事を書いてみたり、デスク周りの整理を始めてみたり、一日の翻訳量を翻訳料に換算してほくそえんでみたりして、時間を浪費してしまうこと。(blueさんのブログより許可を得て転載)→修羅場 【原状】蔵主は原状回復を片付けの目標としているが、どうしても現状維持にとどまるため、ついには収集がつかなくなる。 【源泉徴収】エージェントからの支払いにもれなく付いてくるマイナスのプレミアム。確定申告である程度取り戻せる場合もあるが、初めからレートを1割差し引いて考えなければ経済計画を立てられない。月に90万円分の仕事をすると9万も源泉徴収されるが、10万の仕事なら源泉徴収は1万である。従って、源泉徴収分が惜しいならば仕事をあまりしないほうが良い。→確定申告、レート 【原文】原文の内容および文法がすべて正しいと思ったら大間違いである。質の悪い原文の責任を翻訳者が負うのは不条理である。しかし、訳文の出来が悪いと評価されるのはさらに不条理であるため、膨大な訳注を付けることになる。この作業に翻訳そのものよりも時間を割かれることもままある。かくして不条理のループに陥るのである。なお、全く文章になっていないもの、印刷が悪くて判読できないもの、略語だらけのもの、ピリオドがないものなどを判じ物を呼び、これを読み解く作業をロゼッタ石にちなんでロゼッティングと呼んでみようかと今思った。 |
【コーディネータ】エージェントの中にあって、翻訳者の直接の窓口となる人。各翻訳者に決まったコーディネータがつくときも、そうでないときもある。大抵は電話、FAX、メールのみのつきあいで、顔も知らない同士であるが、やはり互いに人柄というものがにじみ出る。従って、相性の悪い人もいれば良い人もある。また当然、有能な人も無能な人もいる。相性が悪くかつ無能なコーディネータに当たった日には目もあてられない*。蔵主はそれで一度ケツをまくったことがある。大人として褒められないことである。現在おつきあいのあるコーディネータの皆さんは、有能で感じの良いスタイル抜群の美人か、有能で魅力的な脚の長い二枚目ばかりです。お会いしたことはないですが。 *コーディネータを翻訳者と置き換えてもこの文章が成り立つのは当然である。 【コーヒー】以前は一日に何杯でも飲んでいたが、ドリップするのが面倒だとある日突然思い、そのとたんに飲まなくなった。蔵主の面倒くさがりという性格がはじけた瞬間であった。決して嫌いではないので、モカ・マタリなどおいしくいれていただければ有り難くご馳走になります。 【工業英語】はるか昔にあった雑誌。この雑誌の廃刊後、実務翻訳の実践に役立つ雑誌は一冊も発行されていない。復活を切に願うが、読者数を伸ばせる見込みがないので無理であろう。赤字覚悟で挑戦しようという奇特な出版社はないものか。あれば、株を1株買うかもしれないのだが。 【高血圧症】蔵主の持病。月2回の診察と数ヶ月に1回の血液検査を受けるため、健康管理にはもってこいである。先日、起立性低血圧が明らかになった。矛盾するようだが、この2つの疾患は両立するのである。蔵主は仕事と家事を両立することができないが、病気がこれを相殺してくれてたので良かったと思う。→フィードバック 【焦げ焦げ】心の中で泣きながら、半徹中または完徹中で、まともなものも口にせず、風呂にも入らず、ロボットのようにひたすらキーを叩いている状態。(blueさんのブログより許可を得て転載) 【焦げ付きそう】納期が目前に迫っているのにまだ追いついておらず、納品前夜の半徹や完徹を覚悟している状態。(blueさんのブログより許可を得て転載) 【腰】蔵主は腰が低いと自己認識しているが、客観的に見ると腰が引けているらしい。他人の目というものはあてにならない。 【こなれた日本語】翻訳者、翻訳学習者などの一部を縛っている呪詛。もちろん、消化不良の訳よりも「こなれた訳」のほうが望ましい。しかし、読み手が「こなれている」と意識する訳は実は十分にこなれていない可能性がある。上等な小説や理路整然とした論文を読むとき、読み手は文章の「こなれ度」など意識しない。白状するが、蔵主の翻訳が「読みやすい」「こなれている」と評価される場合、原文を一読しただけでは理解できなかったことが多い。自分が理論を消化できるように書いているのである。専門家にとっては冗長な文章かもしれない。蔵主の目指すところは「こなれた訳」ではなく、翻訳者の介在を意識させない正確な訳である。理想に近づくほど存在感が薄くなる因果な商売である。 【誤訳】ひとつの誤訳で人の命が脅威にさらされたり、巨額の損害が生じる恐れがある。翻訳者が犯してはならないミスであるが、一度も誤訳したことがない翻訳者が存在するとは考えにくい。あってはならないが、完全に避けることもかなわない。アンチノミーである。 【サーカディアン・リズム】概日リズム。蔵主の血圧のリズム。夕飯の支度をする時間になると、なぜか最も高くなる。家事がよほど嫌いらしい。→高血圧症 【座右の銘】「明日できることは今日するな」 【座右の書】「便利な常備菜」 【産業翻訳】出版翻訳に対する言葉。実務翻訳とも言う。主として企業や機関が使用する文書の翻訳を行う仕事。出版翻訳とは異なり訳文が公開されることは少なく、訳者の氏名はほとんど公表されないという裏方の仕事。ただし、近年は訳した本人が知らないうちにウェブサイト上で発表されていることがままある。検索してやっと1件ヒットしたと思ったら、自分の訳文だったりする。別れた恋人と飲み屋で出くわしたようなもので、間が悪いったらないのである。 【さんぴん茶】ジャスミン茶のこと。沖縄のオバアの必須アイテムである。ペットボトル入りのさんぴん茶は蔵主の最も好む飲料水である。捨て値で販売されているところを見ると、少なくとも蔵主の生息する地域ではあまり売れていないらしい。安いのは嬉しいが、いずれ販売されなくなるだろうから、自分で作らなければならない。面倒なことである。 【シエスタ】昼寝。暑さに極端に弱い蔵主は、昼寝なしに夏を乗り切ることができない。いつでもシエスタできるところは、在宅翻訳業の最大の利点である。ただし、短時間で切り上げないと修羅場を招く。また、さぼっていると思われるのも癪である。夜の睡眠時間を減らさないので、そう思われても仕方がない面がないこともないとは思うが。 【資格】日本では無資格で誰でも翻訳者と名乗れるので、試験嫌いの蔵主にとっては便利である。翻訳者以外の人にとっては本物と偽者の区別がつかずに不便かもしれないが、日常生活には支障がないのでかまわないであろう。法改正されて国家試験に通らないと翻訳者と名乗れないなどという事態になっても、しぶしぶ試験を受けるだけなので別に困りはしないが、面倒なのでやはり嫌だと思う。 【資質】意見はさまざまであろうが、蔵主が考える在宅翻訳者の資質とは、孤独に耐えられ同時に人嫌いではないこと、粘着質であり同時に諦めが良いこと、理論的思考ができ同時に非理論的な文章を理解できること、悪い意味でのpositive thinkingに陥らず同時にcautiously optimismticであること、想像力があり同時に無駄な創造力を排除できること、職人であると同時にあきんどであること、人並みに健康であり同時に人並みに以上に不健全であること、短眠生活が平気であり同時に48時間連続睡眠しても疲れないこと、食べることを楽しみとし同時に3日間3食カップラーメンでも平気なこと、家族を大事にし同時に家族を無視できること、猫を大事にし同時に猫に邪険になれることなどである。 【辞書】翻訳する際に役立つ資料。英語の場合、わからない単語や表現は英和、英英、和和、和英辞書で確認し、専門用語は専門辞書および専門書で裏取りをした上で、インターネットで検索して例文を100ほど探すのが正しい道であろう。ただし、すべての単語についてそこまで調べる時間的余裕はないので、辞書にたまたま使える(と思われる)訳語が載っていれば、英和ないし和英辞書だけで訳語を決定してしまう。考えてみれば実に心許ない話であるが、早く仕事を仕上げるのも商売である。完璧なものでも1枚に1月かかっているようでは誰も相手にしてくれない。1枚に1日かかっても相手にしてくれない。我々に与えられた時間は1枚につき1時間弱である。時間の奴隷である。→CD-ROM辞書、紙の辞書 【思想】それはいったいどういう食べ物ですか。 【守秘義務】翻訳者は"confidential"というスタンプが押された原文を訳すことも多い。従って厳しい守秘義務がある。家族に対しても原文の内容を漏らしてはならない。せいぜい、原文が読みにくいとか、難しいとか、納期が厳しいとか、割に合わないとか、自分は馬鹿かもしれないとか、苦しいしんどい辛いもうだめだと愚痴を吐くしかない。そのため、文句たれの役立たずと思われる。悔しいので、相当に稼いだときも内緒にして、自分だけおいしい物を食べてうっぷんを晴らすのである。性格がねじくれてひがみっぽくなるのも職業病かもしれない。 【主婦】家庭のマネージメントを担当するのが主婦だとしたら、蔵主には主婦と呼ばれる資格はない。居候とまでは言わないものの、ぐうたらな同居人という程度の立場である。猫並みに気楽である。 【修羅場】納期直前の状態。1日十数時間の労働を数日続けた上で徹夜を2日ほどすると、ちょうど良い具合に出来上がる。回避可能であるにもかかわらず回避しないところを見ると、実はこういう状態が好きなのかもしれない。修羅場の末に納品した後、昼間からビールをあおると、自分の職業が非常にヤクザなものに思えて良く酔える。→納期 「煮え煮え」から「焦げ焦げ」までの総称。デスク周りが地獄の様相を呈していることが多い。(blueさんのブログより許可を得て転載)→煮えている、焦げ付きそう 【城下カレイ】:しろしたかれい。マコガレイの一種。別府湾の中に真水が湧く場所があり、そこに生息するカレイを言う。蔵主の大好物。別府を遠く離れ、もう一生食べられないと思っていたが、懇意にしていた別府の鮮魚店が通販を始めたため再会の夢を果たした。薄造りの刺身にし、頭はダシ、骨はから揚げにする。肝と皮がまた旨い。フグなどメではないが、奢っていただけるならフグがこの世で一番好きだと言うであろうという程度にフグも好きである。→別府、フグ 【ジャーゴン】業界用語。業界外の人間にとっては、一生知らなくでも支障がない言葉。翻訳業界では、トライアル、レート・ワード××円、作表不要ベタ打ち、トラドス、マッチ率、フィードバック、開店休業、3週間仕事がない、干された、また新規開拓しなくちゃ、などがジャーゴンであろう。→トライアル、トラドス、フィードバック 【趣味】履歴書や釣書きに書くためにでっち上げるもの。翻訳会社に提出する履歴書には書く必要はなく、近々お見合いする予定もないので、蔵主は無趣味である。 【除雪】冬場、土木業者の良い稼ぎになる。除雪された道まで雪かいて出るのが大変なんですけど。 【推敲】訳文に誤りがないか確認し、粗削りな部分をなめらかにする作業。1回目の訳がうまくいっていればすいすいと進むが、時には自分を呪いたくなる。校正とは異なり、他人のせいにできないところが苦しい。 【スキル】他人の評価に耐え得る技能。教えてもらうものではなく、体得するもの。それを持つ個人の死により消滅する。また、時代と共に発生し消滅する。ワープロを打てるというスキルは発生してまもなく消滅した。翻訳というスキルも消滅する日が来るかもしれないが、多分蔵主の死んだ後なので知ったこっちゃないのである。 【世界地図】欧米人は日本で使われている世界地図を見たことがないので、日本が世界の中心であることを知らない。また、日本を極東などと言っているところを見ると、地球が丸いことを知らないらしい。 【節約】蔵主はケチであるが面倒なことが嫌いなので節約は苦手である。従って、お金は一向に貯まらない。 【専門知識】翻訳には語学力のほかに専門知識も必要である。各分野のプロと同等の専門知識を持つことが望ましいと言われるが、その道のプロが転職して翻訳者になる場合を除き、それは実現不可能であろう。そのような人でも、技術は日進月歩であるため、現職のプロと同じだけの知識を維持することはきわめて困難と思われる。また、翻訳者が扱う範囲は、現場の専門家に比べてはるかに広い。このようなことを考えると、「専門家と同じ知識を持て」とは軽々に言えないように思う。自分のクローンがわらわらと生まれれば可能かもしれないが、今度はクローンの口減らしが問題となったりするのではないだろうか。むしろ、何をどのように調べれば答が得られるかを知っていることが、翻訳者としての「専門知識」ではないかと考える。蔵主は医師国家試験を受ければ文句なく不合格になる自信があるが(その前に受ける資格がない)、資料さえあれば調べて問題を解くことはできる(と思う)。だからといって、挑戦したいとは思わない。 【ソースクライアント】エージェントに翻訳の仕事を発注して下さるお客様。神様。直接コンタクトできることはまずないが、エージェントがその声を伝えてくれる。供物等は必要とされないが、その要求は絶対である。→お客様は神様です、エージェント 【タイポ】タイプミス。日本語入力の場合、タイポ自体は発見しやすいが、変換ミスは見逃してしまうことがある。英語の場合、スペルチェック機能で大抵は発見できるが、単語自体は存在しても、実は別の単語を入力すべきであった場合にはスペルチェックをかいくぐる。入力した本人が数回見直しても見落としたタイポは、もはや他人に発見されるのを待つしかない。 【ダウンレギュレーション】減少するように調節されること。納期に余裕があるとアドレナリンがこの作用を受け、やる気が今ひとつ出なくなる。そういう時に限って別件が挿入され、結局は修羅場になることが多い。→アップレギュレーション、修羅場、別件 【駄洒落】駄洒落ほど訳し難いものはない。翻訳では必要とあれば注釈もつけられるが、通訳はほぼ不可能であろう。堅い文書が中心となる医学翻訳は駄洒落とは無縁と思われるかもしれないが、そうでもないのである。さすがに論文でお目にかかったことはないが、報告書などにはこっそりと忍び込んでいることがある。そのたったひとつの駄洒落のために、時間当たりの平均仕事量が大幅にダウンする。蔵主がオヤジギャグを蛇蠍のごとく嫌うのは職業病かもしれない。 【卵】ひよこの前段階。卵と書くと、そこから何かが生まれるものとなる。玉子と書くと食べ物である。従って翻訳者の玉子とは書かない。第一、まずそうである。→無精卵 【千曲川】蔵主が学生時代に研究のフィールドとしていた川。長野県境を超えると信濃川になることは、地元以外ではあまり知られていない。日本一長い信濃川の源流は、実は千曲川の源流なのである。しかも、信濃川と呼ばれる部分よりも千曲川のほうが長い。不条理である。 【地方】中央に対する言葉。田舎の意味ではない。ただし地方在住の蔵主は田舎者である。地方で翻訳の仕事ができるかという話が未だに出るが、今どきこの職種でその質問はないであろう。トライアルに受からないことや仕事がないことのエクスキューズとして使える時代は終わった。全国の翻訳者は機会平等、結果不平等である。→トライアル 【超訳】翻訳ではない。翻案でもない。「こなれた日本語」病のひとつの病態であろう。→こなれた日本語 【直訳】学校の試験問題であれば○がもらえる。翻訳としての商品価値は低く、時として無価値。→意訳 |
【珍走団】暴走族を揶揄した言葉。呼称で実体の印象が異なったものとなる良い例。マルチがネットワークビジネスと自称するのも、この効果を狙ったものである。姑息な手段である。産業翻訳者が翻訳家と呼ばれてもとりたてて問題にするほどのことではないが、珍訳者と呼ばれないように心しなければならない。→産業翻訳、翻訳家 【通信講座】翻訳学校の商品のひとつ。蔵主は通信講座出身である。当時、辞書なしで読めるのは専門書のみであり、これは英語の読み書きも覚束ない状態に等しいことから受講した価値はあった。過大な期待はしないほうが良いが、ハサミは使いようである。 【てにをは】外国人の日本語学習者には「は」と「が」の違いがなかなか理解できないらしい。日本語教師にとって大きな問題だと聞く。蔵主も当然説明できやしない。英語のネイティブ・スピーカーが不定冠詞と定冠詞の使い分けを理論的に説明できないのと同じである。それにしても、弖爾乎波とか天爾遠波と書くとは知らなかった。日本人のくせに読めやしない。「弖」などという字は生まれて初めて見た。どうも弖爾乎波以外に使い道のない国字らしい。同じ使い勝手のない国字としては裃があるが、これは成り立ちが容易にわかる。まさかと思うが、弓を引くのは手だから「て」などということはないだろうないくら何でも。万が一これが当たっていたら、もうどうして良いのかわからない。 【徹夜】休肝日になるので健康に良い。 【テニス】蔵主の天敵。夫も息子もへそくりもビデオ鑑賞の時間も奪っていった小悪魔。蔵主の美貌をもってしてもかなわないことがわかってきたため、共存の道を探している。 【でもしか】〜でもやろうか、〜しかできない、の意。でもしか教師、でもしか医者というのはもはや死語であろうが、でもしか翻訳者は増殖するかもしれない。本人は謙遜しているつもりかもしれないが、その職種自体を貶めるものである。アイドル(死語)が「友達のオーディションについていったら、友達は落ちて私が合格しちゃいました」と言うようなものである。「私でもできそうだから翻訳でもやってみたい」と翻訳者に向かって言うのは、喧嘩を売ってるようなものである。蔵主のような温厚な翻訳者ばかりではないので、言葉は選んだほうが身のためである。 【撓骨神経麻痺】とうこつしんけいまひ。上腕の神経が圧迫された結果、手首および指を動かせなくなる症状。下垂手となる。つまり、幽霊のうらめしやの手である。蔵主は数年前にこの麻痺を来たし、これで翻訳者生命は終わったと覚悟したことがある。まさに、うらめしやである。同じ時期に同じ症状でリハビリに来ていた男性は、彼女に腕枕をしたのが原因であったらしい。蔵主の場合はこのような色っぽい理由ではなく、すべって転んで腕を圧迫しただけである。情けないことである。 【登録翻訳者】エージェントに登録されている翻訳者。登録翻訳者の数にはエージェントによって数名から数千名と大きな差があるが、実働率は多くの場合3割以下。従って、大半の翻訳者は補欠であり、なかなか(または全く)仕事をもらえない。そのため数十社に登録している翻訳者も珍しくないが、中堅以上の翻訳者の多くは数社の仕事だけで手一杯である。蔵主の場合、1社の仕事が全体の8割を超えておりほぼ専属状態にある。こうなるとコーディネータとの意志の疎通もスムーズで、用語集やフォーマットも一定し、計画も立てやすく、いろいろな面で便利である。しかし、いつ何が起きるかわからないので、他社の仕事も継続して請け負い信頼関係を築いておく必要がある。貴社一筋ではリスクが大き過ぎるので他社の仕事もしますよということはエージェントも十分理解していると思うが、公認の浮気と同じで、それは口に出さないのが礼儀である。オファーを断るときは電話口で本当に頭を下げています、ごめんなさい許して下さいまた仕事下さい。 【友】よき友とは物くるる友と医師と知恵ある友である、という吉田兼好の意見に全面的に賛成である。1項目か2項目を満たしている友はいるが、3項目すべてを満たしている友は今のところいない。どこかにころがっていないものか。しかし、考えてみれば蔵主は誰にとってもよき友ではないことになる。どこかにこの矛盾から抜け出す道はないものか。 【トライアル】1)エージェントが翻訳者ないし翻訳者候補に対して実施する試験。合格するとそのエージェントの登録翻訳者となれる。エージェントによって合格率が異なるが、1〜2割程度と言われる。履歴書で落とされる場合もあるので、それを考えれば合格率はさらに低くなる。たとえ合格しても、ボーダーライン上の成績であれば仕事を全くもらえないこともある。蔵主はケチなためタダで翻訳をするのが嫌で、これまで2回しか受けたことがない。 2)大きな仕事を依頼する前に、ソースクライアントがエージェントに提出させる翻訳。エージェントから翻訳者に発注される。この種のトライアルを任せられればエージェントに信頼されていると理解してよい。当然有償であり、エージェントによっては割り増し料金を出してくれるところもあるが、普段以上に神経を使うので時間当たりで考えれば割安である。しかし、ソースクライアントに気に入られれば継続して指名を受けられるため、有難い話である。ただし、指名料という名目の料金はない。あれば大変嬉しいです。ついでに言えば、難解な原文や読みにくい原文や納期の短い案件に対して別途料金をいただければ非常に嬉しいです。家族手当や寒冷地手当や有償休暇や奨励金や学費会社持ちの留学制度があればもっとうれしいです。はい、不可能なのはわかってます、言ってみただけです。 【トラドス】訳文リサイクルソフトどす。このソフトをつこうてできたんを、訳文の炊いたんて言いますんえ。タイタンゆうても、タルタロスに幽閉されたんとは違います。過去の訳文に縛られてはいますけどな。いやぁ、もうお昼どすな。何にもおませんけど、ぶぶ漬けでもあがって行っておくれやす。 【鍋磨き】蔵主に課せられた苦役。料理中に突然適訳を思いついて鍋を火をかけたままパソコンに向かうこと10分。見事な焦げ付きが出来あがる。鍋を復活させるまでに数10分から数時間、下手をすると数日を要する。これほど時間と資源を無駄にする行為はないと思うが、懲りずに繰り返すのは仕事熱心の余りである。学習能力がないせいではない、と思う。 【鍋物】冬は毎日。 【煮えている】納期が迫っていて、あるいは納期がタイトで、あるいはスピードが思うように上がらなくて、デスクの前に座っている時間が通常より長い状態。(blueさんのブログより許可を得て転載) 【煮え煮え】「煮詰まっている」と同義。(blueさんのブログより許可を得て転載) 【二足の草鞋】兼業翻訳者がはくもの。休日は全く取れず、大変であると思われる。蔵主は退職した後に翻訳者になったため兼業の経験はないが、専業でも休日はほとんどない。大変なのは同じである。 【煮詰まっている】「煮えている」よりさらに切迫感が増している状態。(blueさんのブログより許可を得て転載) 【猫頭火】「にゃんとうか」と読む。蔵主が種田山頭火の句をもじった句集を編んだときのペンネーム。あまりにもくだらないものであるため、作品は発表しない。 【猫】蔵主の家族の一員。2匹いるからニ員である。すでにネコマタである。その証拠に時々人間の言葉をしゃべる。例:ナーニ、ネエ、イヤン、バカン、あなたってHね。 【ネコジャラシ】イネ科の植物。猫が最も好む遊び道具。タダだという点もすばらしい。 【年収】蔵主は翻訳者として1000万も稼げば満足であったのだが、老後を考えると全然足りないような気がしてきた。定年もリストラもない代わり、保障も退職金もないということにやっと気が付いた。我ながらあまりにも鈍い。蔵主の配偶者も自営であるため、夫婦でデラシネである。困ったものである。 【納期】納品の期日。これがないと絶対に仕事をしないという点で、翻訳の必須アイテムである。同じ納期でも朝イチ(午前9時)、昼イチ(午後1時)などと指定されることもあるが、蔵主は午後5時が納期であると解釈している。もちろん期日前日の午後5時です。嘘です。→納品 【納品】訳文をエージェントないしクライアントに納めること。今ではすべてEメールであるが、一昔前はプリントアウトした原稿とフロッピーディスクを宅配で送っていた。蔵主は車を運転できないので、10キロ先の集配所まで自転車または徒歩で持ち込んでいた。その労力を考えると、レートが同じでも実質値上げしてもらったようなものである。しかし、そろそろ実際に値上げしていただいても一向に構いませんので宜しくお願いいたします。→レート |
【博多】現在、蔵主の実家があるところ。福岡市の街としての名前。福岡県の県庁所在地は福岡市であって、博多市というものは存在しない。福岡市の中に博多区という区はある。しかし、新幹線の駅に福岡という駅はなく、博多駅である。面倒なことである。さらにややこしいことに博多の次に南福岡という駅があり、JRが特例を設けて博多〜南福岡間は新幹線料金なしで乗車できるようになっている。ちなみに、同県の北九州市には北九州という駅はなく、新幹線の駅は小倉である。餡子ではないので、「おぐら」ではなく「こくら」である。ホームの立ち食いうどんがおいしいらしい。 【パソコン】翻訳に必須の道具。蔵主には仕掛けが全くわからないが、あちこちいじっているうちに何とかなるのが不思議である。まだ爆発させたことはない。現在3台のパソコンを使用しているが、いずれも海外メーカーのものである。日本製のものは余計なアプリがプレインストールされているので気に入らない。これは付加価値ではなくおせっかいである。いや、単なる抱き合わせ販売である。お願いですからアプリ削って安くして下さい。→ブラックボックス 【発酵】人間の役に立つ腐敗。益虫と害虫、薬と毒、クジラと日本人、安く気軽に使える翻訳者と要求が多く扱いにくい翻訳者などという分類と同じ基準に立つ。人間とは勝手なものである。 【バベル】バベルの塔のおかげで人間には翻訳や通訳が必要になった。言葉の混乱の根源である。この名を持つ某大手翻訳会社・翻訳学校は、翻訳の必要性を訴えているのか、言葉の混乱を生み出したと主張しているのか、どちらなんでしょうね。 【フィードバック】ソースクライアントないしエージェントから訳文の評価・指導を受けること。赤の入った訳文を受け取ることもある。大抵の翻訳者はフィードバックを欲しがるが、まめにフィードバックしてくれるエージェントは多くない。従って、フィードバックをもらうことは非常に有難いのであるが、精神衛生には必ずしも良いとは言えない。精神的大打撃を受け、もう翻訳はやめようと思い詰めるほどひどい評価を受けるときもある。これを負のフィードバックと言う。一方、前のジョブは評判良かったですよ、という一言で天にも昇る気持ちになることもある。これを正のフィードバックと言う。メールないし紙でフィードバックをもらう時には、正負両方のケースを考えて(残念ながら99%は負である)深呼吸をしてから読むことを勧める。精神状態が不安定なときにはしばらく神棚にでも置いておき、「ありがたや、ありがたや」と呪文をとなえながら読むことを勧める。せっかくのフィードバックを活用できるか否かで翻訳者の将来は決まると言っても良い。少なくとも同じミスを二度続ければ評価はガタ落ちになることは確実であるため、あだやおろそかにはできない。わかっていてもストレスになるのである。蔵主の高血圧の病因は絶対にこれである。フィードバック性高血圧症といういかにもありそうな病名を今思いついた。→高血圧症 【菱沼さん】佐々木倫子の傑作獣医漫画「動物のお医者さん」の登場人物。思考と行動が超スローモー。長生きしそうである。→蔵主 【非常事態】納期直前にパソコンがフリーズないし故障すること。バックアップしていなかったため1日分の訳文、最悪すべての訳文が失われた場合には万事休すである。しかし、悪いのはバックアップを怠った自分である。泣きながら徹夜してでも取り戻さなければならない。実際にこのような状態が生じていなくても、納期に間に合わない言い訳として用いられることがあると聞く。パソコンを殺して納期を破るのは、親を殺して会社をさぼるのと同じである。社会人として許されないことである。蔵主はやったことはありません。将来誰かが奢ってくれるかもしれない城下カレイにかけて、絶対にやったことはありません、今後も絶対にやりません。本当です。信じて下さい。→フリーズする、城下カレイ 【ひよこ】卵から生まれたばかりで、まだ弱々しい。肉が付いていないのでおいしくない。ひよこのうちにせっせと栄養を摂れば立派な成鳥となるが、すべてのひよこが生き延びられるわけではない。→卵 【フグ】今は知らないが、少なくとも10数年前まで別府ではフグの肝を食べることができた。フグの薄造りを、ネギ、もみじおろし、皮と共に肝を溶かしポン酢醤油で食する。絶品である。フグ肝は初めてという人が恐る恐る食べると、大抵、舌がしびれたなどど言い出す。そんなはずはない。先入観とは恐ろしいものである。蔵主はすでに一生分のフグを食べたと思うので、万難を排して食べたいとまでは思わないが、奢って下さるならば万障繰り合わせてお相伴にあずかりたいと存じますのでどうぞ宜しくお願いいたします。→別府 【福井】蔵主の現時点での生息地。山海の特産物が豊富で実に美味。蔵主はすでに一生分の蟹を食べた。また、共働き率全国一であり、昼間暇なのは乳児と相当高齢のご老人のみである。そのご老人も、空いた土地があればさっさとマイ畑にする。働かないと生きていけない体なのである。福井が滋賀や京都と接していることはあまり知られていない。それどころか、東北にあると思っている人が実に多い。福岡、福井、福島の区別がつかない人も非常に多い。蔵主の実家が福岡であるため、話がいっそうややこしくなることがある。日本人なら日本地図くらい覚えて下さい。 【ブラックボックス】入出力は認知できるが、仕掛けがわからない装置のこと。蔵主にとってのパソコン。登録翻訳者にとってのエージェント。クライアントにとっての翻訳者。→パソコン、エージェント、ソースクライアント 【フリーズする】コンピュータが突然機能を停止し、お手上げ状態になること。バックアップを取ってないときに限って発生する。誰にホールドアップされているのか聞きたいものであるが、フリーズ中は完全黙秘であり、復活後は忘れているらしいのでよくわからない。多分、犯人はMSだと思う。 【分納】ひとつの案件を数回に分けて納品すること。翻訳者には非常に評判の悪いシステム。1回目の分納前に全文を訳し終えていれば問題はないが、翻訳途中で分納するのは実に気が重い。疑問点が最後の一文で氷解することもある。用語統一の問題もある。作業の進行上やむをえないことではあろうが、できることならば避けたいものである。分納といえば、新聞や雑誌の連載小説など、どこまで書き進めてから入稿しているのかいつも気になる。途中で辻褄が合わなくなったり、主人公が気に入らなくなったり、どういう具合か話が終わってしまったり、書こうとしていた出来事が現実世界でそのまま起きて話題になってしまったらどうするのだろうか。他人事ながら心配である。→案件、納品 【分類】時間の無駄。 【別件】すでに受注した案件とは別の仕事を同じエージェントがオファーする時に用いられる言葉。受注済みの案件の納期後の仕事であれば問題ないが、間に挿入されるとスケジュール調整が難しくなることもある。仕事が欲しいけど欲しくないという矛盾した精神状態になるのは、こういう時である。→案件、ダウンレギュレーション 【別府】べっぷ。湯の街。蔵主が育ったところ。実家が博多に移ったため帰る機会もなく、遠くにありて想ふものとなった。念のために書いておくが、大分県である。さらに念のために書いておくが、大分は福岡の南、熊本の東、宮崎の北にあり、言葉や気候は瀬戸内に近いものの九州に属する。四国ではない。さらに付け加えれば、別府の名物は血の池地獄や海地獄など温泉関連の観光スポットを訪ねる地獄めぐりであり、地獄谷ではない。猿が温泉に入る地獄谷があるのは長野である。高崎山の猿が別府まで降りてきて温泉に入る可能性もないことはないが、浅学にして知らない。猿が別府湾を泳いで四国に渡ったという話も聞かない。 |
【翻訳家】翻訳者に対して他の人が使用する呼称。主として出版翻訳者、特に文芸翻訳者に対して用いられる。「翻訳家になりたい」というと、夢子さんと思われるので要注意である。作家はそう自称してもおかしくないが、翻訳家と自称すると違和感を感じるところが厄介である。蔵主は一度、エージェントに「先生」と呼ばれて恥ずかしさのあまり裸足で逃げ出したことがある。→翻訳者、夢子 【翻訳学校】翻訳会社より儲かるらしい。翻訳会社が併設している場合もあるが、受講したからといって仕事をもらえるわけではない。蔵主はもらいましたが、どうも少数派らしいです。 【翻訳検定】そういうものがあるらしいが、蔵主は受けたことがないのでよくわからない。 【翻訳者】訳者とも言う。翻訳を生業とする者、またはある文章を翻訳した人を指す。→訳者 【翻訳ソフト】奇天烈な翻訳文が出力されるのを見て面白がるためのおもちゃ。都市伝説かもしれないが、昔は"tissue culture"(組織培養)を「ちり紙文化」と出力するソフトもあったそうである。つい最近、"Oh,baby!" を「おお、赤ん坊!」と出力したものを見た。これではミャウリンガル並みである。 【翻訳物】翻訳された文芸作品。翻訳者には、翻訳物が読めなくなるという職業病に罹る人が少なくない。下手な翻訳であると、数行読んだだけで投げ出してしまう。そういうことが重なると、次第に翻訳物には手が伸びなくなる。自分のことを棚に上げて、という意見もあろうが、自分の失敗を思い出して辛くなる、という事情もある。身近にこの病にかかった翻訳者がいたら、暖かく見守ってやっていただきたい。そのうち、居直って読めるようになることもあるだろう。 【ママダンプ】雪かき道具。生協でも販売している。単純だがインパクトのある商品名である。北陸の雪は重いので、スコップで放り投げていたら全身筋肉痛になる。ママダンプなら雪を載せて空き地や側溝まで引きずっていける。それでも駐車場の除雪だけで小1時間かかる。天気が良いと厚着では大汗をかくので、しまいにはTシャツである。その上、雪目予防に濃いサングラス、首にはタオル、肌には日焼け止めである。季節感などあったものではない。 【魔夜峰央】まやみねお。少女漫画家。代表作は「パタリロ!」。蔵主は雑誌投稿時代から作者のファンであり、最も古いファンの一人であると自負している。パタリロには男性ファンも多い。Fly me to the moonの章で泣いたという人も少なくないが、蔵主の配偶者は駄洒落しか覚えていないらしい。おかげでオヤジギャグを過剰生産するようになった。勧めたのは蔵主であるため、文句も言えない。困ったことである。 【ミトコンドリア】「ご隠居、ご隠居、デー・エヌ・エーってえものはご存知か。」「なんだい熊さん薮から棒に。あたしが知らないわけがないじゃあないか、えー、デオキシリボ核酸という二重螺旋のあれだろう。」「へえ、その核酸なんですがね。ミトコンドリアをいじくってる和戸村の庫裏久とかいう蘭学者がデー・エヌ・エーと対になったデー・エス・エーってえ物質を発見したんだと、今、その話でもちきりなんで。」「DSAとは初耳だね。なんの略だい、それは。」「ものがミトコーモンドリアだけにデオキシリボ助さん。」 【無精卵】いくら暖めてもヒヨコは孵らない。腐るだけである。→卵、ひよこ 【無洗米】糠をタピオカなどで除去しているから、水で洗っていない米という意味では「無洗米」という言い方もあながち誤りとは言えないが、要は「とぐ必要はない」米だと言いたいのだから、「既洗米」とか「糠除去米」とか「処理済米」とか、小林製薬風なら「とがずにう米(まい)」とか、そういう命名になってしかるべきであったと思う。無洗卵の立場が誤解されるのではないかと心配である。名称はともかく、家事の負担が少しでも軽くなるのは有り難いことなので蔵主は愛用している。少し割高であるが、米をとぐのが面倒で外食や出前になるよりは経済的なはずである。 【村田蔵六】元祖実務翻訳者。司馬遼太郎の小説「花神」の主人公。南伸坊も驚愕の非常に特異な顔貌である。脳味噌の詰まったタンクの下方に目鼻である。火吹き達磨と呼ばれたらしい。 【メディカル翻訳】医薬翻訳。実は論文や報告書だけが対象ではない。宣伝文や、珍しい例では童話を訳すことさえある。ともかく対象範囲がやたらと広く、医学、薬学は当然のこととして、政治経済から文学、芸能に至るまであらゆることにちょっとだけ知識を持っていなければならない。調べ物が三度の飯より好きな人にはお得な分野です。ひとつの単語を調べるだけで丸一日つぶせます。 【妄想】心のオアシス。 【訳者】翻訳者のこと。時に「役者」と誤変換されるが、共通点がないこともないような気がする。→翻訳者 【訳抜け】誤訳と並んで、翻訳者が犯してはならないミス。しかし、何度見直しても見落とすことがある。脳が読むことをわざと避けているとしか思えない。発生のメカニズムを知りたいものである。→誤訳 【安月給】会社員から翻訳者への転身を考えるきっかけとなるもののひとつ。蔵主もその例に漏れない。翻訳による月収が会社員時代の月給を超えたときには本当に嬉しかった。我ながら可愛らしいものである。経費や保険や税金などのことを考える頭がなかったらしい。今ではあえて考えないようにしている。 【雪おこし】浅草の雷おこしではない。北陸地方などで初冬に暴れる雷。雪の前触れ。この時期、雷だ、と思ったら、納期直前でもかまわずパソコンの電源を落とす。緊急事態である。ピカドシャと落雷するのである。仕事などしている場合ではない。ベッドに入って好きな本でも読んでいる場合である。 【夢子】夢見る夢子さん。一定の職業の表層のみを見て、現実を見ようとしない女性を指す。強い上昇志向につけこまれ、内職商法や資格商法のカモとなりやすい。男性の場合は夢男と呼ばれ、マルチや先物取引などにはまりやすい。ある意味純粋であるが、純粋ほど取り扱いがやっかいなものもない。蔵主は面倒なので近づかない。 【米原万里】元ロシア語通訳者。作家。作品はすでにかなりの数に上るが、デビュー作の「不実な美女か 貞淑な醜女か」はやはり秀逸である。翻訳者にも書けそうなようで、絶対に書けない本であろう。書こうとすれば、翻訳者は書を捨て街に出なければならない。蔵主は嫌である。家にこもって本を読んでいたほうが幸せである。 【りんごの唄】不本意な運命を辿るに至った歌である。昔は大分の観光バスに乗ると必ず大分弁バージョンのりんごの唄をバスガイドさんが披露した。「あけえりんごに/くちびたひっつけち/だまっちみちいる/しれえくも」といった具合である。各地のバージョンがあったに違いない。これはまだ良い。蔵主の学生時代、山岳部や寮生などまだバンカラの気風が残る集団でこの歌が歌われると、「ほれ、りんごのりの字をちに代えて」やら、「さて、りんごのりの字をまに代えて」などという公序良俗にもとる春歌よりもお下劣なしろものとなり下がった。もちろん、上品な蔵主は歌えません。「鬼のパンツは良いパンツ」(フニクリフニクラの節で振り付き)が限界です。 【ラブレター】蔵主は出入りのクリーニング屋のお兄さんにラブレターをもらっている。金額しか書かれていないが、渡す本人がラブレターと言うからにはラブレターであるに違いない。 【レート】翻訳単価のこと。上げて下さい。 |
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